月別アーカイブ: 2020年9月

ロジスティック回帰分析(多変量解析)の実例

独立変数(説明変数)が複数あり、従属変数がバイナリー(イベントの有無)の場合に、どの独立変数の寄与が大きいかを調べる手法が、ロジスティック回帰分析だそうです。わかりやすい説明サイト、実例紹介サイトのまとめです。

  1. ロジスティック回帰 多変量解析の手法別解説 統計分析研究所アイスタット:説明変数として、喫煙本数と飲酒日数、従属変数(目的変数)として健康か不健康かという例で、解説。
  2. https://www.amed.go.jp/content/000048629.pdf 検討可能な説明変数の数は、イベントありなしの少ないほうの数を10で割った数だそうです。

内的妥当性とは?外的妥当性とは?

基礎系の生命科学研究を長年やってきたにも関わらず自分に全く馴染みがなかった言葉が、内的妥当性と外的妥当性です。これは、看護学の研究者が当たり前に使っていて、初めて聞いたときにとても新鮮に感じました。

説明を聞いてみると、特に目新しい概念というわけではなく、単に自分はそういう言葉遣いをしてこなかったというだけのようです。砕けた言い方をするならば、外的妥当性というのは、どれくらい一般化できるかという意味です。内的妥当性というのは、その実験結果がどれくらい間違いがないか(つまり再現性があるか)ということです。学問分野によって常識がずいぶん違うものなんですね。

ランダム化比較試験(RCT)は,最も内的妥当性が高い臨床研究として有名ですが,研究の対象となる人が限定されることから,外的妥当性は低いとの指摘もあります.一方,全数調査をするようなコホート研究では,ランダム化比較試験(RCT)より外的妥当性は高いが内的妥当性は低いといわれています.(妥当性 jspt.japanpt.or.jp)

内的妥当性とは、独立変数と従属変数の因果関係について、その因果関係が確かにあるということが確信をもっていえる程度のことである。外的妥当性とは、研究の結果がどの程度一般的なものであるかの程度のことである。(内的妥当性と外的妥当性 sotsurontaro2.seesaa.net/)

(1)内的妥当性Internal validity)=因果推論  内的妥当性とは、「観察された共変する2つの事象に因果関係があるかどうか」ということに関する妥当性です。つまり内的妥当性とは因果推論そのものです。XとYが共変することは分かっていたとします。この2つは「原因」と「結果」であると言うことができれば内的妥当性は高いと表現されます。一方で、交絡因子・内生性の問題があり、見かけ上はXとYに関係性があるものの、それが因果関係になければ内的妥当性は低いと考えられます。(妥当性(Validity)と信頼性(Reliability)  2014/12/15 healthpolicyhealthecon.com)

例えば3歳児神話の研究では「就業している母親はこどもを保育園に通わせる」「就業している母親は学歴や年齢が高い」「ソーシャルサポートや同居家族が多いと保育園に通わせない可能性が高い」など、独立変数に関連する様々な要因が従属変数(例えば数年後の知能や社会性)に影響を与える可能性は十分ある。
このような場合に単純に独立変数と従属変数の関係を調べても、内的な妥当性(=従属変数への独立変数単独の効果を見ることができる程度)が低いため、様々な反論にさらされる可能性がある。(星野 崇宏 名古屋大学大学院経済学研究科 educ.kyoto-u.ac.jp

参考

  1. 【図解】内的妥当性と外的妥当性 note.com/akiduki
  2. 内的妥当性 【読み】:ないてきだとうせい 【英語】:internal validity  quint-j.co.jp
  3. EBMにおける内的妥当性と外的妥当性って何ですか?
  4. 臨床研究の実践知 小山田 隼佑 第3320号 2019年4月29日

 

冠微小循環とは?冠微小循環障害とは?

冠微小循環とは

一般に約100~150μm未満の血管系を微小循環と称している.(冠微小循環の視覚化 pp.873-877 呼吸と循環 53巻8号 2005年8月

冠動脈はepicardialarteryから心筋に入り込み,分枝して冠小動脈になる(>100-150μm:large arterial microvessels / small arteries, <100-150μm: small arterial-microvesels / arterioles). 分枝に従い, 血管径を減じ, 毛細血管前小動脈 (precapillary), 内皮細胞と周皮細胞(pericyte)からなる毛細血管(<10μm:capiillary)を経て, 小脈(venule70μm)に移行する. 冠小動脈は中外膜の3層構造を有する筋性動脈である. このレベルでは中膜は4~6層の平滑筋細胞から構成される. 末梢に進むに従い, 中膜の厚さを減じ, precapillaryレベルの中膜は1層の平滑筋細胞になる. 終末小動脈の中膜は不連続となり, 平滑筋細胞も散在するようになる. 小脈は内皮細胞のみから構成されるが, 血管の増大に伴い中膜の平滑筋細胞が認められるようになる.(冠微小循環の基礎知識 心臓Vol.40 No.7(2008)

冠微小循環の生理学的役割

心臓には約45mlの血液が含まれ、動脈系毛細血管静脈系に約1/3ずつ存在する。冠微小循環は直径200μm以下の血管径の総称であり、左心室筋重量の約8%の血液が含まれている。動脈系の微小循環は直径200~100μmの小動脈small artery)と100μm以下の細動脈(arteriole)に分けられる。両者は血管抵抗の75%を担っており、抵抗血管とも呼ばれている。細小動脈の役割は、体血圧が変動しても自動的に抵抗を調節することにより毛細血管内圧を25~30mmHgで一定に保つことである(自動調節能 autoregulation)。これは、毛細血管における酸素や栄養の交換を安定的に行う”恒常性の維持”のためである。毛細血管には冠微小循環の血液の90%が存在し、容量血管としての働きをもつ。拡張期に冠動脈から心筋に流れ込む血液を心筋内圧を上昇させることなく全て収容することができる。(急性心筋梗塞における冠微小循環障害の病態と治療戦略 岡山医学会雑誌 2009 JStage

冠血流の自動調節能

冠血流量は、灌流圧が一定であれば血管抵抗により決まる。冠血管抵抗に対する心外膜側の太い動脈の関与は生理的状態では少なく、細動脈などの抵抗血管により規定される。反応性充血やジピリダモール、アデノシンなどの薬物による冠拡張でみられるように、冠血流は安静時の5~6倍程度まで増加しうる。労作などにより心筋酸素消費量が増加すると、細動脈が拡張し、冠血管抵抗を減血流量を増やすことにより供給を維持する。一方、冠灌流圧の変化に対しても、心筋酸素消費量が一定であれば70~130mmHgの範囲では冠血流量を一定に保持する働きがあり(autoregulation,自動調節能)、動脈硬化などによる80%程度までの内径狭窄では、その末梢部の圧の多少の低下にもかかわらず虚血とはならない。(冠血流予備能〈coronary flow reserve〉 トーアエイヨ―)

冠微小循環が抱える根音的な問題

左冠動脈前下行枝および回旋枝は, 左心室心外膜表面を走行し, 途中直角に心筋膜下層に向かって走行して内膜下層心筋部位に微小血管として分布する. この冠血流が途えると心筋組織に虚血が生じる. 特に心筋膜下層は, 心筋にして直角に走行する冠血管が周囲の心筋が収縮する度に圧迫されるため, 常に虚血になる危険に曝されている. (心臓微小循環 日薬理誌 1999)

冠微小循環障害

冠微小循環障害(CMD)には機能性構造性の2類型があることが明らかになりつつある。イギリスKings CollegeのRahmanらは、86名の狭心症患者を対象として、この分類の確定を報告している。… 著者らは、機能性CMDでは心筋‐冠動脈カップリング不全が酸素需要増をまねく一方、構造性CMDでは全身性内皮細胞障害による心筋過活動を介して血流供給が相対的不足となる、という機構を提唱している。(メディカルオンライン)

  1. Physiological Stratification of Patients With Angina Due to Coronary Microvascular Dysfunction.  Journal of the American College of Cardiology Volume 75, Issue 20, 26 May 2020, Pages 2538-2549

no reflow現象

急性心筋梗塞症例の治療目標は,梗塞責任血管の速やかな再疎通である。なかには責任血管が再疎通しても冠微小循環に構造的障害が生じたために十分な心筋血流が得られない症例が存在し,noreflow現象と呼ばれている。(急性冠症候群の最近の動向 治療 虚血再灌流時の微小循環保護:現状と展望 CARDIAC PRACTICE Vol.22 No.2, 67-71, 2011)

心血管イベントの予測因子としての冠微小血管機能障害

冠動脈疾患の診療は、主に冠動脈狭窄心筋虚血検査によって行われてきた。しかしながら、近年の筆者らの臨床研究によって、狭窄や虚血がなくても血管径が100μm未満の冠微小血管機能が障害している患者が存在し、心血管イベントの強い予測因子であることが明らかとなった。冠微小血管そのものを描出することはできないが、心臓PET装置と心筋血流トレーサを用いることでアデノシン負荷時と安静時血流量の比から、非侵襲的かつ定量的冠血流予備能を算出することが可能である。(冠微小循環機能評価 北海道大学 研究シーズ集)

冠血流予備能(CFR)とは

冠血流予備能(CFR)とは安静時に比較して最大冠拡張時に何倍増やすことができるかを示す指標である。… CFRは局所的狭窄のみでなく、瀰慢性病変の存在や微小循環障害の存在によっても低下する。(CFRとFFR ―その類似点と相違点― 日本心臓核医学会誌 Vol.19-1 jastage.jst.go.jp

部分冠血流予備比(FFR)とは

下の記事の説明が、FFRの定義が最も詳細です。

FFRとは圧センサー付きガイドワイヤー(pressure guidewire)を用いて冠動脈狭窄の遠位部圧を計測し、最大充血状態(抵抗血管を最大拡張した状態)での病
変部圧較差から重症度評価を行うものである。狭窄のない正常冠動脈では心筋外血管に抵抗、すなわち圧較差は存在しないため、その心筋灌流圧は(Pa-Pv)と
なり(Pa:大動脈圧Pv:中心静脈圧)、細小動脈血管抵抗をRとすると、正常最大心筋灌流量QN,max=(Pa-Pv)/Rで表わされる。狭窄が存在すると狭窄遠位部圧(Pd)は低下し、その際の心筋灌流圧は(Pd-Pv)となるため、狭窄存在下の最大心筋灌流量QS,max=(PdPv)/Rとなる。FFRは次のように定義される。
FFR = 狭窄存在下の最大心筋灌流量 / 正常最大心筋灌流量 = QS,max / QN,max
抵抗血管を最大拡張の状態とするとその抵抗値Rは最小となり、また一定となる。Pa、Pdに対しPvが十分低いと仮定すると、
FFR=QS,max/QN,max=(Pd-Pv)/(Pa-Pv)≒Pd/Pa
正常血管である場合のFFR=1.0であり、FFRが0.75に低下しているということは、その血管が正常であった場合に得られる最大血流量の75%の血液を供給しうるということを意味する。(FFR を用いた心筋虚血の評価 田中信大 Nobuhiro Tanaka 東京医科大学 循環器内科 日本心臓核医学会誌 Vol.16-1)

下の記事は図解してあってわかりやすい。

狭窄の存在下での最大増加血流量が、その狭窄が存在しないと仮定した場合の最大増加血流量に対してどの程度の割合なのかを表す指標を FFR(心筋血流予備量比)といいます。 カテーテル検査ではプレッシャーワイヤーというカテーテルを用いて、薬剤により最大充血させた狭窄病変の FFR を計測することで、その狭窄病変が PCI 適応なのかそうではない のかを鑑別することができます。

FFR = Pd / Pa
Pa: 大動脈圧ガイディングカテーテルの先端の部位で測定)
Pb:狭窄病変遠位部の冠内圧プレッシャーワイヤーの先端の部位で測定)(葛西昌医会病院 臨床工学科 MEだより 第91号

最大冠拡張状態では冠動脈圧冠血流比例関係になるため、冠内圧の比冠血流量の比とみなすことができる。以上の理由から、薬剤により最大冠拡張誘発時のPdとPaの比部分冠血流予備比(FFR)と定義することができる。… FFR0.75以下は虚血陽性、0.75-0.8はグレイゾーン、0.8以上は虚血陰性と診断できる。… 虚血のカットオフは0.75、PCIによるイベント抑制が期待できるカットオフは0.67とされている。(CFRとFFR ―その類似点と相違点― 日本心臓核医学会誌 Vol.19-1 jastage.jst.go.jp

方法  心臓カテーテル検査に続いて行います。 冠動脈拡張剤(ATP: アデノシン)点滴投与しながら、プレッシャーワイヤーという装置(外径: 約0.36mm)を冠動脈に挿入してFFRを測定します。 通常、数分間で終了します。(冠血流予備量比(FFR)測定 Fractional Flow Reserve 阪和記念病院)

血管造影を基準に行うカテーテル治療が薬物療法と比較して予後を改善しないという報告がある一方で、部分冠血流予備量比(FFR)に基づいたカテーテル治療が予後を改善することが報告され、ガイドラインにおいても虚血に基づいた治療適応の決定が推奨されている。(血流予備能定量化の臨床的意義 日本心臓核医学会誌 Vol.18-1)

  1. 心筋血流予備量比(FFR) /冠攣縮薬物誘発試験|左心カテーテルの検査 (2020/07/20 看護roo! 『本当に大切なことが1冊でわかる循環器』より転載。)

瞬時血流予備量比(iFR;instantaneous wave-free ratio)

【背景】 冠動脈狭窄重症度指標としてのFFRの意義は確立しているが、より非侵襲的iFR(instantaneous wave-free ratio)Pd/Pa(resting distal coronary artery pressure/aortic pressure)がどの程度それを代替できるかは不明である。Stony Brook University Medical CenterのJeremiasら(The RESOLVE Study)は、1768名の患者を対象としてこの問題を検討した。 【結論】 iFRPd/Paはともに80%程度の正確度でFFRを評価でき、一部病変ではその正確度は>=90%となりえる。(FFRをiFR・Pd/Paで代替する? メディカルオンライン)

冠血流予備量比(FFR)とともにカテーテル検査室で得られる虚血指標である瞬時血流予備量比(instantaneouswave-FreeRatio:iFR)の有用性について、2017年3月の米国心臓病学会(ACC)で、大規模臨床研究であるDEFINE-FLAIR試験1)*とiFR-SWEDEHEART試験2)**の結果が報告された。(7月に京都で開催された第26回日本心血管インターベンション治療学会学術集会(CVIT2017)の共催セミナー「FFR*を極める」では、わが国のFFRの第一人者である田中信大先生(東京医科大学八王子医療センター循環器内科)と、大規模臨床試験のFAME試験にも参加し「FFRの父」とも呼ばれるNicoH.J.Pijls先生〔Catharina Hospital (オランダ)〕が登壇し、FFRの可能性と虚血指標についての最新動向を発表した。2017年9月25日 http://friends-live.jp/

PCIを適用する病変の選択

FAMEstudyでは、多枝病変患者におけるFFRガイドのPCI手技の有用性について検討された4)。血管造影所見のみで適応を決定しPCIを施行した群に比して、全病変のFFR評価を行い、FFR0.80未満の病変についてのみPCIを施行した群の方が、心イベント数のみでなく医療費も抑制すると報告された。また解剖学的な重症度指標であるSYNTAXscoreを、FFR値を勘案して有意な病変に対してスコア化するFunctionalSYNTAXscoreは、より治療後のイベント発生を予測することに有用であった5)。非侵襲的負荷試験と比べ、個々の病変枝ごとの虚血の有無を判定できるFFRは、実臨床におけるPCIの治療戦略を立てる上で、非常に有用な情報を与えてくれる指標といえる。(FFR を用いた心筋虚血の評価 日本心臓核医学会誌 Vol.16-1)

冠循環研究の歴史

冠循環にかかわる歴史は古く,冠動脈“coronaryarteries”の名付け親はGalen(130-200)[1]である.古代ギリシャで競技の優勝者に対して,冠として授与されたアポロンの霊木である月桂樹の輪から由来しているといわれる.その後,10数世紀を経て血液循環の確立で有名なHarvey(1578-1657)[1]が冠血管には心筋内の血行路があり,それが心筋を栄養することを的確に指摘している(図1).( 冠循環 岡山大学大学院医歯学総合研究科システム循環生理学 梶谷 文彦 LECTURES 日生誌 Vol. 66,No. 6 2004

冠微小循環に関する科研費研究課題

研究課題名に冠微小循環を含む研究課題のリストです。

  1. Rhoキナーゼを介した心筋症の冠微小循環障害による心筋リモデリングの機序解明 2019-04-01 – 2022-03-31 基盤研究(C)
  2. 非虚血性心不全における冠微小循環障害のメカニズム解明と治療戦略開発 2018-04-01 – 2021-03-31 基盤研究(C)
  3. 難治性冠攣縮性狭心症患者における冠微小循環障害バイオマーカーに関する検討 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(C)
  4. 急性心筋梗塞における内皮Toll様受容体を介した冠微小循環傷害の分子機序の解明 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(C)
  5. 近赤外線蛍光顕微鏡による糖尿病性冠微小循環障害時の心内膜側虚血発症メカニズム解明 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(C)
  6. 心臓の機械的負荷への適応機構解明:カルシウム動態と冠微小循環リモデリング 2011 – 2012 研究活動スタート支援
  7. 心筋内ラジカル分子計測による糖尿病性心内膜側冠微小循環障害発症メカニズムの解明 2010 – 2012 基盤研究(B)
  8. 毛細血管径・血流計測用生体顕微鏡開発と糖尿病性冠微小循環障害発症解明及び血行再建 2007 – 2009 基盤研究(B)
  9. 循環フィジオームの推進-冠微小循環、心筋アクチン・ミオシン架橋連関を中心に- 2005 – 2008 基盤研究(A)
  10. 胎児脳および冠微小循環障害におけるアデノシンによる虚血部位のサルベージ 2004 – 2005 基盤研究(C)
  11. 細径ペンシル型生体顕微鏡開発と心筋虚血再灌流時冠微小循環障害発症メカニズムの解明 2004 – 2006 基盤研究(B)
  12. 新生ラットにおける冠微小循環系と心筋の相互依存性増殖過程の医工学的解析 2003 – 2004 若手研究(B)
  13. 心筋虚血再潅流障害時冠微小循環の解明と治療戦略 2003 – 2004 基盤研究(C)
  14. 虚血後リモデリング心臓の冠微小循環制御に対する麻酔薬の作用 2003 – 2006 基盤研究(B)
  15. 虚血性心疾患における冠微小循環調節の破綻とRhoA/Rho-kinase系の役割 2002 – 2003 基盤研究(C)
  16. 糖尿病の病態による冠微小循環機能障害の検討:微小循環機能改善へのアプローチ 2002 – 2003 基盤研究(C)
  17. SPring-8大型放射光による冠微小循環と心筋クロスブリッジ機能の解析 2001 – 2004 基盤研究(S)
  18. 冠微小循環に及ぼす虚血再潅流傷害の特性と麻酔薬の作用に関する研究 2000 – 2002 奨励研究(A)
  19. L-NAME摂取ブタにおける心筋内小動脈狭窄病変の冠微小循環に与える影響 2000 – 2001 基盤研究(C)
  20. NADH蛍光・血流分布の同時測定による糖尿病・高血圧時の冠微小循環異常の解析 1999 – 2000 基盤研究(C)
  21. ロータブレーター(PTCRA)に伴う冠微小循環障害の機序の解明 1999 – 2000 基盤研究(C)
  22. 冠微小循環虚血時における局所血流・代謝分布異常とミクロメカニクス障害の解析 1998 – 1999 基盤研究(C)
  23. 脳・冠微小循環発生動態の3次元解析と内皮細胞の機能の変遷 1998 – 1999 基盤研究(C)
  24. 冠微小循環ミクロメカニクスの情報分子伝達系を介した統合調節機構の解析 1998 – 1999 基盤研究(A)
  25. 針状レンズ生体顕微鏡による高血圧肥大心の心内膜側冠微小循環の経時的障害過程の解析 1997 – 1999 基盤研究(B)
  26. 冠微小循環の内皮機能及び自己調節機能に与えるリゾレシチンの影響 1996 基盤研究(C)
  27. 分子血流トレーサを用いた冠微小循環heterogeneity評価法の確立 1996 – 1997 基盤研究(A)
  28. 冠微小循環調節における血行力学刺激と生体分子情報伝達を介した統合機構の解析 1996 – 1997 国際学術研究
  29. 分子血流トレーサを用いた冠微小循環調節系の時間的応答の解明 1995 奨励研究(A)
  30. Hi bernating myocardiumの冠微小循環動態の解明と診断法の確立 1995 奨励研究(A)
  31. 磁性流体機能の応用による冠微小循環血流制御システムの開発 1995 – 1996 基盤研究(B)
  32. 生体内における冠微小循環制禦機構へのG蛋白の関与 1993 一般研究(C)
  33. 虚血域冠微小循環からみた冠静脈洞閉塞法の心筋保護効果とその機序に関する基礎的研究 1992 奨励研究(A)
  34. CCDマイクロスコープによるヒト冠微小循環の術中計測 1992 – 1993 一般研究(C)
  35. 血管内皮ー白血球混合培養系を用いた冠徴小循環酸素ラジカル代謝り解析 1989 – 1990 一般研究(C)

参考

  1. 瀰漫(び まん)ある風潮などが広がること。はびこること。蔓延。(WEBLIO)

 

小区分「脳神経外科学関連」での2021年度の科研費「基盤研究(C)」採択課題全84件

2021年度の科研費 小区分「脳神経外科学関連」での審査状況

2021年度の科研費「基盤研究(C)」への応募件数は44,948件でした。採択件数は12,775件で、採択率は, 12,775/44,948=28.4%です。小区分「脳神経外科学関連」への応募件数は、313件で、採択数は84件。ですから、「脳神経外科学関連」は、26.8%の採択率です。基盤研究(C)の審査は小区分ごとに行われますが、一人で313件もの計画調書を読むのは困難なため、応募書類は機械的に分割されます。何個に分割されたのかはわかりませんが例えば4つに分けられたとすると1分割あたり78件を審査したという計算になります(もし5分割だと審査委員一人あたり63件になります)。いずれにしても、全部読んで審査することを考えると、大変な数です。

小区分「脳神経外科学関連」での2021年度の科研費「基盤研究(C)」採択課題全84件

小児難治てんかん手術例における脳梁髄鞘化の発達プロファイリング
TERTを標的とした悪性髄膜腫の新規治療法開発
内向き整流Kチャネルを基軸としたグリオーマ浸潤メカニズムの解明
葉酸受容体標的ホウ素化合物を用いたCED法によるBNCT治療効果向上に関する研究
神経毒性蛋白排出障害による神経変性機序の解明と新規排出促進の理論基盤の確立
血管信号抑制ASLによる非侵襲脳循環測定の精度向上技術の開発
交流磁場による新規神経膠芽腫治療の確立
ミトコンドリア機能に着目した膠芽腫におけるHDAC7の機能解析
脳ペリサイトの機能変化による細胞間クロストーク異常と脳血管障害の進展
脳腫瘍幹細胞の非対称性分裂におけるエピジェネティクス制御機構の解明
liquid biopsyによる、神経膠腫の非侵襲的診断/病態把握システムの開発
脳動脈瘤破裂におけるinflammasome活性化とsirtuinの役割
神経系に元来備わる自己修復能の活性化法:電気刺激療法を用いて
悪性グリオーマのグルタミン飢餓状態による一炭素代謝経路の調整と新規治療標的の探索
部分再開通における脳梗塞進展の機序解明と治療法の開発
脳深部刺激術におけるclosed-loop systemの応用と脳機能解析
脳虚血および虚血耐性現象におけるミトコンドリア細胞間移動の意義の解明
覚醒下脳手術による意欲関連ネットワークの解明
神経組織内因性蛍光反応を基盤とした大脳皮質活動領域の術中直接可視法の確立
経頭蓋電気刺激による脳神経疾患での姿勢制御異常に対する新規治療開発
脳出血慢性期モデルに対する幹細胞とScaffold合剤の有効性評価
脳動脈瘤破裂予防を目指した創薬標的の同定
網羅的メチル化解析で同定された頭蓋内高悪性度胚細胞腫治療標的候補分子群の機能解析
脳循環変化に伴う有害事象を予測する、新たな術中モニタリングシステムの開発
M2マクロファージ上に発現する B7 分子を標的とした転移性脳腫瘍の発症制御
マイクロミニピッグの脳室下帯におけるneurogenesisの検討
脳における血管内皮細胞特異的に制御するAQP11 欠損病態モデルの構築
中枢神経系悪性リンパ腫臨床試験における網羅的遺伝子解析による予後及び予測因子解析
オリゴデンドロサイトとニューロンとの相互作用を標的とした膠芽腫の新規治療法の探索
脳虚血病態におけるペリサイトの細胞死にフェロトーシスは関与するか?
性差関連因子の解析による膠芽腫の発生や治療抵抗性に関わる新たな経路の同定
クラスタリング手法によるMRI画像解析ー聴神経鞘腫の病態解明と先制医療の実現ー
安全かつ高効率誘導を実現する新世代型ダイレクトリプログラミング法の総合的開発
膠芽腫に対するアミノ酸代謝阻害併用ケトン食療法の基礎的研究
脳内てんかんネットワークのElectrical fingerprintの同定
脳動脈瘤壁の慢性炎症と退行性変化をもたらす血行力学的因子の解明
主幹動脈閉塞性脳梗塞に対する血管内治療を用いた新たな側副血行賦活化治療の開発
悪性脳腫瘍手術における術中判断を支援する局所噴霧式新規蛍光プローブの開発
悪性脳腫瘍に対するウイルス療法における力学動態解析に基づく治療効果増強法の開発
膠芽腫の再発形式に関与する幹細胞マーカー発現変化の解明
シロスタゾールを用いたもやもや病における内因性幹細胞賦活と血管新生促進療法の開発
脊髄損傷急性期に対する間葉系幹細胞静脈投与に対する脊髄腸相関に関する研究
難治性下垂体腺腫に対するNOTCHおよびPROP1を標的とした新規治療法の開発
神経膠腫の浸潤機序解析と浸潤能を標的とした先駆的治療法の開発
先端巨大症における成長ホルモン奇異性上昇の生物学的意義;反応振幅の度数分布から
エクソソームを利用した下垂体腺腫でのソマトスタチン受容体発現の評価システムの開発
ガンマ波規則性定量化・動的解析によるてんかん病変部・ネットワーク描出法の開発
髄液及び脳からの老廃物の排泄の改善による認知症発症の予防
脳梗塞に対するiPS細胞移植と内在性幹細胞による幹細胞コンビネーション治療法開発
膠芽腫に対するNK細胞と新たな免疫チェックポイント阻害の併用療法の開発
線維芽細胞に着目したくも膜炎症の分子機構の解明と新たな脳保護薬の開発
ドラッグリポジショニングによる中枢神経疾患治療薬の開発
脳梗塞におけるPDGFナノ粒子を用いた新規治療の開発
深在性かつ広範に跨る脳疾患部位を効果的に冷却できるハイブリッド脳冷却技術の開発
模擬微小重力環境で培養したヒト頭蓋骨由来間葉系幹細胞の脳梗塞ラットへの移植効果
悪性髄膜腫に対するWT1ペプチドワクチン療法の開発
頸動脈狭窄症における局所的乱流と脳梗塞発症リスクに関する研究
新規治療法開発を目指したクモ膜下出血後白質神経傷害の解明
特発性正常圧水頭症モデルを用いたGlymphatic systemの解析
好中球のRAGEによるクモ膜下出血後脳血管攣縮機構
好中球細胞外トラップを標的とした内頚動脈狭窄症不安定プラークに対する創薬
てんかんにおけるアデノシンA1受容体活性と心拍変動の関連の研究
S1PR1シグナル制御による脳血液関門保護を介したくも膜下出血の新規治療法開発
血行力学的観点に基づいた未破裂脳動脈瘤の増大抑制に関する研究
MYCファミリー遺伝子を標的にした膠芽腫に対する革新的治療法の開発
ムコリピンを標的としたがん根治・予防を可能とする治療薬の創出
Pseudoprogressionの病態解明と画像診断法の確立
逆行性顔面神経細胞変性の抑制機構の解明―変性神経の外科的治療をめざしてー
悪性神経膠腫の薬剤耐性へのDNA修復異常の関与の解明
腫瘍免疫の再活性化を可能にする悪性グリオーマ分子標的治療薬の開発
TET2遺伝子を用いた膠芽腫に対するマルチターゲット脱メチル化遺伝子治療研究
神経膠腫オルガノイドバンク構築による個別化治療の開発
新たな神経炎症経路に着目したくも膜下出血後認知機能障害の病態解明と治療応用
神経膠芽腫において代謝経路再編成が細胞増殖や治療抵抗性に与える機序の解明
脳梗塞に対する幹細胞移植後の機能回復に関連する脳可塑性の解明
siRNA結合ナノパーティクルを用いた膠芽腫に対する標的遺伝子治療法の開発
歯周病巣のexosomeによる脳動脈瘤破裂への影響
浸潤性脳腫瘍に対する分子標的薬と遺伝子治療との併用療法とその腫瘍微小環境の解明
神経膠腫の二重微小染色体による診断法とLiquid biopsyの開発
植物性エストロゲンによる脳動脈瘤形成予防の解明
新規トリプトファン代謝酵素阻害剤とインターフェロンによるグリオーマ複合免疫療法
microRNA解析に基づく悪性脳腫瘍の新規治療法とバイオマーカーの開発
抗腫瘍血管新生薬新規創薬のためのiPS細胞などを用いたドラッグリポジショニング
くも膜下出血後早期脳損傷の軽減をめざして:エダラボンのドラッグリポジショニング

グリオーマ幹細胞とは

そもそもがん幹細胞とは何でしょうか?

がん幹細胞

がん幹細胞の概念はもともと「移植腫瘍を形成するためには一個の腫瘍細胞の移植では不十分で、必ず多数の腫瘍細胞を移植する必要がある」という古くから知られた事実を説明するために生まれてきた概念である。(脳外誌24巻6号2015年6月 jstage.jst.go.jp

がん幹細胞というのは、最初は概念だったんですね。実体が明かになる前に、まず概念が確立しその実体を追い求めて研究が進むというのは科学研究の世界ではよくあることです。

心臓リモデリング、心室リモデリング、心筋リモデリング

心臓リモデリングという言葉を初めて聞いたとき、リモデリングというのがどういう意味合いなのかわかりにくいと思いました。悪い意味で使うようです。

心臓リモデリング、心室リモデリング、心筋リモデリングなど言葉が少しずつ違いますが、意味の違いはあまりないように思えます。

心臓リモデリング、心室リモデリング、心筋リモデリングとは

リモデリング 心臓の壊れてしまった部分の機能を補うために、残った正常な心筋が増殖心臓が大きくなり、さらに心臓の機能を低下させてしまうこと(心筋梗塞のおくすり

心室リモデリングとは、心臓が血行力学的負荷に対応して循環動態を一定に保つために構造と形態を変化させることであり、心筋梗塞後や慢性圧・容量負荷後などに認められる。(心室リモデリング〈ventricular remodeling〉toaeiyo.co.jp

心臓リモデリング 心不全において,病期が進行するとともに左室の拡大,収縮力の低下,心筋の線維化が起こり,この変化を心臓リモデリングとよぶ.(実験医学online)

心筋梗塞発症後,数週間から数カ月のうちに左室拡大左室駆出率低下が進行する症例がある.これを左室リモデリングという.(左室リモデリングの評価と対策 冠疾患誌2012; 18: 239–244 JSTAGE

圧負荷により心室肥大,容量負荷,心筋梗塞による心筋喪失により心室拡大・機能低下が生じる.持続する圧負荷は心室の拡大,機能低下へと至るが,このような形態的変化心筋リモデリングであり,心不全の病態基盤である.(心筋リモデリングと酸化ストレス Cardiac remodeling and oxidative stress 第50回 河口湖心臓討論会

リモデリングという言葉を聞くと、一般的な国語からは何か変化に適応するための改造といった意味合いかと思います。そのため、悪い意味で使われていることに違和感を覚えます。一体誰が何を意味するつもりで使い始めた言葉なのでしょうか?歴史的な変遷を知ることにより、言葉遣いが理解しやすくなるのかもしれません。レビューアーティクルのイントロに、リモデリングという言葉が使われてきたことに関する歴史的な経緯が解説されていました。

The term “remodeling” was used for the first time in 1982 by Hockman and Buckey, in a myocardial infarction (MI 心筋梗塞) model. This term was aimed to characterize the replacement of infarcted tissue with scar tissue.1 Janice Pfeffer was the first researcher to use the term remodeling in the current context, to describe the progressive increase of the left ventricular cavity in experimental model of MI in rats.2 The term was then used in some scientific articles on morphological changes following acute MI. In 1990, Pfeffer and Braunwald published a review on cardiac remodeling following MI, and the term was adopted to characterize morphological changes after infarction, particularly increase in the left ventricle.3 However, in the following years, the term “remodeling” has also been used to describe different clinical situations and pathophysiological changes. For this reason, in 2000, a consensus from an international forum on cardiac remodeling was published, which defined cardiac remodeling as a group of molecular, cellular and interstitial changes that clinically manifest as changes in size, shape and function of the heart resulting from cardiac injury.4 Although two types of cardiac remodeling were recognized during the forum – physiological (adaptive) remodeling and pathological remodeling – this article focuses on deleterious, pathological cardiac remodeling. (Cardiac Remodeling: Concepts, Clinical Impact, Pathophysiological Mechanisms and Pharmacologic Treatment Arq Bras Cardiol. 2016 Jan; 106(1): 62–69.)

心筋梗塞

心筋梗塞とは心臓(心筋)が酸素不足になり壊死する病気です。心筋を取り巻いている冠動脈は心臓に血液と酸素を送っています。これが動脈硬化で硬くなりコレステロールなどが沈着すると血液の通り道が塞がれ、心筋に血液を送ることができません。そのため心筋は酸素不足となり、心筋細胞が壊死を起こしてしまいます。これが心筋梗塞です。(心筋梗塞とは 大和成和病院)

心筋梗塞(しんきんこうそく、英: myocardial infarction)は、虚血性心疾患の一つ。心臓の筋肉細胞に酸素や栄養を供給している冠動脈閉塞狭窄などが起きて血液の流量が下がり、心筋が虚血状態になり壊死してしまった状態。通常は急性に起こる「急性心筋梗塞(AMI)」のことを指す。心臓麻痺・心臓発作(英: heart attack)とも呼ばれる。 心筋が虚血状態に陥っても壊死にまで至らない前段階を狭心症といい、狭心症から急性心筋梗塞までの一連の病態を総称して急性冠症候群(acute coronary syndrome, ACS)という概念が提唱されている。(心筋梗塞 ウィキペディア)

参考

  1. 分子心臓病学 (東北大学)

冠動脈慢性完全閉塞 (Chronic total occlusion; CTO)とは?

冠動脈慢性完全閉塞 (Chronic total occlusion; CTO)とは

慢性完全閉塞病変(Chronic Total Occlusion)は3カ月以上(慢性)にわたり、冠動脈が閉塞している病変です。(慢性完全閉塞病変 CTO 慶應大学医学部循環器内科心臓カテーテル室)

冠動脈

心臓自身を栄養する血管のことを「冠(状)動脈」と言います。(京都大学心臓血管外科

経皮的冠動脈形成術(PCI, PTCA)

経皮的冠動脈形成術(PTCA)は、狭くなった冠動脈を血管の内側から拡げるために行う低侵襲的な治療法で、経皮的冠動脈インターベーション(PCI)とも呼ばれています。(ボストンサイエンティフィック

血行再建とは

血流を回復させる方法が、血管内治療(血行再建術)(「頭を切らない、新しい脳の手術」 脳血管内治療)

なんらかの形で血流を取り戻してあげることが必要です。その血行再建の方法には、狭まっている部分を広げる「カテーテル治療」と、迂回路をつくる「バイパス手術」の大きく2種類があります。(「歩ける足」を取り戻す、血行再建術ーー重症下肢虚血(CLI)の治療ーー doctorbook.jp

血行再建術は,進行中の損傷を制限し,心室の易刺激性を低下させ,短期および長期予後を改善するべく,虚血心筋への血液供給を復旧させる処置である。(急性冠症候群に対する血行再建術 MSDマニュアル)

  1. 安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン (2018 年改訂版) 日本循環器学会 / 日本心臓血管外科学会合同ガイドライン

 

参考

  1. 初のPCI・CABG併記の血行再建GLが発表 クラスIIb/IIIの症例ではハートチームアプローチを推奨2019/04/05
  2. 主幹部病変における冠血行再建術:PCI vs CABG 佐賀 俊彦 近畿大学医学部心臓血管外科 201117217 冠動脈インターベンション(PCI)の出現以来,心臓外科医は絶えずPCIを意識し,時には怯え,時には過剰に意識し,そして冠動脈バイパス術(CABG)自体の質の向上,発展に大きな努力を払うことでCABGの存在意義を守り高めてきた.
  3. PCI (経皮的冠動脈インターベンション) 当時、経皮的冠動脈形成術(percutaneous transluminal coronary angioplasty: PTCA)と呼ばれたこの治療は、メスを使わず皮膚を通して動脈内腔に道具を通過させることを意味し、世界で最初の治療は1977年9月16日にアンドレアス・グルンツィヒ(心臓外科医)によって、スイスのチューリッヒで行われました。 グルンツィヒが米国のEmory 大学に異動したことで、この治療が世界中に拡散することになりました。日本における最初のPTCAは1980年12月に行われたとされています。 1980年代半ばまでに、世界中の多くの医療機関がこの手技を採用し、循環器内科医が治療を担当するようになりました。1992年に初の冠動脈ステント(Palmaz-Schatz Stent)が登場するなど、冠動脈内で行われる治療の範囲が広がるにつれて、手技の名称はPTCAからPCI: percutaneous coronary intervention (経皮的冠状動脈インターベンション)に変化しました。
  4. 駆出率(EF)の保たれた心不全(総説) NEJM, Nov.10,2016 西伊豆早朝カンファランス H28.12 西伊豆健育会病院 仲田和正

 

透析におけるドライウェイトの設定方法

 

論文

  1. How to determine ‘dry weight’?  Kidney Int Suppl (2011). 2013 Dec; 3(4): 377–379.
  2. Development and Validation of Bioimpedance Analysis Prediction Equations for Dry Weight in Hemodialysis Patients CJASN July 2007, 2 (4) 675-680
  3. A new technique for establishing dry weight in hemodialysis patients via whole body bioimpedance. Kidney International, Vol. 61 (2002), pp. 2250–2258
  4. Clinical Determination of Dry Body Weight. Hemodial Int., Vol. 5, 42–50, 2001. The various “non clinical” methods proposed for dry weight assessment increase the complexity and the cost of hemodialysis. They are, in the present state of things, more clinical research than practice tools. They do not replace clinical judgment.

参考

  1. 透析療法における ドライウェイトのお話 2019年7・8月号の西陣病院広報誌『西陣病院だより』DW を決める指標:臨床症状(浮腫、胸水、息苦しさ、起立性低血圧)、血圧、心臓の大きさ(レントゲン写真 心胸郭比CTR  透析後50%以下(女性は53%以下)が正常)、HANP(ヒト心房ナトリウム利尿ペプチド)、心臓超音波検査、下大静脈径など。
  2. ドライウエイト(看護ルー) ドライウエイトを設定する際は、心胸比、血圧、hANP、浮腫などのデータが必要となる。
  3. ドライウェイトの決め方 (さいたまほのかクリニック 院長 堀川 和裕)何か一つの指標からDWを決めることはできません。以下に列挙しますが、様々な指標や検査結果などから総合的に決めていきます。 (1) 体調 (2) 胸部レントゲン(3) 心エコー・腹部エコー(超音波検査)(4) 血液検査 (5) その他  DW は何か一つの検査結果からピタッと決められるのではありません。
  4. どうしてる? ドライウェイトの設定 大垣徳洲会病院 透析室 久富 俊宏 当院でDW設定に使用する項目  血圧 140/90 終了時120~130/70~80   CTR(M 50% : F 53%)⇒M/F 50%以下  HANP(ヒト心房性ナトリウムペプチド)40~80   心エコー(Left atrium dimension)40mm↓ (IVC E/I mm)12mm↓ (EF 60 ±8) (E/A 0.8 ±0.4)   In-Body (ECW/TBW)0.39~0.40   CLIT-LINE(ΔBV 15%以内が理想)←時系列評価優先  患者の自覚症状(ふらつきが無い事)
  5. ドライウェイトって?透析の基礎について知ろう(東京新橋透析クリニック)ドライウェイトを設定するための指標 血圧のコントロール状態や身体のむくみの状態、心臓への負担がかかっていないか
  6. ドライウエイトの設定 藤森 明 先生 (2016.06.03 MEDIPRESS) ドライウエイトは、体に浮腫みがないかどうか、血圧が適正にコントロールされているかどうか、胸部レントゲンで心臓が腫れていないかどうか、また胸に水がたまっていないかなどをみながら設定していきます。
  7. 高橋内科クリニック「ドライウェイト・目標体重の設定法に関するガイドライン」 2009 年 8 月 DW の設定種々の指標が使われていますが、大切なのは、症状・ 浮腫・血圧の3つです。他に種々の指標がありますが、それらは参考程度にし かなりません。日頃患者の症状を良く聞き、浮腫がないかを診察し、透析中・ 家庭での血圧をよく見ることが大切です。3つのうちどれが一番大切かという と血圧が一番大切です。

がんサバイバーという言葉について

がんサバイバーという言葉は、KAKENで検索すると235件も研究課題がヒットするくらいに、よく使われる言葉のようです。

近年、がんサバイバーにおける循環器疾患が新たな問題となっている。医療の進歩によりがんサバイバーの5年生存率は上昇しており、がんを抱えながら暮らす方が増加している。しかし 化学療法や放射線治療の心毒性という副作用やがんサバイバーの高齢化によって、がんサバイバーはその後がんではなく心血管疾患による死亡リスクが高くなる。まだまだ本邦においてがんサバイバーの循環器疾患は不明瞭であり、有効な循環器疾患抑制・予防策は世界的にも不明である。(がんサバイバーの循環器疾患:がん特異的危険因子解明とリハビリテーション効果検証

がん治療の進歩により増加し続けるがんサバイバーにおいて、QOLの低下や死亡率の上昇につながるがん関連血栓症は最も問題となる有害事象の1つである。(micro-RNAに着目したがん関連血栓症の病態解明と先制医療への展開

近年、がん治療における集学的治療の進歩に伴いがんを克服したAYA(思春期・若年)世代がんサバイバーが増加している。一方 、AYA 世代がん患者に対するがん治療は、治療法によっては性腺機能不全や妊孕性の喪失等を引き起こす場合がある。その様な中でがんサバイバーのQOL 向上に対する関心が高まり、生殖年齢にあるAYA 世代がん患者における妊孕性喪失の重大性が再認識されつつある。(AYA世代がん患者に対する性腺組織凍結技術を用いた新たな生殖医療技術の開発

近年、がんサバイバーにおける循環器疾患が新たな問題となっている。(がんサバイバーの循環器疾患:がん特異的危険因子解明とリハビリテーション効果検証

本研究の目的は,長期生存を続けるがんサバイバーは,どのように生きる意味を見いだしているのか,そのプロセスを明らかにすることである.(長期生存を続けるがんサバイバーが生きる意味を見いだすプロセス

がんサバイバーとは

「がんサバイバー」とは、がんの診断を受けたすべての人と、定義されます。この概念は、1986年に米国で生まれました。がんの診断を受けた人は、生涯を全うするまで、がんサバイバーであり、再発するかしないか、治ったか治らないかは関係ありません。これは、がんの治療後に長期生存した人だけをサバイバーとする古い考えと異なった概念です。(がんサバイバーの時代 ~「がんを克服した」はやめましょう~ 2016年3月7日 yomiDr ヨミドクター)

がんになった後に直面する課題を乗り越えて生きていく、がんに支配されないで生きていくという思いもこめられているんです。(「”がんサバイバー”に支援を」(くらし☆解説) 2017年10月26日 (木) 堀家 春野 解説委員 NHK解説委員室)

がんサバイバーという言葉に対する違和感

自分はがんになったことはないのですが、「がんサバイバー(Cancer survivor)」という言葉に対して、なんとも説明しにくい違和感を感じていました。実際、この呼称を好まない人も多いようです。

  1. 癌サバイバーって言葉が嫌いでした。( 2016-11-15 00:05:12 よしおのブログ)
  2. People diagnosed with cancer often don’t embrace the term ‘survivor’ February 4, 2019 10.39pm AEDT THE CONVERSATION
  3. I Have Cancer. Please Don’t Call Me a ‘Survivor‘ — No chemo, no radiation, no symptoms, a few biopsies — hardly the stuff of heroism by Howard Wolinsky, Contributing Writer, MedPage Today April 15, 2019
  4. Why I Don’t Like the Phrase ‘Cancer Survivor’ Susan Fitzpatrick | August 1, 2013
  5. Battling, brave or victim: why the language of cancer matters
  6. Why some women don’t like the term breast cancer ‘survivor’ ByMaiken ScottOctober 8, 2015
  7. Not a Cancer Survivor BY SUSAN GUBAR SEPTEMBER 6, 2012 11:45 AM

参考

  1. がん専門相談員のための学習の手引き~実践に役立つエッセンス~第2版
  2. 「がんサバイバーシップ オープンセミナー」 「公民館カフェ」「ご当地カフェ」 平成 28 年度 活動報告
  3. AYA世代のホンマにホンネランキング

 

抗がん剤の心毒性

抗がん剤の心毒性とは

心臓は筋肉で動いていますが、抗がん薬で心筋の機能を低下させる心筋障害を引き起こすことがあり、これを広く心毒性と言ったりします。(心疾患患者さんのがん治療 がん治療中は心臓にも注目を!心疾患の症状に要注意  監修●庄司正昭 国立がん研究センター中央病院総合内科循環器内科医長 取材・文●町口 充 発行:2014年1月 がんサポート

古くから知られてきた抗がん剤の心毒性

がん化学療法に伴い心不全が発症することは以前から広く知られ,抗がん剤に伴う心不全は,不可逆的心筋障害であるtypeⅠ(心筋傷害)と,可逆的心筋障害を中心とするtypeⅡ(心機能障害)に分類される。(抗がん剤による心毒性への対応 Web医事新報)

アンスラサイクリン系薬剤は、その高い抗腫瘍効果から様々な腫瘍に用いられるが、心血管系への副作用常に問題となってきた1970年代から蓄積されたエビデンスに基づき、 現在ではドキソルビシン換算で生涯投与量が 500 mg/㎡ を超えないように慎重に投与されて いるにもかかわらず、約 9%に心毒性が発生する。(アンスラサイクリン系薬剤による心毒性の早期診断を目的とした 前向きコホート研究

抗がん剤がもつ心毒性の問題

化学療法では、がんの治療を優先させたいという場合でも、なるべく心毒性が少ない薬を使う。しかし、抗がん薬で命を落としては本末転倒なので、人命優先のため抗がん薬の投与を見送ることもある。(がん治療中は心臓にも注目を! がんサポート

一般に心不全というと高齢者に多い疾患のイメージがあるが、乳がんの患者さんの中には30代、40代の若い人が少なくないため、ハーセプチンで治療していて30代なのに心不全というケースもある。(がん治療中は心臓にも注目を! がんサポート

抗がん剤がもつ心毒性に関する研究が重要な理由

化学療法を中心としたがん治療の飛躍的な進歩は、多くの患者の命を救うと同時に「がん サバイバー」の加速度的な増加につながっており、がん患者に対するケアや医療のあり方・ 視点を大きく変えようとしている。なかでも心血管合併症の発生は患者の生命予後や QOLに 直結するため、循環器専門医が積極的に取り組むべき領域である。(アンスラサイクリン系薬剤による心毒性の早期診断を目的とした 前向きコホート研究 -フィージビリティ調査- 筑波大学医学医療系 循環器内科 助教 田尻 和子 PDF

 

心毒性が問題となる抗がん剤のリスト

アンスラサイクリン系抗がん薬

ドキソルビシン

エピルビシン

ダウノルビシン

ミトキサントロン

イダルビシン

代謝拮抗薬

カペシタビン

フルオロウラシル

シタラビン

植物アルカロイド

パクリタキセル

ドセタキセル

エトポシド

イリノテカン

ビンデシン

ビノレルビン

分子標的薬

ベバシズマブ

トラスツマブ

イマチニブ

ソラフェニブ

スニチニブ

参考

  1. がんサバイバーの多くが中長期のCVDリスク増加/Lancet提供元:ケアネット2019/08/30
  2. 成人がんサバイバーで心血管疾患リスクが増加(2019年9月24日 cancerit.jp) 2019年8月20日号のLancet誌に掲載された集団ベースコホート研究において、研究者らは、英国Clinical Practice Research Datalinkからプライマリケア、病院、がん登録、のリンクされたデータを用いて、一般的な20種のがんについて診断後12カ月時点で生存している成人のがんサバイバー群と、がんの既往歴がない対照群とを同定した。ほとんどのがん種のサバイバーは、一般集団に比べて、一つまたはそれ以上の心血管疾患の中長期的なリスクがあり、腫瘍のタイプによって、かなりの差があることがわかった。
  3. 心疾患患者さんのがん治療 がん治療中は心臓にも注目を!心疾患の症状に要注意  監修 庄司正昭 国立がん研究センター中央病院総合内科循環器内科医長 2014年1月 がんサポート
  4. (1)抗がん剤による心毒性への対応─心筋障害を中心に [特集:がん化学療法中の心血管系副作用にどう対処するか]Web医事新報
  5. アンスラサイクリン系薬剤による心毒性の早期診断を目的とした 前向きコホート研究 -フィージビリティ調査- 筑波大学医学医療系 循環器内科 助教 田尻 和子 PDF