米国で急性心不全の治療に携わる医師らが、腎機能が低下した患者さんには、なぜか心不全の治療がうまくいかないことに気づき、2000年頃から、救急医、循環器医、腎臓医らで研究グループを作り、原因を探ってきました。… 多くの場合、双方の臓器が互いに影響する、つまり双方向性の複雑な関係であることがわかってきました。(心臓と腎臓の深い関係 ─ 心腎連関症候群 国立循環器病研究センター)
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臨床医が臨床研究で統計学的手法を使うためのツボ、勘所
臨床医が臨床研究を纏めるためには統計学的な手法を使うことは避けて通れないのですが、ほとんどの臨床医は研究を始めるまでは統計学を学んだことがありません。大学や大学院で統計学の講義があったとしても、当時はその必要性も実用性も理解できずに頭に入っていないのが普通です。
臨床研究を論文にまとめるのに必要な統計学の知識はそれほど多くありません。頻繁に使われる手法というものは数が限られているからです。そんな、これだけ知っていればとりあえず外さないというトピックを纏めます。
- 三種の神器 高山 忠利 私の経験が教える、医学統計・三種の神器とは、『χ2・T&U・log-rank』である。これら3種類の統計法の使い方を知れば、医学統計は100%君のものなのだ!
臨床研究における統計学的手法の誤用~みんなで間違えば恐くない?
ベースライン調査とは
前向きコホート観察研究を開始するにあたって、「ベースライン」の調査が行われます。
ベースライン調査
調査対象:要因と疾病罹患との関連を調べる研究では、注目している疾病には罹患していない人々を対象とする。当該疾病の既往歴がある者は、因果関係の逆転が起きている可能性があるので除外する。人数は、数千人から数万人のことが多い。検出力は疾病の発生数に強く依存するので、罹患率の低い疾病ほど、追跡期間が短いほど、調査人数は多数必要となる。想定している母集団からの無作為抽出であることが望ましいが、実行可能性から有作為標本にならざるを得ないことが多い。
項目:記述疫学や横断研究によって設定された疫学的仮説や、症例・対照研究や先行研究の結果も考慮して、注目している疾病との関連が疑われる項目について調査項目を決め、その時点における曝露状況を調べる。出生前コホートの場合は、アウトカムが出生時の項目であれば妊娠中の調査、アウトカムが生後のものであれば妊娠中の出生時の調査である。(出生前コホート研究マニュアル https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/birthcohort/data/part1.pdf)コホート研究では最初にベースライン調査を行い、対象者の曝露状況を把握します。そして、その集団を追跡し、その後の帰結の発生の有無を把握し、ベースラインデータで曝露群/非曝露群に分けてそれぞれの群での帰結の発生頻度を比較し、曝露と帰結の関係を明らかにするものです。多数の対象者を追跡して帰結の発生の有無を確認するので、1つのコホート研究で1つの曝露/1つの帰結のみの観察というのは稀で、ベースラインで多くの項目のデータを入手し、さまざまな帰結に対して評価を行うのが一般的です。このときに、1人の対象者が曝露Aの解析では曝露群、曝露Bの解析では非曝露群となることもよくあります。(コホート研究(cohort studies)疫学入門〜疾病の原因と病の関係性を明らかにするための考え方)
追跡開始に先立って実施する「ベースライン調査」における身体活動に関連するメイン指標として、これまでに「有酸素能力」、「有酸素能力以外の体力」を測定している。(東京ガススタディ 運動疫学研究 2011;13(2):151-159.)
654 名からなる多施設ぜん息コホートのベースラインの臨床情報は、2010 年 3 月から 2014 年 4 月の間に収集されている。症例ごとに登録基準日が設定されており、その時点でのベース ライン臨床情報として、患者背景 (年齢, 性別, BMI, 喫煙歴, 発症経過, 発症年齢, 罹患年数, 家族歴, ペット飼育歴, 病型 (アトピー/非アトピー))、併存症 (胃食道逆流症, アレルギー性鼻 炎, 副鼻腔炎, COPD, NSAIDs 過敏症, 精神疾患)、治療内容 (治療ステップ, 吸入/経口ステロ イド量, 気管支拡張薬, 抗 IgE 抗体)、コントロール状態 (ぜん息コントロールテスト, 治療下 での重症度)、呼吸機能 (スパイロメトリー, 強制オシレーション法)、気道炎症 (呼気一酸化窒 素濃度, 末梢血好酸球数・比率, 血清ペリオスチン値, 血清 TGF-β 値)、アトピー素因 (血清総 IgE 値, ハウスダスト・ヤケヒョウヒダニ・スギ特異的 IgE)などが既に収集されている。(気管支ぜん息の動向等に関する調査研究 https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/investigate/pdf/29-3-1-2_01.pdf)
前向きコホート研究の例
フラミンガム研究
研究デザインの教科書に必ず紹介されているのが、フラミンガム研究。心血管病の原因(危険因子)を探る目的で実施されたそう。フラミンガム研究によって、喫煙,年齢,高コレステロール,高齢,高血圧などが危険因子として同定された。この研究の「コホート」は何だったかというと、1948年にマサチューセッツ州フラミンガム町で無作為に選ばれ参加に同意した30~62歳の住民5209人。彼らが「前向き」に追跡されて、2年ごとにフォローアップ検診として病歴聴取,身体所見,胸部X線,心電図,各種血液生化学検査が実施された。
喫煙と肺癌の関連
喫煙と肺癌の関連を最初に疫学的に明らかにしたのは、英国の医師を対象としたコホート研究。
- https://scienceshift.jp/epidemiology/#heading3-4
the Rotterdam Study
喫煙が認知症やアルツハイマー病のリスク因子になるかどうかを検証した前向きコホート研究。
- Lancet . 1998 Jun 20;351(9119):1840-3. doi: 10.1016/s0140-6736(97)07541-7. Smoking and risk of dementia and Alzheimer’s disease in a population-based cohort study: the Rotterdam Study
- 紹介スライド
久山町研究
大規模認知症コホート研究 JPSC-AD
JACC Study
JACC Studyと呼ばれるこの研究は、文部科学省(当時文部省)の科学研究費の助成を受け、青木國雄名古屋大学教授(当時)を中心に、多施設が協力して開始されました。このコホート研究は、約12万人の一般の方々の協力を得て、最近の日本人の生活習慣ががんとどのように関連しているかを明らかにすることを目的としています。(JACC Studyとは)
多施設ぜん息コホート
目的:多施設ぜん息コホートにおけるバイオマーカーを含めた包括的な患者背景情報を活用し、組み入れ後の増悪情報を収集し、患者背景との関連を検討することで、増悪に関連する因子を同定しようとするもの
コホート:18 歳以上の成人ぜん息患者 654 名
ベースライン臨床情報:
- 患者背景 (年齢, 性別, BMI, 喫煙歴, 発症経過, 発症年齢, 罹患年数,家族歴, ペット飼育歴, 病型 (アトピー/非アトピー))
- 併存症 (胃食道逆流症, アレルギー性鼻炎, 副鼻腔炎, COPD, NSAIDs 過敏症, 精神疾患)、
- 治療内容 (治療ステップ, 吸入/経口ステロイド量, 気管支拡張薬, 抗 IgE 抗体)、
- コントロール状態 (ぜん息コントロールテスト, 治療下での重症度)、
- 呼吸機能 (スパイロメトリー, 強制オシレーション法)、
- 気道炎症 (呼気一酸化窒素濃度, 末梢血好酸球数・比率, 血清ペリオスチン値, 血清 TGF-β 値)、
- アトピー素因 (血清総IgE 値, ハウスダスト・ヤケヒョウヒダニ・スギ特異的 IgE)
統計学的解析:
- 2群間比較:増悪の有無で 2 群に分類し、2 群間で上記のベースライン臨床情報を比較し、増悪と関連する因子を抽出する。さらに、入院または救急受診の有無の 2 群間でもベースライン臨床情報を比較する。2 群間の比較は、t検定またはカイ二乗検定で行い、
- 単変量解析:(2 群間の比較で)有意差を認めた項目については、ロジスティック回帰分析で単変量解析を行う。
- 多変量解析:に単変量解析で有意差を認めた項目から指標を選択し、多変量解析を行う。最終的に、増悪予測式と入院または救急受診予測式を作成する。
気管支ぜん息の動向等に関する調査研究 ①気管支ぜん息患者の長期経過及び変動要因 バイオマーカーを含めたぜん息増悪因子の同定と層別化指導指針の策定 -多施設ぜん息コホートの検討から研究代表者:長 瀬 洋 之 https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/investigate/pdf/29-3-1-2_01.pdf
揚げものの摂取と冠動脈疾患リスク
- 揚げものの摂取と冠動脈疾患リスク Guallar-Castillón P, et al. Consumption of fried foods and risk of coronary heart disease: Spanish cohort of the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition study. BMJ. 2012; 344: e363.
- 循環器疫学サイト [疫学レクチャー] 第1回のお題: 疫学研究で「調整のしすぎ」ということはありませんか?
疫学研究で因果関係がいえるのかについて
交絡の調整
参考
- 出生前コホート研究マニュアル https://www.niph.go.jp/soshiki/07shougai/birthcohort/data/part1.pdf コホート研究全般に関する解説も詳細かつ実にわかりやすい。
- 日本の大規模コホート研究(日本疫学会)
- EBM実践のための医学文献評価選定マニュアル
- 疫学コア 症例対照研究 https://ocw.kyoto-u.ac.jp/wp-content/uploads/2010/04/2010_ekigakukoa.pdf
- http://www.imed3.med.osaka-u.ac.jp/c-research/c-research01.html
- 第3回日本栄養改善学会「実践栄養学研究集中セミナー」 2008.1.12.名古屋 最終版資料 栄養疫学の基礎① デザインと解析 国立保健医療科学院 技術評価部 横山徹爾 https://www.niph.go.jp/soshiki/gijutsu/staffs/yokoyama/etc/kaizen2008jan.pdf
- 勤労者における抑うつ状態と体力との関連の縦断的研究 第58巻第 4 号「厚生の指標」2011年 4 月 https://www.hws-kyokai.or.jp/images/ronbun/all/201104-3.pdf
- ーエビデンスを評価するための観察研究の基礎知識と2大テーマ検証への応用ー コホートをまず決めてから、暴露因子の有無で分けている図を示していて、理解しやすい。
- あなたもデータに騙されています 観察研究 日本臨床麻酔学会第35回大会特別企画
- 薬剤疫学研究入門 そのデザインと解析 -製薬企業の臨床開発部門で働く生物統計家のために- 平成 22 年 10 月 日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 統計・DM 部会
新たにラボを立ち上げた研究者(研究室主宰者、PI)のための民間財団助成・公的研究費情報
第一三共生命科学研究振興財団 PIセットアップ研究助成
主旨:原則として研究機関間の移動を伴って日本国内で新たに独立した研究ユニットを立ち上げるに当たり、研究ユニットセットアップ支援助成を行う。本助成は隔年に実施する。
年齢制限:②020年4月1日現在で45歳以下の研究者
サントリーSunRiSE 生命科学研究者支援プログラム
設立の趣旨:「SunRiSE」は、科学研究費で言えば、基盤研究Aに相当する。当然、若手研究者には、採択が厳しい研究費である。この金額の助成金を、これから研究室を立ち上げようとする、あるいは、立ち上げたばかりの研究者に支援しようとするものである。(佐藤文彦委員 (ご参考)運営委員コメント 公益財団法人 サントリー生命科学財団「サントリーSunRiSE」設立)
助成対象:Principal Investigator (PI)**もしくはそれを目指す研究者を想定していますが、生命科学基礎研究者として高い志と能力を有する研究者であれば、職位、任期の有無を問いません。
年齢制限:募集年度期首(2020年4月1日)において満45歳以下の者とします。
助成金額:5年間支給します。年度ごとに10,000千円
助成対象者数:上限10名
募集期間:2020年5月11日~6月10日JST17:00
詳細:サントリーSunRiSE 生命科学研究者支援プログラム募集要領
上原記念生命科学財団 研究推進特別奨励金
助成金額 1件400万円
件数 10件
助成対象:医学部または薬学部において独立した研究室を立ち上げた1975年4月1日以降出生※の教授※但し、医学部(大学院医学研究科)の臨床系の教授の場合は1971年4月1日以降出生の者
申請期間:2020年9月3日締切
アステラス病態代謝研究会 研究助成金
助成対象:特に応援したい研究者は、「個人型研究を新たに提案する研究者」、「女性研究者」、「教室を立ち上げたばかりの研究者」、「留学から戻られたばかりの研究者」、「ライフイベント(出産、育児、介護)と研究を両立させている研究者」です。
東京生化学研究会 研究奨励金-Ⅱ
研究奨励金-Ⅱ : 独立して新しい研究室を立ち上げた若い研究者(原則として45歳未満)を対象に公募し、選考委員会で候補者を選考し、最終的に理事会で贈呈者を決定する(財団の目的に沿った研究テーマであれば、特にテーマに制限を設けない)。 1件150万円を計10件以内
武田 報彰医学研究助成
推薦の必要性:本研究助成は財団が取り決めた推薦者による「推薦制」です。推薦者につきましては非公開としております。
助成対象:大学、研究機関で研究室立上げ3年未満で、世界をリードする医学の先端研究(基礎研究、臨床研究)に取り組まれている研究者への助成(推薦制)
詳細:武田 報彰医学研究助成
参考
産総額上位10財団(2010年度)(単位:千円)
- 上原記念生命科学財団 81,963,681(820億円)
- 武田科学振興財団 80,860,599 (809億円)
- 笹川平和財団 80,622,170 (806億円)
- 稲盛財団 69,767,985 (698億円)
- ローム ミュージックファンデーション 48,383,692 (484億円)
- トヨタ財団 40,356,898 (404億円)
- 旭硝子財団 37,455,347 (375億円)
- 微生物化学研究会 34,632,567 (346億円)
- 日本教育公務員弘済会 33,890,876 (339億円)
- 新技術開発財団 32,935,103 (329億円)
(参考 https://www.osaka-u.info/wp-content/uploads/2012/10/article02_1.pdf)
同種移植とは
臨床研究法
臨床研究法とは
臨床研究は医師や研究者が勝手に行っていいものではなく、該当する法律を遵守して行うべきものです。「臨床研究法」は比較的新しくできた法律で平成30年(2018年)から施行されています。なぜ新たに「臨床研究法」が制定されたのかといえば、そのきっかけとなった研究不正事件があったからです。一番衝撃的だった事件が、あのディオバンの事案です。ノバルティス社の社員が統計解析に関与していたにも関わらずそのことは伏せられており(利益相反)、しかもデータの不適切な操作がありました(データの改ざん)。その結果として、東京慈恵会医科大学、京都府立医科大学、滋賀医科大学、千葉大学、名古屋大学が関与した複数の臨床研究の論文が全て撤回されるという、とんでもない事態になりました。このディオバン事件、その他同時期に起きていた研究不正に対する反省から生まれたのが、臨床研究法です。
臨床研究の実施の手続、認定臨床研究審査委員会による審査意見業務の適切な実施のための措置、臨床研究に関する資金等の提供に関する情報の公表の制度等を定める「臨床研究法」が平成29年4月14日に公布され、平成30年4月1日に施行されました。(厚生労働省)
臨床研究法では、「特定臨床研究」が定義されており、医師がやろうとしている臨床研究が「特定臨床研究」に該当かするかの正しい判断が重要になってきます。特定臨床研究に該当する場合には、研究者が所属する機関における倫理委員会による審査も各段に厳しいものになります。
第二条 この法律において「臨床研究」とは、医薬品等を人に対して用いることにより、当該医薬品等の有効性又は安全性を明らかにする研究(当該研究のうち、当該医薬品等の有効性又は安全性についての試験が、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下この条において「医薬品医療機器等法」という。)第八十条の二第二項に規定する治験に該当するものその他厚生労働省令で定めるものを除く。)をいう。2 この法律において「特定臨床研究」とは、臨床研究のうち、次のいずれかに該当するものをいう。一 医薬品等製造販売業者又はその特殊関係者(医薬品等製造販売業者と厚生労働省令で定める特殊の関係のある者をいう。以下同じ。)から研究資金等(臨床研究の実施のための資金(厚生労働省令で定める利益を含む。)をいう。以下同じ。)の提供を受けて実施する臨床研究(当該医薬品等製造販売業者が製造販売(医薬品医療機器等法第二条第十三項に規定する製造販売をいう。以下同じ。)をし、又はしようとする医薬品等を用いるものに限る。)二 次に掲げる医薬品等を用いる臨床研究(前号に該当するものを除く。)イ 次項第一号に掲げる医薬品であって、医薬品医療機器等法第十四条第一項又は第十九条の二第一項の承認を受けていないものロ 次項第一号に掲げる医薬品であって、医薬品医療機器等法第十四条第一項又は第十九条の二第一項の承認(医薬品医療機器等法第十四条第十三項(医薬品医療機器等法第十九条の二第五項において準用する場合を含む。)の変更の承認を含む。以下ロにおいて同じ。)を受けているもの(当該承認に係る用法、用量その他の厚生労働省令で定める事項(以下ロにおいて「用法等」という。)と異なる用法等で用いる場合に限る。)ハ 次項第二号に掲げる医療機器であって、医薬品医療機器等法第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の十七第一項の承認若しくは医薬品医療機器等法第二十三条の二の二十三第一項の認証を受けていないもの又は医薬品医療機器等法第二十三条の二の十二第一項の規定による届出が行われていないものニ 次項第二号に掲げる医療機器であって、医薬品医療機器等法第二十三条の二の五第一項若しくは第二十三条の二の十七第一項の承認(医薬品医療機器等法第二十三条の二の五第十五項(医薬品医療機器等法第二十三条の二の十七第五項において準用する場合を含む。)の変更の承認を含む。以下ニにおいて同じ。)若しくは医薬品医療機器等法第二十三条の二の二十三第一項の認証(同条第七項の変更の認証を含む。以下ニにおいて同じ。)を受けているもの又は医薬品医療機器等法第二十三条の二の十二第一項の規定による届出(同条第二項の規定による変更の届出を含む。以下ニにおいて同じ。)が行われているもの(当該承認、認証又は届出に係る使用方法その他の厚生労働省令で定める事項(以下ニにおいて「使用方法等」という。)と異なる使用方法等で用いる場合に限る。)ホ 次項第三号に掲げる再生医療等製品であって、医薬品医療機器等法第二十三条の二十五第一項又は第二十三条の三十七第一項の承認を受けていないものヘ 次項第三号に掲げる再生医療等製品であって、医薬品医療機器等法第二十三条の二十五第一項又は第二十三条の三十七第一項の承認(医薬品医療機器等法第二十三条の二十五第九項(医薬品医療機器等法第二十三条の三十七第五項において準用する場合を含む。)の変更の承認を含む。以下ヘにおいて同じ。)を受けているもの(当該承認に係る用法、用量その他の厚生労働省令で定める事項(以下ヘにおいて「用法等」という。)と異なる用法等で用いる場合に限る。)
肥満 不安障害 胃バイパス術
先行研究を調べる方法
臨床研究を行う際に出発点となるのは「診療上の疑問」、すなわちクリニカル・クエスチョン(Clinical question)を抱くことです。Clinical questionが生じたら、今度は、それが既に誰かによって答えられていないかどうかを調べなければなりません。つまり先行研究の論文があるかどうかです。
クリニカルクエスチョンは、漠然としたものですが、それをもう少し具体的な形に落とし込んで検証可能な形にしたものが、リサーチ・クエスチョンと呼ばれます。リサーチ・クエスチョンは、いわゆるPECO/ PICOの構造を持ちます。
- P: Patients あるいは Participants 患者 あるいは 研究への参加者
- E: Exposure 暴露因子
- I: Intervention 介入
- C: Control 比較対照
- O: Outcome イベントなどの結末
簡単に言えば、「E/IによってOがどうなるかをPとCで比較して調べる」というのがリサーチ・クエスチョンの典型です。さて話を先行研究の調べ方に戻しますと、このPECO/PICOのうちのE/IとOにあたる語句をキーワード検索に用いて検索すれば、関連論文が拾ってこれます。
先行研究を調べるためには文献データベースを検索してヒットするかどうかを見ます。また論文がヒットしたらその論文が引用している論文を調べます。最新のレビュー論文を見るのも、手っ取り早く過去の論文を調べる方法です。類似論文をもとに、それが最近のどの論文で引用されたかを検索することもWeb of Scienceを使えば可能です(つまり過去の文献から、現在の方向に向かって検索)。
先行研究をチェック
自分が抱いたクリニカルクエスチョンが既に誰かによって答えられていないかどうかを調べるためには、先行研究をチェックする必要があります。既に論文になっていればまた別のクエスチョンを考えるか、論文化された内容の先をいくクエスチョンを考えなおすことになります。一つもの問題を考えたときに、それに対する答えが得られると、また新たなその先の疑問が生じるものです。突き詰めてものを考えるようにすれば、疑問がすべて解き明かされることはそうそうないのです。
先行研究の検索で難しいのは、先行研究や類似研究が存在しない場合に、本当に存在しないという確証を得ることです。慣れていないと単に検索のやり方がまずかっただけということが十分考えられます。研究開始時には検索しても先行研究がないと思っていたのに、研究を始めて改めて検索したら実はすでに同じ研究が論文になっていたことに気付くということが起きると悲劇です。
自分が思いついた研究は、本当に誰も行ったことがない研究なのかどうか、また、先行研究があったとしても、新しい視点で再検討する価値のある領域なのかどうか、系統的に確認を取っておく必要がある。(138ページ 先行研究の調査 『臨床研究と論文作成のコツ』)東京医学社 2011年)
参考
- Evidnce-Based Dentistry入門 世界のエビデンスを日々の診療にいかす 角舘直樹
- 臨床研究と論文作成のコツ 東京医学社 2011年 先行研究の調査 138~141ページ
- 臨床研究アウトプット術 中外医学社 2020年 6章 研究論文を読む 先行研究サーチ法 311~318ページ