肝臓学

肝切除の困難さについて

当初肝切除後の死 亡率は高く、1976 年の本邦の調査では 23%であった(3)。 肝は肝動脈門脈肝静脈の 3 つの異なる血管系が複雑に絡み合い、また肝背側には人体最大の静脈、すなわち下大静脈が存在する。門脈と肝動脈の血流 は、合わせて約 1.5 L/min であり(4)、血流が豊富なため切除術は出血過多にな りやすいという問題がある。また、肝切除時に腫瘍を含め一部の正常肝も同時 に切除されるが、残存肝容量が過小になった場合は、術後肝不全となり死亡率 が上昇するという問題もある(5)。… 世界中の肝臓外科医のたゆみない努力により、現在では肝切除 の安全性は飛躍的に高まり、周術期死亡率は 1.0%まで低下した(9, 10)。https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/2009384/files/A39409.pdf