今でこそ人間の体は37兆個の細胞からなっており、それは細胞分裂によって増えたものであって、もとをたどるとたった一つの細胞、受精卵に遡るということは、常識だと思います。しかしこの常識にたどりつまでの2000年間の間には紆余曲折がありました。受精卵は非常に小さくて肉眼では見えませんし人間は体内で発生するため、ひとつの細胞が人間の形になるまでの過程を観察することは顕微鏡がない時代には、いや顕微鏡が発明されたあとであっても、ほとんど不可能だったわけです。そのため、人間はもともと人間の形をした小さな状態で卵や精子の中に入っていてそれがそのまま大きく成長して赤ちゃんになって生まれてくるのではないかという考えが、当時の発生学の学者によって信じられていたわけです。この学説は、前成説 (preformationism)と呼ばれます。
An early theory to explain human development, dating back more than two thousands years, is that of preformation. This theory provided a simple answer: we already contain in our bodies very small but fully formed members of the next generation, who merely grow within the mother until they reach the size of a baby able to survive outside the womb. Many scientists thought they saw this tiny person—which they called a homunculus—when they peered at sperm through the first microscopes in the seventeenth century.
Chapter 4All from a Single Cell: How a Fertilized Egg Develops into a Baby https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK559912/
詳しくは、下の総説論文を参照のこと。
- History of the Egg in Embryology Alex Lopata J. Mamm. Ova Res. Vol. 26, 2ñ9, 2009 2 Mini Review 古代から現在にいたるまでの学説の変遷が詳細に解説されています。