ケラチンとは?中間系フィラメント

ケラチンとサイトケラチン

プロンプト:ケラチンとサイトケラチンは同じもの?別のもの?

Gemini 2.5 Pro:

結論から言うと、サイトケラチンはケラチンの一種であり、完全な同義語ではありませんが、密接に関連しています。

一番わかりやすい例えは、「乗り物」と「自動車」の関係です。

  • ケラチンが「乗り物」という大きなカテゴリーだとすれば、
  • サイトケラチンは「自動車」という特定のサブカテゴリーにあたります。

すべての自動車は乗り物ですが、すべての乗り物(飛行機、船など)が自動車ではないのと同じです。


## ケラチン (Keratin) – 広義の名称

ケラチンは、動物の体を構成する非常に丈夫な線維状の構造タンパク質の総称です。大きく分けて2種類あります。

  1. α-ケラチン: 哺乳類の髪の毛、爪、皮膚の角質層、角(つの)などを構成します。比較的柔らかく、弾力性があります。
  2. β-ケラチン: 鳥類の羽やクチバシ、爬虫類のウロコや甲羅などを構成します。非常に硬いのが特徴です。

このように、「ケラチン」という言葉は、細胞の外で物理的な構造を作るものも含んだ非常に広い範囲を指します。

## サイトケラチン (Cytokeratin) – ケラチンの中の特定のサブグループ

サイトケラチンは、ケラチンファミリーの中でも特に上皮細胞の内部に存在するものを指します。「サイト (Cyto)」は「細胞」を意味します。

  • 機能: 細胞の中で中間径フィラメントという線維状のネットワーク(細胞骨格)を形成し、細胞の形を保ったり、外からの物理的なストレスから細胞を守ったりする役割を担っています。
  • 場所: 皮膚、消化管、腺(唾液腺など)といった体を覆う組織や内臓の表面を構成する上皮細胞の細胞質に特異的に存在します。
  • 多様性: サイトケラチンには50種類以上のタイプ(CK1, CK5, CK8, CK18など)があり、どのタイプの上皮細胞かによって、発現しているサイトケラチンの組み合わせが異なります。この性質は、病理診断(特にがんの種類の特定)において非常に重要です。

まとめ

項目 ケラチン (Keratin) サイトケラチン (Cytokeratin)
分類 タンパク質ファミリーの総称 ケラチンファミリーの一種(サブグループ)
主な存在場所 髪、爪、皮膚、角、羽など(細胞の外の構造物も含む) 上皮細胞の内部(細胞質)
主な機能 生体の物理的な保護、構造形成 細胞の形態維持、細胞骨格の形成
具体例 α-ケラチン、β-ケラチン CK5, CK8, CK18 など(50種類以上)

したがって、「サイトケラチン」は「上皮細胞の中にあるケラチン」と理解すると最も正確です。

(Gemini 2.5 Pro)

 

モノクローナル抗体CAM5.2の抗原について

Histology for Pathologistsという教科書(第4版および第5版)の図1.50にCAM5.2抗体による免疫組織像が掲載されており、腺の細胞が染色されています(導管は染まらない)。CAMというのでCell Adhesion Moleculeかと思って調べたら、全然違いました。単なる抗体の名称で、抗原はサイトケラチンでした。

  1. https://www.celnovte.com/ja/cytokeratincam5-2/
  2. http://immuno2.med.kobe-u.ac.jp/cytokeratin-cam5-2%EF%BC%89/
  3. https://www.eurofins.co.jp/clinical-testing/%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%93%E3%82%B9/geneticlab/%E5%85%8D%E7%96%AB%E6%9F%93%E8%89%B2-%E7%97%85%E7%90%86%E6%A4%9C%E6%9F%BB/%E4%B8%8A%E7%9A%AE%E7%B3%BB/
  4. https://search.cosmobio.co.jp/view/p_view.asp?PrimaryKeyValue=6770873&ServerKey=&selPrice=1
  5. BD Biosciences抗サイトケラチンCAM5.2試薬(クローンCAM5.2)と錯誤してはならないBD Pharmingen精製マウス抗サイトケラチン7モノクローナル抗体(クローンRCK105) https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201102270128389404
  6. Hum Pathol . 2010 Apr;41(4):616-7; author reply 617. doi: 10.1016/j.humpath.2010.01.001. Antibody to cytokeratin (CK8/CK18) is not derived from CAM5.2 clone, and anticytokeratin CAM5.2 (Becton Dickinson) is not synonymous with the antibody (CK8/CK18) Chih-Ping Han, Jeng-Dong Hsu, Chiew-Loon Koo, Shun-Fa Yang PMID: 20226963 DOI: 10.1016/j.humpath.2010.01.001 https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0046-8177(10)00009-2
  7. CAM5.2は以前CK8/18あるいはCK8/18/19に対する抗体とされたが、最近のdatasheetでは主としてCK8、弱くCK7に反応する抗体とされており、CK18やCK19に関する記載はなくなっている。CK7/8という別名もある。 https://wikipatho-kdp.website/?Cytokeratins