がん、腫瘍、良性腫瘍、悪性腫瘍、肉腫、悪性新生物など似たような言葉が使われていて非常に混乱するため、言葉の定義を纏めておきます。
腫瘍の分類
自分も長い間誤解していましたが、腫瘍=がん ではありません。細胞が異常に増殖した状態が腫瘍で、それが最初に生じた場所に留まって増殖しているだけであって、周りの組織にまではみだしていっていなければ良性腫瘍です。周りの組織まにまで侵入する形で広がっているのが悪性腫瘍(がん)ということになります。まとめると以下のようになるかと思います。
- 腫瘍 tumor(=新生物):
- 上皮性腫瘍
- 良性 benign tumor
- 悪性(がん cancer; malignant tumor)
- 非上皮性腫瘍
- 良性
- 悪性(=肉腫 sarcoma)
- 上皮性腫瘍
腫瘍(新生物)とは
腫瘍(新生物)には上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍があります。上皮性腫瘍は表皮や消化管、腺組織の性質を具えた腫瘍で、悪性である場合「癌」と言います。これに対し非上皮性腫瘍は、非上皮性間葉組織(中胚葉由来の脂肪組織、線維組織、血管、リンパ管、筋、腱、滑膜、骨、軟骨)および外胚葉由来の末梢神経組織の性質を具えた腫瘍で、悪性である場合「肉腫」といいます。(肉腫 東京医科大学病院)
上の説明がいちばんスッキリしていると思いました。
がんとは
- がんの基礎知識がんという病気について がん情報サービス がんのことを「悪性腫瘍」ということもあります。‥ 何らかの原因でできた異常な細胞が、体の中に細胞のかたまりを作ることがあります。これが腫瘍です。‥ 悪性腫瘍とは、このような腫瘍のうち、無秩序に増殖しながら周囲にしみ出るように広がったり(浸潤)、体のあちこちに飛び火して新しいかたまりを作ったり(転移)するもののことをいいます。一方、浸潤や転移をせず、周りの組織を押しのけるようにしてゆっくりと増える腫瘍を良性腫瘍といいます。
悪性新生物とは
生命保険や健康保険の説明書内で、悪性新生物という言葉を良く見かけます。
- 病気:悪性新生物とは 作・山口百子:2002/12/09 国立栄養健康研究所 悪性新生物とはがん並びに肉腫のことです。
肉腫(にくしゅ)とは
- 肉腫(サルコーマ) 更新日 : 2022年12月9日 公開日:2014年4月28日 国立がん研究センター 全身の骨や軟部組織(筋肉、脂肪、神経など)から発生する腫瘍を骨軟部腫瘍と言い、悪性の骨軟部腫瘍を肉腫(英語ではSarcomaサルコーマ)と言います。
浸潤(しんじゅん)とは
- Q1 がんの転移とは何ですか?浸潤とどう違うのですか? 安井 弥 (広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子病理研究室・教授)jamr.umin.ac.jp 浸潤とは、原発巣のがん細胞が直接に周囲の組織や臓器に広がっていくことです。転移でも、リンパ管や血管にたどり着くまでの最初のステップには、この浸潤の過程が必要です。
- 悪性腫瘍と良性腫瘍の違いはなにか? mrso.jp がん細胞の最大の特徴は、浸潤だ。悪性腫瘍は、まわりの組織や臓器にも入り込み広がっていく。
- 腎癌 Minds版やさしい解説 がん細胞が、発生した場所で増え続けていくとともに、周りの器官に直接広がっていくことを浸潤(しんじゅん)といいます。
- 非浸潤がん firstopi.jp がんが発生した場所(乳管や小葉の中)にとどまっているタイプのもの
転移とは
- Q1 がんの転移とは何ですか?浸潤とどう違うのですか? 安井 弥 (広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子病理研究室・教授)jamr.umin.ac.jp がん細胞が発生した場所(原発巣)から離れて、リンパ節や肝臓、肺などの他の臓器に移動して定着し、そこで再び増殖して腫瘍(転移性腫瘍)を形成
転移が起きる3つのルート
リンパ行性転移
- Q1 がんの転移とは何ですか?浸潤とどう違うのですか? 安井 弥 (広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子病理研究室・教授)jamr.umin.ac.jp
- 周囲にあるリンパ管に侵入し、リンパ流にのってリンパ節に運ばれ、そこで転移性腫瘍をつくる まず、原発巣の近くのリンパ節に転移し、そこからリンパ管を伝わって次々に遠くのリンパ節まで転移
血行性転移
- Q1 がんの転移とは何ですか?浸潤とどう違うのですか? 安井 弥 (広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子病理研究室・教授)jamr.umin.ac.jp
- 原発巣の近くにある毛細血管や細い静脈にがん細胞が侵入し、血流を介して全身の臓器に転移 静脈の流れにしたがってがん細胞は移動するので、大腸がんでは肝臓に、腎がんでは肺に転移しやすい
播種性転移
- Q1 がんの転移とは何ですか?浸潤とどう違うのですか? 安井 弥 (広島大学大学院医歯薬学総合研究科分子病理研究室・教授)jamr.umin.ac.jp からだには胸腔(肺)や腹腔(消化管や肝臓など)という隙間があり、それに面した臓器に発生したがんが別の部位に転移性腫瘍を形成
がんの薬物療法
ホルモン療法
- 予後不良で知られるトリプルネガティブ乳がんの新規治療標的を同定―新たながん個別化治療の開発に期待― 北海道大学 日本医療研究開発機構 用語解説 ホルモン療法 乳がんの標準治療の一つであり、乳がんの増殖を促すホルモンの働きを阻害する治療法のこと。乳がん細胞の表面にホルモン受容体が出ている場合にのみこの治療法が有効。