医療統計ソフトSPSSの使い方に関する教科書・書籍

医療統計ソフトは無料のもの(Rなど)から非常に高価なものまで(SPSSなど)いろいろありますが、医学研究の分野ではSPSS(IBM社)が定番のようです。SPSSの使い方に関する教科書・書籍が多数ありますので、まとめておきます。

 

SPSSによる回帰分析

内田 治『SPSSによる回帰分析』(オーム社 2013年8月23日 )

  1. 第1章 回帰分析入門 ◇1.1 回帰分析の概要 ■回帰分析とは ■回帰分析の用語 ■回帰分析の用途 ◇1.2 回帰分析におけるデータ ■データの種類 ■測定の尺度 ■変数の種類
  2. 第2章 単回帰分析 ◇2.1 単回帰分析の基本 ■例題1 ■回帰式 ■回帰式の有意性 ■回帰式の有効性 ■母回帰係数の信頼区間 ◇2.2 残差の検討 ■個々の残差 ■残差のヒストグラム ■標準化残差の正規確率プロット ◇2.3 区間推定 ■母回帰式の信頼区間 ■個々のデータの予測区間 ◇2.4 SPSS の手順 ■単回帰分析 ■散布図
  3. 第3章 重回帰分析 ◇3.1 重回帰分析における予備的解析 ■例題2 ○3.1.1 1変数の解析 ■要約統計量 ■データのグラフ化 ○3.1.2 2変数の解析 ■相関行列 ■散布図行列 ○3.1.3 説明変数ごとの単回帰分析 ■x1による単回帰分析 ■x2による単回帰分析 ■x3による単回帰分析 ■x4による単回帰分析 ■単回帰分析のまとめ ◇3.2 重回帰分析の実際 ○3.2.1 重回帰分析の基本 ■回帰式 ■回帰式の有意性 ■回帰式の有効性 ■回帰係数の有意性 ■標準偏回帰係数 ○3.2.2 残差の検討 ■個々の残差 ■残差のヒストグラム ○3.2.3 回帰診断 ■てこ比 ■Cook の距離 ■DfBeta ○3.2.4 相互検証法とリサンプリング法 (1)予測精度の検証 ■Hold out 法 ■K-fold 法 ■Leave-One-Out 法 (2)回帰係数の検証 ■Jackknife 法 ■Bootstrap 法 ◇3.3 SPSS の手順 ■要約統計量 ■ヒストグラム・箱ひげ図・幹葉図 ■ドットプロット ■相関行列 ■散布図行列 ■3次元散布図 ■単回帰分析 ■重回帰分析 ■回帰診断 ■Bootstrap法
  4. 第4章 質的変数とダミー変数 ◇4.1 質的変数を含んだ回帰分析 ■例題3 ■データのグラフ化 ○4.1.1 質的変数とダミー変数 ○4.1.2 ダミー変数の使い方 ■数値例1 ■数値例2 ■数値例3 ○4.1.3 カテゴリの数が3 つ以上のダミー変数 ○4.1.4 ダミー変数の作成 ◇4.2 数量化理論Ⅰ類と共分散分析 ○4.2.1 数量化理論Ⅰ類 ■例題4 ○4.2.2 一般線形モデル ○4.2.3 共分散分析 ■例題5 ■質的変数を含んだ重回帰分析 ■データのグラフ化 ■ダミー変数による重回帰分析の結果 ■共分散分析の結果 ◇4.3 SPSS手順
  5. 第5章 回帰分析における説明変数の選択 ◇5.1 変数選択の方法 ○5.1.1 変数選択の必要性 ■重要な変数と不要な変数 ■良い回帰式 ■説明変数の選択方法 ■変数選択の基準 ○5.1.2 ステップワイズ法 ■例題6 ■変数選択基準の設定 ■ステップワイズ法の結果 ○5.1.3 ベストサブセット法 ◇5.2 説明変数の組合せで生じる問題 ○5.2.1 多重共線性 ■多重共線性とは ■許容度 ■VIF ■例題7 ■説明変数同士の相関行列 ■説明変数ごとの単回帰分析 ■回帰係数の符号逆転 ○5.2.2 解の一意性 ■例題8 ○5.2.3 欠損値の扱い ■例題9 ■リストごとに除外した解析結果 ■ペアごとに除外した解析結果 ■平均値で置き換えた解析結果 ◇5.3 SPSS の手順 ■重回帰分析(ステップワイズ法) ■ベストサブセット法
  6. 第6章 ロジスティック回帰分析 ◇6.1 ロジスティック回帰の基本 ○6.1.1 ロジスティック回帰とは ■例題10 ■ロジスティック回帰の概念 ■データのグラフ化 ■ロジスティック回帰の結果 ○6.1.2 完全分離 ■例題11 ○6.1.3 SPSS の手順 ◇6.2 ロジスティック回帰の実践 ○6.2.1 多重ロジスティック回帰 ■ロジスティック回帰の種類 ■例題12 ■ロジスティック回帰の結果 ■データのグラフ化 ■ロジスティック回帰の結果 ○6.2.2 変数選択 ■変数選択の方法 ■変数選択の結果 ◇6.3 SPSS の手順 ■ロジスティック回帰 ■ロジスティック回帰(尤度比による変数減少法)
  7. 第7章 生存分析とCox 回帰 ◇7.1 生存分析 ○7.1.1 Kaplan- Meier 法による生存率曲線 ■例題13 ■生存分析とは ■生存率 ■生存率曲線 ○7.1.2 生存率曲線の比較と検定 ■例題14 ■2つの生存率の違いに関する検定 ■ログランク検定の結果 ◇7.2 Cox 回帰 ○7.2.1 比例ハザードモデル ■例題15 ■比例ハザードモデル ■Cox回帰の結果 ○7.2.2 複数の説明変数を含むCox 回帰 ■例題16 ■複数の説明変数 ◇7.3 SPSS の手順 ■Kaplan- Meier 法による生存率曲線の作成 ■ログランク検定 ■Cox 回帰 ■複数の説明変数を含むCox 回帰
  8. 第8章 パス解析と因果分析 ◇8.1 因果関係の解析 ○8.1.1 説明変数間の因果関係 ■因果関係の整理 ○8.1.2 パス解析の概念 ■パス図 ■パス解析 ◇8.2 パス解析の実際 ○8.2.1 回帰分析を用いたパス解析 ■x1を説明変数、x2を目的変数とする回帰分析 ■x1を説明変数、x3を目的変数とする回帰分析 ■x2とx3を説明変数、x4を目的変数とする回帰分析 ■x4を説明変数、yを目的変数とする回帰分析 ○8.2.2 共分散構造分析を用いたパス解析 ■共分散構造分析AMOS による解析結果
  9. 付録 ◇付録(1) 一般化線形モデル ◇付録(2) 曲線回帰 ◇付録(3) 回帰木と分類木 ■決定木 ■回帰木の例 ■分類木の例 ◇付録(4) 多重共線性の診断 ◇付録(5) ケースの数と説明変数の数

SPSSを使って重回帰分析をやりたければ、実際的な手順の説明などはこの本が一番詳細だと思います。数式による説明はほとんどないので、そういう説明が苦手な人には読みやすい。

参考

  1. 本書のウェブサイト(データダウンロードサイト
  2. 著者ウェブサイト:内田治 准教授 教員情報 東京情報大学 

 

SPSSによる統計データ解析

柳井 晴夫, 緒方 裕光 編著 改訂新版『SPSSによる統計データ解析 医学・看護学、生物学、心理学の例題による統計学入門』April 1, 2006 現代数学社

  1. 第1章 SPSSの基本的使い方 1.1 データファイルの作成手法 1.2 データの加工(椎名久美子)
  2. 第2章 データの要約 2.1 度数分布表 2.2 単純集計のグラフ表現 2.3 代表値と散らばりの指標 2.4 クロス集計表とグラフ表現 2.5 相関係数 2.6 層別の分析(椎名久美子)
  3. 第3章 統計的推論 3.1 平均値についての推論 3.2 分散についての推論 3.3 相関係数についての推論 3.4 分割表についての推論 3.5 比率についての推論(石井秀宗)
  4. 第4章 分散分析 4.1 一元配置分散分析 4.2 多重比較 4.3 多元配置分散分析(緒方祐光)
  5. 第5章 回帰分析 5.1 単回帰分析 5.2 重回帰分析(佐伯圭一郎)
  6. 第6章 測定の信頼性と妥当性 6.1 測定の信頼性 6.2 測定の妥当性(石井秀宗)
  7. 第7章 主成分分析 7.1 主成分分析の概要 7.2 相関行列に基づく主成分分析 7.3 分散共分散行列に基づく主成分分析 7.4 主成分分析による多変量外れ値の検出(伊藤圭)
  8. 第8章 因子分析 8.1 因子分析の概要 8.2 因子の抽出 8.3 因子の回転 8.4 その他の分析(西川浩昭)
  9. 第9章 クラスター分析 9.1 ケースのクラスタリング 9.2 変数のクラスタリング(西川浩昭)
  10. 第10章 判別分析 10.1 判別分析の概要 10.2 解析例1(3グループの場合) 10.3 解析例2(2グループの場合) 10.4 判別分析に関するその他の問題(Q&A)(林篤裕)
  11. 第11章 ロジスティック回帰分析 11.1 2項ロジスティック回帰 11.2 多項ロジスティック回帰(緒方祐光)
  12. 第12章 対数線形モデル 12.1 基本モデル 12.2 ロジット対数線形モデル(緒方祐光)
  13. 第13章 生存時間データの解析 13.1 生命表 13.2 カプラン・マイヤー法 13.3 比例ハザードモデル(吉本泰彦)
  14. 第14章 さらに進んだ分析法ー多変量解析法を中心としてー(柳井晴夫)

数学書の出版で定評のある現代数学社から出ているSPSSを用いた統計解析の解説書。初版が2006年ですから、信頼のおけるロングセラーです。SPSSがどんどんバージョンアップしているのでそれに合わせるために改訂版が出たそうです。

SPSSのメニューのド個をクリックしてみたいな実際的な手順がある一方で、極めて簡潔ながら理屈に関する説明も多少あって、バランスが良いスタイル。

 

SPSSで学ぶ医療系データ解析

対馬 栄輝『SPSSで学ぶ医療系データ解析 第2版』December 7, 2016 東京図書

  1. 第1章 データの設定 §1.1 データ入力の方法 §1.2 値ラベルの設定:数値データを日本語表示する
  2. 第2章 データ解析の基本事項 §2.1 データとは §2.2 標本と母集団 §2.3 データの尺度 §2.4 データ縮約のための記述統計量 §2.5 データの分布(確率分布) §2.6 標本分布 §2.7 信頼区間(区間推定) §2.8 SPSSによる記述統計量 §2.9 グラフ
  3. 第3章 統計的検定の基礎 §3.1 統計的仮説とは §3.2 統計的「有意」とは §3.3 第I 種の誤り, 第II 種の誤り §3.4 両側検定, 片側検定 §3.5 パラメトリック検定とノンパラメトリック検定 §3.6 パラメトリック検定,ノンパラメトリック検定の選択法 §3.7 SPSSによるShapiro-Wilk検定
  4. 第4章 検定の選択方法 §4.1 標本の数の数え方 §4.2 データどうしの差を検定したい(2つまでのデータの差) §4.3 データ列どうしの関連性を見たい §4.4 名義尺度データの頻度の偏りや関連度を見たい §4.5 3 つ以上の標本・変数の差をみたい §4.6 測定の信頼性を知りたい
  5. 第5章 差の検定 §5.1 差の検定とは §5.2 平均に関する検定(パラメトリックな法) §5.3 分布中心の差に関する検定(ノンパラメトリックな手法) §5.4 差の検定における注意事項
  6. 第6章 相関・回帰分析 §6.1 相関とは §6.2 回帰分析とは §6.3 相関と回帰分析における注意事項 §6.4 相関における注意点 §6.5 回帰分析における注意点
  7. 第7章 分割表の検定 §7.1 分割表の検定とは §7.2 連関係数とは §7.3 リスク比オッズ比 §7.4 Mantel-Haenszel推定量 §7.5 分割表検定における注意事項
  8. 第8章 1元配置分散分析 §8.1 分散分析とは §8.2 t検定のくり返しによる検定多重性の問題 §8.3 1元配置分散分析(パラメトリックな手法) §8.4 Kruskal-Wallis検定(ノンパラメトリックな手法) §8.5 分散分析における注意事項
  9. 第9章 多重比較法 §9.1 多重比較法とは §9.2 パラメトリックな手法(等分散性が仮定できるとき) §9.3 パラメトリックな手法(等分散性が仮定できないとき) §9.4 SPSSによる多重比較法 §9.5 ノンパラメトリックな手法 §9.6 多重比較法における注意事項 §9.7 多重比較法の手法選択
  10. 第10章 2元配置分散分析 §10.1 2元配置分散分析とは §10.2 交互作用 §10.3 要因について §10.4 SPSSによる2元配置分散分析(くり返しのある) §10.5 2元配置分散分析結果の読み方 §10.6 交互作用が有意であったときの対応 §10.7 SPSSによる2元配置分散分析(くり返しのない) §10.8 実験計画 §10.9 2元配置分散分析における注意事項
  11. 第11章 反復測定による分散分析 §11.1 反復測定による分散分析とは §11.2 SPSSによる反復測定による分散分析 §11.3 Friedman検定(ノンパラメトリックな手法) §11.4 元配置以上の分散分析と反復測定による分散分析の関係 §11.5 反復測定による分散分析における注意事項
  12. 第12章 検者間・検者内信頼性係数 §12.1 級内相関係数(ICC)とは §12.2 級内相関係数(ICC)の基礎理論 §12.3 級内相関係数(パラメトリックな手法) §12.4 SPSSによる級内相関係数 §12.5 カッパ係数とは(ノンパラメトリックな手法) §12.6 SPSSによるカッパ係数 §12.7 検者間・検者内信頼性係数における注意事項
  13. 第13章 重回帰分析 §13.1 重回帰分析とは §13.2 重回帰式を作るための基礎知識(変数選択の手順) §13.3 重回帰分析の結果を判定する指標 §13.4 モデルの適合度評価 §13.5 SPSSによる重回帰分析 §13.6 重回帰分析の結果の読み方 §13.7 重回帰分析における注意事項 §13.8 関連するその他の手法
  14. 第14章 多重ロジスティック回帰分析 §14.1 多重ロジスティック回帰分析とは §14.2 解析のしくみ §14.3 変数選択の方法 §14.4 多重ロジスティック回帰分析の結果を判定する指標 §14.5 モデルの適合度評価 §14.6 変数の加工 §14.7 SPSSによる多重ロジスティック回帰 §14.8 多重ロジスティック回帰分析における注意事項と類似手法の紹介

この本は、実験で頻出する「反復測定」のデータの解析に関してひとつの章を割いて説明していて、自分には役立ちました。よくある実験デザインなのに、その解析方法に関して十分な紙面を割いた本は意外と少ないため。

参考

  1. 著者ウェブサイト:対馬栄輝研究室 弘前大学 医学部 保健学科 理学療法学専攻 著者略歴:弘前大学医療技術短期大学部理学療法学科(保健衛生学士)、弘前大学 大学院 理学研究科 (修士課程)、弘前大学大学院 医学研究科 社会医学系 公衆衛生学講座(博士課程)、弘前大学大学院保健学研究科(教授)

 

SPSSとAmosによる心理・調査データ解析

小塩真司『SPSSとAmosによる心理・調査データ解析 : 因子分析・共分散構造分析まで 第3版 』東京図書, 2018.

  1. 第1章 データ解析の基本事項――データの形式,入力と代表値
  2. 第2章 相関と相関係数――データの関連を見る
  3. 第3章 χ2検定・t 検定――2変数の相違を見る
  4. 第4章 分散分析――3変数以上の相違の検討
  5. 第5章 重回帰分析――連続変数間の因果関係
  6. 第6章 因子分析――潜在因子からの影響を探る
  7. 第7章 因子分析を使いこなす――尺度作成と信頼性の検討
  8. 第8章 共分散構造分析――パス図の流れをつかむ
  9. 第9章 共分散構造分析を使いこなす――多母集団の同時解析とさまざまなパス図
  10. 第10章 カテゴリを扱う多変量解析――クラスタ分析・判別分析・ロジスティック回帰分析・コレスポンデンス分析