医学部の学生が読むべき内科学の教科書はハリソンかセシルか、どちらでしょうか。
ハリソン内科学
Harrison’s Principles of Internal Medicine 第21版 2Harrison’s Principles of Internal Medicine 3855ページ
- Harrison’s Principles of Internal Medicine, 21e (https://accesspharmacy.mhmedical.com/) 有料のウェブ書籍サイトみたいです。
USMLEを受けるときに実際に合格した日本人医師にどうやって勉強すればいいのかと聞いたら,「ハリソン全部読んで覚えていたら受かるよ」と一蹴されたことがあった。(医学界新聞 医学生へのアドバイス(28) 田中和豊)
- 日本の内科学の教科書は「量的な表記」が足りない
- ハリソンには「程度」の記載に,臨床的な眼差しがある。簡潔な記載で患者像を容易にイメージできる。これを読めば診療に使える。検査,診断,治療,予後説明などにおいても,朝倉とハリソンを比較すると,この“程度”問題と臨床的な眼差しの違いは明らかだ。
(なぜ日本の内科教科書は“ダメ”なのか(岩田健太郎)連載2015.10.19 医学会新聞)
私の医学生の頃から内科学の教科書の定番は「ハリソン」でした。‥ 「ハリソン」は内科学の教科書だとされています。それは大きな誤りだというのがお分かりいただけませんでしょうか。一般の内科学から想定する範囲を大きく超えています。だからこそ「内科学」(Internal Medicine)ではなく「臨床医学」(Clinical Medicine)だという私の主張があるわけです。‥ 「ハリソン」が扱う領域の最多は感染症学がダントツの1位です。(感染症学のこと さいたま記念病院)
- ハリソン物語 – かくして「ハリソン」はグローバル・スタンダードになった BY 機能形態学 · 公開 2022年4月6日 · 更新済み 2023年3月17日
セシル
Goldman-Cecil Medicine, 2-Volume Set (Cecil Textbook of Medicine) Lee Goldman MD (著), Andrew I. Schafer MD (著) 出版社 : Elsevier; Goldman-Cecil Medicine, 2-Volume Set (Cecil Textbook of Medicine) 27版 2023/9/14
- 第26版 発売日 : 2019/9/26 2944ページ
ハリソンかセシルか
限られたスペースの中にどのトピックを含めるかはエビデンスに基づくのではなく,著者の考え方によるものだ。肺癌は他のがんと違って検診を行っても根治手術が可能な早期に発見することは難しい。従って,私はより優れた検診方法を開発するのではなく,肺癌にならないようにする方策が遙かに重要であると考えている。この点に関して,セシルよりも喫煙の影響と禁煙の効果,CT検診の比較試験の結果と問題点,検診と禁煙プログラムのリンクなどに多くのスペースを割いているハリソンに共感を覚えた[6,7]。治療の項では,引用文献はついていないものの,一文一文これはどの研究・論文を根拠にして書かれたのかが手に取るように分かる。
[書評 +] ハリソン内科学とセシル内科学を読んでみたら 関根, 郁夫 千葉医学 92:149 ~ 151, 2016
読み進もうとすると、とにかく考えさせる記述が多く、時間がかかりすぐに挫折した。調べたい疾患の概略を短時間に把握するには『セシル内科学』の方が便利だった。いつしか『ハリソン』の原著は部屋の片隅に隠れ、(原著第20版が今年8月に出版 『ハリソン内科学』のハリソン先生に迫る 2018/09/18 駒村 和雄(国際医療福祉大学熱海病院) 循環器 日経メディカル)
- 内容的には同じようなものだけれども,“症候学”のところが『セシル』にはないので,その点で『ハリソン』を勧めます」
- 1950年に初版を出す時,「症候学」の部分をつけたことと,「病態生理学」に基づいたアプローチを徹底したこと,その2つがそれまでの教科書にないところだったと聞きました。「『セシル』にはない特徴を」という発想から,『ハリソン』の編集は始まったようですが,確かに症候のアプローチは素晴らしいですね。
- 「病態生理学」を強調する教授法をより一層推進させる原動力になった
(「プロの医師」と『ハリソン内科学』 医学会新聞)
ハリソン,セシル以外のお勧めの内科学の教科書
ハリソンもセシルも2000ページほどの大著で、読み通すひともいれば(何回も)読み切れない人もいるようです。もう少し読みやすい分量の本はないものでしょうか。
Davidson
Davidson’s Essentials of Medicine 2020/8/28 英語版 J. Alastair Innes BSc PhD FRCP Ed (著) 888ページ
Mansoor
Frameworks for Internal Medicine 2018/11/22 Andre Mansoor 768ページ アマゾン評価4.7点(338 人) 新版の出版予定:Frameworks for Internal Medicine 2024/6/8 880ページ
フレームワークで考える内科診断 / アンドレ M.マンスール著 ; 田中竜馬監訳 フレームワーク デ カンガエル ナイカ シンダン 出版・頒布事項 東京 : メディカル・サイエンス・インターナショナル , 2021.7 アマゾンレビュー:”ロジカルな鑑別診断学 50の病態について、各々の解剖学的基礎、病態生理によりフレームをつくり、それぞれに疾患を列挙して診断漏れがないよう工夫”
MKSAP
Medical Knowledge Self-Assessment Program (MKSAP) https://www.nankodo.co.jp/foreign/MKSAP19/index.html
Stein
Stein’s textbook of internal medicine 5th edition (January 15, 1998) 2512ページ
This third edition of Stein’s textbook of internal medicine has been published three years after the work was last revised. It competes with Harrison’s, Cecil’s, and Kelly’s textbooks of internal medicine. In the preface the editor states that the aim of the textbook is to be both readable and encyclopedic. In the balance between these goals, the book leans toward the former. It is definitely concise, crisp in style, and very readable, but when compared with its competition it is less encyclopedic.
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM199010043231422
Kelley
Kelley’s Textbook of Internal Medicine 4th Edition (August 15, 2000)by H. David Humes (Editor), Herbert L. Dupont (Editor) 3254 pages