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特許出願における「補正」amendmentとは

特許出願における「補正」amendmentとは

特許申請における「補正」とは、出願人が特許庁に提出した出願書類(明細書、特許請求の範囲、図面など)の内容を修正・訂正する手続のことです。

審査官から拒絶理由が通知された場合、その理由を解消するために行われることが多いですが、出願人が自発的に行うことも可能です。


📅 いつ補正できるか?

補正は、出願が特許庁で審査中である限り可能ですが、時期によって許される補正の範囲(内容)が異なります

主な補正のタイミングは以下の通りです。

  1. 自発補正
    • 時期: 出願してから、特許庁から最初の審査結果(拒絶理由通知など)が来るまでの間。
  2. 拒絶理由通知への応答時
    • 時期: 審査官から「拒絶理由通知」を受けた後、指定された応答期間内。
    • 最初の拒絶理由通知か、最後(2回目以降)の拒絶理由通知かによって、補正できる範囲がさらに制限されます。
  3. 拒絶査定不服審判の請求時
    • 時期: 審査の結果、「拒絶査定」が出た場合、それを不服として審判を請求する時。

⚠️ 補正の重要なルール(制限)

補正は自由に行えるわけではなく、守らなければならない厳格なルールがあります。

1. 新規事項の追加の禁止(最重要)

最も重要なルールは、「新規事項(New Matter)」を追加してはならないという点です(特許法第17条の2第3項)。

  • 補正は、あくまで出願当初に提出した明細書、特許請求の範囲、図面(=「当初明細書等」)に記載されていた事項の範囲内で行わなければなりません。
  • 当初明細書等に書かれていなかった新しい技術情報、発明の課題、効果などを後から追加することは認められません。
  • 理由: もし後から新しい内容を追加できてしまうと、他者より早く出願した「先願」としての地位を不当に利用することになるためです(先願主義の原則に反します)。

[例]

  • 許される補正: 当初明細書に「A、B、Cから選ばれる」と記載されていたものを、「A」に限定する補正。
  • 許されない補正(新規事項): 当初明細書にAのことしか書かれていなかったのに、拒絶理由を回避するために「Dという新しい要素」を追加する補正。

このルールに違反した補正は、拒絶理由や特許無効の理由となります。

2. 時期による補正目的の制限

審査が進むにつれて、認められる補正の範囲は狭くなります。

特に、「最後の拒絶理由通知」の後や**「拒絶査定不服審判」の請求時**に行う補正は、その目的が以下のように厳しく限定されます。

  • 請求項の削除: 特許請求する項目(請求項)を削除する。
  • 特許請求の範囲の減縮: 発明の範囲を狭める(例:構成要素を追加して権利範囲を限定する)。
  • 誤記の訂正: 明らかな書き間違いを直す。
  • 不明瞭な記載の釈明: 意味が分かりにくかった部分を明確にする。

(Gemini 2.5 Pro)

 

理解を深めるために

疑問:こんなシナリオ、「特許を取った商品を自社が販売しているとする。他者が類似商品を発売した。その類似点を含めた補正を、もとの特許に対して行った。この新たな特許権を用いて、類似商品の販売差し止めを求めた。」ってありえる?ナシ?

Gemini 2.5 Pro:

ご質問のシナリオは、基本的に「ナシ」(不可能)です。

その中核となる理由は、一度成立した特許権の範囲を、後から「補正」や「訂正」によって広げることは法律で固く禁じられているからです。


🚫 なぜ不可能なのか?

ご提示のシナリオには、特許実務上の重要な誤解が含まれています。ポイントは「補正」という言葉の使い方です。

  1. 「補正」 (審査中)
    • 補正」は、主に出願してから特許になる(審査段階)に行う手続きです。
    • この段階であっても、出願当初の明細書に書いていなかった新しい内容(新規事項)を追加することはできません。
  2. 「訂正」 (特許成立後)
    • ユーザーのシナリオ(特許を取った後)で行う手続きは、正確には「補正」ではなく「訂正」(訂正審判や訂正請求)と呼びます。
    • この「訂正」で認められているのは、以下の3つの目的に限られます。
      1. クレーム(特許請求の範囲)を狭くする(減縮
      2. 誤記や誤訳を直す
      3. わかりにくい記載を明確にする
    • そして最も重要なルールが、特許法第126条第6項に定められています。それは、「訂正は、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであつてはならない」というものです。

第百二十六条6 第一項の明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであつてはならない。https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121#Mp-Ch_6-At_126

🎯 シナリオの問題点

ユーザーのシナリオは「他者の類似商品が出てきた」→「その類似点を含むように特許の内容を広げる」というものです。

これは、まさに法律が禁止している「クレーム(権利範囲)の実質的な拡張」に該当します。したがって、そのような「訂正」は特許庁に絶対に認められません。

もしこれが認められてしまうと、他社は「この特許はここまでだから、この範囲を避けて新商品を開発しよう」と判断したのに、後から特許権者が「やっぱりお前の商品もウチの権利範囲に入れる」と”後出しジャンケン”ができてしまいます。

これでは安心して事業ができなくなるため、権利範囲を後から広げることは厳しく禁止されています。


💡 では、どう戦うのか?

その類似商品に対しては、「補正」や「訂正」で権利を広げて対抗することはできません。

もし戦うのであれば、元の(補正・訂正する前の)特許権で勝負するしかありません。

その際、主な争点となるのは以下の2つです。

  1. 文言侵害(直接侵害)
    • 類似商品が、あなたの元の特許のクレームに書かれた構成要件をすべて満たしているかどうか。
    • 満たしていれば、差し止めを求めることができます。
  2. 均等侵害(均等論)
    • たとえクレームの文言通りではなく、一部が異なっていたとしても、「実質的に同じ」と判断されれば侵害とみなされる可能性があります。(これが均等論です)
    • 均等論が認められるには厳しい要件がありますが、クレームの文言をわずかに変えただけの模倣品に対しては有効な手段となり得ます。

結論

  • 特許成立後に、他社の類似品をカバーするために権利範囲を広げる「補正(訂正)」は不可能です。
  • 類似品と戦うには、元の特許権の範囲(または均等論)で勝負する必要があります。

 

質問:補正 の場合は、拡げるのもアリ?

Gemini 2.5 Pro:

いいえ、ご質問の意図するような「拡張」は、「補正」であってもできません。

ここでも法律の厳格なルールがあります。


🚫 「新規事項の追加」の禁止

「補正」は、おっしゃる通り特許になるの審査段階で行う手続きです。

しかし、この「補正」で許されるのは、出願当初に提出した明細書、特許請求の範囲、または図面に書かれている事項の範囲内での修正だけです。

これを「新規事項(しんきじこう)の追加の禁止」といい、特許法第17条の2第3項で定められています。


🕵️ シナリオに当てはめると

最初のシナリオ(他社の類似商品)に当てはめてみましょう。

  1. あなたの元の出願に「A+B」という技術が書かれていたとします。
  2. 審査中に、他社が「A+B+C」という類似商品を出してきました。
  3. あなたが「C」という特徴をご自身の出願に追加しようと「補正」を考えます。

この時、もし「C」という特徴が、あなたの出願当初の書類(明細書や図面)のどこにも書かれていなかった場合、それを追加する「補正」は「新規事項の追加」とみなされ、法律違反として絶対に認められません。


⚖️ 「補正」と「訂正」のルールの違い

ここでルールを整理します。どちらにしても、他社の後発品を見てから権利を広げることはできないようになっています。

  • 1. 特許になる前(=補正)
    • ルール: 新規事項の追加はダメ
    • (出願時に書いていなかったことを追加できない)
  • 2. 特許になった後(=訂正)
    • ルール: 権利範囲の拡張はダメ
    • (たとえ出願時に書いていたことでも、一度確定した権利を広げることはできない)

結論:

他社の類似品を見てからその特徴(=類似点)を取り込もうとする行為は、特許前なら「新規事項の追加」として、特許後なら「権利範囲の拡張」として、いずれにせよ法律で禁止されています。

 

質問:明細書に書かれているところまでは、拡げられるよね。

Gemini 2.5 Pro:

はい、その理解は非常に重要です。

ただし、どの段階での話かによって、答えが「はい」と「いいえ」に明確に分かれます。


1. 特許になる前(審査段階)の「補正」の場合 → はい(条件付き)

おっしゃる通り、特許になる前の「補正」の絶対的な限界は、「出願当初の明細書、特許請求の範囲、または図面に書かれていた事項の範囲内」です。

これを「新規事項(しんきじこう)の追加の禁止」(特許法第17条の2第3項)と呼びます。

  • 例:
    • 元のクレーム: 「AとBからなる装置」
    • 元の明細書: 「本発明はAとBからなる装置である。なお、Aだけでも良いし、AとCを組み合わせても良い。」
    • 補正: クレームを「Aからなる装置」に変更する。

この場合、クレームの範囲は「A+B」から「A」へと『拡張』していますが、その「A」は元の明細書に書かれていたため、「新規事項の追加」にはあたりません

⚠️ ただし、実務上の重大な注意点があります

このような「拡張」的な補正が自由にできるのは、原則として「審査官からの最初の拒絶理由通知(きょぜつりゆうつうち)を受け取る前まで」です。

一度、拒絶理由通知を受け取った後は、補正は原則として「特許請求の範囲を狭くする(減縮)」「誤記を訂正する」「分かりにくいのを明確にする」ことなどに制限されます(特許法第17条の2第5項)。

したがって、審査官が「A+B」で審査した後で、クレームを「A」に『拡張』する補正は、この制限に違反するとして認められない可能性が非常に高いです。


2. 特許になった後(権利発生後)の「訂正」の場合 → いいえ(絶対不可)

これが、前回の回答(シナリオは「ナシ」)の核心です。

一度特許権が成立した後は、「訂正」(訂正審判や訂正請求)という手続きになります。

この「訂正」では、たとえ元の明細書に書いてあったとしても、特許請求の範囲(クレーム)を実質的に拡張することは法律で固く禁止されています。(特許法第126条第6項)

  • 例:
    • 成立した特許: 「AとBからなる装置」
    • 元の明細書: 「Aだけでも良い」と書いてあった。
    • 訂正: クレームを「Aからなる装置」に『拡張』する。
    • 結果: これは絶対に認められません。

特許になった後の「訂正」で認められるのは、あくまで権利範囲を「狭める(減縮する)」ことだけです。


結論

  • 理論上の限界: 「明細書に書かれているところまで」が補正の限界です。
  • 実務上の運用:
    • 特許前 (補正): 権利を『拡げる』補正は、拒絶理由通知を受ける前なら可能。受けた後は原則不可。
    • 特許後 (訂正): 権利を『拡げる』訂正は、明細書に書いてあっても絶対に不可

したがって、最初のシナリオ(他社の類似品が出てきたから、それに合わせて権利を拡げる)は、

  • 特許「前」であれば、タイミング(拒絶理由通知の前)次第では可能かもしれません。
  • 特許「後」であれば、100%不可能です。

 

参考

  1. 特許法第 126 条第 6 項の意義 ―訂正 2016-390005号について― 小宮山 聰 パテント 2017 Vol. 70 No. 2 page 91- https://jpaa-patent.info/patent/viewPdf/2864

知財関連の日本の法律

知的財産基本法 https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000122

第二条 2 この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000122#Mp-Ch_1-At_2

Tunneling Nanotubeの発見(1999年)とその後の進展について

細胞の基本的な構造に関しては十分調べられ尽くしたと思っていました。今頃(といっても最初の発見は1999年ですが)になって新しい構造が発見されるとは夢にも思いませんでした。

トップジャーナルに掲載されたナノチューブ論文

  1. Ramírez-Weber FA, Kornberg TB. Cytonemes: cellular processes that project to the principal signaling center in Drosophila imaginal discs. Cell. 1999 May 28;97(5):599-607. doi: 10.1016/s0092-8674(00)80771-0. PMID: 10367889. 
  2. Amin Rustom et al. , Nanotubular Highways for Intercellular Organelle Transport. Science 303,1007-1010(2004).DOI:10.1126/science.1093133 https://www.science.org/doi/10.1126/science.1093133
  3. Inaba, M., Buszczak, M. & Yamashita, Y. Nanotubes mediate niche–stem-cell signalling in the Drosophila testis. Nature 523, 329–332 (2015). https://doi.org/10.1038/nature14602
    1. https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v14/n12/細胞をつなぐナノチューブ/90179 遺伝子操作した細胞内で生産された一部のタンパク質が、全く異なる細胞群に「テレポート」したように見えた  彼女らはこの現象が現実のものだと確信したが、どのような仕組みでそうなるのか突き止められなかったため、このプロジェクトをひとまず棚上げした。1年以上経ったある日、山下のところへ稲葉が細胞の画像を何枚か持ってきた。そこには、1個の細胞から別の細胞へと伸びる微小な管が写っていた。これらの微細な構造が、例の謎の輸送を担っているとも考えられた。
    2. 幹細胞に特異的な細胞突起である微小管依存性ナノチューブはニッチからのシグナルの受容を促進する 稲葉真弓・山下由起子 (米国Michigan大学Life Sciences Institute) https://first.lifesciencedb.jp/archives/10476

 

Consensusによる総説。

Tunneling Nanotubes: Direct Intercellular Communication and Molecular Exchange

Tunneling nanotubes (TNTs) are thin, actin-based membranous structures that form direct cytoplasmic bridges between cells, enabling the exchange of a wide variety of molecules and organelles. This form of intercellular communication is distinct from other mechanisms like gap junctions or extracellular vesicles, as TNTs allow for long-range, bidirectional, and targeted transfer of cellular cargo, playing crucial roles in both normal physiology and disease.

Mechanisms and Types of Cargo Transferred

TNTs facilitate the direct transfer of diverse cellular components, including ions (such as Ca2+), proteins, nucleic acids (DNA, mRNA, miRNA, viral RNA), organelles (mitochondria, lysosomes), vesicles, and even pathogens between connected cells. This transfer can modulate gene expression, metabolism, and cell survival, and is observed in many cell types, including neurons, immune cells, and cancer cells (Driscoll et al., 2022; Khattar et al., 2022; Turos-Korgul et al., 2022; Ariazi et al., 2017; Kolba et al., 2019; Jansens et al., 2020; Marzo et al., 2012; DuPont et al., 2018; Lou et al., 2018; Chakraborty & Zurzolo, 2022; Zhu et al., 2021; Mittal et al., 2018; Wittig et al., 2012; Yamashita et al., 2018).

Functional Roles in Health and Disease

TNT-mediated communication is essential for tissue homeostasis, immune responses, and development. In the brain, TNTs contribute to neural development, calcium signaling, and the spread of protein aggregates linked to neurodegenerative diseases. In cancer, TNTs enable the transfer of survival signals, drug resistance factors, and mitochondria, supporting tumor progression and therapy resistance. Pathogens, including viruses and prions, can hijack TNTs for cell-to-cell spread (Driscoll et al., 2022; Khattar et al., 2022; Turos-Korgul et al., 2022; Ariazi et al., 2017; Kolba et al., 2019; Jansens et al., 2020; Marzo et al., 2012; DuPont et al., 2018; Lou et al., 2018; Chakraborty & Zurzolo, 2022; Mittal et al., 2018; Yamashita et al., 2018).

Comparison with Other Communication Pathways

Unlike gap junctions (which are limited to small molecules and require close cell proximity), TNTs can bridge distant cells and transport larger cargo. TNTs are also structurally and functionally distinct from cytonemes and extracellular vesicles, offering a unique, direct, and dynamic mode of intercellular exchange (Driscoll et al., 2022; Ariazi et al., 2017; Marzo et al., 2012; Nawaz & Fatima, 2017; Wittig et al., 2012; Yamashita et al., 2018).

Timeline of Key Research Developments

  • 2008
    • 1 paper: (Gerdes & Carvalho, 2008)- 2012
    • 2 papers: (Marzo et al., 2012; Wittig et al., 2012)- 2013
    • 2 papers: (Schiller et al., 2013; Suhail et al., 2013)- 2015
    • 1 paper: (Abounit et al., 2015)- 2017
    • 2 papers: (Ariazi et al., 2017; Nawaz & Fatima, 2017)- 2018
    • 4 papers: (DuPont et al., 2018; Lou et al., 2018; Mittal et al., 2018; Yamashita et al., 2018)- 2019
    • 1 paper: (Kolba et al., 2019)- 2020
    • 1 paper: (Jansens et al., 2020)- 2021
    • 1 paper: (Zhu et al., 2021)- 2022
    • 4 papers: (Driscoll et al., 2022; Khattar et al., 2022; Turos-Korgul et al., 2022; Chakraborty & Zurzolo, 2022)- 2024
    • 1 paper: (Gong et al., 2024)| Year | Key Focus/Discovery | Citation | |——|———————|———-| | 2004 | First description of TNTs and their role in vesicle/organelle transfer | (Gerdes & Carvalho, 2008; Marzo et al., 2012; Yamashita et al., 2018)| | 2012–2018 | TNTs in disease, immune function, and cancer; comparison with other pathways | (Ariazi et al., 2017; Marzo et al., 2012; DuPont et al., 2018; Lou et al., 2018; Nawaz & Fatima, 2017; Mittal et al., 2018; Wittig et al., 2012; Yamashita et al., 2018)| | 2019–2024 | TNTs in therapy resistance, neural modulation, and advanced imaging | (Kolba et al., 2019; Jansens et al., 2020; Gong et al., 2024; Chakraborty & Zurzolo, 2022; Zhu et al., 2021)|

Figure 1: Timeline of tunneling nanotube research and major discoveries. Larger markers indicate more citations.

Summary

Tunneling nanotubes are specialized cellular structures that enable direct, long-distance exchange of molecules and organelles between cells. They play vital roles in development, immune function, neural communication, and disease progression, distinguishing themselves from other intercellular communication mechanisms by their ability to transfer large and diverse cargo over significant distances. Understanding TNTs opens new avenues for therapeutic intervention in cancer, neurodegeneration, and infectious diseases.

These papers were sourced and synthesized using Consensus, an AI-powered search engine for research. Try it at https://consensus.app

References

  1. Driscoll, J., Gondaliya, P., & Patel, T. (2022). Tunneling Nanotube-Mediated Communication: A Mechanism of Intercellular Nucleic Acid Transfer. International Journal of Molecular Sciences, 23. https://doi.org/10.3390/ijms23105487
  2. Gerdes, H., & Carvalho, R. (2008). Intercellular transfer mediated by tunneling nanotubes.. Current opinion in cell biology, 20 4, 470-5. https://doi.org/10.1016/j.ceb.2008.03.005
  3. Khattar, K., Safi, J., Rodriguez, A., & Vignais, M. (2022). Intercellular Communication in the Brain through Tunneling Nanotubes. Cancers, 14. https://doi.org/10.3390/cancers14051207
  4. Turos-Korgul, L., Kolba, M., Chrościcki, P., Zieminska, A., & Piwocka, K. (2022). Tunneling Nanotubes Facilitate Intercellular Protein Transfer and Cell Networks Function. Frontiers in Cell and Developmental Biology, 10. https://doi.org/10.3389/fcell.2022.915117
  5. Ariazi, J., Benowitz, A., De Biasi, V., Boer, M., Cherqui, S., Cui, H., Douillet, N., Eugenin, E., Favre, D., Goodman, S., Gousset, K., Hanein, D., Israel, D., Kimura, S., Kirkpatrick, R., Kuhn, N., Jeong, C., Lou, E., Mailliard, R., Maio, S., Okafo, G., Osswald, M., Pasquier, J., Polak, R., Pradel, G., De Rooij, B., Schaeffer, P., Skeberdis, V., Smith, I., Tanveer, A., Volkmann, N., Wu, Z., & Zurzolo, C. (2017). Tunneling Nanotubes and Gap Junctions–Their Role in Long-Range Intercellular Communication during Development, Health, and Disease Conditions. Frontiers in Molecular Neuroscience, 10. https://doi.org/10.3389/fnmol.2017.00333
  6. Kolba, M., Dudka, W., Zaręba-Kozioł, M., Kominek, A., Ronchi, P., Turos, L., Chrościcki, P., Włodarczyk, J., Schwab, Y., Klejman, A., Cysewski, D., Srpan, K., Davis, D., & Piwocka, K. (2019). Tunneling nanotube-mediated intercellular vesicle and protein transfer in the stroma-provided imatinib resistance in chronic myeloid leukemia cells. Cell Death & Disease, 10. https://doi.org/10.1038/s41419-019-2045-8
  7. Jansens, R., Tishchenko, A., & Favoreel, H. (2020). Bridging the Gap: Virus Long-Distance Spread via Tunneling Nanotubes. Journal of Virology, 94. https://doi.org/10.1128/jvi.02120-19
  8. Gong, Z., Wu, T., Zhao, Y., Guo, J., Zhang, Y., Li, B., & Li, Y. (2024). Intercellular Tunneling Nanotubes as Natural Biophotonic Conveyors.. ACS nano. https://doi.org/10.1021/acsnano.4c12681
  9. Marzo, L., Gousset, K., & Zurzolo, C. (2012). Multifaceted Roles of Tunneling Nanotubes in Intercellular Communication. Frontiers in Physiology, 3. https://doi.org/10.3389/fphys.2012.00072
  10. DuPont, M., Souriant, S., Lugo-Villarino, G., Maridonneau-Parini, I., & Vérollet, C. (2018). Tunneling Nanotubes: Intimate Communication between Myeloid Cells. Frontiers in Immunology, 9. https://doi.org/10.3389/fimmu.2018.00043
  11. Lou, E., Zhai, E., Sarkari, A., Desir, S., Wong, P., Iizuka, Y., Yang, J., Subramanian, S., McCarthy, J., Bazzaro, M., & Steer, C. (2018). Cellular and Molecular Networking Within the Ecosystem of Cancer Cell Communication via Tunneling Nanotubes. Frontiers in Cell and Developmental Biology, 6. https://doi.org/10.3389/fcell.2018.00095
  12. Schiller, C., Huber, J., Diakopoulos, K., & Weiss, E. (2013). Tunneling nanotubes enable intercellular transfer of MHC class I molecules.. Human immunology, 74 4, 412-6. https://doi.org/10.1016/j.humimm.2012.11.026
  13. Chakraborty, R., & Zurzolo, C. (2022). Tunnelling nanotubes between neuronal and microglial cells allow bi-directional transfer of α-Synuclein and mitochondria. Cell Death & Disease, 14. https://doi.org/10.1101/2022.12.13.519450
  14. Zhu, C., Shi, Y., & You, J. (2021). Immune Cell Connection by Tunneling Nanotubes: The Impact of Intercellular Cross-Talk on the Immune Response and Its Therapeutic Applications.. Molecular pharmaceutics. https://doi.org/10.1021/acs.molpharmaceut.0c01248
  15. Nawaz, M., & Fatima, F. (2017). Extracellular Vesicles, Tunneling Nanotubes, and Cellular Interplay: Synergies and Missing Links. Frontiers in Molecular Biosciences, 4. https://doi.org/10.3389/fmolb.2017.00050
  16. Mittal, R., Karhu, E., Wang, J., Delgado, S., Zukerman, R., Mittal, J., & Jhaveri, V. (2018). Cell communication by tunneling nanotubes: Implications in disease and therapeutic applications. Journal of Cellular Physiology, 234, 1130 – 1146. https://doi.org/10.1002/jcp.27072
  17. Abounit, S., Delage, E., & Zurzolo, C. (2015). Identification and Characterization of Tunneling Nanotubes for Intercellular Trafficking. Current Protocols in Cell Biology, 67, 12.10.1 – 12.10.21. https://doi.org/10.1002/0471143030.cb1210s67
  18. Suhail, Y., , K., Lee, J., Walker, M., Kim, D., Brennan, M., Bader, J., & Levchenko, A. (2013). Modeling Intercellular Transfer of Biomolecules Through Tunneling Nanotubes. Bulletin of Mathematical Biology, 75, 1400 – 1416. https://doi.org/10.1007/s11538-013-9819-4
  19. Wittig, D., Wang, X., Walter, C., Gerdes, H., Funk, R., & Roehlecke, C. (2012). Multi-Level Communication of Human Retinal Pigment Epithelial Cells via Tunneling Nanotubes. PLoS ONE, 7. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0033195
  20. Yamashita, Y., Inaba, M., & Buszczak, M. (2018). Specialized Intercellular Communications via Cytonemes and Nanotubes.. Annual review of cell and developmental biology, 34, 59-84. https://doi.org/10.1146/annurev-cellbio-100617-062932

その他の文献情報

  1. 2025.10.24【研究発表】細胞同士がつながっちゃう?丈夫なトンネルナノチューブを作る新たなメカニズム 東京都立大学 https://www.tmu.ac.jp/news/topics/38060.html 多くのTNTの細胞骨格はアクチンフィラメントですが、中にはより強い細胞骨格で、高速で方向性を持った輸送のレールとなる微小管を含むTNTもあります。今回、東京都立大学理学研究科の榎本美優(当時大学院生)、淺田明子助教、安藤香奈絵教授らは、TNTの形成を促進するタンパク質、CCT4を見つけました。
  2. Tunneling nanotubes enable intercellular transfer in zebrafish embryos Korenkova, Olga et al. Developmental Cell, Volume 60, Issue 4, 524 – 534.e3 February 24, 2025 https://www.cell.com/developmental-cell/fulltext/S1534-5807%2824%2900635-X
  3. Microglia rescue neurons from aggregate-induced neuronal dysfunction and death through tunneling nanotubes ミクログリアは凝集タンパク質による神経異常と細胞死をナノチューブのトンネルを形成して助ける Scheiblich et al. Neuron 112, 3106 – 3125.e8 (2024) 日本認知症学会(論文解説)
  4. Capobianco D. L. , Simone L. , Svelto M. , Pisani F. Intercellular crosstalk mediated by tunneling nanotubes between central nervous system cells. What we need to advance Frontiers in Physiology Volume 14 – 2023  https://www.frontiersin.org/journals/physiology/articles/10.3389/fphys.2023.1214210 DOI=10.3389/fphys.2023.1214210
  5. Driscoll, J.; Gondaliya, P.; Patel, T. Tunneling Nanotube-Mediated Communication: A Mechanism of Intercellular Nucleic Acid Transfer. Int. J. Mol. Sci. 202223, 5487. https://doi.org/10.3390/ijms23105487 https://www.mdpi.com/1422-0067/23/10/5487
  6. Khattar KE, Safi J, Rodriguez AM, Vignais ML. Intercellular Communication in the Brain through Tunneling Nanotubes. Cancers (Basel). 2022 Feb 25;14(5):1207. doi: 10.3390/cancers14051207. PMID: 35267518; PMCID: PMC8909287. 
  7. トンネルナノチューブを介した細胞間ミトコンドリア移送 三  木  敏  生 日本大学医学部生体機能医学系生理学分野 日大医誌 79 (5): 313–315 (2020)  ミトコンドリアの細胞間移送には,大きく二つの可能性 が示されている.まず一つは,細胞外小胞 (Extracellular Vesicles) を介したもの,そしてもう一つは,トンネルナ ノチューブ (TNTs) と呼ばれる特殊なチューブ状の構造 物の接続によるものである.  https://www.jstage.jst.go.jp/article/numa/79/5/79_313/_pdf/-char/ja
  8. トンネル ナノチューブ: 骨髄細胞間の密接なコミュニケーション Maeva Dupont,Shanti Souriant,Geanncarlo Lugo-Villarino,Isabelle Maridonneau-Parini,Christel Vérollet, PMID:29422895DOI:10.3389/fimmu.2018.00043 Frontiers in immunology20180101Vol.9 https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/29422895
  9. Hans-Hermann Gerdes, Amin Rustom, Xiang Wang, Tunneling nanotubes, an emerging intercellular communication route in development, Mechanisms of Development, Volume 130, Issues 6–8, 2013, Pages 381-387, ISSN 0925-4773, June–August 2013 https://doi.org/10.1016/j.mod.2012.11.006.
  10. Kolba, M.D., Dudka, W., Zaręba-Kozioł, M. et al. Tunneling nanotube-mediated intercellular vesicle and protein transfer in the stroma-provided imatinib resistance in chronic myeloid leukemia cells. Cell Death Dis 10, 817 (2019). https://doi.org/10.1038/s41419-019-2045-8
  11. Lou E, Fujisawa S, Barlas A, Romin Y, Manova-Todorova K, Moore MA, Subramanian S. Tunneling Nanotubes: A new paradigm for studying intercellular communication and therapeutics in cancer. Commun Integr Biol. 2012 Jul 1;5(4):399-403. doi: 10.4161/cib.20569. PMID: 23060969; PMCID: PMC3460850.
  12. 2009年11月23日 独立行政法人 理化学研究所 細胞間を連結する細胞膜ナノチューブの形成因子「M-Sec」を発見 -遠隔にある細胞間を連結し、素早く確実に情報伝達するシステム解明に貢献-  https://www.riken.jp/press/2009/20091123/index.html
  13. Amin Rustom et al. , Nanotubular Highways for Intercellular Organelle Transport. Science 303,1007-1010(2004).DOI:10.1126/science.1093133 https://www.science.org/doi/10.1126/science.1093133
  14. Ramírez-Weber FA, Kornberg TB. Cytonemes: cellular processes that project to the principal signaling center in Drosophila imaginal discs. Cell. 1999 May 28;97(5):599-607. doi: 10.1016/s0092-8674(00)80771-0. PMID: 10367889. 

技術移転、TLO(technology transfer organization)について

産学連携・産学協創のための研究助成事業

  1. 産学共創基礎基盤研究プログラム(JST) https://www.jst.go.jp/kyousou/outline/index.html
  2. 戦略的創造イノベーションプログラム(JST)https://www.jst.go.jp/s-innova/index.html

大学と企業とのマッチングの機会

  1. 新技術説明会(JST)https://shingi.jst.go.jp/

書籍

Stanford’s Office of Technology Licensing and the Cohen/Boyer Cloning Patents: Oral History Transcript / 199 2022/10/27 Sally Smith Hughes (著), Niels J Reimers (著)

資料

  1. JST産学連携 刊行物 https://www.jst.go.jp/tt/pamph/index.html

文献

  1. 技術移転の考え方―大学と大学に所属する研究者のために― 高橋 伸夫 東京大学大学院経済学研究科 中野 剛治 東京大学大学院経済学研究科 赤門マネジメント・レビュー 2 巻 10 号 (2003 年 10 月) https://www.jstage.jst.go.jp/article/amr/2/10/2_021002/_pdf
  2. TLO と弁理士  田中 正男 2003 パテント https://www.jpaa.or.jp/old/activity/publication/patent/patent-library/patent-lib/200301/jpaapatent200301_021-026.pdf
  3. 東京大学 TLO における技術移転の取組み 株式会社東京大学 TLO 代表取締役社長 本田 圭子 https://www.ceramic.or.jp/sangaku/journal/pdf_free_access/59_7_500.pdf 東京大学では年間約 500 件強の発明届出書があり、東京大学TLO担当アソシエイト は発明者へのインタビュー、特許性・市場性 の調査を実施し、調査結果を東京大学に上げる。東京大学はその報告を踏まえて大 学への承継および出願の要否を判断する。

TLO

  1. 法律に基づいて承認を受けた技術移転機関(承認TLO)令和7年4月1日現在30機関 https://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/sangakub/sangakub5.htm

記事

  1. 東大発の特許を後押し 弁理士の女性副社長が奮闘 東大TLO副社長 本田圭子氏(上) 2019 / 9 / 24 https://reskill.nikkei.com/article/DGXMZO49667250R10C19A9000000/ 1998年、大学等技術移転促進法(Technology Licensing Organization=TLO法)制定 特許につながりそうな研究成果があった場合、研究者は大学に発明届出書を提出するが、東京大学では年間約550件の発明届出書が提出される。東大TLOスタッフはその特許性や市場性を調査する。ライセンス契約を結ぶのが大変で営業力が必要。この発明は先行発明と何が違うのかという分析能力が大事。
  2. 5年がかりで弁理士に 知財発掘に挑む双子ママの奮闘 東大TLO副社長 本田圭子氏(下) 2019 / 10 / 1 https://reskill.nikkei.com/article/DGXMZO50194500V20C19A9000000/ 東大ではTLO担当者が研究室にはりつき、特許につながりそうな発明の情報をいちはやく仕入れる仕組みがある。

米国特許について

米国特許に関する公式文書

  1. U.S. Code: Title 35 — PATENTS https://www.law.cornell.edu/uscode/text/35
  2. https://www.uspto.gov/patents/basics
  3. Appendix L Consolidated Patent Laws — July 2025 Update https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/consolidated_laws.pdf
  4. Patent Law: A Handbook for Congress https://www.congress.gov/crs-product/R46525
  5. Manual of Patent Examining Procedure (MPEP) Ninth Edition, Revision 01.2024 https://www.uspto.gov/web/offices/pac/mpep/index.html

日本の法律との比較

日本の法律
対応する米国の法律 (U.S. Code)
備考
特許法
Title 35 (Patents)
ユーティリティ特許 (Utility Patent)
実用新案法
(該当なし)
小発明も Title 35 のユーティリティ特許で保護
意匠法
Title 35 (Patents)
意匠特許 (Design Patent)
商標法
Title 15 (Commerce and Trade)
ランハム法 (Lanham Act)

米国特許に関する解説書

  1. Patent It Yourself Your Step-by-Step Guide to Filing at the U.S. Patent Office David Pressman, David E. Blau
  2. 日本からの米国特許出願マニュアル  2025/11/10 三村 淳一  262ページ 日本から個人で米国特許出願を行うための具体的な手続と書類作成方法を、実例を交えて丁寧に解説した実務マニュアル。 日本大学ゼミ生による実際の出願事例を掲載 ・米国弁理士・米国特許実務経験を持つ著者 日本大学法学部教授
  3. 米国特許法判例から見た米国特許法(出願実務者向け)  2025/8/28 矢部 達雄 米国特許に関する主要な判例を紹介し、それらが米国特許出願実務において有益となるよう厳選・編集 まず米国特許法の全体像を俯瞰し、出願実務において拒絶理由の根拠となる主要条文(101条、102条、103条、112条)に関する基礎判例とその解釈の変遷を解説
  4. 自明性に関する米国特許重要判例 佐々木 眞人 2025/4/21  376ページ 発明協会 第1章 序章 第1節 判例法主義 第2節 判例法と制定法 第3節 103条の立法前の判例 第2章 103条の立法 第1節 1952年特許法改正まで 第2節 1952年改正特許法における103条 第3節 103条の立法趣旨 第4節 2011年特許法改正までの103条の改正 第3章 103条の立法後KSR判決までの判例 第1節 非自明性の判断手法を示した判例 第2節 Graham判決以降KSR判決より前までの最高裁判例 第3節 KSR判決 第4章 KSR判決後の判例 ‥
  5. 趣旨から理解する米国特許法103条とOBVIOUSNESS: 趣旨から理解する米国特許法シリーズ  2025/1/28 中村剛  日米国特許法を理解し考える力「米国特許『脳』」を鍛える
  6. 米国特許法講義  2020/9/19 武重 竜男 (著), 荒木 昭子 (著)

その他

  1. Legislative IP Acts (LIPA) / History Archive The Patent Act of 1952 – Legislative History – The Federico Commentary Commentary on the New Patent Act* P. J. Federico** https://ipmall.info/sites/default/files/hosted_resources/lipa/patents/federico-commentary.asp

クリーブランドー理研 日本人研究者 遺伝子スパイ事件の顛末

アメリカで働いていた一人の研究者が日本に職を得て、自分の研究試料を新しい職場に輸送した。試料の移送にあたり、長年の友人がアメリカの大学に勤務しているので一時的に、研究試料をラボの冷凍庫で保管してくれるように依頼し快く引き受けてもらった。

これは、研究者の世界ではありきたりの話ではないでしょうか。

ところがこれらの行為が、「窃盗」とみなされてしまい、二人の日本人研究者が告発されるという重大事件に発展しました。また、クリーブランドクリニックから帰国する研究者の日本での新しい職場となるはずだった理化学研究所は、組織的にこの窃盗行為を指示したと糾弾されました。こうして、当事者2人の日本人研究者のキャリアを大きく狂わせる結果になってしまったのです。

 

告発された2人の日本人研究者がしたこと

1997年から1999年まで米国のクリーブランド・クリニック財団に勤務していた日本人研究者の岡本氏は、細胞株とDNAサンプルを新しい職場である理化学研究所(RIKEN)へ移しました。この行為が「窃盗」と見なされ、友人の芹沢氏も生体試料の移送のための一時保管に協力したとして、両名は2001年5月、1996年制定の経済スパイ法違反、盗品輸送、共謀の罪で起訴されました。

カンザス大学助教授であった芹沢氏は、旧来の友人である岡本氏から研究サンプルを数週間預かってほしいと頼まれ、1999年7月、届いた箱を自身の研究室の冷凍庫で保管し、5週間後に日本の理研での新しい職場に向かう岡本氏に渡しただけでした。しかし、このささやかな親切行為が、思いもよらぬ結果をもたらしてしまったのです。

Serizawa’s legal troubles began in 1999, when he temporarily stored DNA samples as a favor for a friend, Alzheimer’s researcher Takashi Okamoto. Prosecutors allege that Okamoto stole the samples from the Cleveland Clinic Foundation in Ohio when he left for a new job in Japan. (Court Sentences Japanese Researcher Science 6 Jun 2003 Vol 300, Issue 5625 p. 1487 DOI: 10.1126/science.300.5625.1487c https://www.science.org/doi/10.1126/science.300.5625.1487c)

  1. Scientist gets probation in Clinic espionage case 05/29/03 John Mangels https://www.crisismanagement.com/scientist-gets-probation-in-clinic-espionage-case
  2. Published: 09 May 2002 Spying charges dropped as Japanese biologist cuts deal David Cyranoski Nature volume 417, page108 (2002) https://www.nature.com/articles/417108b
  3. Riken researcher may be in on crime: report Jun 9, 2001 The Japan Times
  4. Alzheimer Researcher Indicted for ‘Economic Espionage’ U.S. accuses researcher of taking lab samples to new job in Japan 15 May 2001ByEliot Marshall, Dennis Normile https://www.science.org/content/article/alzheimer-researcher-indicted-economic-espionage

カンザス大学に助教授として勤務していた日本人研究者の芹沢氏は、長年の友人である岡本氏がクリーブランド・クリニックから持ち出したアルツハイマー病の研究試料を一時保管するのに協力したことから科学スパイ(密輸共謀)の容疑で起訴されていましたが、この主要な起訴は後に取り下げられました。その理由は、検察当局自身が、問題となった物質は当初主張していた「企業秘密」には該当しないと認めたためです。ただし、芹沢氏はスパイ容疑とは別に「FBIに虚偽の情報を提供した」という軽い罪については、高額な裁判費用を避けるために罪を認めました。その結果、彼は永住権を維持しましたが、大学のテニュア(終身在職権)を失い、推定25万ドルという高額な訴訟費用を抱えることになりました。

The Information charges that on September 2, 1999, Serizawa provided a materially false, fictitious and fraudulent statement in an interview of him by Special Agents of the Federal Bureau of Investigation, who were investigating the theft of the research and material from the Cleveland Clinic Foundation (CCF), in that Serizawa: falsely understated the number of vials of research material which Okamoto had taken from Serizawa’s laboratory at KUMC, by initially indicating that 10 or fewer vials had been taken, when, in fact, several hundred vials were taken out of Serizawa’s laboratory by Okamoto; initially denied any recent personal contact with Okamoto, when, in fact, Serizawa had been in recent telephone, electronic mail and personal contact with Okamoto; and initially denied any knowledge of Okamoto having accepted a research position with RIKEN, when, in fact, Serizawa knew that Okamoto had accepted a research position at RIKEN.

Scientist Pleads Guilty to Providing False Statements Regarding Trade Secret Theft from Cleveland Clinic Foundation (May 1, 2002)  https://www.justice.gov/archive/criminal/cybercrime/press-releases/2002/serizawaPlea.htm

  1. The accidental spy David Cyranoski Nature volume 430, pages960–961 (2004) https://www.nature.com/articles/430960a
  2. Scientist gets probation in Clinic espionage case 05/29/03 John Mangels https://www.crisismanagement.com/scientist-gets-probation-in-clinic-espionage-case
  3. Case Closed Science 10 May 2002 https://www.science.org/doi/10.1126/science.296.5570.1003b
  4. Japanese Scientist Pleads Guilty To Lying In Espionage Case Published: May 2, 2002 at 8:01 AM JST  https://www.cleveland19.com/story/765392/japanese-scientist-pleads-guilty-to-lying-in-espionage-case/
  5. 日経バイオビジネス「遺伝子スパイ事件」 石塚 泰年 本稿では、『日経バイオビジネス』2001年7月号に掲載された、同年5月の「遺伝子スパイ事件」を扱った記事を紹介する。 http://www.ethics.bun.kyoto-u.ac.jp/fine/newsletter/n08b2.htm

判決

One of two Japanese researchers charged with industrial espionage has been fined $500, put on probation for 3 years, and ordered to put in 150 hours of community service. (Court Sentences Japanese Researcher Science 6 Jun 2003 Vol 300, Issue 5625 p. 1487 DOI: 10.1126/science.300.5625.1487)

  1. Researcher gets probation, fine Economic espionage charges dismissed in plea deal  https://www.record-courier.com/story/news/2003/05/29/researcher-gets-probation-fine-economic/19855430007/
  2. 日経バイオビジネス 巻号 (26)-(31) 記事 遺伝子スパイ事件–… 遺伝子スパイ事件–芹沢の手記(3)FBI捜査と逮捕後に知った驚くべき事実

 

理研の関与の有無について

理化学研究所(理研)は、米国に対する経済スパイ疑惑への関与を否定する報告書を発表し、岡本氏にオハイオ州のクリーブランド・クリニックから研究資料を盗むよう指示した事実はないと説明しました。また、岡本氏が7月31日付で理研を辞職したことも発表されました。岡本氏は、クリーブランド・クリニックから細胞株やDNAサンプルを持ち出した疑いで、米司法省から起訴されていましたが、理研は、企業秘密へのアクセスを目的として同氏を雇用したという疑惑も否定しています。

  1. RIKEN Scientist Quits; Lab Says It’s Clean Dennis NormileAuthors Info & Affiliations Science 10 Aug 2001 Vol 293, Issue 5532 p. 1033 DOI: 10.1126/science.293.5532.1033b https://www.science.org/doi/10.1126/science.293.5532.1033b

 

その他の参考サイト

  1. Missing U.S. genetic work not in Japan, lawyer says SHARE/SAVE May 14, 2001 The Japan Times  https://www.japantimes.co.jp/news/2001/05/14/national/missing-u-s-genetic-work-not-in-japan-lawyer-says/ A lawyer for Takashi Okamoto, a Japanese researcher charged with stealing genetic materials from a U.S. medical institute in Ohio, denies Okamoto brought any of the materials with him to Japan and said the material in question was jointly developed by Okamoto and another researcher before he arrived at the institute.

 

魚の骨の上下に伸びる骨と人間の骨との対応関係?

魚の骨の絵を描くと、

(いらすとや)

のように描く人が多いと思いますが、この上下に伸びる骨は一体、どんな種類の骨なのでしょうか。人間の骨を考えると、

魚の骨=人間の肋骨?と思いますが、肋骨が上側(背側)にも伸びているというのも変です。

今回は、魚の骨の解剖学を勉強してみます。

肋骨

人間の肋骨は内臓を包むような形をしていて内臓を保護していますが、魚も同様です。魚の体の中心をとおる背骨から肋骨が左右にで出て湾曲して、内臓を包み込むような形状をしています。魚の骨の横から見た絵だとわかりませんが、実は肋骨は左右にあって一対なわけです。人間と同様です。

AI による概要:「肋骨」と「腹骨」は同じものを指す言葉です。魚の「肋骨」は、内臓を保護するお腹側の骨で、一般的に「腹骨」や「あばら骨」と呼ばれます。これらの骨周りの肉は「あばら肉」といい、煮付けや汁物などに使われます。

  1. https://www.shibatashoten.co.jp/dayori/2011/06/15_1118.html 魚の肋骨(腹骨)の断面図があります。

では、魚の背骨から上側(背側)に長く伸びた「肋骨みたいな」骨はいったい何でしょうか?

棘突起

AIによる概要:魚の椎骨(せきついこつ)から背側(はいそく)に伸びる骨は、一般的に神経棘(しんけいきょく)、または棘突起(きょくとっき)と呼ばれます。 料理の文脈では、この神経棘を含めた細く長い骨全体を「中骨」と呼ぶこともあります。 これらの骨は、魚の体を支え、筋肉や靭帯が付着する役割を果たしています。

肋骨ではなくて、椎骨の一部である、棘突起だったのですね。魚の場合は、それが肋骨と同じくらいに長く伸びているというわけです。

  1. https://www.sekitsui.com/function/anatomy/

棘突起は人間にもあります。ただし魚のように長くはありません。手で背中の中心を触ったときに背骨を感じることができますが、ごつごつと突起を感じ取るができます。これが棘突起の部分です。

血管棘

魚の前方部分の内臓があるところに伸びている骨が肋骨なのはいいとして、じゃあ肋骨が尾の方まで存在しているのでしょうか?そうではありません。

AI による概要:魚の内臓がある部分よりも尾側(後ろ側)にある骨は肋骨ではありません。その部分は尾椎(びつい)と呼ばれる背骨(脊椎)の一部で、そこから腹側(下側)に伸びる骨は血管棘(けっかんきょく)と呼ばれます。

AI による概要:魚類の**血管棘(けっかんきょく)は左右一対ではなく、単一(正中線上)**にあります。血管棘は、魚の脊椎骨の腹側(下側)に突出している骨で、神経棘(背中側への突起)と同様に正中線上の構造物です。これらの棘の間を血管が通るための空間(血道弓門)を形成しています。

  1. https://kotobank.jp/word/%E9%AD%9A%E9%A1%9E-53530#goog_rewarded 魚類の骨格の図
  2. 臀鰭の領域(前方)において椎骨の血管棘を観察すると、その基部は分岐し、血管を入れるための椎孔が大きく開口していたが、血管棘の先端では 1 本に癒合し、体幹の正中面を下行
    ていた。同じ正中面に担鰭骨が配列していたが、血管棘とは異なる周期を示していた(図 7a,b)。

魚の腹側で尾側の長い骨は血管棘と呼ばれるのだそうです。基部では左右一対ですがそれが癒合して一本になっているのですね。

これでようやくイラストで描かれる魚の骨の、解剖学的な分類ができました。まとめると、人間と違って魚の場合には体の真ん中に背骨(脊椎)が位置していて、背側に伸びる長い骨は、人間の椎骨にも存在する棘突起、腹側に伸びる長い骨は、内臓部分は人間と同様に肋骨、それより尾側の骨魚特有の骨で血管棘だったというわけです。

 

特許の要件である新規性は、大学の内部の研究会での発表でも失われるのか?

Manus:

はい、非常に重要なご質問です。結論から言うと、**はい、大学内の研究発表会での発表であっても、原則として新規性は失われます。**

これは特許制度における「公知(こうち)」の考え方に基づいています。多くの人が「公の場で発表する」ことだと誤解しがちですが、法律上の扱いはもっと厳しいのです。

### なぜ大学内の発表でも新規性が失われるのか?

特許法でいう「公然と知られた発明(公知)」とは、**「秘密保持義務を負わない不特定多数の人に、発明の内容が知られうる状態になったこと」**を指します。

大学内の研究発表会に当てはめてみましょう。

1. **参加者は「不特定」か?**
* たとえ参加者が同じ大学の教員や学生だけであっても、彼らはあなたに対して個別に「この発表内容を外部に漏らしません」という**秘密保持契約(NDA)を結んでいるわけではありません。**
* したがって、法律上は「秘密保持義務を負わない人々」の集まりと見なされます。

2. **発表内容は「知られうる状態」になったか?**
* あなたが口頭で発表し、スライドを見せた時点で、その場にいた人は発明の内容を理解できる状態になります。
* その参加者の一人が、発表会が終わった後に、善意で友人に「今日、〇〇研究室がすごい発表してたよ」と話してしまう可能性を止めることはできません。
* この**「秘密が漏れる可能性が生まれた」**時点で、発明は「公然と知られた」と判断され、新規性が失われてしまうのです。

**ポイント**:
* 実際に外部に情報が漏れたかどうかは関係ありません。
* 参加者が1人でも「秘密保持義務を負わない人」がいれば、その時点で公知となります。
* 学会の要旨集や抄録、大学のウェブサイトに発表内容が掲載された場合も、同様に新規性が失われます。

### 新規性を失ってしまった!もう特許は取れないのか?

ご安心ください。こうしたうっかり失効を防ぐための救済措置があります。それが**「新規性喪失の例外規定(グレースピリオド)」**です。

これは、「うっかり自分で発明を公開しちゃったけど、ちゃんと手続きすれば、その公開はなかったことにしてあげるよ」という制度です。

#### 例外規定を使うための重要ルール(日本の場合)

1. **期間制限**:
* 発明を公開した日(大学での発表日)から**1年以内**に特許を出願する必要があります。この1年という期間は絶対に守らなければなりません。

2. **手続き**:
* 特許出願と**同時**に、「新規性喪失の例外規定の適用を受けたい」という書面を特許庁に提出します。
* 出願から**30日以内**に、いつ、どこで、どのように発表したかを証明する「証明書」を提出します。(例:発表会のプログラム、発表で使ったスライド、指導教員による証明など)

#### 注意点!

* **あくまで「自分の行為」に対する救済**: この制度は、自分自身や共同研究者が発明を公開した場合の救済措置です。もし、あなたの発表を聞いた第三者が、あなたより先に同じ内容で特許を出願してしまったら、もう特許は取れません(先願主義)。
* **外国出願では使えないことも**: この例外規定は、国によって制度が大きく異なります。期間が6ヶ月だったり、そもそも制度がなかったり、適用される公開の範囲が限定されていたりします。グローバルな特許取得を目指す場合は、安易にこの制度を頼りにせず、**「発表する前に必ず出願する」**を徹底するのが鉄則です。

### まとめ:研究者が取るべき行動

> **発表前(学会、論文投稿、研究会など)に、まず出願を済ませる。**

これが、研究成果を知的財産として守るための最も安全で確実な方法です。

もし、やむを得ず発表が先になってしまった場合は、慌てずに大学の知財部やTLO(技術移転機関)、あるいは弁理士にすぐに相談し、「新規性喪失の例外規定」の手続きを1年以内に必ず行うようにしてください。


– 「新規性喪失の例外規定」の手続きについて、具体的な書類の書き方や流れをさらに詳しくご説明しましょうか?
– 日本、アメリカ、ヨーロッパでの「新規性喪失の例外規定」の制度の違いを比較してご説明しましょうか?
– 共同研究の場合、誰が特許を出願する権利を持つのか(発明者の認定)について知りたいですか?

知財化・特許出願の実際

研究から産業へ ― 発明発掘から技術移転までの実践的アプローチ ― INPIT Channel チャンネル登録者数 1020人 チャンネル登録

  1. 大学の研究成果は、そのままでは活用されない(研究は進んでも、活用は進まない)
  2. 大学が単願特許をとる意義 単願特許にこだわること!企業と大学で半々にしない。基礎となるところは大学が単願特許をとり、量産化などに関して企業と共同出願するなど。単願がお金を生み出す。
  3. https://ip-academia.inpit.go.jp/ の活用を
  4. 発明発掘・技術移転を成功させるために 研究者と信頼関係を築く 研究成果の事業ストーリーを描く URAはスーパージェネラリスト
  5. 特許は使われてナンボ 多くの特許は使われていない!特許でお金を稼いで、そのお金をまた特許化に使って、良い循環をつくる。
  6. ベンチャーキャピタルは、判断に際して、ヒトもみるが、知財を見る。
  7. 講師(動画の演者)https://researchmap.jp/yasushi
  8. 知財戦略プロデューサーとは iAcaに採択されると、知的財産マネジメントの専門家である「知財戦略プロデューサー」がINPITから派遣されて支援を行います。現在、支援を担当する知財戦略プロデューサーをご紹介します。 https://ip-academia.inpit.go.jp/ip-strategy-expert/
  9. 共同出願の種類 https://s.patent.ne.jp/static/elearning/e-learn_03/contents/06_02.htm

 

下の動画は、特許に関する非常に基本的な考え方を含めて、具体的な事例も交えた解説になっています。ですので、初めて特許について学ぶ人にも向いている動画です。

MEDISOセミナーシリーズ~医療系ベンチャーの壁を超える~ vol.09知財編:開発初期から知っておきたい、プログラム医療機器の知財戦略 MEDISO / 医療系ベンチャー・トータルサポート事業 チャンネル登録者数 393人

 

下の動画でも、特許の基本のキから説明があって、分かりやすいです。

MEDISOセミナーシリーズ~医療系ベンチャーの壁を超える~ vol.03 知財編:医療系ベンチャーが先ず理解すべき知財戦略を知る MEDISO / 医療系ベンチャー・トータルサポート事業 チャンネル登録者数 393人 https://www.youtube.com/watch?v=7aJ0214lOmk

  1. 特許法51条 審査官は、特許出願について拒絶の理由を発見しないときは、特許をすべき旨の査定をしなければならない ⇒ 発明が素晴らしい場合に特許されるのではない。拒絶理由を見つけられないように書いていくことが大事。
  2. 進歩性とは、技術が進歩していることではない!誤解している人が多いが、進歩性とは、他の人が思いつかないこと(米国では、非自明性と呼んでいる)
  3. 出願が公開されると公開された出願が先行文献になる。それで自分の首が締まる!自分でそれ以降の特許が取りづらくなる恐れがある!そこから人が思いつかないような、狭い特許しか取れなくなるなど。出願戦略を予め立てておくことが大事。
  4. 新規性:出願前にホームページに内容を掲載したり、学会発表をしてしまうと、新規性を失う!
  5. パテントポートフォリオ
  6. 氏名がわかっている弁理士の実績を調べる方法 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/p0100 特許・実用新案 プルダウンメニュー > 特許・実用新案検索 > 検索キーワード 検索項目 プルダウンメニュー:代理人 > (画面右側の)近傍検索 > 2) キーワード1、2が出現する距離(1~99)を入力してください。: > キーワード1 に 苗字、 キーワード2 に を入力    これで 検索 ボタンをクリックして検索すると、その弁理士が扱った案件が表示される。さらに 検索オプション で 登録日あり で絞り込むと、特許になったものが一覧できる。これでその弁理士のお客さんの会社がどこか、どんな分野の案件を扱っているのかもわかる。
  7. その弁理士が国際特許をとった経験があるかどうかは パテントスコープ https://patentscope2.wipo.int/search/ja/search.jsf で氏名で検索を書けると一覧される。
  8. AI による概要 特許の要件の「進歩性」とは、その発明が、世の中にある先行技術に基づいて、その技術分野の専門家(当業者)が容易に成し遂げることができたとはいえないことを意味します。特許法第29条第2項に規定されている要件です。 より具体的には、新規性がある(新しい)発明であっても、先行技術の組み合わせや設計変更、周知技術の適用などによって当業者が容易に想到できたと考えられる場合は、進歩性がないと判断されます。英語訳: inventive step欧州(EPO)や日本(JPO)、国際出願(PCT)の文脈で一般的に使われる表現です。 non-obviousness 主に米国(USPTO)の特許法で使われる表現で、「非自明性」とも訳されます。

 

下の動画は、非常にわかりやすい説明でした。話の内容も具体的かつ普遍性が高くて、役立ちます。

知の探究から価値創造へ ー 研究者ならではの発想で起業を実現する方法 ー INPIT Channel チャンネル登録者数 1020人

 

アカデミアにおける知財マネジメント研究の最前線-吉岡(小林) 徹 氏(一橋大学イノベーション研究センター講師)Vol.069 野崎篤志のイーパテントチャンネル-調査・分析系中心- チャンネル登録者数 3170人

 

知財関連の法律

  1. 工業所有権法(産業財産権法)逐条解説〔第22版〕https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/kaisetu/kogyoshoyu/chikujokaisetsu22.html 全体版一括ダウンロード(PDF:18,366KB)(2401ページPDF) *産業財産権法とは、知的財産権のうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権を総称した法律の総称

用途発明 ってよく耳にするけど、何だっけソレ?

Manus:

「用途発明」、よく耳にしますよね。非常に重要かつ強力な発明のカテゴリーです。一言でいうと、**「すでにある物の、誰も知らなかった新しい使い道を見つける発明」**のことです。

ポイントは、**「物」自体は新しくなくてもよい**、という点です。

### 用途発明のキホン

用途発明は、以下の3つの要素で成り立っています。

1. **既知の物質(物)**:
* その存在や構造がすでに知られている化学物質、タンパク質、化合物など。
* 例:昔から存在する化合物X

2. **未知の属性(性質)**:
* その物質が持つ、これまで誰にも知られていなかった性質や機能。
* 例:化合物Xに「血糖値を下げる効果」があることを発見した!

3. **特定の用途への利用**:
* その新しく発見した属性を利用して、特定の目的(用途)に使うこと。
* 例:化合物Xを「糖尿病の治療」に利用する。

この場合、たとえ「化合物X」自体が何十年も前から知られている物質であっても、**「化合物Xを有効成分として含有する、糖尿病治療薬」**という形で、新しい特許(用途発明)を取得することができるのです。

### なぜ用途発明が重要なのか?

もし用途発明が認められないと、せっかく莫大な費用と時間をかけて新しい薬効を見つけても、誰でも自由にその薬を作れてしまい、開発費を回収できなくなります。それでは、新しい薬を開発しようという意欲がなくなってしまいますよね。

そのため、特に医薬品の分野では、新しい使い道(薬効)を発見したことを発明として保護する「医薬用途発明」が、製薬会社の生命線となっており、非常に重要視されています。

### 具体例でイメージする

* **例1:育毛剤「ミノキシジル」**
1. **既知の物質**: もともと「ミノキシジル」は、高血圧の治療薬(血管拡張剤)として開発されました。
2. **未知の属性発見**: 臨床試験中に、副作用として「多毛」の症状が報告されました。
3. **新しい用途**: 「なるほど、髪を生やす効果があるのか!」ということで、「育毛剤」としての用途が見出されました。
4. **用途発明**: 結果として、「ミノキシジルを含有する、脱毛症治療薬(育毛剤)」という用途発明が成立しました。

* **例2:ご提示のタンパク質Aの例**
1. **既知の物質**: タンパク質A(アミノ酸配列も構造も知られている)
2. **未知の属性発見**: あなたが研究した結果、タンパク質Aに「肌のコラーゲン産生を促進する効果」があることを発見した。
3. **新しい用途**: タンパク質Aを「肌のハリを改善する」という美容目的に利用する。
4. **用途発明**: **「タンパク質Aを有効成分として含有する、皮膚のハリ改善用化粧品組成物」**という用途発明が成立する可能性があります。

### 特許請求の範囲(クレーム)の書き方

用途発明は、「方法の発明」ではなく、「物の発明」として表現するのが一般的です。

* **NGな表現**: 「化合物Xを患者に投与する**方法**。」
* これは「治療方法」そのものと見なされ、日本では特許になりません。

* **OKな表現**: 「化合物Xを有効成分として含有する、〇〇病治療**用医薬組成物**。」
* これは「特定の用途(〇〇病治療)に限定された物(医薬組成物)」の発明と解釈され、特許の対象となります。

このように、用途発明は、既存の物質の価値を再発見し、新たなイノベーションを生み出すための非常に強力なツールなのです。


– 医薬品以外の分野(例:農薬、食品、材料科学など)での用途発明の具体例を調べてみましょうか?
– ある物質の新しい用途を発見した場合、どのような実験データがあれば特許として認められやすいかご説明しましょうか?
– 「用途発明」と似ていて間違いやすい「剤形発明」(例:錠剤を貼り薬にするなど)との違いについて知りたいですか?