椎骨動脈乖離とは?
椎骨動脈乖離(vertebral artery dissection, VAD)とは、首の後ろを走る椎骨動脈の血管壁に亀裂が入り、血管の内膜が剥がれて血流が壁の中に入り込む状態を指します。これにより血管の内腔が狭くなったり、閉塞したり、血栓ができて脳の血管へ飛んだりすることで、脳梗塞や一過性脳虚血発作(TIA)を引き起こすことがあります。
発生機序
- 血管壁は 内膜・中膜・外膜の3層から成りますが、乖離では内膜が傷つき、血液が壁の中に入り「偽腔」を形成します。
- その結果:
- 血流が遮断 → 椎骨脳底動脈系の虚血(脳幹、小脳の梗塞)
- 血栓形成と塞栓 → 脳梗塞の原因に
- まれに 動脈瘤様の膨らみをつくることもあります。
原因
- 外傷性:交通事故やスポーツによる頸部の過伸展・回旋(例:柔道、ゴルフ、スキー)
- 特発性:特に外傷歴がなくても自然に発生することがあり、若年者や中年者でも起こりうる
- 結合組織疾患(Marfan症候群、Ehlers-Danlos症候群)などが素因となる場合もあります。
症状
- 頸部痛や後頭部痛(突然の激しい頭痛として始まることも)
- めまい、ふらつき
- 複視、視覚障害
- 四肢のしびれや運動障害
- 意識障害(重度の場合)
診断
- MRI/MRA:血管の狭窄や偽腔、壁内血腫を確認
- CTアンギオ:血管の形態変化を捉える
- 脳血管造影:詳細評価に有用
治療
- 基本は抗血小板薬または抗凝固薬による血栓・塞栓予防
- 重症例や動脈瘤様拡張が危険な場合は**血管内治療(ステント留置)**や外科治療が検討されることもあります。
- 多くは自然治癒傾向があり、数か月で再疎通・治癒することも少なくありません。
要するに、椎骨動脈乖離は 首の動脈の壁が裂けて血管障害を起こす病気で、脳梗塞の原因となる重要な疾患です。
(ChatGPT 5)
- 頭蓋内動脈解離は、脳の血管が裂けることで発生する病気です。裂けた血管が詰まったり、壁にできた血栓が飛んだりして、脳梗塞を引き起こすことがあります。静注血栓溶解療法は、rt-PAと呼ばれる薬を使って血栓を溶かし、詰まった血管を再び通す治療法です。この治療は脳梗塞患者の転帰を改善する効果が証明されており、標準治療として広く用いられています。https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2025-02-25
- 枕が高いほど脳卒中になりやすく ~椎骨動脈解離(国立循環器病研究センター 猪原匡史部長)~ https://medical.jiji.com/topics/3475 椎骨動脈は首の骨の中を通り、脳に血液を送っている動脈。その一番内側の内膜に裂け目ができ、そこに血液が流れ込んで膨らみ、血流が障害されるのが椎骨動脈解離だ。
- 突然の頭痛や首痛は…くも膜下出血を招く「椎骨動脈解離」かもしれない 公開日:2023/06/10 06:00 https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/health/355179 脳へ向かう動脈は、首の前側を走る頚動脈と後ろ側を走る椎骨動脈があり