特許法
(審判の請求の取下げ)
第百五十五条 審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。
2 審判の請求は、第百三十四条第一項の答弁書の提出があつた後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。
3 二以上の請求項に係る特許の二以上の請求項について特許無効審判を請求したときは、その請求は、請求項ごとに取り下げることができる。
4 請求項ごとに又は一群の請求項ごとに訂正審判を請求したときは、その請求の取下げは、その全ての請求について行わなければならない。
プロンプト:この第1項って、第2項に矛盾していない?全部に関して言っているのが第1項だと思うけど、第2項でダメな例を後だししてるよね?
Gemini 3:
おっしゃる通り、パッと読むと「第1項で『できる』って言ったのに、第2項で『ダメ(条件付き)』って言ってるじゃないか!」と矛盾を感じますよね。
これは法律の条文によくある構成で、**「第1項=いつまで可能か(期間)」を定め、「第2項=その期間内でも守るべきルール(条件)」**を付け加えている、という関係性になっています。
決して矛盾しているわけではなく、**「第1項の期間内であっても、ある時点を過ぎたら相手の許可が必要だよ」**という二段構えのルールなのです。
1. 第1項と第2項の役割分担
それぞれの役割を整理するとスッキリします。
| 項目 | 内容 | 役割 |
| 第1項 | 審決が確定するまで取り下げOK | **タイムリミット(終点)**の規定 |
| 第2項 | 答弁書が出た後は相手の承諾が必要 | **ハードル(条件)**の規定 |
2. なぜ第2項のような「後出しの制限」があるの?
「自分の申し立てなんだから、いつでも自由にやめさせてよ」と思うかもしれませんが、これには相手方(特許権者など)を守るためという理由があります。
無効審判を例に考えてみましょう。
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攻撃(請求人): 「この特許は無効だ!」と審判を仕掛ける。
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防御(相手方): 特許を守るために、必死に反論資料(答弁書)を作って提出する。
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請求人の心変わり: 相手の反論が強烈だったので、「あ、これ勝てないかも。一旦取り下げて、また作戦を練り直して出直そう」と考える。
もしここで自由に(勝手に)取り下げを許してしまうと、せっかく必死に準備した相手方の努力が水の泡になってしまいます。また、何度も同じような審判を仕掛けられる「嫌がらせ」に使われるリスクもあります。
そのため、**「相手が反論(答弁書)を出して土俵に上がった後は、相手に『やめてもいいですか?』と聞かなきゃいけない」**というルールにしているのです。
3. 相手方が「取り下げ」を拒否する場合とは?
実は、攻撃されている側の相手方も**「いや、取り下げは認めない。このまま審理を続けて、はっきり『この特許は有効だ!』という審決(お墨付き)をもらいたい」**と考えるケースがあります。
一度「有効」という審決が確定すれば、後から同じ理由で蒸し返されるのを防げる(一事不再理)ため、相手方にとっても最後までやり遂げるメリットがあるのです。
まとめ
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第1項は、「審決が確定しちゃったら、もう取り下げなんて言えないよ」という時間切れのラインを引いています。
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第2項は、そのラインの内側であっても、「相手が準備を始めた後は、相手の言い分も尊重してね」というマナーを定めています。
豆知識
ちなみに、第2項で「相手方の承諾」が必要になるのは、無効審判のように争う相手(被請求人)がいる場合だけです。拒絶査定不服審判のように、相手が特許庁長官(審査官)だけで、実質的な争いがない場合は、いつでも自由に取り下げられます。
Claude Opus 4.5:
いい質問ですね。矛盾しているように見えますが、法律の条文構造としては典型的なパターンです。
第1項と第2項の関係
**第1項は「原則」**を定めています。 第2項は「例外」(原則に対する制限)を定めています。
つまり、こう読みます:
審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。**ただし、**答弁書の提出があった後は、相手方の承諾を得なければ、取り下げることができない。
なぜこういう書き方をするのか
法律の条文では、
- まず原則を述べる(第1項)
- 次にその例外・制限を述べる(第2項以下)
という構造が一般的です。「ただし書き」として同一項内に書く場合もありますが、内容が複雑になると別の項に分けます。
趣旨の違い
- 第1項の趣旨:時間的限界(審決確定まで)
- 第2項の趣旨:手続的制限(相手方の利益保護)
答弁書を出すということは、被請求人も時間・労力・費用をかけているので、請求人が一方的に「やっぱりやめます」と言えないようにしているわけです。
なので矛盾ではなく、第1項の原則を第2項が絞り込んでいるという関係ですね。
ChatGPT 5.2:
いいところに目を付けています。結論から言うと、第1項と第2項は矛盾していません。
ただし、第1項だけを単独で読むと「無条件でいつでも取下げ可能」に見えてしまうため、混乱しやすい条文構造ではあります。
以下、条文解釈としてどう整理するかを、体系的に説明します。
結論の整理(先に要点)
- 第1項:
👉 「審判請求は、原則として、審決確定までは取り下げ可能」 という原則規定 - 第2項:
👉 その原則に対する例外(制限)規定
→ 答弁書提出後は、相手方の承諾が必要
したがって、
「取り下げることができる」
= 常に・無条件にできる、という意味ではない
というのが正しい読み方です。
条文構造としての正しい理解
① 第1項は「原則」を言っているだけ
第155条1項
「審判の請求は、審決が確定するまでは、取り下げることができる。」
これは、
- 審決確定「前」か「後」か
という時間的限界を定めている条文です。
つまり、
- ❌ 審決確定後 → 取下げ不可
- ⭕ 審決確定前 → 原則として 取下げ可能
という “大枠のルール” を示しています。
② 第2項は「その原則の制限条件」
第155条2項
「第134条1項の答弁書の提出があった後は、相手方の承諾を得なければならない」
ここで新たに導入されるのは、
- 相手方の手続保障
- 当事者対立構造が形成された後の保護
という観点です。
つまり、
- 審判請求
- ↓
- 相手方が答弁書を提出(防御準備・コスト発生)
- ↓
- 請求人が一方的に撤退するのは不公平
という発想です。
👉 だから「相手方の承諾」が必要になる。
「後出しでダメな例を出している」のか?
感覚としては 半分正しい です。
立法技術的には
- 第1項:一般原則
- 第2項:条件付き制限
という、典型的な条文の積み重ね構造です。
ただし
- 「取り下げることができる」と断定的に書いてある
- 「ただし」や「前項の規定にかかわらず」が書かれていない
ため、
👉 条文単体で読むと誤解しやすい
というのは、実務家・受験生あるあるのポイントです。
条文を論理式で書くとこうなる
第155条全体は、実質的にはこう読めます:
審判請求は、
審決確定前であれば取り下げ可能である。
ただし、
相手方が答弁書を提出した後は、相手方の承諾を要する。
👉 実務・試験では、この「ただし」を頭の中で補うのが正解です。
なぜこの構造にしたのか(制度趣旨)
- 審判制度は当事者主義
- 相手方が答弁書を出した時点で
→ 防御活動が現実化 - 無条件取下げを許すと
→ 濫用(牽制目的の審判請求 → 直前撤退)が起きる
そのため、
- 初期段階:自由
- 対立構造成立後:制限
という二段構えになっています。
まとめ(試験向け一文)
第155条1項は取下げの原則を定め、
第2項は、答弁書提出後という手続段階に応じた制限を課すものであり、
両者は矛盾せず、補完関係にある。