心不全と心腎連関に関する科研費研究87件

スポンサーリンク

心不全は心腎連関ぬきには考えられないのだそうです。心不全と心腎連関に関する最新の研究を網羅するため、KAKENデータベースで採択研究課題を調べてみました。科研費研究が87件見つかりました。

ちなみに採択された研究課題の概要を読むと、科研費計画調書の概要の書き方を学ぶことができます。以下、太字や下線は、私が自分で読み解くときの手がかりとして付したものです。

  1. 心不全における腎交感神経求心路の役割:「腎→脳→心」の臓器連携機序の解明 2021-04-01 – 2024-03-31 基盤研究(C) 小区分53020:循環器内科学関連 篠原 啓介 九州大学, 医学研究院, 助教 (30784491) 研究開始時の概要:心臓病と腎臓病が互いに関連しあう「心腎連関」の機序はいまだ不明な点が多い。交感神経系は心臓や腎臓のコントロールを含む循環調節に重要であり、交感神経活動を最終的に規定するのは脳である。腎臓交感神経求心路の興奮は脳に入力し、交感神経制御に関連することが示唆されている。応募者らは、脳内レニン・アンジオテンシン系の亢進が交感神経活性化を引き起こすことを示してきた。本研究の目的は、「腎交感神経求心路の心不全病態への寄与」を調べ、さらに「腎→脳→心の連携における脳内機序」を明らかにすることであり、特に脳内レニン・アンジオテンシン系に着目した脳内機序を検証する。 研究概要: 研究成果の概要
  2. 心腎連関におけるミトコンドリア代謝 2020-04-01 – 2022-03-31 若手研究 小区分53040:腎臓内科学関連 松浦 亮 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (30847041) 研究開始時の概要:心不全患者における慢性腎臓病(CKD)の合併率は高く、CKDを合併している場合には予後が不良である。しかし、その病態は明らかではなく、有効な治療方法もない。本研究では心不全による腎障害の進展は、腎交感神経活性化を介したミトコンドリア生合成の低下が主病態であるという仮説を立て、それを証明することを目的とした。またミトコンドリア生合成を活性化する物質を投与することで心不全における腎障害の改善がみられることも検証する。 研究概要: 研究成果の概要
  3. 超音波検査で犬の心腎連関を解明できるか:右心室機能と腎うっ血に注目した検討 2020-04-01 – 2023-03-31 若手研究 小区分42020:獣医学関連 森田 智也 岩手大学, 農学部, 助教 (60862282) 研究開始時の概要:人医療において心臓と腎臓の密接な関わり「心腎連関」が心不全患者の寿命に大きく影響を与えていることが近年明らかとなってきた。また心腎連関の主要因である腎臓のむくみ「腎うっ血」を超音波検査で評価することが可能であり、その有用性が示されてきた。しかし犬においての研究はほとんど行われていない。本研究では、臨床例の心疾患犬とモデル犬における検討を行うことで、犬において腎うっ血が実際に起こるのか、もし起こるのならどのような因子によって引き起こされているかを明らかにすることを目的とする。その結果、犬における心腎連関に関する基礎的な情報が得られるとともに、高リスク患者の選別や治療選択への応用が期待できる。 研究概要: 研究成果の概要
  4. 尿細管上皮のNaチャネル発現亢進を標的とした心腎連関に対する新規治療の確立 2020-04-01 – 2023-03-31 基盤研究(C) 小区分53040:腎臓内科学関連 草場 哲郎 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60367365) 研究開始時の概要:本研究では腎近位尿細管Naチャネルの抑制を標的とした心-腎連関に対する治療法の確立に向けた基盤となる研究を行う。具体的に、①心不全モデルマウスの腎臓でのNaチャネルを中心とした遺伝子発現を網羅的に解析し、候補分子(今回はNaPi2aが第一候補)を同定する。②同分子の遺伝子改変もしくは薬物を用いた機能抑制により、心不全の予後改善、心機能保護効果を検討する。 研究概要: 研究成果の概要
  5. 慢性腎臓病進展における心腎連関の機序解明 2020-04-01 – 2023-03-31 基盤研究(C) 小区分53040:腎臓内科学関連 横井 秀基 京都大学, 医学研究科, 講師 (90378779) 研究開始時の概要:近年、心臓と腎臓の生理学的・病理学的な密接な関係性を「心腎連関」と呼称し、包括的な病態理解・治療介入探索が検討されるようになってきている。心臓・腎臓の一方に生じた障害が、他方にも影響して障害を引きおこすcardio-renal syndrome (CRS)という疾患概念も広く受け入れられている。本研究は心不全マウスを用いて、そのマウスに腎障害を起こすことにより心腎連関の機序を解明する研究である。 研究概要: 研究成果の概要
  6. 心腎連関において長期的運動が酸化ストレスにおよぼす影響について 2019-04-01 – 2023-03-31 若手研究 小区分59010:リハビリテーション科学関連 高橋 麻子 東北医科薬科大学, 医学部, 講師 (20825773) 研究開始時の概要:腎不全と心不全の病態はお互いに密接に関係しており、心腎連関と呼ばれる。このメカニズムには、レニン-アンジオテンシン系、nitric oxide系、交感神経、酸化ストレスが関与していると考えられているが、その詳細は不明である。心不全患者への運動療法の有効性は示されている一方で、腎不全患者の心機能への運動療法の有効性は明らかでない。そこで、腎不全モデルラットを用いて長期的運動が心臓の酸化ストレスに及ぼす影響を検証することを本研究の目的としる。運動療法と薬物療法の併用の有効性を提言し、ひいては心不全・腎不全患者の予後改善、透析導入患者数の減少に寄与できることを期待する。 研究概要: 研究成果の概要
  7. 腎尿細管における受容体随伴性プロレニン(RAP)系による循環調節の解明 2019-04-01 – 2021-03-31 若手研究 小区分53020:循環器内科学関連 木野 旅人 横浜市立大学, 医学部, 客員研究員 (00829608) 研究開始時の概要:心疾患と腎疾患には、共通する病態があり心腎連関と呼ばれている。慢性腎臓病は心血管疾患の強いリスクであり、急性心不全には高頻度に急性腎障害を合併する。レニン・アンジオテンシン・アルドステロン(RAA)系や自律神経系が、この病態に深く関与しており、RA系阻害薬、アルドステロン拮抗薬、β遮断薬が臨床応用されている。本研究は、近年明らかにされた、RAA系の新たなコンポーネントであるRAP(Receptor Associated Prorenin:受容体随伴プロレニン)系に注目して、腎尿細管でのRAP系の機能、心腎連関の病態への関与を、遺伝子改変動物を用いて分子レベルで解明することを目的としている。 研究概要: 研究成果の概要
  8. 血液透析患者における歯周病が心血管病に与える影響 2019-04-01 – 2022-03-31 基盤研究(C) 小区分57080:社会系歯学関連 大田 祐子 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (90610973) 研究開始時の概要:慢性腎臓病(CKD)における心血管疾患による死亡原因は最も多く、CKDは心血管病の危険因子であることが明らかになっている。また、歯周病は、心血管病とCKDに共通する危険因子である。歯周病が予防可能、治療可能な疾患であることを考慮すると、歯周病と心血管病の関連を明らかにする意義は大きいが、歯周病とCKDの関連性を検討した臨床研究のほとんどは欧米人が対象で、コホート研究は少ない。本研究では、日本人の血液透析患者を対象とした心血管病データベースを再構築した疫学研究の成績を用いて、心血管病発症とそれによる死亡を標的として、歯周病重症度との関連を評価し、歯周病が心腎連関進展へ与える影響について検討する。 研究概要: 研究成果の概要
  9. 尿毒素による心不全発症・再発の病態解明と新規治療戦略の基盤構築 2019-04-01 – 2022-03-31 基盤研究(C) 小区分53020:循環器内科学関連 伊藤 浩 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (90446047) 研究開始時の概要:慢性腎臓病は心血管疾患発症のリスク因子である。心腎連関の主因物質は十分明らかでないが、血液中の尿毒素の一つであるインドキシル硫酸の関与が示唆されている。本研究では、基礎研究として尿毒素が心不全発症に関与する分子病態を動物実験にて明らかにし、心臓における心腎連関の新規標的分子の探索を行う。同時に、臨床研究として血中インドキシル硫酸と心不全発症の関連を前向きの多施設レジストリーにて検証する。このように、基礎と臨床の両面からインドキシル硫酸の心臓への影響を明らかにし、心不全に対する新規治療戦略の基盤を構築する。 研究概要: 研究成果の概要
  10. グルカゴン依存性交感神経制御機構の解明と心血管病での役割ー心事故予防を目指して 2019-04-01 – 2022-03-31 基盤研究(B) 小区分53020:循環器内科学関連 暮石泰子 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (60452190) 研究開始時の概要:代表者らは、グルカゴン欠損マウス(Gcg-null)の心臓を解析し、高血圧と心肥大を伴う収縮機能不全性心不全を呈することを発見した(投稿準備中)。その機序には、Gcg欠損により、副腎アドレナリン分泌を制御する責任分子の生理的抑制制御の逸脱が起こり、Adrの過剰分泌を引き起こすことを解明し現在その責任分子X関連シグナリングの探索と、このGcgによる新たな神経―内分泌制御系の病態意義に関して研究を継続している。本研究は糖尿病専門医との連携により代表者らが発見したGcg依存性交感神経制御機構の解析結果を発展応用させ、交感神経活性評価の血液サンプルによる簡便なサロゲート診断法や治療法の開発を目指す。 研究概要: 研究成果の概要
  11. 慢性腎臓病におけるPlGFとsFlt-1の発現不均衡に関する機序の解明 2018-04-01 – 2020-03-31 若手研究 小区分53020:循環器内科学関連 中田 康紀 奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (70812379) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:慢性腎臓病患者では心血管疾患が,逆に心疾患患者では腎機能低下が予後に大きな影響を与えている.この心腎連関の機序の一つとして,動脈硬化を促進する胎盤増殖因子(PlGF)とPlGFに拮抗的に働く可溶性Flt-1(sFlt-1)の発現不均衡がある.本研究では既存薬剤である球形吸着炭AST-120の投与によりsFlt-1の発現低下が抑制され,抗動脈硬化作用を示すことが示唆された.また,慢性腎臓病を多く含む急性心不全患者において,血清PlGF値の上昇が予後悪化に強く関連していることを示した.
  12. 臓器連関を介した心機能制御:一酸化窒素を基軸とした糖尿病性心筋症の新たな治療戦略 2018-04-01 – 2021-03-31 若手研究 小区分48030:薬理学関連 三上 義礼 東邦大学, 医学部, 助教 (80532671) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要
  13. 心筋傷害と心筋保護に与えるミッドカインの作用機構の解明と新規心不全治療法の開発 2018-04-01 – 2022-03-31 基盤研究(C) 小区分53020:循環器内科学関連 宍戸 哲郎 山形大学, 医学部, 助教 (60400545) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要
  14. 腎尿細管糖取り込み調節による心腎血管障害治療戦略の構築 2018-04-01 – 2021-03-31 基盤研究(C) 小区分48030:薬理学関連 中野 大介 香川大学, 医学部, 准教授 (30524178) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要
  15. 新しい急性心不全治療戦略構築への基盤的研究-利尿薬反応性とバイオマーカーの応用- 2017-04-01 – 2020-03-31 基盤研究(C) 吉原 史樹 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (70393220) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:急性心不全は呼吸苦や全身浮腫を来し、適切な治療が実施されなければ死に至る病である。高齢化に伴う心不全患者の増加はわが国の社会問題のひとつである。急性腎障害は急性心不全に合併し易く、心不全治療を困難にする重要な要因のひとつである。今回我々は、急性腎障害を合併した急性心不全患者が重症化する際の関連因子を検討した。利尿薬の反応性(単位投与量当たりの尿量)や右心房と右心室を隔てている三尖弁の逆流の程度、尿中バイオマーカーの検討を実施した。
  16. 犬における心不全による膵炎発現のメカニズムの解明と新規の治療法の確立 2017-04-01 – 2020-03-31 基盤研究(C) 福島 隆治 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10466922) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:心不全(HF)を呈した犬において、膵炎の罹患率が高いことが報告されている。また、以前より人医療においても、心機能低下に伴う膵炎の発生が報告されている。そこで、HFがもたらす膵細胞傷害発生のメカニズムを解明するとともに、それに基づいた新しい治療法の確立を目指した。その結果、犬においてHF時の心拍出量と血圧低下に起因し、膵血流量の減少が引き起こされることが明らかとなった。また、それにより膵腺房細胞のチモーゲン顆粒の減少を伴う細胞萎縮が発現することが判明した。この結果を受けて、新しい膵臓障害の治療法の確立を期待しピモベンダンを投与したところ、膵臓の血流量の維持と病理学的変化の軽減が確認できた。
  17. タンパク質アルギニンメチル化修飾の個体機能の解明 2017-04-01 – 2021-03-31 基盤研究(C) 加香 孝一郎 筑波大学, 生命環境系, 講師 (60311594) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要
  18. 臓器連関によるストレス応答機構の解明 2017-04-01 – 2020-03-31 基盤研究(B) 藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30422306) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究では、心臓の恒常性維持機構として、新たに心臓・脳・腎臓が連携して心臓に圧負荷が掛かった際に、それを補正するシステムが存在することを明らかにした。この恒常性維持機構が機能しないマウスを作成すると、心不全を発症し心不全死した。このことから、この新しい恒常性維持機構は心不全発生と関係している可能性が高い。さらに、新しい臓器間連携として、心臓・脳・臓器Xという連携を発見した。この臓器X内において、心臓へのストレス時の応答を行っており、この反応によって心臓のストレスに対する反応が変化した。このことは、心不全発症に臓器Xも関与していることを示唆した。
  19. 臓器障害・線維化に対するリハビリテーション運動療法の有効性の機序解明 2017-04-01 – 2020-03-31 基盤研究(B) 伊藤 修 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (00361072) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:腎障害モデルにおける長期的運動による糸球体硬化や腎間質線維化抑制効果とその機序を検討した。5/6腎摘腎不全ラットでは、腎のコラーゲン産生低下と分解亢進、腎レニン-アンジオテンシン系の改善が明らかになった。高フルクトース摂取ラットでは、腎内脂肪酸代謝やミトコンドリア機能の改善が明らかになった。高フルクトース摂取は、Dahl食塩感受性ラットにおいて腎レニン-アンジオテンシン系の亢進を伴って血圧上昇、糸球体過剰濾過、腎障害が増強しており、長期的運動はレニン-アンジオテンシン系阻害薬と同様な有効性が明らかになった。
  20. 循環器疾患におけるSDF-1αのバイオマーカーとしての臨床的有用性の検討 2016-04-01 – 2019-03-31 若手研究(B) 植松 学 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (00622151) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:Stromal cell-derived factor-1α(SDF-1α) は炎症性ケモカインの一つで、心血管病の病態に深くかかわっていることが報告されている。本研究は循環器疾患におけるSDF-1αの臨床的意義を明らかにすることを目的とした。その結果、①末梢血のSDF-1α値は心筋梗塞後の二次心血管イベントの予測因子になること、②アンギオテンシン受容体拮抗薬は心筋からのSDF-1αの産生を抑制すること、③腎不全進行の予測因子になることがわかった。SDF-1αは心血管病の臨床病態に深くかかわっており、新しいバイオマーカーになりうる可能性がある。
  21. 心腎連関における新規アペリン受容体リガンドの機能的意義の解明 2016-04-01 – 2018-03-31 若手研究(B) 佐藤 輝紀 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30733422) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究においてまず、心機能調節における、新規APJリガンドELABELA(ELA)の機能的意義を明らかにした。APJ受容体のリガンドはこれまでApelinのみと考えられていたが、新規にELAが同定されたことを受け、そのペプチドを心不全モデルマウスに投与することによって心保護効果を発揮することを明らかにした。Apelin同様にレニンアンジオテンシン系の亢進を抑制する一方で、そのメカニズムはApelinと異なり、ACEを転写性に抑制することを解明した。さらに、腎集合管特異的なELA欠損マウスの作製、機能解析を行った。
  22. 急性腎障害回復後の腎障害進展における病態解明 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(C) 土井 研人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80505892) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要:本研究では急性腎障害(acute kidney injury: AKI)回復後の慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)進展を動物モデルで再現することを目的とした。大動脈縮窄(Transverse Aortic Constriction:TAC)圧負荷心不全モデルと腎虚血再灌流モデルを組み合わせることで、臨床的に数多くみられる心腎連関症候群を再現し検討を進めた。心不全マウスにおける腎虚血再灌流障害の長期的な影響を線維化進展を中心に検討を行い、交感神経活性の亢進が腎障害に対して保護的に作用しているのではないかという知見を得た。
  23. 心腎脳連関におけるバゾプレッシン系と交感神経系のクロストークの解明 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(C) 岩永 善高 近畿大学, 医学部, 准教授 (80360816) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要「バゾプレッシン系と交感神経系のクロストークを心腎脳ネットワークの観点より検討し、その修飾による新規治療の可能性を探ること」を目的とした。心不全モデル動物では、腎臓交感神経切除術、β遮断薬のみならず、イバブラジンも全身および心臓感神経活動を抑制すること、更にはそれを介しバゾプレッシン系にも作用することを明らかにしクロストークの存在を明らかにした。また敗血症性臓器障害モデルにて、腎臓交感神経切除術は心機能障害の発現および生命予後を改善すること、バゾプレッシン受容体ノックアウトマウスでは、更なる心腎機能改善および生命予後改善がもたらされることを明らかにし、両システム遮断の相乗効果も存在した。
  24. 長期的有酸素運動の抗加齢効果とその機序の解明および高齢化社会問題解決策の検討模索 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(C) 伊藤 大亮 東北大学, 医工学研究科, 特任助教 (50466570) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要高齢ラット、若齢ラット、運動介入高齢ラット(Sprague-Dawley (SD)ラット)の3群について、心臓・腎臓機能および機序として、一酸化窒素(NO)系、酸化ストレス系、老化関連指標への長期的運動の影響を比較検討した。運動はトレッドミル有酸素運動を2カ月間行った。血圧は3群間で有意差は認めなかった。NO系、酸化ストレス系パラメータは運動で変化が認められる傾向があり、今後解析を進める。老化関連指標の細胞老化特異的βガラクトシダーゼ活性を免疫染色で評価したが、運動介入による変化が認められており、今後統計学的検証を進める。腎臓のその他免疫組織化学的検討においても現在解析中である。
  25. Flt-1系を介する心腎連関分子機序の解明:新規LncRNAの関与 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(B) 斎藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心腎連関の分子機序は十分に理解されていない。本研究では、慢性腎臓病では胎盤由来増殖因子(PLGF)の産生が増加し、PLGFの内因拮抗物質であるPLGF特異的受容体(Flt-1)の可溶性アイソフォームであるsFlt-1の産生が低下することにより、PLGF/Flt-1系が活性化していることを証明した。その結果その下流に存在するMCP-1の活性化が心不全発症に関係していること、また、Flt-1下流でMEKに直接結合し、MEK活性を抑制する新規のLnc RNAXを同定し、それが心肥大や心不全の発症に関係していることを発見した。これらの分子は心腎連関の分子機序に関与し、創薬の対象となる可能性を示した。
  26. 心血管疾患の多臓器連携機序の解明と臨床応用 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(B) 眞鍋 一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (70359628) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要世界的な心不全の急増は医療上の重要な課題となっている。我々はこれまでに、肥満脂肪組織に始まった炎症が遠隔組織に波及し、糖尿病や動脈硬化を促進することを見いだしていた。本研究ではさらに、慢性腎臓病において心不全が増加する心腎連関のあらたなメカニズムを明らかにした。心臓へのストレスに対して体が心臓-脳-腎臓を連携するネットワークによって適切に応答していることを見いだした。
  27. 心臓リハビリテーションによる骨髄老化への有効性の検証 2016-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(B) 礒 良崇 昭和大学, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60384244) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要本研究は、急性心筋梗塞後における運動耐容能に焦点をあて、バイオマーカーとしてmicroRNA(miR)に着目し、その関連性を検討した。網羅的small RNA解析・定量的RT―PCR解析により、急性心筋梗塞の急性期経過中に大きな変動を示す一群のmiRを同定した。その中で、免疫老化関連miRであるmiR-181cが、急性心筋梗塞例の運動耐容能・換気効率と統計学的に相関することが明らかになった。また、心臓リハビリテーションにおける換気効率の改善効果とも関連していた。
  28. 心腎連関における炎症とキニン系、アンジオテンシン系の役割 2016-04-22 – 2019-03-31 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要
  29. 重症心不全における自由水排泄促進に抗する代償機構の解明 2015-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(C) 日浅 謙一 九州大学, 大学病院, 助教 (00380452) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要薬物治療抵抗性心不全症例において、トルバプタン投与後のカリウム排泄率(FEK)亢進は予後不良と有意に相関していることが判明した。トルバプタンは他のナトリウム利尿薬と異なり、カリウム排泄に全く関与しない薬剤であり、投与後の腎におけるカリウム排泄率増加は腎血流量低下もしくはレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系亢進を反映すると考えられ、FEKは利尿薬の中では唯一トルバプタンによる過度の除水を早期に発見することが出来る簡便かつ有用な指標と考えられた。
  30. アクアポリン2で選定したレスポンダーにおけるトルバプタン長期投与の有効性の検討 2015-04-01 – 2019-03-31 基盤研究(C) 絹川 弘一郎 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 教授 (00345216) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要リアルワールドに近い患者背景のもとではほとんどすべての心不全患者はレスポンダーであった.しかしながら,以前の検討と著しい違いはトルバプタンを継続投与したレスポンダーでも予後が悪い群が存在することである.トルバプタンの急性期のレスポンスは尿中AQP2/血漿AVP比0.5×10^3以上で担保されるが,予後改善効果はより高い尿中AQP2/血漿AVP比が必要となる可能性がある.多変量解析ではより強い因子としてeGFRが存在し,腎機能低下とともに尿中AQP2/血漿AVP比が低下することを考えると,腎機能が一定以上低下した場合にはトルバプタンの長期継続投与も入院回避効果が少なくなると考えられる.
  31. 深部静脈血栓形成におけるオートファジーのメカニズムの解明とその法医学への応用 2015-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(C) 野坂 みずほ 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00244731) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要血栓陳旧度にともなうオートファジー機能の動態を検討するために,LC3及びp62について実験的マウス血栓における両者の陽性細胞数や,両者の比(p62/LC3 ratio)の変化を明らかにした.血栓溶解過程では,オートファジーが関与していることが明らかとなり,法医診断学的には,血栓中のオートファジーの動態が,剖検例においても血栓の陳旧度判定の有用な指標となると考えられた.
  32. 心不全における腎髄質循環とNa貯留メカニズムの解明 2015-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(B) 伊藤 貞嘉 東北大学, 医学系研究科, 教授 (40271613) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要腎臓は体液・ミネラルの恒常性維持を介して循環血漿量を調節し、心臓は腎臓により調節された血漿量を血液として拍出することから、心機能と腎機能は互いに影響しあっている。従って、心機能の低下は腎機能を低下させ、腎機能の低下は心機能を低下させることとなり、結果として心腎症候群を形成する場合がある。我々は心腎症候群モデル動物として脳卒中易発性高血圧自然発症ラット(SHR-SP)ならびにDahl食塩感受性高血圧(DahlS)ラットを対象として、体液貯留の改善される薬剤数種類を投与して心腎症候群の発症機序解明を試みるべく、検討を行った。
  33. 基礎研究の臨床応用による心血管病の新しい早期診断・予防・治療法の開発 2015-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(B) 佐藤 公雄 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (80436120) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要遺伝子改変動物を用いた基礎研究により、CyPAが肺高血圧症にとって重要蛋白であることを確認した。さらに、ヒト肺高血圧症患者の末梢血での血漿中CyPA濃度の測定法を開発し、患者群で健常者群に比較して、濃度が上昇していることを確認した。さらに、CyPA高濃度群と低濃度群に分け、長期的な予後調査を行ったところ、血漿中CyPA濃度が高い群で、明らかに生命予後が不良であった。さらに、患者由来の組織や血液検体およびハイスループット・スクリーニング(HTS)システムを用い、CyPA分泌抑制・細胞外CyPA受容体阻害に着目した治療薬のスクリーニングを進め、肺高血圧モデルマウスにおける有効性を検証した。
  34. 肺高血圧症の新規標的蛋白に関する基礎的・臨床的研究 2015-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(A) 下川 宏明 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00235681) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要肺動脈性肺高血圧症(PAH)は重篤かつ致死的であり、本質的治療薬の開発が待ち望まれている。PAHの血管平滑筋細胞は癌類似の増殖性を有し、肺動脈抵抗血管の狭小化を来す。そこで、患者由来肺動脈平滑筋細胞(PAH細胞)の網羅的遺伝子解析および各種のオミックス解析により新規病因蛋白の探索を進め、合成病因蛋白によるPAH細胞増殖性試験、血管平滑筋特異的遺伝子欠損マウスでの検証を行い、複数の新規病因蛋白を同定した。また、一部の病因蛋白は血漿中に分泌されることが分かり、患者血清中濃度が、予後予測能を有することが判明した。このように、PAH患者由来の臨床検体を用いた基礎研究の臨床応用研究を進めた。
  35. 都市部地域住民を対象とする血漿Na利尿ペプチドと頸動脈硬化の進展に関する追跡研究 2014-04-01 – 2016-03-31 挑戦的萌芽研究 小久保 喜弘 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 医長 (20393217) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要ベースライン時の3239名を対象に、hANP 43 pg/mL以上をhANP高値、BNP 100 pg/mL以上をBNP高値とした。頸動脈エコー検査において、平均、最大内膜中膜複合体厚がそれぞれ、1.1mm、1.7mm以上を平均IMT、最大IMTで有意プラークありと定義した。BNP高値郡において最大IMTプラークの危険度(95%信頼区間)が性年齢調整で、1.28 (1.01-1.61)、多変量調整で1.27 (1.01-1.60)であった。hANP高値と平均、最大IMTとの関係は見られなかった。
  36. 睡眠時無呼吸症候群における腎交感神経と高血圧のメカニズム解明 2014-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(C) 小倉 彩世子 日本大学, 医学部, 助教 (30618202) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要間欠的低酸素は腎臓尿細管においてNCC(The thiazide-sensitive Na+-Cl- cotransporter)の膜への移行を増加させ、食塩負荷によっても持続的に活性化していることが明らかとなった。そのほかの腎臓NaCl輸送体については検討したがNCCの様な変化は認められなかった。またHCTZ(サイアザイド)負荷試験においても間欠的低酸素ではNa排泄が亢進し、NCCが重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
  37. 骨格筋由来ホルモンによる心腎連関の新たな治療介入 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 泉家 康宏 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (10515414) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要我々は運動療法の臓器保護作用を骨格筋由来ホルモンの観点から検討した。筋肥大が誘導できる遺伝子改変マウスでは腎疾患モデル後の組織障害が減弱しており、機序として腎臓でのeNOSの活性化が関与していた。骨格筋由来ホルモンを網羅的に探索し、Heme oxygenase-1 (HO-1)とThrombospondin-2 (TSP-2)をスクリーニングした。骨格筋特異的HO-1欠損マウスの解析から、HO-1は血管内皮細胞やマクロファージ由来である可能性が示唆された。TSP-2は心不全患者のバイオマーカーとなりうる可能性が示唆された。本研究成果は骨格筋を中心とした臓器連関の機序解明に寄与すると考えられた。
  38. 心腎連関を考慮した新しい心不全治療の開発 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 浅沼 博司 明治国際医療大学, 医学教育研究センター, 教授 (20416217) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心不全発症や進展のプロセスに腎機能障害が関与することが報告され、心腎連関として知られている。本研究では、まず前臨床段階研究として、大動物心不全モデルにおいて、慢性腎不全用剤である炭素微粒体(AST-120)投与が腎機能低下および血中インドキシル硫酸(IS)濃度増加を抑制し、心筋アポトーシス・線維化を抑制することで心不全の病態を改善させることが明らかになった。次に、慢性腎臓病を合併する心不全患者でAST-120投与前後のISと心機能を、AST-120を投与されていない患者とでレトロスペクティブに比較検討した結果、AST-120投与群でのみ腎機能が改善しISが低下し、心機能の改善が認められた。
  39. グリコーゲン合成酵素キナーゼ3βのミトコンドリア移行抑制による心不全治療の開発 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 丹野 雅也 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00398322) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要GSK-3β活性によるミトコンドリア透過性遷移孔(mPTP)開孔の機序解明を目的として研究を行った。(1) GSK-3βはvoltage dependent anion channel 2との相互作用によりミトコンドリアへ移行すること、(2) N末端のK15がミトコンドリア移行シグナルの機能に重要であること、 (3) GSK-3βの上流のERKおよびAktは酸化ストレスによりミトコンドリアへ移行し、脱リン酸化されること (4) ERKおよびAktの特異的な脱リン酸化酵素であるDusp5およびPHLPP1は酸化ストレスによりミトコンドリアへ移行することを見出した。
  40. 心臓マクロファージによる不整脈発症機序の解明と治療法開発 2014-04-01 – 2018-03-31 基盤研究(C) 藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (30422306) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要これまで我々は心臓内に存在している炎症細胞である心臓マクロファージが心臓にどのような役割をしているのかを明らかにすることを検討してきた。この研究の中で我々はまず、心臓マクロファージが心臓の収縮を正常に保つために必要であることを見出した。さらに心臓には収縮を行う機能に加えて、脈を正確に打つという機能がある。心臓マクロファージを除去したマウスは、不整脈を発症することを見出した。このことから、心臓マクロファージのもう一つの機能として心臓の脈を正常に保つことが存在することを明らかにした。
  41. 心-肺腎連関に与えるミッドカインの役割の解明 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 宍戸 哲郎 山形大学, 医学部, 助教 (60400545) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要腎臓病において、心臓リモデリングが観察されることが知られているが、我々はその肥大に先立って腎臓と血中のミッドカイン濃度が亢進することを見出した。その上昇はGPCR依存性に細胞内シグナルの活性を促、MAPK活性の亢進、ANPなどような胎児型遺伝子発現の亢進と心肥大に関与していた。さらにミッドカインノックアウトマウスで腎臓病モデルを作成すると、これらの細胞内シグナルや心臓肥大が野生型マウスと比べて抑制されており、心不全の進展が抑制されていることを超音波心臓図で確認した。これらのことから、腎臓から発現するミッドカインが心臓リモデリングの進展に関与していることを明らかにした。
  42. 臨床データとエピジェネティックスの統合に立脚した急性心不全の病態解明と治療応用 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 松下 健一 杏林大学, 医学部, 講師 (10317133) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要急性心不全のデータベースの解析を中心に研究を遂行した。左室駆出分画による分類や入院時血圧による分類からの解析で、心エコー指標の有用性の相違や予後増悪因子として知られている急性腎障害合併の危険因子の相違等の臨床的に意義ある結果が得られ、報告を重ねた。また、急性心不全の発生母地としての肥満・メタボリックシンドロームにおけるエピジェネティックスについて纏め、報告した。さらに、急性心不全の病態・予後を規定する心腎連関におけるエピジェネティックスについても纏め、報告した。
  43. 腎除神経による心不全の自律神経概日リズム異常への介入に関する研究 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 平井 忠和 富山大学, 附属病院, 講師 (10303215) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心不全では交感神経機能が賦活し、心不全の発症・進展に重要な役割を果たしている。最近、腎除神経により全身の交感神経の賦活を抑制できることがわかってきた。本研究では慢性心不全の自律神経機能の日内リズムを評価し、腎除神経により心不全ラットの自律神経機能の異常が是正できるかどうか検討した。腎除神経を施行したラットに心筋梗塞による心不全モデルを作成し、腹部大動脈に挿入した血圧テレメーターの動脈圧波形をスペクトル解析することにより、自由行動下での自律神経機能の日内リズムを評価した。腎除神経により早朝覚醒時の一過性の交感神経機能の賦活および中枢性二酸化炭素化学反射感受性の亢進が是正されることがわかった。
  44. 受容体間相互作用を介した血管平滑筋APJ受容体による血管狭窄メカニズムの解明 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(C) 石田 純治 筑波大学, 生命領域学際研究センター, 講師 (30323257) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要血圧調節に重要な血管の平滑筋細胞で、7回膜貫通型受容体APJを過剰発現するマウス・SMA-APJを作製し、APJ受容体がα1アドレナリン受容体(α1-AR)と機能的に相互作用することで血管の強縮や血圧上昇、心臓冠動脈の狭窄を誘導することを見出した。本研究では、血管平滑筋APJ活性化による血管の収縮反応をマウス心臓で直接証明し、また、APJがα1-ARと物理的に相互作用すること、さらに、細胞内シグナルや血管異常収縮にてAPJはα1A-ARと最も強い協調的な増強反応を示すことが判明し、生体内での血管収縮制御におけるAPJとα1A-ARとの機能的相互作用の重要性を初めて明らかにした。
  45. 進行性臓器障害におけるリハビリテーション運動療法の有効性の機序解明 2014-04-01 – 2017-03-31 基盤研究(B) 伊藤 修 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00361072) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要進行性臓器障害における運動療法の有効性の機序を明らかにするため、高食塩食摂取下のDahl食塩感受性ラットと高フルクトース食摂取下のSprague-Dawleyラットにおいてトレッドミルによる長期的運動の効果を検討した。長期的運動は高食塩食や高フルクトース食による腎機能障害、糸球体効果、腎間質線維化を軽減し、これらの腎保護効果には腎内レニン-アンジオテンシン (RA)系の改善、腎トリグリセライド含有量の低下、xanthine oxidase (XO)活性の抑制を伴っていた。これらの結果から、長期的運動による腎保護効果には、腎内RA系、脂質代謝、酸化ストレスの改善が関与していると示唆された。
  46. PETによる腎臓の新規画像評価法の確立 2013-04-01 – 2016-03-31 挑戦的萌芽研究 伊藤 貞嘉 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40271613) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要本研究ではポジトロン断層法(PET)を用いて腎臓をイメージングによる解析する方法を開発することを目的とした。健常人と末期腎不全患者を対象として[15O]H2O-PETを施行したところ、軽度飲水制限下と飲水負荷後の比較においては有意な変化を認めなかったものの、健常人と比較して末期腎不全患者において腎局所血流量が低下していることが明らかとなり、重要な機能を果たしている腎髄質機能の臨床評価法につながる知見を得るに至った。
  47. 重症虚血性心筋症に対する心移植代替療法の開発 2013-04-01 – 2014-03-31 挑戦的萌芽研究 佐田 政隆 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80345214) 研究開始時の概要: 研究概要:虚血性心筋症と呼ばれる重症心疾患患者に対して唯一の治療法は心臓移植であるがドナーは絶対的に不足している。そこで、心移植の代替となる革新的治療法の開発を試みた。冠動脈バイパス手術中に得られたヒト心臓周囲脂肪ならびに冠動脈内膜摘出標本の解析から、動脈硬化部位では血管壁のみでなく周囲脂肪組織に慢性炎症が生じていることが明らかになった。また、脂肪細胞死により放出された核酸がマクロファージのTLR9と相互作用することが、脂肪組織における慢性炎症の惹起機構として重要であることが判明した。この知見をもとに、血管と同時に良質の脂肪組織を移植する画期的なバイパス手術法の開発に着手した。 研究成果の概要
  48. 急性腎障害における心腎連関とミトコンドリア障害 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 土井 研人 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80505892) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心腎連関症候群は、急性および慢性心不全が腎障害を惹起する、あるいは急性腎障害と慢性腎臓病により心疾患が発症・増悪する、という臨床的な観察に基づいて定義されているが、心臓と腎臓という二つの臓器をつなぐ病態メカニズムについては十分明らかにされていない。特に、急性腎障害が原因で心機能低下を呈するとされるType 3心腎連関症候群については基礎的な検討がほとんどなされていなかった。本研究では、腎虚血再灌流モデルを用い、急性腎障害が心臓組織におけるミトコンドリア断片化とアポトーシスを惹起すること、ミトコンドリア制御蛋白の一つであるDrp-1がこの現象において重要な役割を示していることを見出した。
  49. 腎不全合併による循環器疾患増悪の機序解明と新規治療法の開発 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 鈴木 淳一 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (90313858) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要腎不全患者の主な死因は心血管疾患である。腎機能障害が循環器疾患にどのように影響するかを、新しい心腎連関動物実験モデルを用いて検討した。5/6腎臓摘出モデルに心筋梗塞を発症させ、アンジオテンシンII受容体阻害剤(ARB)を投与した。このモデルは無治療で13%しか生存しなかったのに対し、ARB治療により生存率が28%まで改善した。ARBが心筋梗塞後の心機能を著しく改善しており、残存心筋細胞の肥大、炎症細胞浸潤、酸化ストレスを抑制していた。これらの結果より、レニンアンジオテンシン系が腎不全状態における心筋虚血および心不全の増悪に影響していることが明らかとなった。
  50. 可溶性Flt-1のCKD関連心不全における役割と肺水腫発症抑制効果の検討 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 竹田 征治 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (60398443) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要慢性腎臓病(CKD)は、心肥大を呈し心不全をよく合併することは臨床的によく観察されるが、その分子機序は不明であった。今回の研究で、CKDでは慢性炎症や血管新生を惹起するサイトカインであるPLGFの産生が増加し、その内因性の拮抗物質である可溶性Flt-1の産生が低下することによって、CKDで心肥大や心不全の発症に関与していることを、sFlt-1を特異的に欠損するマウスを用いて証明した。PLGFの働きを抑制することや、sFlt-1の産生を増加させることが、CKDに合併する心肥大や心不全の治療に応用される可能性を示した。
  51. 睡眠時無呼吸症候群合併及び非合併心不全患者に対する呼吸補助療法の確立 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 義久 精臣 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (40448642) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心不全における呼吸補助療法(持続気道陽圧療法、順応性制御換気療法、酸素療法)による心機能、血管機能、呼吸機能、自律神経機能、神経体液性因子、心負荷、心筋障害などに対する多面的な効果について検討を行った。心不全や睡眠時無呼吸症候群の病態に応じた適切な呼吸補助療法を行うことで、心機能、呼吸機能、血管機能や予後など多面的な改善効果が得られた。なかでも、標準的な薬物療法の存在しない左室収縮の保持された心不全に対する呼吸補助療法にて、左室拡張能、血管機能、呼吸機能、運動耐用能、予後の改善を認めた。各結果詳細については、適宜学術誌にて公表を行っている。
  52. リハビリテーション運動療法における一酸化窒素系および交感神経系の役割の解明 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 伊藤 大亮 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50466570) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要高血圧自然発症ラット(SHR)を、偽手術群、除神経処置群、運動群、除神経処置+運動群の4群に分け、トレッドミル運動を8週間施行した。収縮期血圧は、開始後2週間で偽手術群に比較して他3群が低値を示し、最終8週間後では、加えて除神経処置+運動群が除神経処置群と運動群より更に低値を示した。尿中アルブミンクレアチニン比は、偽手術群に比較して他3群が低値、体重当たりクレアチニンクリアランス値は、偽手術群に比較して他3群が高値を示し、両介入共腎機能改善効果が示唆されたが相加効果は認めなかった。その他、血漿および腎組織のノルエピネフリン濃度、NO系、酸化ストレス系、免疫組織化学的検討は現在解析中である。
  53. 腎ミトコンドリア酸化ストレスをターゲットとした慢性腎臓病の治療戦略の開発 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(B) 森 建文 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40375001) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要ラット腎臓髄質ヘンレのループ太い上行脚(mTAL)において、生理的刺激に対するミトコンドリアにおける活性酸素種(ROS)産生について検討を行った。アンジオテンシンII刺激はミトコンドリアROS産生上昇を介して細胞質内ROS上昇を誘導した。高濃度ブドウ糖は糖分解産物産生を介してミトコンドリアROS産生を上昇させた。低酸素はミトコンドリアROS産生を上昇させ、この消去薬であるmitoTEMPO投与は腎虚血再灌流時に低下する腎臓髄質血流量の低下を抑制した。
  54. 動脈壁と周囲脂肪組織における慢性炎症の可視化と病態解明 2013-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(B) 佐田 政隆 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部, 教授 (80345214) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要慢性炎症の起点となるインフラマソームの活性化をCaspase1活性をでFRETを用いて評価する系の確立を試みたが困難を極めた。また他のグループから、当初の計画では低強度の慢性炎症を可視化することが不可能であることが報告された。そこで、慢性炎症の機序を明らかにすることにした。肥大化によって変性した脂肪細胞から遊離したDNA断片が病原体センサーを活性化することで、無菌的慢性炎症の契機となるという仮説を、遺伝子改変マウスやオリゴヌクレオチドを用いた実験で証明した。変性脂肪細胞から遊離するDNA断片が、TLR9を介してマクロファージを活性化することで脂肪組織の慢性炎症を引き起こすことが明らかとなった。
  55. 電気刺激による筋力維持・廃用防止と膀胱機能改善効果の確立:リハ物理療法の新展開 2012-04-01 – 2014-03-31 挑戦的萌芽研究 上月 正博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234698) 研究開始時の概要: 研究概要:膀胱尿道カテーテル長期留置者は、一日中活動に制限を受け、感染症罹患率や死亡率が高い。そこで今回、2週間以上膀胱尿道カテーテル留置された虚弱高齢患者(平均年齢83±3.1歳、FIM43±0.3)に対して、腹部電気刺激を行った。電気刺激箇所は、両側腹斜筋部とし、周波数は30Hzで、1日30分間を8週間施行した。介入前後で、肺活量(VC)、1秒量(FEV1)、吸気終末圧(MIP)、呼気終末圧(MEP)、最大呼気流気量(PEFR)の測定を行い、さらに日常生活動作を測定した。その結果、対照群では低下がみられたが、介入群では、VC、FEV、MEPは改善し、感染症や死亡による脱落もなく安全に実施できた。 研究成果の概要
  56. 心臓手術後心房細動発生のメカニズム解明に関する臨床研究 2012-04-01 – 2016-03-31 基盤研究(C) 瀬在 明 日本大学, 医学部, 講師 (70350006) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要本研究で我々はその発生を予防するために術前に術後心房細動を予測しうる因子を特定することが目的である。本研究で、術後心房細動は24%に認め、その発生危険因子は、75歳以上、慢性腎臓病、緊急手術、体外循環時間>180分、術中カルペリチドと塩酸ランジオロール非使用、術前ARB、β遮断薬非使用、術前カルシウム拮抗薬、スタチン使用、術後β遮断薬非使用であった。術前ANP、angiotensin-II, KL-6, ヒアルロン酸、1型コラーゲンC端テロペプタイドは心房細動発生の新しいマーカーになりうると考えられた。線維化と術前、術中、術後の薬剤が術後心房細動に強く関与していることも明らかにされた。
  57. 大動脈瘤形成過程におけるHMGB1蛋白の役割 2012-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(C) 安斉 俊久 独立行政法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (60232089) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要核内非ヒストン蛋白であるHMGB1は、強力な炎症反応を惹起することが知られている。我々は、大動脈瘤形成過程におけるHMGB1の役割を明らかにするため、塩化カルシウム刺激によるマウス大動脈瘤モデルを用いて検討を行った。HMGB1中和抗体の投与により、6週後の腹部大動脈瘤径縮小、炎症細胞浸潤の軽減、大動脈中膜層の菲薄化とエラスチンの波状構造の破壊軽減が認められた。同時に、HMGB1発現の低下、Mac-3陽性マクロファージの浸潤軽減、MMP-2、MMP-9の活性低下、TNF-α、CD68、MCP-1の発現低下が認められ、HMGB1が炎症惹起を介して、大動脈瘤進展を促進している可能性が示唆された。
  58. 慢性心不全における東洋医学的アプローチの有用性に関する検討 2012-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(C) 伊澤 淳 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (50464095) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心腎連関を呈する慢性心不全症例を対象とし,従来の内服薬に加えて最大7.5 g/日の防已黄耆湯を併用し,平均3.5ヵ月および9.4ヵ月後の有効性と安全性を評価した。BUN値, 血清クレアチニン値, 推定糸球体濾過量,脳性ナトリウム利尿ペプチドを測定した結果,いずれも治療経過中に有意に改善した。心不全および腎機能の両面において防已黄耆湯の利水作用は有効であり,治療経過中の安全性も確認できた。
  59. 心腎貧血連関ネットワークの解析と新規治療戦略の開発 2012-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(C) 増山 理 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70273670) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要心不全・腎不全・貧血連関の分子機構について、鉄代謝調節機構に着目し、基礎および臨床研究より検討した。心不全モデル及び慢性腎臓病モデル動物を用いた検討より、十二指腸鉄吸収蛋白の発現異常が明らかとなり、これが心不全・腎不全・貧血連関の増悪因子の一つであることを示された。また、臨床研究より心不全患者には貧血や鉄欠乏合併例が多く、心不全患者の鉄吸収能は貧血合併例で低下傾向にあることも明らかになり、十二指腸における鉄吸収能を改善することが心腎貧血連関ネットワークの新たな治療標的になることが示唆された。
  60. 慢性腎臓病の基盤病態と心血管病との連関機序の統合的理解と新規治療法開発 2012-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(B) 柏原 直樹 川崎医科大学, 医学部, 教授 (10233701) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要慢性腎臓病CKDは末期腎不全のみならず、脳卒中、心血管病、認知機能障害等の独立したリスク因子である。アルブミン尿はごく微量から心血管病と強く連関している。血管障害の最早期病態は内皮障害と微小炎症である。アルブミン尿が内皮障害を反映すると想定されてきたが、糸球体内皮が有窓性であるため、仮説に止まっていた。微小循環動態、透過性変化を生体において解析しうるin vivo imaging技術を確立し、血管内皮障害の役割を解明した。加齢腎、腹膜組織線維化にも内皮障害が関与することも明らかにした。CKDと心血管病の共通基盤病態は内皮機能障害であり、CKD・心血管病予防・治療のための標的病態を確定した。
  61. 鉱質コルチコイド/糖質コルチコイド受容体パラドックスの解明と腎臓病治療への応用 2012-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(B) 長瀬 美樹 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60302733) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要本研究では、Rac1によるMR活性化と臓器障害の機序につき検討した。足細胞特異的Rac1活性化、同Rac1 KOマウスは足細胞障害、アルブミン尿、糸球体硬化を自然発症し、Rac1活性とMR活性、MR阻害薬の保護効果が平行していた。マクロファージや心筋特異的Rac1/MR KOマウスでは心腎障害が軽微であった。肥満糖尿病性腎症、TAC心障害モデル、Ang II/食塩腎障害モデル、皮膚老化モデルにおいてRac1やMRの活性化、慢性炎症が関与し、Rac阻害薬やMR拮抗薬により病変が改善した。以上、Rac1-MR系の標的細胞とシグナルカスケードを同定し、この系が関与する新たな病態を明らかにした。
  62. 心臓病と腎臓病の臓器間相互作用(心腎連関)を制御する分子機構の解明と新規治療戦略 2011 – 2013 若手研究(B) 藤生 克仁 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30422306) 研究開始時の概要: 研究概要:腎臓の集合間上皮細胞が腎臓の炎症を惹起するために重要な細胞であることを初めて見出した。その機序として転写因子KLF5は定常状態ではCdh1遺伝子を転写調節しているが、腎臓ストレス時には、S100A8, S100A9を誘導し、炎症性マクロファージを骨髄から腎臓へリクルートすることによって腎臓の炎症が惹起されることを見出し、Journal of Clinical Investigationに発表した。 研究成果の概要
  63. Endothelin-1(ET-1)高値は腎不全悪化の予知因子である。 2011 – 2012 若手研究(B) 横井 加奈子 久留米大学, 医学部, 助教 (80569385) 研究開始時の概要: 研究概要:血漿エンドセリン-1(ET-1)は強力な血管収縮物質である。血漿ET-1の上昇は心血管疾患及び悪性腫瘍患者の予後マーカーである。しかし、これまでに住民検診の場で多人数に対してET-1を測定した報告はなく、本研究は10年に及ぶ予後調査の結果から、世界において初めて血漿ET-1の上昇が健常者において死亡の予知因子であることを立証した極めて意義深い研究である。しかし10年の追跡調査において血漿ET-1上昇は総死亡と有意な関連を認めたものの、死亡原因として多い、脳・心血管死および癌死との関連は得られず、さらに追跡調査を行うことにより臨床的エビデンスが得られると考えられる。今後、死因別に血漿ET-1がどのように関連しているのかを分析し、予防法や治療法にまで言及することが期待される。 研究成果の概要
  64. 心不全における脳自律神経異常のシステム同定とバイオニック心不全治療の探索 2011 – 2012 若手研究(B) 佐田 悠輔 独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 流動研究員 (70570258) 研究開始時の概要: 研究概要:心不全の最多原疾患である高血圧(高血圧性心肥大)ラットにおける自律神経制御機構(脳特性および末梢特性)をシステム生理実験により解析し、脳特性の異常(血圧に対する交感神経応答の亢進)を突き止め、一方の末梢特性(交感神経活動に対する昇圧反応)は正常であることを明らかにした。更に、腎臓交感神経除神経による自律神経介入治療を行い、脳特性異常の是正による降圧効果を確認した。しかし、正常血圧対照ラットと比較すると、脳特性の完全な正常化には至らなかった。 研究成果の概要
  65. 心不全における心腎連関のメカニズム-機能的腎予備力評価からのアプローチ- 2011 – 2013 基盤研究(C) 真野 敏昭 大阪大学, 医学部附属病院, 講師 (90379165) 研究開始時の概要: 研究概要:心不全における腎機能障害は重要な予後規定因子であるが、腎機能障害が心不全の病態にどのような影響を持っているかについては不明な点が多い。本研究では、心不全のうち特に拡張不全患者における機能的腎予備力評価を、腎血流ドプラを用いた生理学的指標、探索的研究による生化学的代謝指標を用いて行い、腎動脈抵抗が拡張不全患者で増加しており、また特異的な免疫因子の拡張不全患者血中での増加が認められ、心機能と関連があることがわかった。 研究成果の概要
  66. 心不全の心腎連関における自律神経機能の概日リズム異常に関する研究 2011 – 2013 基盤研究(C) 井上 博 富山大学, 事務局, 理事・副学長 (60151619) 研究開始時の概要: 研究概要:ラット心不全モデルにおいて慢性腎臓病の自律神経機能の概日リズムへの影響を検討するため、雄性ラットを用いて5/6腎摘除し、さらに左冠動脈結紮による心筋梗塞を作成し慢性腎臓病合併心不全モデルを作成した。自律神経機能の概日リズムを評価するため、腹部大動脈に挿入した超小型血圧テレメータから送信される動脈圧波形をA/D変換し,24~48時間連続的にラットの自由行動下で記録した。拡張期血圧のスペクトル解析の結果、交感神経活動を反映する低周波成分は、慢性腎臓病合併ラットにおいて早朝覚醒期に一過性に亢進しており、その交感神経の賦活は、間歇的二酸化炭素負荷により評価した中枢性化学反射感受性と関連していた。 研究成果の概要
  67. 細胞間接着装置の障害としての蛋白尿ー他臓器疾患との関連ー 2011-04-01 – 2014-03-31 基盤研究(B) 河内 裕 新潟大学, 医歯学系, 教授 (60242400) 研究開始時の概要: 研究概要:蛋白尿と他臓器疾患の発症に関連がある分子としてEphrin-B1とSV2Bを同定し、これら分子の性状、機能解析を行った。Ephrin-B1は、神経細胞の軸索誘導に関与する分子で、腎ではポドサイトの膜部に局在し、細胞外部でネフリンと結合しスリット膜のバリア機能維持に重要な役割を果たしていることを明らかにした。シナプス小胞関連分子であるSV2B、その関連分子がポドサイトに発現していることを観察した。KOマウスを用いた検討で、SV2Bはスリット膜、足突起、基底膜の形成に重要な役割を果たしていることを明らかにした。これらの観察はポドサイト障害と他臓器疾患の関連を考えるうえで極めて重要な知見である。 研究成果の概要
  68. 難治性コモン不整脈における遺伝子ー環境因子相互作用:GWASデータに基づく検討 2011-04-01 – 2014-03-31 基盤研究(B) 古川 哲史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (80251552) 研究開始時の概要: 研究概要:不整脈の疾患研究では、心房細動と心室細動の機序と対策が問題として残されている。全ゲノム関連解析(GWAS)は網羅的な遺伝的リスクの検討で、今まで同定されなかった疾患パスウェイが同定される可能性がある。そこで、自験・他験の心房細動、心室細動/心臓突然死に関するGWASから得られた新規遺伝子と心房細動・心室細動の関係を生物学的に検討した。その結果、心房細動は1つの不整脈のトリガーに関係する強い遺伝的リスクと複数の不整脈の維持に関係する弱い遺伝的リスクがあることが分かった。心室細動では、His-Purkinje系に発現する転写因子が運動誘発性不整脈に関連することが明らかとなった。 研究成果の概要
  69. 臓器連関と慢性炎症による心血管疾患発症・進展分子機構の解明と診断・治療法への応用 2011-04-01 – 2014-03-31 基盤研究(B) 眞鍋 一郎 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (70359628) 研究開始時の概要: 研究概要:本研究計画は、メタボリックシンドロームによる心血管系での慢性炎症プロセス惹起とそれによる病態進行機序を解析し、また、臓器連関によって、さらに病態と臓器機能障害が拡大する可能性を検討した。その結果、肥満脂肪組織から放出が増加する遊離脂肪酸が、心血管系での炎症を誘導するという心血管-脂肪連関がメタボリックシンドロームにおける心血管疾患リスクの増大に重要であることを見いだした。また、心-腎連関が心臓のストレスへの応答に重要であるとともに、心不全の進展にも寄与することを明らかにした。また、この臓器連携のメディエータが病態を修飾することを見いだした。 研究成果の概要
  70. リハビリテーション運動療法の多面的効果における臓器連関の機序解明 2011-04-01 – 2014-03-31 基盤研究(B) 伊藤 修 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00361072) 研究開始時の概要: 研究概要:Wistar-Kyotoラット(WKY)と高血圧自然発症ラット(SHR)において、長期的な運動による大動脈のnitric oxide (NO)合成酵素(NOS)発現増強効果はNADPH oxidase依存性であり、腎のNOS発現増強効果はWKYではNADPH oxidase依存性、SHRではxanthine oxidase依存性であることを明らかにした。食塩感受性高血圧ラットにおいても、長期的な運動は腎保護作用を有することを明らかにし、その作用機序は 血圧とは独立したものであり、運動による酸化ストレスの軽減、NO産生系、腎アラキドン酸代謝の改善が関与している可能性が示唆された。 研究成果の概要
  71. 腎臓リハビリテーション:有効性の機序解明と臨床応用 2011-04-01 – 2014-03-31 基盤研究(A) 上月 正博 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70234698) 研究開始時の概要: 研究概要:長期的運動の腎保護相加・相乗作用およびその機序をラットで検討し、運動療法を腎不全患者に適用して、それらの臨床的有効性を検証した。慢性腎不全ラットにおいて、長期的運動とアンジオテンシンII受容体拮抗薬の併用療法は腎保護効果を示し、カルボニルストレス軽減の関与が示唆された。食塩感受性ラットにおいても長期的運動は腎保護作用を示し、酸化ストレスとNO産生系の改善の関与が示唆された。透析中の運動療法に使用できる、安価・軽量で、負荷量を調整できるエルゴメータを開発・試用し、透析中の血圧過降圧の頻度の減少、身体機能やQOLの向上を認めた。 研究成果の概要
  72. 貧血合併心不全における分子機構解明と新規治療への応用 2010 – 2011 若手研究(B) 内藤 由朗 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10446049) 研究開始時の概要: 研究概要:貧血、特に鉄欠乏性貧血が心機能に及ぼす分子機構について、ノックアウトマウスを用いた基礎研究より検討した。エリスロポエチン(EPO)受容体ノックアウトマウスを用いた検討より、鉄欠乏による貧血合併心において心臓の内在性EPO-EPO受容体を介したシグナル伝達系が心保護に作用していることが示された。一方、アンジオテンシンII受容体(1a型;AT1aR)ノックアウトマウスを用いた検討では、鉄欠乏による貧血合併心において腎臓AT1aRを介したEPOが心保護に作用していることが示唆された。以上より、貧血合併心不全において腎臓AT1aR-EPO-心臓EPO受容体を介した経路が心保護に作用していることが示された。 研究成果の概要
  73. 慢性心不全患者における悪性新生物の発生・進展に関するコホート研究 2010 – 2012 基盤研究(C) 柴 信行 東北大学, 大学院・医学系研究科循環器内科学分野, 非常勤講師 (60374998) 研究開始時の概要: 研究概要:本研究では、心血管疾患症例(N=10,114)における悪性新生物の既往と予後に関する検討を行った。症例は平均68±12歳、男性は70%、悪性腫瘍の既往は12%であった。悪性腫瘍の既往がある症例は、既往のない症例と比較し高齢で男性が多く、特に心不全症例ではBMIが低く、収縮期血圧が低く、心拍数が早かった。約3年間の追跡では悪性腫瘍の既往のある症例は、心血管疾患のステージ(BまたはC/D)に関係なく予後不良であった。 研究成果の概要
  74. KLF転写因子による生活習慣病・癌の病態分子機構解明と治療応用 2010-04-01 – 2015-03-31 基盤研究(S) 永井 良三 東京大学, 医学部附属病院, 名誉教授 (60207975) 研究開始時の概要: 研究概要: 研究成果の概要KLFファミリーはzincフィンガー型転写因子であり、現在17種類が知られている。本研究では、KLF5とKLF6に着目し、生活習慣病とがんにおける機能の解明をめざした。心臓においては心筋細胞ではKLF6が、線維芽細胞ではKLF5が働き、心臓肥大や線維化を制御している。また、KLF6は大動脈瘤と解離の病態に重要である。腎臓においては、KLF5が腎傷害に対する炎症を制御しており、慢性腎臓病に寄与することを見いだした。またKLF5が大腸癌と関連することを明らかとした。本研究で明らかにされたメカニズムは、新しい治療法や診断法開発の標的となる。
  75. 心腎連関におけるレニン-アンジオテンシン系の役割の解明 2010 – 2012 特別研究員奨励費 研究開始時の概要: 研究概要:生活習慣病の広がりに伴い、糖尿病や高血圧に関連した腎機能障害患者数が著しく増えている。腎不全をもった心疾患患者はより重度の心不全を引き起こすことや治療効果の低下が問題点である。この現象は「心腎連関」とやばれており、この病態を明らかにすることは医学的に解決すべき重要な点である。「心腎連関」の病態解明と治療法の開発が進まないのは、適切な疾患解析モデルがこれまでに開発されていないためと考えられる。腎不全の存在により心筋梗塞後の進展が助長されることを確認でき、その病態機序の一つとしてレニンの上昇とそれによる酸化ストレスの産生によりこの現象が引き起こされていることを証明した。この研究は論文として学術誌への掲載が決定した。これにより心腎連関の新しいモデルとしての可能性や新たな病態機構の解明に繋がる研究だと考えている。またこの実験モデルの良い点は、糖尿病モデル等による糖代謝異常を起こすことがなく腎不全を誘導できることが可能なため、腎機能の低下が直接的に心機能の低下を誘導する証拠となることが示唆される。更なる心臓と腎臓をつなぐ因子として自然免疫についても検討している。腎臓の傷害によって産生されるHMGB-1やATP、AGEはそれぞれTLRやP2×7、RAGEに結合する。これにより自然免疫が助長されその後の炎症を誘導することが知られている。これらのノックアウトマウスを用いてこの病態に対する影響を確認することにより、更なる心腎連関の機構の解明と新たに治療法の確立に役立つと考えている。 研究成果の概要
  76. 心臓組織内の内皮細胞を起点としたシグナルネットワークによる心筋保護の分子機構 2009 – 2011 基盤研究(C) 中岡 良和 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90393214) 研究開始時の概要: 研究概要:心筋から分泌されるangiopoietin-1(Ang1)の機能を解明するため、Ang1 floxマウスを作成してα-MHC-Creマウスと交配して、心筋特異的Ang1欠損(Ang1CKO)マウスを作成した。Ang1 CKOマウスはE12. 5-E14. 5で胎生致死を呈し、(1)心内膜と心筋肉柱層の接着不全、(2)心筋肉柱と緻密帯の発達不全、(3)冠血管形成異常などの表現型を呈した。Ang1 CKOマウスと野生型マウスの心臓で内皮細胞を抗CD31抗体で免疫染色すると、野生型で心室壁の心外膜直下と一層内側に形成される冠静脈と冠動脈の2層の血管構造のうち、外側の冠静脈のみがAng1 CKOマウスで特異的に欠損していた。 研究成果の概要
  77. 薬剤溶出性ステント後の再内皮化誘導療法に関する研究 2009 – 2011 基盤研究(C) 野出 孝一 佐賀大学, 医学部, 教授 (80359950) 研究開始時の概要: 研究概要:ヒト末梢血単核球の培養にて、シロスタゾール処理で内皮細胞への分化が誘導されることが示された。又PKA阻害薬がシロスタゾールの内皮細胞誘導作用を抑制することが明らかになった。臨床研究の方は、シロスタゾールはSESによる血管内皮再生遅延を改善する明らかな効果は認められなかった。 研究成果の概要
  78. 心不全患者,虚血性心疾患患者に対する新たな診断マーカー 2009 – 2011 基盤研究(C) 長谷川 洋 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (50375656) 研究開始時の概要: 研究概要:心不全患者の血液サンプルを用いて,既知の血中因子や治療薬の心不全との関連,および,新規心不全関連血中因子の探索を目標とた。血中P53抗体は,本来変異p53に対するもので,循環器疾患患者において,優位な変化は認められなかったが,患者末梢血由来mRNAの発現変化をみたところ,p53および関連する因子に年齢および各種危険因子と相関する変化が認められた。一方,心不全において,心不全の進展に大きく関連している,各種のアンジオテンシンII受容体拮抗薬(angiotensin II receptor blocker, ARB)を投与している患者において,各種因子と内服しているARBの種類から,ARBの作用の薬剤間の違いについて検証を行ったところ,テルミサルタンはロサルタン内服患者に比較して,動脈硬化進展のサロゲートマーカーである内頚動脈壁厚(IMT)の進展が有意に抑制されており,一方,やはり心血管疾患の予測因子である血中尿酸値は,ロサルタン内服患者で低い傾向にあることが示された。また,カンデサルタン内服患者では,家庭血圧測定において,心血管死と大きく関連する早朝高血圧が改善されていることを明らかにした。 研究成果の概要
  79. 熱ショック蛋白と酸化的DNA塩基損傷修復による心血管リモデリング抑制の研究 2009 – 2011 基盤研究(C) 長谷部 直幸 旭川医科大学, 医学部, 教授 (30192272) 研究開始時の概要: 研究概要:動脈硬化性心血管障害の主要な機序として酸化ストレスによるDNA塩基損傷がある。この修復に関わる塩基除去修復(base excision repair : BER)機構の主要酵素であるApe1に着目し、Ape1の障害心血管局所での発現亢進を検出し、遺伝子導入による心血管リモデリングの抑制効果を明らかにした。また、温熱刺激(41℃)が熱ショック蛋白(HSP)72の発現亢進を介して酸化ストレス軽減効果をもたらすことを明らかにし、両者の相加的な抗動脈硬化作用が、心血管リモデリング抑制の新たな戦略となる可能性が示唆された。 研究成果の概要
  80. 慢性腎不全における心血管病発症の分子機構:血管内皮機能の視点から 2009 – 2011 基盤研究(B) 今泉 勉 久留米大学, 医学部, 教授 (60148947) 研究開始時の概要: 研究概要:心・血管・腎連関は臨床的に注目されているが、その分子メカニズムは不明である。本研究は、腎不全患者の血中において上昇が報告されているAsymmetric Dimethylarginine(ADMA)が血管内皮機能障害を引き起こすことが、心腎連関の重要なメカニズムであることを初めて明らかにした。さらに、ADMAの従来報告されていたL-アルギニンアナログとしての内皮型NO合成酵素(eNOS)阻害作用とは独立したeNOSリン酸化抑制作用が、このADMAによる内皮機能障害を起こすことを報告した。 研究成果の概要
  81. 心筋リモデリングにおけるミトコンドリア転写因子制御の分子機構の解明と治療への応用 2009 – 2011 基盤研究(B) 筒井 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017) 研究開始時の概要: 研究概要:活性酸素は、ミトコンドリアDNA・機能障害をもたらし、さらなるミトコンドリア酸化ストレスと細胞障害を引き起こす。酸化ストレスは肥大・アポトーシス・細胞外マトリックスリモデリングを惹起する。心筋リモデリングにおけるミトコンドリア転写因子による機能制御機構を解明するとともに、ミトコンドリアDNA・ミトコンドリア機能の保持による心筋保護基盤をあきらかにした。さらに、これらは心筋リモデリング・心不全の形成・進展に密接に関与した。 研究成果の概要
  82. 生活習慣病の病態におけるアルドステロン/鉱質コルチコイド受容体活性化機構の解明 2009-05-11 – 2014-03-31 基盤研究(S) 藤田 敏郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員、名誉教授 (10114125) 研究開始時の概要: 研究概要:私達はアルドステロンがRac1を介して直接受容体(MR)を活性化することを報告した(Nat Med 2008)。本研究でRac1-MR活性化が腎糸球体足細胞で糸球体障害、腎尿細管細胞で食塩感受性高血圧の原因となり(JCI 2011)、メタボリックシンドロームの臓器障害に関わることを示した。一方、糖質コルチコイド受容体は交感神経亢進からWNK4-NCC系を介し食塩感受性高血圧を発症させることを発見した(Nat Med 2011)。この過程にエピジェネティクスが関わっていた。食塩感受性高血圧及び臓器障害発症の新機序を確立し、心腎連関形成でのエピジェネティックス研究へと発展させることが出来た。 研究成果の概要
  83. 循環器疾患におけるアルドステロンの病態生理学的研究 2008 – 2010 基盤研究(C) 吉村 道博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (30264295) 研究開始時の概要: 研究概要:アルドステロンは心不全の病態に深くかかわっているが,副腎における古典的アルドステロン産生経路に加え,近年我々は心臓でもアルドステロンが産生されていることを報告した.今回の研究では,これまで神経終末にのみ存在が知られていたN型カルシウムチャネルが実は副腎におけるアルドステロン産生について深く関与していることを初めて報告した。また,心臓での組織アルドステロンの産生についても食塩や糖濃度,時間の関与が強く示唆された。これらの知見は将来的に糖と食塩と心疾患の関連の解明と心血管病の新たな治療戦略の開発に重要な意味をもたらすものと考えられる. 研究成果の概要
  84. 慢性心不全におけるthrombospondinのβ遮断薬反応性への関与と機序 2008 – 2010 基盤研究(C) 竹本 恭彦 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 非常勤講師 (20364002) 研究開始時の概要: 研究概要:非虚血性慢性心不全例へのアドレナリンβ受容体遮断薬治療前後で、thrombospondin-1濃度へのthrombospondin-1Ala523Thr多型(G/A)の影響は認めなかった。thrombospondin-1濃度のアドレナリンβ受容体遮断薬投与前と開始後12ヶ月後の間の変化は、BNPの同期間中変化と相関し、慢性期血行動態安定化へのthrombospondin-1の関与が推察された。 研究成果の概要
  85. 心腎連関の基盤たる分子機序の解明 2008 – 2010 基盤研究(B) 斎藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260) 研究開始時の概要: 研究概要:心腎連関が大変注目されているが、分子機序は不明である。今回、我々は、腎機能の低下に伴い可溶型Flt-1の体内での発現が減少し、相対的にPlGF/Flt-1系が活性化することにより動脈硬化が増悪すること、また、糖尿病性腎症でKlotho遺伝子の発現が特異的に低下し、尿中Ca排泄が増加し、動脈硬化の増悪に関連する可能性を示した。 研究成果の概要
  86. 心血管ストレス応答におけるミトコンドリア活性酸素シグナル制御 2008 – 2012 新学術領域研究(研究領域提案型) 生物系 筒井 裕之 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70264017) 研究開始時の概要: 研究概要:ミトコンドリアの生体維持機能は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)によって動的に制御されている。近年、mtDNAの酸化損傷およびそれに起因する活性酸素の過剰産生が、種々の疾病の発症、さらには老化にも関与することがあきらかにされ、疾病発症の共通基盤としてのミトコンドリア機能不全が注目されている。本研究では、心血管ストレス応答におけるミトコンドリア転写因子およびミトコンドリア酸化ストレスの役割をあきらかにした。 研究成果の概要
  87. 成人した先天性心疾患患者の管理における心機能、運動耐容能と神経体液性因子の意義 2006 – 2007 基盤研究(C) 武田 裕 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (70381837) 研究開始時の概要: 研究概要:平成18年度に引き続き研究を継続し、通算で成人先天性心疾患患者20名からデータを収集した。NYHA心機能クラスは2.4±0.6で、問診法による運動耐容能は5.1±1.3METsであった。単変量回帰分析によると、血漿エンドセリン-1濃度(標準化回帰係数[β]=-0.446,p=0.049)、尿中ノルエピネフリン濃度(β=-0.536,p=0.015)、尿中バイオピリン濃度(β=-0.535,p=0.015)がそれぞれ運動耐容能と逆相関した。SpO_2が90%以上か未満かで分けた場合、低酸素を呈する群で運動耐容能が低い傾向があった(β=0.396,p=0.084)。一方、血漿ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド濃度は理論に反して運動耐容能と正相関した。前方ステップワイズ法で変数を選択して重回帰分析を行うと、低酸素の有無(β=-0.439,p=0.023)と尿中ノルエピネフリン(β=-0.569,p=0.005)が有意な因子として残った。尿中ノルエピネフリンと尿中バイオピリンとの間に強い正相関を認めた(β=0.806,p<0.001)。本研究において、脳性ヒトナトリウム利尿ペプチドが重症度の指標性を失っていることを示し、これに代わり尿中ノルエピネフリン、尿中バイオピリン、血漿エンドセリン級が重症度指標となりうることを示した。また、尿中ノルエピネフリンと尿中バイオピリンが強い相関を示すことから、酸化ストレスの制御や交感神経の過剰充進の制御が、成人先天性心疾患の治療戦略となる可能性があるとの知見を得た。 研究成果の概要
タイトルとURLをコピーしました