境界性パーソナリティ障害とは
境界性パーソナリティ障害とは
境界性パーソナリティ障害は、不安定な情緒と不安定なに対人関係が特徴で、人をすぐに好きになったり、あっさりと幻滅してしまったり(脱価値化)します。また、自己イメージが安定せず(自己同一性拡散)、他人に見捨てられることに対する不安を常に抱いていて、相手の気持ちを試すために自殺をほのめかしたり企図したりすることを繰り返すことがあります。抑うつ状態を呈することが多く、大うつ病性障害を合併していることも多い。自傷や薬の大量な服用といった自殺企図により救命救急センターに搬送されることも少なくなく、死の転帰に至る危険があり注意を要する。境界性パーソナリティ障害の人は、人間的な距離がある程度ある人に対しては如才なく振る舞うことができ、一見問題がないように見えるが、両親や家族のように関係が深い相手に対しては依存的態度が強い。治療においては医師に対して恋愛感情を抱く(陽性転移)ことがあるが、それが満たされないと憎しみに変化し(陰性転移)、自傷行為などの行動化(acting out)を起こすことがすくなくない。そのため医師・治療者が患者に対して否定的な感情を抱く逆転移が生じることもある。周囲の気を引くようなアピール性の自殺行動が多く、身体的に軽症なリストカットや過量服薬を繰り返すが、本人にはアピールしている自覚はなく無意識にしていることが多い(参考:『精神科の診かた、考え方』73、127、173ページ)。
- レジデントノート別冊 各科研修シリーズ これだけは知っておきたい 精神科の診かた、考え方 羊土社 2014年
境界性パーソナリティ障害の治療法
弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy; DBT)
境界性パーソナリティ障害における、自己制御、対人関係能力や苦悩忍耐能力の欠如にフォーカスし、これらの習得を目指す。
参考
- 「生きたい」も「死にたい」も、私にとって大切な感情なんです。気持ちの変化が激しい境界性パーソナリティ障害とともに生きる咲セリさん 2018年07月10日
- 「生きるのがつらい…」境界性パーソナリティ障害とは? 2018年09月14日 NHK ハートネット
- 秋葉原無差別殺傷事件, 加害者Kの育ちと犯罪過程の考察 日本福祉大学子ども発達学論集 第 6 号 2014年1月 境界性パーソナリティー障害診断基準とKの行動傾向 判決書では精神疾患には罹患していなかったとされているが, パーソナリティー障害の診断基準が,Kの行動傾向と合致していることが注目される.
- Hypnosis with a Borderline Patient. Instability. Self-image. Interpersonal relationships, Mood. Emptiness. Overidealization. Over-devaluation. Depression. Irritability. Anger. Anxiety.