臨床研究のデザイン 暴露因子(介入)とアウトカムとの関係に影響を与える第3の因子:交絡因子、中間因子、予後因子、効果修飾因子

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臨床研究をデザインするときに、因果関係を見たいことが多いわけです。暴露因子の存在の結果、アウトカムがどうなるかを知りたくて研究を計画するとします。その時に、暴露因子とアウトカムをそれぞれ定量的に測定できれば、両者の関係が示されるのかというとそう話は単純でありません。暴露因子やアウトカムに関係する第三の因子があった場合に、折角、実験、測定を行っても正しい結論が導かれない恐れがあるのです。第三の因子が何かを把握して、それにたいする対処をしておくことが研究を成功させるためには重要です。

交絡因子(confounder)とは

マッチやライターを持っていると、肺がんになりやすいのではないかという仮説を検証したいと思って研究をデザインするとしましょう。マッチやライターの所持が「暴露因子あり」に相当します。アウトカムは、肺がんになることですね。

マッチやライターの所持群(E) / 非所持群(C) ⇒ 肺がんを罹患(O)

これで研究をしてみたらおそらくマッチやライターの所持群で、肺がんの罹患率が高いという結果になるでしょう。そういう結果が得られたからといって、マッチやライターが肺がんを引き起こすと結論づけていいものでしょうか。もちろん、それはどう考えてもあり得ない話です。交絡因子(confounder)とは、EやCに関連すると同時にOの原因になっているもののことです。「喫煙の習慣」がある人は、マッチやライターを所持しています。そして、喫煙の習慣がある人は肺がんになりやすいわけです。

喫煙の習慣(交絡因子)⇒ マッチやライターの所持

喫煙の習慣(交絡因子)⇒ 肺がんを罹患(O)

交絡因子の存在に気付かずに実験をデザインしてしまうと、結論を誤る恐れがあります。

効果修飾因子とは

効果修飾因子は、文字通り、「暴露」や「介入」の、アウトカムに対する効果を修飾する因子です。例えば薬剤Aの治療効果を調べたいとしたとき、もしも薬剤Aは実は女性にしか効果がなかったとしたら、「性別」という効果修飾因子が、存在すると言えます。「性別」は、暴露因子にもアウトカムにもそれ自体は何も影響していません。

  1. The difference between ‘Effect Modification’ & ‘Confounding’ 4th June 2015 by Deevia Kotecha

中間因子とは

中間因子は文字通り、暴露因子⇒アウトカムという因果関係の間に来るものです。

暴露因子⇒中間因子⇒アウトカム

予後因子とは

暴露因子⇒アウトカム

の関係を検証したいわけですが、第3の要素として予後因子が何かあったとすると、

予後因子⇒アウトカム

の関係になります。

参考

  1. 臨床研究の道標 第2版 上巻第2章 77ページ~
  2. Directed acyclic graphs: a tool for causal studies in paediatrics Pediatric Research volume 84, pages487–493 (2018)
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