特2 発明の定義 物の読みは「もの」か「ぶつ」か

(定義)
第二条 この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。
2 この法律で「特許発明」とは、特許を受けている発明をいう。
3 この法律で発明について「実施」とは、次に掲げる行為をいう。
一 物(プログラム等を含む。以下同じ。)の発明にあつては、その物の生産、使用、譲渡等(譲渡及び貸渡しをいい、その物がプログラム等である場合には、電気通信回線を通じた提供を含む。以下同じ。)、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出(譲渡等のための展示を含む。以下同じ。)をする行為
二 方法の発明にあつては、その方法の使用をする行為
三 物を生産する方法の発明にあつては、前号に掲げるもののほか、その方法により生産した物の使用、譲渡等、輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をする行為
4 この法律で「プログラム等」とは、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下この項において同じ。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であつてプログラムに準ずるものをいう。

この条文で「物」を「ぶつ」と呼んでいる条文朗読動画がYOUTUBEにあったので、「ぶつ」なのか「もの」なのかわからなくなりました。

質問:この条文の中の「物」の読み方は、「ぶつ」それとも「もの」?

Gemini:特許法第2条における「物」の読み方は、原則として「もの」です。

法律用語では「ぶつ」と読むことが多い(例:民法など)ため迷いやすい部分ですが、特許法の実務や講義では「もの」と読みます。理解を深めるために、ポイントを整理しました。

1. 読み方のルール

特許法の条文に出てくる単独の「物」は、**「もの」**と読みます。

  • 物の発明 $\rightarrow$ もののはつめい

  • 方法の発明 $\rightarrow$ ほうほうのはつめい

  • 物を生産する方法の発明 $\rightarrow$ ものをせいさんするほうほうのはつめい

注意点:

「物質(ぶっしつ)」や「物品(ぶっぴん)」のように熟語になっている場合は音読みになりますが、単独で出てくる第2条第3項のケースでは「もの」です。

2. 民法との違い(ここが重要!)

なぜ「ぶつ」と読み間違えやすいかというと、民法の定義があるからです。

法律 読み方 定義・範囲
民法 ぶつ 「有体物」に限られる。(気体・液体・固体など)
特許法 もの 有体物だけでなく、「プログラム等」(無体物)も含まれる。

特許法では、平成14年の改正により「プログラム等」も「物(もの)」に含まれることが明記されました(第2条第3項第1号のカッコ書き参照)。これにより、IT技術なども「物の発明」として保護できるようになっています。

3. 発明のカテゴリー分類

この条文(第2条第3項)は、発明を以下の3つのカテゴリーに分類するための非常に重要な定義です。

  • 「物(もの)」の発明

    • 機械、器具、装置、化学物質、プログラムなど。

  • 「方法」の発明(単純方法)

    • 測定方法、通信方法、分析方法など(何も生み出さない方法)。

  • 「物(もの)を生産する方法」の発明

    • 製造方法、加工方法など(結果として物が出来上がる方法)。

アドバイス

実務や口頭試問、弁理士試験の勉強などでは、「ものの発明」と発音することが一般的です。「ぶつの発明」と言うと、民法上の「有体物」のみを指しているようなニュアンス(プログラムを含まないような響き)になってしまうため、特許法の文脈では意識して「もの」と読むようにしましょう。