研究者の悩みの一つは、膨大な論文をどうやって整理するかです。
研究者が学術誌のウェブサイトからPDFファイル(ファイル名はしばしば、アルファベットと数字を組み合わせた意味不明なものが割り振られていたりする)を取得し、適当なフォルダに入れると、たちまちカオス状態になる。‥ 科学者のデスクトップのフォルダにはよく分からない名前のPDFファイルが3000個ぐらい入っていて、ファイルが必要になったときには決して探し出すことができないのです。(TOOLBOX: 文献管理ソフト8選 Nature ダイジェスト Vol. 14 No. 11 Jeffrey M. Perkel)
自分の論文を執筆するときには、多量の文献を読みこみ執筆しながら引用していく必要があります。それを助けてくれるのが論文管理ソフトで、管理と論文執筆の補助ができます。論文検索、論文PDFダウンロード、登録・管理、執筆原稿への埋め込み、投稿先雑誌指定のスタイルでの論文リストの作製までがシームレスにできるソフトウェアがいくつも利用可能で、どれを使えばいいのか迷う現状だと思います。
自分はたまたま最初のラボの先輩がEndnoteを使っていたので自分もEndnoteを使い初めて今に至ります。結構高額ですが乗り換える面倒と天秤にかけて、使い続けています。
- EndNote 21 パッケージ版 (Win/Mac) EndNote 21 (Package Version) (Win/Mac) EndNote 21 (Package Version)(Win/Mac) CD-ROM 出版社 : CLARIVATE 出版年 : 2023年 在庫なし 定価64,900円(本体59,000円 + 税) 南江堂
EndNote以外の選択肢としては、自分の周りにはRefWorksやMendeleyなどを使っている人がいます。ReadCubeというのも聞いたことがありますが、試したことはありません。
PubMedからEndNoteへの文献の取り込み
The New England Journal of Medicineの論文サイトからEndNoteへの文献情報の取り込み
The New England Journal of Medicineの場合は、左側にPDFダウンロードやShareなどのアイコンが縦に並んでいますがその一番したのアイコン「…」(More)をクリックするとメニューが現れるので「Download Citation」を選びます。すると、さらに
- RIS
- EndNote
- BibTex
- Medlars
- ProCite
- RefWorks. opens in new tab
- Reference Manager
から選べますので、EndNote利用者はEndNoteを選べばよいというわけです。
Nature Communicationsの論文サイトからEndNoteへの文献情報の取り込み
論文タイトルの下の「Cite this article」の文字をクリック。現れたページで「Download citation」の文字をクリック。すると.ris形式のファイルがダウロードされます。これはEndNoteで開くことができて、文献情報が取り込まれます。
PDFファイルからのEndNoteへの文献情報の取り込み
EndNoteX8の場合ですが、メニューから「File」、「Import」、「File…」、「Import Option: PDF」 として、目的の論文PDFを指定しますと、自動的に文献情報を取り込んでくれます。この場合は、自分のローカルPCの中のそのPDFの存在するフォルダを覚えてくれています。
ただし、EndNote X8では、サイエンス(Science)の論文は情報が読み込めないようです。情報が読み込めず、Titleがファイル名になってしまっていました。もっとあとのバージョンなら大丈夫なのでしょうか。
論文PDFに限らず、あらゆるPDFをEndNoteで管理しようと思えばできるわけですね。
EndNote 21の使い方
How to use EndNote 21 in seven minutes (macOS) EndNoteTraining チャンネル登録者数 4.21万人
文献にメモを残す方法
文献ごとに、Author、Year、Titleといった「フィールド」があります。一覧するときにそれだけでなく、自分の個人的なメモが記憶の想起に重要です。EndNoteにはNoteとResearch Note、さらにはCustum 1から8までが用意されています。Noteに自分のメモを書いておき、一覧に表示されるようにすれば、その文献が何だったかを思い出す手掛かりになります。
数行以内の日本語サマリーと5段階評価(Rating)に加え、自分で思いつく複数のキーワードをEndNoteに収納している。面倒ではあるが、データを取り込む度にこの作業をしないとほぼゴミ捨て場になると言っても過言ではない。 ~(中略)~ ユーザーが文献を入力するときに自分で連想したキーワードをできるだけ列挙すれば紐付けが容易になる。そのためには医学用語だけでなく、収集する契機となった学会や友人の名でも良い。個人の思考回路は驚くほど一定で、再現性が高い。(関口建次 2019)https://www2.usaco.co.jp/shop/pages/endnote_tips_02.aspx