大動脈
大動脈の出発点は心臓の左心室の大動脈弁です。
大循環のすべての動脈は大動脈Aorta(Arteria aorta)というただ1本の幹から出ている.大動脈は左心室から出て(図618, 633).胸腔を右前上方に向かって上り,心膜を出て,左後方にまがって左気管支の上を越え,脊柱の左側に達し,脊柱の前方を下方にすすみ,横隔膜の大動脈裂孔を通って腹腔に木り,第4腰椎の高さで右と左の総腸骨動脈を送るが,本幹のつづきは細くて尾動脈Aorta caudalisとよばれ,仙骨と尾骨の前面を下方に走って終る(図600, 636).https://funatoya.com/funatoka/anatomy/Rauber-Kopsch/1-47.html
大動脈は、心臓から送り出された血液が通る人体の中で最も太い血管です。下図のように心臓から出てまず上に向かい(上行大動脈)、弓状に曲がって背中側に回りながら脳や腕に栄養を運ぶ3本の血管が枝別れし(弓部大動脈)、下に向かいます(下行大動脈)。ここまでが胸部大動脈で、横隔膜を貫くと腹部大動脈と名前を変え、腹部の内臓へ枝分かれした後、左右に分岐して下肢に向かいます。
胸部大動脈瘤とは? 国立循環器病研究センター https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/cvs/vascular/vascular-tr-01/
腹部大動脈(腹大動脈)
腹部大動脈から分岐する動脈は、「腹腔動脈」、「上腸間膜動脈(じょうちょうかんまくどうみゃく)」、「腎動脈」(左右一対)、「下腸間膜動脈(かちょうかんまくどうみゃく)」などがあります。
- 大動脈の流れと分岐 花子のまとめノート https://www.hanakonote.com/kaibouseiri/ao.html#index_id3
- 動脈の分岐ゴロ つぼパレット https://tmotsubo.com/89massage/class/5229/
- 解剖学大動脈とその枝(模式図) 徹底解剖学
腹部大動脈の分枝の閉塞
突然の閉塞では、血流が遮断されるため、すぐに激しい痛みが生じます。どの動脈が閉塞したかに応じて、痛みは腹部、背部、脚に生じます。血流が回復しないと、数時間以内に臓器不全および組織の壊死が起こります。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/06-心臓と血管の病気/動脈瘤と大動脈解離/腹部大動脈の分枝の閉塞
- 腹腔動脈閉塞と上腸間膜動脈狭窄を伴った 未破裂下膵十二指腸動脈瘤の 1 手術例 日血外会誌 2009;18:691–694 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsvs/18/7/18_7_691/_pdf
- 急性上腸間膜動脈閉塞症 Medical Note 小腸や大腸などにつながる血管、「上腸間膜動脈」が閉塞する病気です。急性上腸間膜動脈閉塞症の初期症状は激しい腹痛です。その後、嘔吐や血便などが起こります。広範囲の消化管が同時に影響を受けるため、全身状態が著しく悪化し、死に至ることもあります。急性上腸間膜動脈閉塞症は、緊急の治療介入を必要とする病気です。診断から治療までを数時間以内に行う必要があるため、激しい腹痛がある際には救急車を利用するなど、迅速に医療機関を受診することが大切です。
医療過誤の事例
- 平成17年(ワ)第14966号損害賠償請求事件 https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/345/080345_hanrei.pdf 平成15年9月26日,吐き気,腹痛等により,被告が経営するB病院(以下「被告病院」という。)を受診し,同月28日,腹痛を訴えて被告病院に入院したところ,被告病院の医師が,腹腔動脈及び上腸間膜動脈の閉塞を疑い,それに必要な検査,治療等を行わなかったため,Aは死亡するに至った ‥ いったん帰宅したが,同日午後9時20分,被告病院の救急 外来を再度受診し,胸腹部レントゲン検査を受けたところ,腹部大動脈瘤切迫破裂が疑われたため,緊急入院となった。 – 3 – その後,Aは,被告病院において診療看護を受けていたが,10月6日 午前6時30分ころから大量に嘔吐するとともに,意識レベルが低下し, 同日午前6時40分ころには呼吸停止,脈拍触知不能の状態となったため, 直ちに心肺蘇生術及び気管内挿管が行われた。なお,このとき行われた気 管内挿管は,気管チューブが右主気管支に入り込み,少なくとも約1時間 いわゆる片肺挿管となっていた。 そして,Aは,同日午後4時50分,腹腔動脈及び上腸間膜動脈の急性 閉塞により死亡した。