ウエルシュ菌(Clostridium perfringens )というのは初めて聞きましたが、食中毒を引き起こす細菌だそうです。ウエルシュ菌は大腸内常在菌ですが、食中毒の原因となるエルシュ菌は、通常のウエルシュ菌ではなくエンテロトキシン産生性ウエルシュ菌(下痢原性ウエルシュ菌)だそう。
- 飲食店のキーマカレー弁当で「ウエルシュ菌」による食中毒 10歳未満~70代の41人に症状 保健所「カレー、シチューなどの煮込み料理は調理したらなるべく早く」 2024/6/29(土) 18:57 NBS長野放送 県によりますと今月23日、「22日に店で調理、提供したキーマカレー弁当を食べた人が体調不良を呈している」と上田市内の飲食店から連絡がありました。調査の結果、キーマカレー弁当を食べた10歳未満から70代の男女41人に下痢や腹痛などの症状が出て、患者の便や弁当の残品からウエルシェ菌が検出されました。
ウエルシュ菌による食中毒の特徴
- 日本のウエルシュ菌食中毒事件数は1年あたり平均30件弱と少ない
- ウエルシュ菌食中毒事件1事件あたりの平均患者数は83.7名で、他の細菌性食中毒に比べて圧倒的に多い
- 食中毒の発生場所は、大量の食事を取り扱う給食施設や仕出し弁当屋、旅館、飲食店等である。
- 主な原因食品には、カレー、スープ、肉団子、チャーシュー、野菜の煮物(特に肉の入ったもの)等、多くは食肉、あるいは魚介類等を使った調理品である。これは、食肉や魚介類のウエルシュ菌汚染率が高いため。
- 原因食品は大量に加熱調理された後、そのまま数時間から一夜室温に放置されていることが多い。加熱調理された食品中では、共存細菌の 多くが死滅するが、熱抵抗性が強い下痢原性ウエルシュ菌芽胞は生存する。そして、再加熱により芽胞の発芽が促進
- ウエルシュ菌の至適発育温度は43〜47℃と他の細菌よりも高く、増殖速度も速いため(分裂時間 は45℃で約10分間と短い)、加熱調理食品が徐々に冷却していく間にウエルシュ菌は急速に増殖。
- 食中毒の原因となるA型ウエルシュ菌は一般常在ウエルシュ菌と異なり、下痢原性因子であるエンテロトキシンを産生し、大部分の菌株は耐熱性芽胞を形成。
- ウエルシュ菌食中毒の潜伏時間は平均10時間で、喫食後24時間以降に発病することはほとんどない。
- 主要症状は腹痛と下痢。嘔吐や発熱はきわめて少なく、症状は一般的に軽くて1〜2日で回復。
- 食中毒とは異なる感染経路で発生するウエルシュ菌集団下痢症もあり、高齢者福祉施設で発生する事例が多い。
参照サイト
- ウエルシュ菌感染症とは 国立感染症研究所
参考
- ウエルシュ菌感染症とは 国立感染症研究所