科研費申請書の書き方の作法:審査委員が審査しやすいように書く!

科研費の審査委員は、一人あたり80件~100件程度の応募書類を限られた期間内で審査するそうです。もちろん大学教員として講義を持っていたり、実習を担当していたり、自分の研究をして論文の執筆をしたり、学会に出かけたり、大学運営のためのさまざまな学内の委員会、会議に出席したり、学生の指導に当たったり、臨床医であれば診療に従事したり、そしてもちろん家庭との時間を大切にしたりと、超、超、超多忙ななかで審査をします。そうなるとどう頑張っても、一件あたりに割ける時間というのは限られており、自分が聞いたところでは15分~20分で一件を終わらせないと審査業務を期間内に終えられないとのことです。10分読んで5分で評価(コメント作成、評点)あるいは15分読んで5分で評価といったところでしょうか。15分x80件でも1200分(=20時間)です。毎日2時間やっても10日間かかります。20分x100件だと2000分(=33.3時間)です。毎日2時間やっても17日間かかります。こうしてみると、どれだけ審査委員の負担が大きいかがわかることでしょう。

申請書を一読するだけでも15分かかるのではないでしょうか。すると一読して理解できなかった申請書をもう一度読み直す時間があるでしょうか?そう考えると、一回読んだだけでは理解できないような申請書が高い評価を受ける可能性は低いということがわかります。審査委員は理解できなかった研究計画に高評価を付けることはありえません。

頭からじっくり読むと15分では読み切れないとしたら、概要を読んで内容をつかんで、いきなり学術的な問いや研究目的を読み、最も重要なセクションである研究計画を読むということも考えられます。まずは業績欄を見るという審査委員もいるでしょう。

ここまで考えてきてわかることは、頭から読まれてもスムーズに読み進めてもらえるように書かれていないといけないだけでなく、いきなり研究計画を読まれても内容が理解してもらえないといけないということです。つまり、各セクションをできるだけ独立させるということです。研究計画欄にいきなり実験課題の作業手順をダラダラ書き始めるのではなく、冒頭には研究目的を簡潔に書く必要があります。研究計画の最後は、作業工程の説明で切れさせるのでなく、以上の実験課題を遂行することで何が明らかにできるのかを再度まとめて、締めの言葉とすべきです。

申請書にぎっちり書いて、そもそも各セクションがどこにあるのか何秒もかかて探さないといけないというのは大きなストレスです。ページをめくった瞬間にパッと何がどこに書いてあるのかがわかるように、セクションタイトルは太字で強調したり空白をうまくつかったり、網掛け(ハイライト)を利用したりといった工夫をしましょう。

研究計画欄に実験課題を書くときも、各実験の項目を立てて、それらの項目を読むだけで研究の流れがわかるようにしておくことが大事です。実験手技名で項目を立てる人も多いですが、それだと研究音流れが見えません。かならず実験目的名で項目を立てましょう。