性格(パーソナリティ)は遺伝、環境(共有環境、非共有環境)で決まる

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能力や性格(パーソナリティ)が遺伝でかなりの程度決まってしまうと聞くと、絶望する人もいるのではないでしょうか。自分は若いころ(学生時代)、自分の性格が好きではなくて「脳は遺伝に勝てるか?」という答えを探していました。つまり父親から遺伝したようなこの内向的な性格をなんとかして自分の意思の力で変えられないものかと戦っていたわけです。その結果がどうなったかというと、社会人になったら仕事が忙しすぎて、性格で悩んでいる暇がなくなり、やがて年齢が上がって自分の能力や体力の衰えを感じるようになると、自分の性格などどうでもよくなりました。自分が何をやりたいかにフォーカスしていれば、どんな性格であっても仕事で結果を出せるのではないかと思います。

能力と遺伝

能力は遺伝できまると言うと非常に大きな問題が生じます。遺伝できまるということは、人種によって能力に優劣があるということを意味するからです。このことは、劣った人間は排除してよいという「優性思想」にひとつの根拠を与えてしまうため、科学者の間でもタブーといえるテーマです。実際、能力と遺伝との関係を研究して発表した研究者が迫害を受けたりしていますし、発表するにしても非常に慎重な言葉遣いで表現しています。

しかし、能力が遺伝によって「ある程度」決まることは間違いない事実のようです。能力の何パーセントが遺伝できまるのか?という表現はできません。そういう測定方法がないからです。かわりに、研究者は、「遺伝率」(heritability)という用語を使います。これは、ある集団で能力(例えば、IQテストのスコア)を測定したときの個人間での「ばらつき」を、いくつかの要因のばらつきの和として表現したときに、そのうち遺伝的なばらつきの割合がどれくらいを占めるのかをあらわした数字です。

Estimates on the heritability of intelligence range from approximately 65 to 85 percent (Gould, 1982; Jensen, 1998). However, at very early ages the genetic and environmental influences are closer to 50-50, decrease with age, and by adulthood the genetic component is almost entirely responsible for the correlation of intelligence between related individuals (Gould, 1982; Jensen, 1998).

11.2: Biology and Personality LibreTexts)

性格と遺伝

Difficulties in identifying specific loci suggest that, as has been observed for a number of quantitative traits, genetic influences on these complex traits are likely attributable to many genes, each with a small effect size.

引用元:Genome-wide association scan for five major dimensions of personality Mol Psychiatry. Author manuscript; available in PMC 2010 Jun 1. Published in final edited form as: Mol Psychiatry. 2010 Jun; 15(6): 647–656. Published online 2008 Oct 28. doi: 10.1038/mp.2008.113 PMCID: PMC2874623 NIHMSID: NIHMS74370 PMID: 18957941

外向性 Extraversion

  1. ZNF180 gene (Zinc Finger Protein 180 gene) rs644148 is a single nucleotide polymorphism or SNP in the ZNF180 gene. https://www.xcode.life/genes-and-personality/how-genes-influence-your-extraversion/

 

ビッグ5と遺伝子

  1. Genome-wide association scan for five major dimensions of personality Mol Psychiatry. 2010 Jun;15(6):647-56. doi: 10.1038/mp.2008.113. Epub 2008 Oct 28. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18957941/

参考サイト・参考資料

  1. https://ja.wikipedia.org/wiki/遺伝率 遺伝率はあくまで集団としての統計値として意味があり、特定の個体に対して遺伝の影響度を示すものではない。例えば体重が小さい個体がいたとして、その原因の60%が遺伝だとはいえない。遺伝的には大きくなりやすい個体なのに、たまたま栄養状態が悪い環境で育ったため体重が小さくなったのかもしれない。‥ 同種の生物でも、測定対象とする集団によって値が変化する。環境の変化が大きい集団と小さい集団、遺伝的に差異が大きい集団と小さい集団では、遺伝率は異なる。‥ よく誤解されるが、遺伝率は「親から子へ遺伝する確率」ではない。例えば、欧米人の双子を用いた研究では、身長の個人差の8割程度は遺伝的要因によって生じていると報告されているが[1]、このことは「背の高い親から80%の確率で背の高い子どもが生まれ、20%の確率で子どもの背は低い」ということを意味してはいない。また遺伝率が高くても、親の特性がそのまま子に伝わる訳ではない。ペアをなしている染色体のうち、どちらか一方のみがランダムで子に伝わるので、仮に遺伝率が100%だとしても子の表現型値はかなりばらつく[2]。また遺伝率が100%だとしても環境が変われば表現型値は変化する。例えばある植物を完全に同一の環境で育てることができれば、背丈の差は遺伝のみによって決まり遺伝率100%となるが、それとは異なる栄養状態の土壌で育てれば背丈は変わってくる。‥ 表現型値のばらつきは分散 V によって表現できる。遺伝と環境の相関を無視できるときは 𝑉 𝑃 = 𝑉 𝐺 + 𝑉 𝐸
  2. 11.2: Biology and Personality LibreTexts heritability, or the degree of individual variance on some measure of behavior or personality that can be attributed to genetics. It is important to remember, however, that heritability is measured in populations (see Kagan, 1994; Sternberg, Grigorenko, & Kidd, 2005). It makes no sense to suggest, for example, that a 5-foot tall person is 54 inches tall due to genetics and then grew another 6 inches thanks to good nutrition.
  3. Genetic Basis of Personality. Emotions. https://sites.pitt.edu/~frieze/per10.htm Personality = Shared genes + unshared genes + shared environment + unshared environment
  4. Genetic Influences on Personality from Infancy to Adulthood H. H. Goldsmith Child Development Vol. 54, No. 2 (Apr., 1983), pp. 331-355 (25 pages) Published By: Wiley

 

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