Wntシグナリング

Wntシグナリングにはカノニカル経路と、非カノニカル経路とがあります。カノニカル経路は古くから研究が進んで明らかとなったほうの経路といった意味合いだと思います。具体的にはβ-カテニンが関与する経路の方です。それに対して非カノニカル経路の一つが、PCP経路です。PCPは、planer cell polarityの略で、平面上に並んだ上皮性の細胞の極性が揃うことを指します。

https://en.wikipedia.org/wiki/Planar_cell_polarity

PCP経路が阻害されると例えば細胞の線毛の向きが揃わないといった表現型が生じるようです。

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https://www.tmd.ac.jp/mri/press/detail/id=58961

Wntシグナリング:カノニカル経路(β‐カテニンを経由する経路)

 

Fig. 1

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352304223000557

  • APC(adenomatous polyposis coli)タンパク質は、2843アミノ酸残基からなる大きなタンパク質で、がん化や形態形成に重要な役割を果たします。WNTシグナル経路のシグナル伝達因子であるβ-カテニンに結合して、その分解を誘導することでWNTシグナル経路を抑制します。
  • Behrens, J; von Kries, JP; Kühl, M; Bruhn, L; Wedlich, D; Grosschedl, R; Birchmeier, W (15 August 1996). “Functional interaction of beta-catenin with the transcription factor LEF-1.”. Nature 382 (6592): 638–42. https://www.nature.com/articles/382638a0
    • Wntシグナル伝達機構がβ-カテニンタンパク質の細胞質存在量を調節し、その結果としてβ-カテニンが細胞核へ移行することのみが知られていた。しかしながら、β-カテニンにはDNA結合ドメインが存在せず、核内でどのようにWnt標的遺伝子を調節しているのかは不明であった。この発見を受けて、Wntシグナルによって調節されたβ-カテニンは細胞核でTCF/LEF型DNA結合タンパク質に結合し、TCF/LEFが’CTTTG’からなるコア周辺のコンセンサス配列(Wnt応答エレメント [Wnt response element, WRE])を認識しているというモデルが確立された(ウィキペディア)

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https://www.embopress.org/doi/full/10.15252/embj.201798873

  1. T-cell factor (TCF) and lymphoid enhancer-binding factor (LEF) transcription factors share homology in their DNA binding domain with members of the High Mobility Group (HMG) box transcription factors family. (Search Labs | AI による概要)
  2. Wnt3a–/–like phenotype and limb deficiency in Lef1(–/–)Tcf1(–/–) mice. Genes Dev. 13, 709-717. Galceran, J., Farinas, I., Depew, M. J., Clevers, H. and Grosschedl, R. (1999).
  3. 2016年6月20日 発表 掲載誌Journal of Clinical Investigation(2016) doi:10.1172/JCI84658 細胞外分泌タンパク質Dickkopf1 (Dkk1)は、Wntシグナル阻害因子として報告されており古くは腫瘍抑制因子と考えられていました。一方で、Dkk1は膵がんや肺がん、食道がん、乳がん等において過剰発現しており、近年Dkk1にはがん細胞の増殖を促進する機能があると推測されていましたが、そのメカニズムは不明でした。 https://www.med.osaka-u.ac.jp/activities/results/2016year/article16