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臨床試験のデザインと倫理の問題

ランダム化試験試験が最も厳密に対照との比較を可能とするということが臨床研究の教科書に説明されていますが、それを読んで、非常に有望な新薬が現れたときに誰も対照群に割り当てられたくはないだろうになぜそんなことができるのだろうと不思議に思っていました。

当然といえば当然なのですが、その点が非常に大きな倫理的な問題として浮かび上がった事例が過去にあったんですね。PLX4032というロシュが開発した薬で、メラノーマの中でもBRAF遺伝子に変異がある患者さんを対象とした臨床試験でした。Dr. Paul Chapman医師がリーダーとして行った臨床試験です。この臨床試験に参加したいとこ同士の二人、Thomas McLaughlinさんは新薬に割り付けられ、もう一人のいとこのBrandon Ryanさんは対照群に割り付けられました。その結果、メラノーマの程度ではより悪かったマクローリンさんが助かり、マクローリンさんよりも進行度合いが遅かったライアンさんが無くなるという結末を迎えてしまったものです。二人を治療したDr. Bartosz Chmielowski医師は、非常に辛い立場に立たされましたがこの臨床試験のプロトコルに従いました。

京都大学大学院医学研究科 聴講コース 臨床研究者のための生物統計学「統計家の行動基準 この臨床試験できますか?」

  1. New Drugs Stir Debate on Rules of Clinical Trials The New York Times By Amy Harmon Sept. 18, 2010