医学・治療の場面で使う 「コンプライアンス低下」 には、いくつかの文脈があります。
1. 治療行動(患者さんの態度)の意味
一番よく使われるのはこの意味です。
- コンプライアンス = 医師や医療者から示された治療方針・服薬指示などを「守ること」
- コンプライアンス低下 = 指示を守れない/守らない状態
具体例
- 薬を飲み忘れる、勝手に中止する
- 食事療法・運動療法を守らない
- 定期的な通院を欠かす
この場合、医学的には「アドヒアランス(adherence)」という言葉の方が近年は好まれます。
なぜなら「コンプライアンス(compliance)」は「従順さ」というニュアンスが強く、患者さんを受け身に描いてしまうためです。
「アドヒアランス」は「患者が治療方針に主体的に従っている状態」を強調します。
2. 生理学的な意味(肺や血管の力学)
一方で、臨床医学では物理的な「コンプライアンス」という言葉も使います。
- コンプライアンス = 「ある圧力変化に対する容積の変化のしやすさ」
- 肺コンプライアンス:肺が伸びやすいかどうか
- 血管コンプライアンス:血管が広がりやすいかどうか
具体例
- 肺線維症では肺が硬くなり → 肺コンプライアンスが低下
- 動脈硬化で血管が硬くなり → 血管コンプライアンスが低下
まとめ
医学で「コンプライアンス低下」と言ったときには2つの使われ方があります:
- 治療行動:患者が医師の指示を守らなくなる(服薬不遵守など)
- 生理学的性質:肺や血管が硬くなって「伸び縮みしにくい状態」
先生のご質問は「治療における」という前置きがあるので、①の「患者さんが服薬や生活習慣の指示を守れていない状態」を指していると考えるのが自然です。
(ChatGPT 5)