塞栓(そくせん) embolus 塞栓症 embolism

これだけ知れば、医学が理解しやすくなる医学・病理学用語100

塞栓症とは

塞栓 embolusとは、血管内を流れて血管腔を閉塞する異物のことです。塞栓により血管が閉塞された状態を、塞栓症と呼びます。

塞栓の種類

塞栓になるのは血栓だけではありません。他にもいろいろなものが塞栓になりえます。たとえば、骨髄組織、脂肪組織、腫瘍組織、羊水などの組織片であったり、細菌、寄生虫であったり、油滴などの液体、あるいは空気など気体も塞栓になりえます。しかし、一番多いのはやはり、血栓が剝れて塞栓となるものです。

塞栓が生じる場所と塞栓つまらる場所との関係

塞栓が動脈を詰まらせた場合には、動脈性塞栓、静脈をつまらせた場合には静脈性塞栓と呼びます。塞栓は、血管がだんだん細く分岐していくにしたがって自分の大きさよりも血管の内腔が小さくなるところでつまりますので、心臓内で生じた血栓からできた塞栓がつまる場所は、脳や腎臓などになります。下肢などの静脈でできた血栓は心臓に戻ってきたときに、右心房から右心室を経て肺動脈に向かいますので、肺の中の血管を詰まらせることになります。

胎児の心臓の右心房と左心房の間には、肺循環をスキップするために右心房から直接左心房に血液を送るための卵円孔がありますが、卵円孔が大人になっても閉じていない例があります。そのような場合には、静脈性の塞栓であっても、右心房にはいって、卵円孔を通って左心房に移動し、動脈に入ってその先で塞栓症を起こす可能性があることになります。

  • カラーで学べる病理学 第6版 ページ43~44

奇異性脳塞栓症(卵円孔開存が原因)に対するカテーテル治療

  1. 経皮的卵円孔開存(PFO: Patent Foramen Ovale)閉鎖術 https://www.eph.pref.ehime.jp/epch/sp/pfo/index.html
  2. 潜因性脳梗塞に対する 経皮的卵円孔開存閉鎖術の手引き 第 2 版 2023 年 6 月 日本脳卒中学会、日本循環器学会、 日本心血管インターベンション治療学会 https://pfo-council.jp/docs/publications/guidance_02_240328.pdf

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