Gemini 3:「訂正審判(126条)」と「訂正の請求(134条の2)」、この2つはセットで覚えるとスッキリしますよ。どちらも「特許の内容を後から直す」という点では同じですが、「いつ、どんなシチュエーションで使うか」が決定的に違います。一言でいうと、「自分から進んでするメンテナンス」か、「攻撃された時のカウンター」かの違いです。
1. 訂正審判 vs 訂正の請求 比較表
| 項目 | 訂正審判 (126条) | 訂正の請求 (134条の2) |
| シチュエーション | 自分から(能動的) | 無効審判を仕掛けられた時(受動的) |
| 手続きの性質 | 独立した「審判」 | 無効審判の中の「一つの手続き」 |
| タイミング | いつでも(ただし無効審判中を除く) | 無効審判の指定された期間内のみ |
| 相手方の有無 | なし(自分と特許庁だけ) | あり(無効審判を請求してきた相手がいる) |
| 主な目的 | 予防(事前にスキを無くしておく) | 防御(無効にされるのを回避する) |
2. なぜ2種類あるのか?(使い分けのルール)
実は、この2つは「同時にはできない」というルールがあります(126条2項)。
-
無効審判が始まっていない時: 「訂正審判」を使って自由に直せます。
-
無効審判が始まってしまった時: 「訂正審判」はできなくなり、「訂正の請求」という形で無効審判の中で戦うことになります。
これは、バラバラに手続きが進んで「一方では訂正が認められたのに、もう一方では無効になった」というような矛盾が起きないように、窓口を一本化するためです。
3. 具体的なイメージ
- 訂正審判(126条)は「健康診断とサプリ」
「ライバルに狙われそうな広い範囲を少し狭めておこう」とか「誤字を見つけたから直しておこう」と、平和な時に自分の意思で行うメンテナンスです。
- 訂正の請求(134条の2)は「手術」
無効審判(攻撃)という病気が見つかった時に、「このままでは死んで(無効になって)しまう! 悪い部分を切り取って(訂正して)生き残らなきゃ!」と、緊急で行う治療です。
補足:第17条の5とのつながり
前回の質問にあった「訂正の請求書を補正する」というのは、この「手術(訂正の請求)」の最中に、「やっぱり執刀範囲(訂正する範囲)を少し変えます!」と書き換える行為のことですね。ややこしいですが、「訂正」という土俵の上に、「補正」という微調整の手続きが乗っている、という構造が見えてくると、特許法の迷路が少し明るくなるはずです。