人間には膜がたくさんあります。発生途上の胎児もいろいろな膜に包まれています。どの膜がどんな発生学的な起源を持っていたのかをフォローするのは難しいものです。とりあえず「膜」と名がつくものを列挙して、分類して、整理しておきます。発生学的に順を追って、いつどの段階でどこにできた膜に由来するのか、さらにどう小分類に分かれるのかという整理の仕方が一番忘れにくいと思います。
blastocyst cavity (blastocoele)
受精卵が卵割して桑実胚になり「外側』の細胞集団と「内側」の細胞集団の2種類にまずわかれます。外側の細胞は「栄養膜細胞 trophoblast」で、内側は「内部細胞塊」です。膜といえば、まだ着床前はゼリー層であるzona pellucidaにも囲まれています。これは着床前にhatchingでカラから出ることになります。
https://embryology.med.unsw.edu.au/embryology/index.php?title=Blastocyst_Development
内部細胞塊はepiblastとhypoblastの2つの細胞集団に分かれ、epiblastの細胞集団の真ん中に空隙が出現しますが、これが羊膜腔(下の模式図の紫色の細胞の真ん中の濃い紫色の空間)です。
子宮内膜 endometrium
胚や胎児の図は全体像を省略していることが多いので、子宮の中における全体像を忘れがちです。
https://courses.lumenlearning.com/suny-ap2/chapter/embryonic-development/
Extraembryonic coelom
https://basicmedicalkey.com/placenta-and-extraembryonic-membranes/
羊膜腔 amniotic cavity
最後は胎児を包み込む膜になりますが、最初はまだただの細胞の塊の内部の空隙にすぎません。
https://www.evolutionunderthemicroscope.com/homology18.html
羊膜 amnion
絨毛膜 chorion
胎盤で胎児の血液と母体の血液は交じり合いませんが、胎児の血管と母体の血液の間には絨毛膜が存在します。
https://en.wikipedia.org/wiki/Fetal_membranes#/media/File:2909_Embryo_Week_3-02.jpg
漿膜 しょうまく serosa (発音:せろーさ)
漿膜は、器官の表面を覆う臓側葉と体壁内面を覆う壁側葉とに分類できる。漿液を分泌する。また臓器の位置に応じて、腹膜・胸膜・心膜に分類される。
腹膜 peritoneum(発音:ぺりとーにあむ)
下の動画は非常に丁寧に腹膜の説明をしてくれています。
Peritoneum tutorial The Noted Anatomist チャンネル登録者数 63.6万人
胸膜
心膜
髄膜
髄膜は、脳と脊髄を包んでいる結合組織性の膜であり、硬膜・くも膜・軟膜からなる。
滑膜は関節腔などの内面を覆い、滑液を分泌する
粘膜
外界に連絡している中空性器官(消化管など)の内腔を覆っていて、粘液を分泌する膜が粘膜である(小腸粘膜など)。
結膜
眼瞼の内面を覆う眼瞼結膜と眼球を覆う眼球結膜とがあるが、両者はつながって移行している。