総説
- Brain Sex Differences Related to Gender Identity Development: Genes or Hormones? Int J Mol Sci. 2020 Mar 19;21(6):2123. doi: 10.3390/ijms21062123
脳の性分化のメカニズム:アンドロゲンの作用
性同一性障害の典型例
- 胎児期に男性ホルモン(テストステロン)が多いと脳が男性化し出生後も男性としての性行動(少ないと女性化)
- 染色体・性腺・性器が男性でも、胎児期に男性ホルモンが少ないと女性としての性行動
- 染色体・性腺・性器が女性でも、胎児期に男性ホルモン(テストステロン)の量が多いと、男性としての性行動
https://caran-coron.jp/column/128/
ホルモン療法
男性が、女性ホルモンの補充療法を受けた場合、下のリンクの説明によれば、乳房が大きくなり、乳腺と脂肪が増加しし、体脂肪の付き方が変わって女性らしい顔つきとともに腰回りの脂肪が増え、勃起力が低下し、性欲も減少し、精子量は減少するのだそうです。また外見だけでなく、性格が女性的に変化し、涙もろくなどなるそうです。その他、男性型脱毛症が改善して、髪の毛が細くなり密度が高まるなど頭髪が女性らしく変化するのだそう。成人男性の場合に、声や骨格まで女性化することはないそう。
女性が男性ホルモンの補充療法を受けた場合は、乳腺の収縮と皮下脂肪の減少によって乳房が縮小するほか、皮下脂肪が減少し、筋肉が増加し、内臓脂肪が増加するそうです。また、生理が止まります。外見だけでなく、内面的な変化として、性格が男性的になるのだそうです。そのほか、ひげが発生し、頭髪が減少します。成人女性の場合に、骨格の変化はあまり起きないそうです。
性ホルモン注射療法は、FTM(Female-to-Male)の場合にはアンドロゲン製剤を、MTF(Male-to-Female)の場合にはエストロゲン製剤を注射 https://www.azabujuban-clinic.jp/gender_dysphoria/
語句
トランスセクシャル:身体的性と性自認が一致せず、医学的な処置(性別適合手術やホルモン注射など)によって、身体と自認する性別の一致を望む人々のこと、もしくはそのような処置をすでに受けた人たちのこと。
- https://www.ikecen.com/gid
アンドロゲンから変換されてできるエストロゲンの男性的な行動に対する影響
男性ホルモン(アンドロゲン)が男性的な行動をつくりだすということなら話は単純ですが、実際には、アンドロゲンであるテストステロンは細胞内のアロマターゼによってエストロゲンに変換されて、エストロゲンの作用を持ちます。ですから、単純にテストステロン=男性ホルモンと考えて実験結果を解釈するわけにもいかなそうです。
- The Androgen Receptor Governs the Execution, but Not Programming, of Male Sexual and Territorial Behaviors Scott A. Juntti 1 6 , Jessica Tollkuhn 3 6 , Melody V. Wu 1 , Eleanor J. Fraser 2 , Taylor Soderborg 3 7 , Stella Tan 3 8 , Shin-Ichiro Honda 5 , Nobuhiro Harada 5 , Nirao M. Shah Neuron Volume 66, Issue 2, 29 April 2010, Pages 260-272 https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0896627310001959?via%3Dihub
- Estrogen Masculinizes Neural Pathways and Sex-Specific Behaviors Cell Volume 139, Issue 1, 2 October 2009, Pages 61-72 Melody V. Wu 1 , Devanand S. Manoli 4 , Eleanor J. Fraser 2 , Jennifer K. Coats 1 , Jessica Tollkuhn 3 , Shin-Ichiro Honda 6 , Nobuhiro Harada 6 , Nirao M. Shah https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867409009167?via%3Dihub
性ホルモン(アンドロゲン、エストロゲン)とストレス反応との関連性
- Roles for androgens in mediating the sex differences of neuroendocrine and behavioral stress responses Biology of Sex Differences volume 11, Article number: 44 (2020) 総説 https://bsd.biomedcentral.com/articles/10.1186/s13293-020-00319-2