メリヤス編機 最高裁判例 (昭和51年3月10日大法廷判決)

AIによる概要(グーグル検索結果):

メリヤス編機事件とは、特許無効審判で主張されなかった公知事実(すでに知られていた事実)を、審決取消訴訟(裁判)の段階で主張することが許されるかどうかが争われた、知的財産分野の重要な判例(最高裁昭和51年3月10日判決)です。結論として、特許審判で十分に審理されなかった事実は、取消訴訟で新たに主張・立証することが制限されるという「制限説」が示されました。

事件のポイント

「King of the知財判例」: 知財分野で非常に重要視される判例で、「メリヤス編機事件」として知られています。

審判と訴訟の役割: 特許庁での審判(一次判断)と、裁判所での審決取消訴訟(二次判断・高等裁判所の専属管轄)の役割分担を明確にしました。

審理の範囲の制限: 審判で争われなかった無効理由や証拠は、審決取消訴訟では原則として持ち込めない(審決の理由に示された事実に限られる)という考え方です。

なぜ重要か

手続きの効率化: 審判と訴訟で同じ議論が繰り返されるのを防ぎ、手続きを効率化する目的があります。

専門機関の尊重: 専門機関である特許庁の判断を尊重し、裁判所での審理範囲を明確にする役割があります。

 

要するに、特許の無効を争う際、「審判で言わなかったことは裁判で言えない(原則)」という、知財訴訟の基本ルールを確立した判例と言えます。

 

Claude Opuse 4.5:

メリヤス編み機事件(最大判昭和51年3月10日)

事件の概要

この判決は、特許無効審判における訂正請求の機会審決取消訴訟の審理範囲に関する最高裁大法廷判決です。

特許権者が無効審判で敗訴し、審決取消訴訟を提起した際に、審判で主張しなかった新たな公知技術(引用例)を訴訟段階で追加主張できるかが争われました。

判旨の核心

最高裁は以下の重要な判断を示しました。

審決取消訴訟の審理範囲について、審判で審理判断された特定の無効原因に関する認定判断の当否のみが審理対象となり、審判で主張されなかった新たな公知技術を訴訟で追加することは許されないとしました。いわゆる「審決取消訴訟の審理範囲の限定」の法理です。

その理由として、特許無効審判は準司法的手続であり、当事者に攻撃防御の機会が保障されていること、また特許権者には訂正請求の機会が与えられるべきであり、訴訟で新たな引用例を持ち出されると訂正の機会を失うことを挙げています。

現行法との関係

平成23年改正前の状況

この判決は長らく実務を規律してきましたが、いくつかの問題がありました。無効審判と侵害訴訟で別々の無効理由が主張され、紛争が長期化する傾向があったこと、また審決取消訴訟で新主張が制限されるため、再度の無効審判が必要になる場合があったことです。

平成23年改正による変更

特許法134条の2が改正され、審決取消訴訟係属中の訂正審判請求が可能になりました。これにより、訴訟で新たな無効理由が主張された場合でも、特許権者は訂正の機会を確保できるようになりました。

さらにキルビー判決(最判平成12年4月11日)以降の無効の抗弁制度(特許法104条の3)の導入により、侵害訴訟でも無効主張が可能となり、紛争の一回的解決が図られるようになっています。

現代における判例の意義

メリヤス編み機判決の「訂正の機会保障」という基本思想は現在も維持されています。ただし、制度設計としては、審決取消訴訟の審理範囲を厳格に制限するのではなく、訂正の機会を別途確保する方向へ転換しました。現行法では審取訴訟中でも訂正審判請求ができるため、この判決の射程は相対的に縮小しています。

実務上のポイント

無効審判の請求人側としては、審判段階で主張すべき無効理由を網羅的に提出することが依然として重要です。特許権者側としては、訂正による対応可能性を常に検討し、審判・訴訟の各段階で適切に訂正請求・訂正審判を活用することが求められます。