特許法条文の理解のポイント:誰が誰に何をどうするのか?

プロンプト:特許庁長官が被告になるのかそれとも請求人や被請求人が被告になるのか、とか、特許庁長官が何かできるのかそれとも審判長ができるのか、あるいは、審査官ができるのかとかまとめて。

Gemini 3:

誰がどの立場で登場するのか、特許法のジャングルで迷子にならないための「役割マップ」を整理しましょう。

混乱を避けるコツは、**「手続のステージ」「敵が誰か(対立構造)」**で分けることです。


1. 被告は誰か?(裁判ステージ:審決取消訴訟)

審判の結論(審決)に納得がいかず、裁判所に訴える時、誰を相手(被告)にするかという問題です。これは特許法第179条に答えがあります。

特許法

第八章 訴訟
(審決等に対する訴え)
第百七十八条 取消決定又は審決に対する訴え及び特許異議申立書、審判若しくは再審の請求書又は第百二十条の五第二項若しくは第百三十四条の二第一項の訂正の請求書の却下の決定に対する訴えは、東京高等裁判所の専属管轄とする。
2 前項の訴えは、当事者、参加人又は当該特許異議の申立てについての審理、審判若しくは再審に参加を申請してその申請を拒否された者に限り、提起することができる。
3 第一項の訴えは、審決又は決定の謄本の送達があつた日から三十日を経過した後は、提起することができない。
4 前項の期間は、不変期間とする。
5 審判長は、遠隔又は交通不便の地にある者のため、職権で、前項の不変期間については附加期間を定めることができる。
6 審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。
(被告適格)

第百七十九条 前条第一項の訴えにおいては、特許庁長官を被告としなければならない。ただし、特許無効審判若しくは延長登録無効審判又はこれらの審判の確定審決に対する第百七十一条第一項の再審の審決に対するものにあつては、その審判又は再審の請求人又は被請求人を被告としなければならない。

訴えの種類 対立の形 被告(相手) 対象となる審判の例
当事者対立型 Aさん vs Bさん 相手方の当事者 無効審判、訂正無効審判
査定不服型 自分 vs 特許庁 特許庁長官 拒絶査定不服審判、訂正審判

記憶のポイント:

相手がいるケンカ(無効審判など)なら、裁判でも相手を訴える。

相手がいない独り相撲(拒絶不服など)なら、審決を出した親分である特許庁長官を訴える。


2. 「誰ができる?」の3大キャラ(特許庁内部ステージ)

庁内での手続において、誰が主導権を握るかは役割が決まっています。

① 特許庁長官(親分 / 門番)

  • 役割: 手続全体の管理。

  • 主な権限:

    • 手続の却下(第18条の2:不適法な手続を門前払いする)。

    • 手続の補正命令(第17条:書類の不備を直させる)。

    • 審判官の指定(第137条:誰が審理するか決める)。

  • 記憶: 「書類の形式」や「誰が担当するか」など、事務・管理的なトップ

② 審判長(現場監督 / レフェリー)

  • 役割: 個別の審判事件のリーダー。

  • 主な権限:

    • 審理の進行(第145条:口頭審理にするか決める)。

    • 職権による証拠調べ(第150条:証拠を探す)。

    • 審理の終結通知(第156条:「もう終わりですよ」と言う)。

  • 記憶: 試合が始まったら、ルールを適用して実際にジャッジを進める責任者

③ 審査官(最初の門番)

  • 役割: 出願が特許に値するか最初にチェックする人。

  • 再審・審判での出番: * 拒絶査定不服審判が請求された直後の**「前置審査(第162条)」**のみ。

  • 記憶: 審判や再審のステージでは、基本的に**「審判官」にバトンタッチしている**ので、審査官の出番はほぼありません。


3. 再審(174条)に当てはめると?

再審は「元の審理をやり直す」ものなので、役割も元の手続に準じます。

  • 拒絶査定不服審判の再審

    • 審理するのは:審判長(および審判官合議体)

    • もし裁判になったら被告は:特許庁長官

  • 無効審判の再審

    • 審理するのは:審判長(および審判官合議体)

    • もし裁判になったら被告は:相手方の当事者


まとめ:混乱を防ぐ魔法のチェックリスト

  1. 「裁判(訴訟)」の話か?

    • YES → 相手がいれば「相手」、いなければ「長官」が被告。

  2. 「事務的な不備」の話か?

    • YES → 「長官」が補正命令や却下を出す。

  3. 「審理の中身(証拠や進め方)」の話か?

    • YES → 「審判長」が仕切る。

注意!

試験でよく出るひっかけに、「審判長は、手続が不適法なときは決定をもって却下しなければならない」というものがありますが、これは×。「却下」は親分(長官)の仕事です。審判長ができるのは「審決」による却下です。

プロンプト:拒絶理由通知を出すのは誰?拒絶査定を出すのは誰?

Gemini 3:

誰がそのアクションを行うかは、**「今、審査のステージ(審査段階)にいるのか、それとも審判のステージ(審判段階)にいるのか」**で決まります。

ここが整理できると、特許法の全体像がぐっと見えやすくなりますよ!


1. 結論:誰が出すのか?

結論から言うと、以下のようになります。

アクション 審査段階(出願して最初) 審判段階(拒絶査定の後)
拒絶理由通知を出して反論を求める 審査官 審判長
拒絶査定(「ダメです」という最終判断)を下す 審査官 (※審決で判断する)

2. ステージごとの詳細

① 審査段階(審査官のターン)

特許庁に出願して、一番最初にチェックしてくれるのが審査官です。

  • 拒絶理由通知(第50条): 審査官が「これ、特許にできませんよ」と理由を教えてくれる通知です。

  • 拒絶査定(第49条): 反論を聞いても納得いかなかった場合に、審査官が下す最終的なダメ出しです。

② 審判段階(審判長のターン)

拒絶査定に納得がいかず、「拒絶査定不服審判」を請求した後の話です。ここでは審査官の手を離れ、審判官(3名または5名の合議体)が担当します。そのリーダーが審判長です。

  • 拒絶理由通知(第159条2項): 審判の過程で、審査官が見つけていなかった新しいダメな理由を審判官が見つけた場合、審判長の名前で通知を出します。

  • 拒絶「審決」: 審判の結果、やっぱりダメだった場合は「拒絶査定」ではなく**「拒絶すべきという審決」**を下します。


3. ここが混乱のポイント!「前置審査(ぜんちしんさ)」

ユーザーさんが混乱するのは、拒絶査定不服審判の直後に、また「審査官」が登場するケースがあるからではないでしょうか?

  1. 拒絶査定不服審判を請求する。

  2. 同時に「内容を修正(補正)」する。

  3. すると、審判官が判断する前に、元の審査官にもう一度チャンスが与えられます(第162条)。これを前置審査と言います。

この「前置審査」中なら:

審査官がもう一度「拒絶理由通知」を出したり、「特許査定」を出したりすることがあります。ただし、それでもダメなら審査官は「特許にできない」という報告書を書いて、正式に審判長へバトンタッチします。


まとめ:記憶に焼き付けるルール

  • 審査官: 「現場の担当者」。最初から最後まで付き合うが、審判が始まると基本的にはフェードアウトする(前置審査を除く)。

  • 審判長: 「裁判官のようなリーダー」。審判や再審という、より上のステージでの手続を仕切る。

  • 拒絶理由通知: どちらのステージでも出るが、**「今どこの土俵で戦っているか」**で名前が変わる(審査官か審判長か)。


プロンプト:拒絶査定を特許出願者に出すのは、特許庁長官じゃないんだ?第何条?

Gemini 3:

はい、実は「拒絶査定」という最終判断を下すのは、特許庁長官ではなく**「審査官」**なんです。

特許法では、実務上の判断(中身のチェック)を行う人と、組織を管理する人の役割が明確に分かれています。根拠条文と一緒に整理しましょう。


1. 根拠条文:第49条と第50条

「誰が拒絶するか」は、以下の条文にハッキリ書かれています。

特許法第49条(拒絶の査定)

審査官は、特許出願が次の各号のいずれかに該当するときは、その特許出願について拒絶をすべき旨の査定をしなければならない。

特許法第50条(拒絶理由の通知)

審査官は、拒絶をすべき旨の査定をしようとするときは、特許出願人に対し、拒絶の理由を通知し、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

このように、現場で「この出願はダメだ」と判断し、通知を出し、査定を下すのはすべて**「審査官」の権限**となっています。


2. なぜ特許庁長官じゃないのか?(審査官の独立性)

特許の審査は非常に高度で専門的な判断が必要です。そのため、特許法は「審査官」というプロフェッショナルに独立した判断権限を与えています。

もしこれが「特許庁長官」の名前で出すことになると、形式上、長官が全国数万件の審査すべてに目を通したことになってしまい、現実的ではありません。また、政治的な圧力や組織の都合ではなく、**「審査官が自分の名前と責任で、法律に基づいて判断する」**という仕組みにしているのです。

3. 特許庁長官の役割は何?

では、長官は何をしているのでしょうか? 拒絶査定に関わる部分では、主に以下の「事務・形式面」を担当します。

  • 書類を送る(送達): 審査官が書いた「拒絶査定」の謄本を、出願人に郵送(送達)する手配をするのは特許庁長官の仕事です(第189条、第190条)。

  • 審査官を指名する: どの審査官にどの案件を任せるかを決めるのは長官です。

  • 形式不備を叱る(補正命令): 「書類に印鑑がない」「手数料が足りない」といった、中身以前の形式的なミスに対して「直しなさい」と命令するのは長官です(第17条)。


まとめ:記憶に残すための対比表

アクション 主役 条文
拒絶の理由を見つけ、通知する 審査官 第50条
拒絶査定を下す(最終判断) 審査官 第49条
査定の書類を出願人に届ける(送達) 特許庁長官 第189条
出願却下(形式不備で門前払い) 特許庁長官 第18条の2

「中身の判断は現場のプロ(審査官)、組織の運営と書類の配送は親分(長官)」と覚えるとスッキリしますね。


プロンプト:すると出願者が拒絶の査定を受け取るのは、長官名義ってことね?

Gemini 3:

いいえ、実はそこが勘違いしやすいポイントなのですが、拒絶査定書を受け取るときにそこに記されている名前は、特許庁長官ではなく「審査官」の名前なのです。

お手元に届く「拒絶査定書」という書類の末尾には、担当した審査官の氏名がバシッと記載されています。


1. なぜ「審査官名義」なのか?

特許法第49条で「審査官は、……拒絶をすべき旨の査定をしなければならない」と定められているため、その判断の責任者はあくまで審査官本人です。

行政処分(お役所の決定)の多くは「大臣」や「長官」の名前で出されますが、特許の審査については、その専門性を尊重して**「審査官」という個人(正確には官職)に、独立して処分を下す権限**が法律で直接与えられているのです。


2. 「長官名義」になるのはどんな時?

逆に、特許庁長官の名前で書類が届くのは、以下のような**「事務的・形式的な手続き」**に関する時です。

  • 手続却下却下通知書(第18条の2): 「手数料が払われていないので、この出願はなかったことにします」という門前払いの時。

  • 補正命令(第17条): 「書類の書き方が決まりと違います。直しなさい」という事務的な命令の時。

イメージで覚える:

  • 審査官の名義: 「中身(発明)」が特許に値するかどうかのジャッジ

  • 長官の名義: 「形式(書類)」が整っているか、事務的な手続きが進んでいるかの管理


3. 書類ごとの「署名」まとめ

試験や実務で混乱しないように、主要な書類に誰の名前が載るのか整理しました。

書類の名前 記載される名前 根拠
拒絶理由通知書 審査官 第50条
拒絶査定書 審査官 第49条
特許査定書 審査官 第51条
審決書(無効審判など) 審判長・審判官(3名または5名) 第157条
補正命令・却下 特許庁長官 第17条・第18条の2

まとめ:疑問への答え

すると出願者が拒絶の査定を受け取るのは、長官名義ってことね?

答えは「×」です。受け取るのは「審査官名義」の書類です。

ただし、その書類を「郵送(送達)する手配」という事務作業の総責任者が長官である、という役割分担になっています。

もちろん長官が自らペタペタと切手を貼っているわけではありません!そこには、法律上の**「責任の所在」と、組織としての「事務作業の分担」**という、お役所ならではのルールがあります。


1. 「切手を貼る人」は誰か?(実務の話)

実際に封筒に書類を入れたり、発送の準備をしたりするのは、特許庁の**「方式担当の部署(発送担当の職員)」**です。最近ではデジタル化が進んでいるため、電子政府のシステムを通じてポチッと「電子送達」されることがほとんどです。長官は、いわば「運送会社の社長」のような立ち位置です。社長が自分でトラックを運転しなくても、**「荷物を無事に届ける責任は会社(社長)が負う」**というのと同じ理屈です。


2. なぜ法律(189条・190条)では「長官」の名前が出るのか?

特許法において、書類を届けること(送達といいます)は、非常に重要な意味を持ちます。なぜなら、**「書類が届いた日から◯日以内」**という期限のカウントダウンが始まるからです。

  • 審査官: 「中身の判断」をするプロ。判断が終われば仕事は完了。

  • 特許庁長官: 「手続きの進行」を管理するボス。届けるという「公的なアクション」に法的責任を持つ。

もし、郵便事故で書類が届かなかった場合に、「誰の責任で再送するか?」といった法的な最終責任者は、現場の審査官ではなく、組織のトップである長官になるように法律で決めてあるのです。


3. 「名義」と「責任」の整理(まとめ)

ここまでの流れを混乱しないように整理しました。

ステップ アクション 主役(名義) 実務担当
1. 判断 「この特許はダメだ」と決める 審査官 審査官本人
2. 作成 拒絶査定書を書く 審査官 審査官本人
3. 発送 書類を封筒に入れて送る(送達 特許庁長官 発送担当の職員(またはシステム)
4. 受領 出願人が受け取る 出願人 本人(または代理人)

豆知識:

実際に届く封筒の差出人欄には「特許庁」と書いてありますが、法律の条文上、その発送の全責任を背負っているのが「特許庁長官」なのです。


まとめ

「判断のハンコ」を押すのは審査官。

「その書類を世の中に送り出す(送達する)責任」を持つのが長官。

こう考えると、「なぜ拒絶査定書には審査官の名前があるのに、送達の条文(189条)には長官の名前が出てくるのか」という謎が解けますよね。

次は、この届いた「拒絶査定」をひっくり返すための**「拒絶査定不服審判」**について、どんな風にステージが変わるのか見てみますか?