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ユビキチン化されたタンパク質を分解する2つの経路:プロテアソームとリソソーム

細胞の中には、不要となったタンパク質を分解するメカニズムが2つ存在します。一つは、プロテアソームで、もう一つがリソソームです。分解されるべきタンパク質は、まずタグ付けとしてユビキチン化されます。なのでユビキチン化されたタンパク質の分解経路として、プロテアソームとリソソームの2つが存在すると言えます。

以下、consensus.appで確認しておきます。

タンパク質分解におけるプロテアソームとリソソームの関係

タンパク質分解は細胞内の恒常性維持に不可欠なプロセスであり、主にユビキチン-プロテアソーム系(UPS)とオートファジーを介したリソソーム系二つの経路によって行われます。これらの経路は、E3ユビキチンリガーゼによって標的タンパク質にユビキチンが付加されることで開始されます。

  • ユビキチン化とプロテアソーム分解:
    • E3ユビキチンリガーゼは特定のタンパク質を認識し、ユビキチンを付加することでプロテアソームによる分解を促進します。
    • ユビキチン化されたタンパク質は26Sプロテアソームにより分解され、これはATP依存的なプロセスです。
  • ユビキチン化とリソソーム分解:
    • ユビキチン化はまた、タンパク質をエンドソーム-リソソーム経路に送るシグナルとしても機能し、リソソームによる分解を促進します。
    • 特に膜タンパク質のユビキチン化は、これらのタンパク質をリソソームに送るための内部化シグナルとして機能します。
  • プロテアソームとリソソームの相互作用:
    • UPSとオートファジー(リソソーム経路)は相互に調整されており、E3ユビキチンリガーゼの活性やユビキチン結合タンパク質(UBP)などの調節因子がこれに関与します。
    • これらの経路の調整は、特に熱ショック因子やp97、p62、オプチニューリンなどのUBPによって影響を受けます。

プロテアソームとリソソームは、E3ユビキチンリガーゼによるユビキチン化を介してタンパク質分解を行う二つの主要な経路です。プロテアソームは主に細胞質内の短命なタンパク質を分解し、リソソームは膜タンパク質や長寿命のタンパク質を分解します。これらの経路は相互に調整されており、細胞内のタンパク質恒常性を維持するために協力しています。

ギラン・バレー症候群

ニュース記事で、ギラン・バレー症候群という病気を知りました。

  • 俳優の小堀正博さん(36)は半年前、謎の病に襲われた。「38度後半は出ていた。突然握力が弱くなり、ペットボトルのふたが開けられなくなった。2~3時間寝てトイレへ行こうと思ったら体が動かず、救急車を呼んだ」。
  • 手足がしびれ、体に力が入らないなどの症状が起こり、最悪の場合、呼吸さえできなくなり死に至る。
  • 原因として、通常は風邪や下痢、細菌の感染症(カンピロバクター食中毒など)、新型コロナ感染、予防接種といった「先行感染」から始まる。
  • 先行感染に対し、体内では細菌やウイルスを攻撃する抗体ができるが、一部の抗体が誤って自身の末梢神経への攻撃を始めてしまう。その結果、筋力低下や手足のしびれにつながる

「入院を決断しなかったら家で呼吸が止まっていた」 36歳俳優がギラン・バレー症候群に 突然の発症なぜ? 医師に聞く原因と治療法 10/3(木) 10:00 ABEMA TIMES https://news.yahoo.co.jp/articles/777269f3f6a0e630c968d3d80a9bdecfc353d931

アンドロゲン不応症(Androgen insensitivity syndrome;AIS)

2024年パリオリンピックの女子ボクシングで、女子66キロ級のイマネ・ヘリフ選手(アルジェリア)と女子57キロ級のリン・ユーチン選手(台湾)が金メダルを獲得しましたが、この2人の性染色体がXY(男性の染色体)だったことと、試合内容があまりにも一方的だったために物議をかもしました。

自分も最初誤解したのですが、世間でも大きな誤解があり、もともと男性だった人がトランスジェンダーとして女性としてエントリーしたのではないかと考えた人も多かったようです。しかし、それは完全な誤解で、両選手はトランスジェンダーではなく、アンドロゲン不応症と呼ばれるものです。

性染色体がXYであり、Y染色体をもつことから、Y染色体上にあるSRY遺伝子の働きにより性腺は精巣に分化します。つまり、内部生殖器は男性、すなわち精巣というわけです。ところが、アンドロゲン受容体に異常があるために、男性ホルモンであるアンドロゲンに対する反応が無く、外部生殖器がデフォルトである女性型になります。つまり、陰茎や睾丸が形成されず、デフォルトである膣が形成されるわけです。思春期には乳房も発育します。つまり、外形は女性になるわけです。

外性器も本来は陰嚢となる場所だったものが大陰唇に、亀頭部となるはずだったものがクリトリスと女性型になってしまう https://medical-tribune.co.jp/rensai/articles/?blogid=11&entryid=564331

AISの女性と通常の(XX染色体の)女性との外見の違い

AISの女性(XY)は性染色体がXXの女性と外見において異なる部分もあります。

身長と体重が平均的な女性よりも大きくなります。また、腋毛axillary hairや陰毛 public hair は、乏しいか無毛になります。これは体毛の発育がアンドロゲン受容体に依存するためです。また、膣の長さは通常より短く、盲端(blind)になっています。

  • A shortened blind-ending vagina is observed in almost all patients and the vaginal measurement varied from 2.5 to 8 cm in CAIS and 1.5 – 4 cm in PAIS.
  • Pubic and axillary hair are sparse or absent (1,14).
  • Final height in CAIS is above normal mean female height, probably due to the action of the growth-controlling gene (GCY) located at the Y chromosome (15).
  • newborns with CAIS have the same size of male newborns
  • the final height of CAIS individuals (165.7 ± 8.9 cm) was taller than described for Brazilian females, but lower than expected for Brazilian males (15).

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC10118986/

参考

  1. Lecturio動画 Androgen Insensitivity Syndrome: Complete and Partial AIS
  2. http://grj.umin.jp/grj/androgen.htm  CAIS ウォルフ管由来器官の欠如や低形成 精巣上体・精管は存在することもしないこともある 停留睾丸 短い盲端の膣 恥毛,腋毛が薄いか欠如

AISの原因遺伝子

AISの原因遺伝子はアンドロゲン受容体遺伝子です。アンドロゲン受容体遺伝子はX染色体上にあります。AISの女性の性染色体はXYなので、そのX染色体は母親由来ということになります。しかしcomplete AISの人の40%において、アンドロゲン受容体遺伝子の変異はde novoすなわち母親には変異がないのだそうです(参照:Lecturio動画 Androgen Insensitivity Syndrome: Complete and Partial AIS)。

AISに気付くタイミング

CAISの場合

  • 思春期にアンドロゲンからアロマターゼを介して産生されたエストロゲンの作用により、乳房の発育は通常
  • 外性器は完全に女性型
  • 出生後から女性として生活
  • 原発性無月経を主訴に産婦人科にて診断されることが多い

https://medical-tribune.co.jp/rensai/articles/?blogid=11&entryid=564331

  1. amenorrhea 無月経

AISの脳の性(性自認)

以下は、Consensus.appの回答です。

アンドロゲン不応症候群(AIS)は、アンドロゲン受容体の遺伝子変異によって引き起こされ、46,XY個体において様々な表現型を示します。完全型アンドロゲン不応症候群(CAIS)の女性は、外見上は女性であり、通常は女性として育てられます。本研究では、CAIS女性の脳の性別と自己認識についての研究結果をまとめます。

  • 女性としての性別認識:
    • CAIS女性は、一般的に女性としての性別認識を持ち、女性としての性役割行動を示します。
    • CAIS女性は、通常、男性パートナーを選び、性同一性障害を経験しないことが多いです。
  • 性別再割り当ての稀少性:
    • CAIS女性が自発的に性別再割り当てを行うケースは非常に稀です。
    • 性別再割り当てを行ったCAIS女性のケースは、非常に少数であり、特異な事例として報告されています。
  • 男性としての性別認識の例外:
    • 一部のCAIS女性は、幼少期から男性としての性別認識を持ち、最終的に性別再割り当てを行うことがあります。
    • これらのケースでは、幼少期からのクロスジェンダー行動が観察され、心理療法やホルモン治療を経て男性としての性別認識が確認されました。

CAIS女性は、一般的に女性としての性別認識を持ち、女性としての性役割行動を示します。性別再割り当てを行うケースは非常に稀であり、特異な事例として報告されています。したがって、CAIS女性は通常、自分自身を女性として認識しますが、例外的に男性としての性別認識を持つケースも存在します。

先天性ミオパチーの原因遺伝子

ニュースで、先天性ミオパチーという病気を初めて知りました。

「今日はまず、謝らせてください。ふうかさんの病名を間違えておりました」とし、「正しくは先天性ミオパチー中心核ミオパチーです。セントラルコア病ではありません (初めの投稿の文章も訂正させていただきました)」と訂正した。もともと「中心核ミオパチー」と説明を受けていたというが、新たに「セントラルコア」という病名を知り、いつしか同じものと捉えてしまったとか。

星野真里、難病と公表した9歳長女について謝罪「病名を間違えておりました」 10/2(水) 12:51配信 42 コメント42件 テレビ朝日系(ANN)https://news.yahoo.co.jp/articles/05c217af6204ba3e80a4b2e1f252485419177758

 

先天性ミオパチーの病型分類

「先天性ミオパチー」は顕微鏡の特徴的所見をもとに、いくつかの病型に分類されます。
① ネマリンミオパチー
セントラルコア病、ミニコア病
③ ミオチュブラーミオパチー、中心核病
④ 先天性筋線維タイプ不均等症、全タイプ1線維ミオパチー
⑤ その他、分類不能な先天性ミオパチー

https://www.nanbyou.or.jp/entry/4726

 

先天性ミオパチーの原因遺伝子

先天性ミオパチーは遺伝子の変異が原因となるようです。一つの病型に対して一つの原因遺伝子が対応しているわけではなく、一つの病型に対して変異が見つかっている遺伝子が複数あり、同じ原因遺伝子の変異が複数の病型で認められることもあるようです。

それぞれの病型の発症には、複数の遺伝子が関与していることが分かります。これらのすべてに変異が認められるわけではなく、通常、一人の患者さんで認められる遺伝子の変異は1種類です。これらの遺伝子の変異により、骨格筋を構成するたんぱく質が欠損したり、機能がうまく働かなくなったりして、病気が発症すると考えられています。https://www.nanbyou.or.jp/entry/4726

アクチン、ミオシンを始めとして、骨格筋の筋収縮に関与する多数の遺伝子が原因になり得るようです(参照:https://www.nanbyou.or.jp/entry/4726)。

  • ACTA1:actin alpha 1, skeletal muscle
  • MYH7:myosin heavy chain 7 Also known as: CMD1S, CMH1, CMYO7A, CMYO7B, CMYP7A, CMYP7B, MPD1, MYHCB, SPMD, SPMM
  • MYL2:myosin light chain 2 Also known as: CMH10, MFM12, MLC-2, MLC-2s/v, MLC-2v, MLC2
  • TPM2:Tropomyosin 2
  • TPM3:Tropomyosin 3
  • TNNT1:Troponin T 1
  • CFL2: cofilin-2
  • RYR1:ryanodine receptor 1
  • DNM2:dynamin 2 Also known as: CMT2M, CMTDI1, CMTDIB, DI-CMTB, DYN2, DYNII, LCCS5
  • TTN:titin Also known as: CMD1G, CMH9, CMPD4, CMYO5, CMYP5, EOMFC, HMERF, LGMD2J, LGMDR10, MYLK5, SALMY, TMD
  • NEB:ネブリン nebulin
  • KLHL40: kelch like family member 40
  • KLHL41: kelch like family member 41
  • KBTBD13:kelch repeat and BTB domain containing 13 
  • LMOD3:leiomodin 3 Also known as: NEM10
  • MYPN:myopalladin Also known as: CMD1DD, CMH22, CMYO24, CMYP24, MYOP, NEM11, RCM4
  • SELENON:selenoprotein N Also known as: CFTD, CMYO3, CMYP3, MDRS1, RSMD1, RSS, SELN, SEPN1
  • MTM1:myotubularin 1 Also known as: CNM, CNMX, MTMX, XLMTM
  • BIN1:bridging integrator 1 Also known as: AMPH2, AMPHL, CNM2, SH3P9
  • SPEG:striated muscle enriched protein kinase Also known as: APEG-1, APEG1, BPEG, CNM5, MYLK6, SPEGalpha, SPEGbeta
  • CCDC78:coiled-coil domain containing 78 Also known as: C16orf25, CNM4, JFP10, hsCCDC78

 

妊娠期間の数え方 受精当日は0日目か1日めか?

発生学における妊娠期間の数え方について説明いたします。

一般的に、発生学では受精日を0日目(Day 0)として数えます。これは以下の理由によります:

  1. 精密性: 受精の瞬間から発生が始まるため、0日目とすることで最も正確に発生段階を追跡できます。
  2. 国際的な標準: 多くの研究者や教科書が、この方式を採用しています。これにより、異なる研究間でデータを比較しやすくなります。
  3. 発生段階の明確化: 例えば、「2細胞期は受精後1日目」というように、発生段階と日数を明確に対応させやすくなります。

ただし、以下の点に注意が必要です:

  • 臨床の場面: 産科では通常、最終月経の初日を妊娠1日目としてカウントします。これは受精日の正確な特定が難しいためです。
  • 動物種による違い: 動物種によって発生速度が異なるため、同じ「Day 1」でも種によって発生段階が異なる場合があります。
  • 研究分野による違い: 一部の研究分野では、受精日を1日目として数える場合もあります。論文や資料を読む際は、どの方式を採用しているか確認することが重要です。

この方式を採用することで、受精後の発生過程を時系列で追跡し、各発生段階を正確に記述することができます。発生学の研究や教育において、この数え方は重要な役割を果たしています。

(文責:Claude.ai)

妊娠期間の計算において、最後の月経の始まりは0日目(0週0日)として扱われます。

受精から出産までの期間は、通常266日と計算されます。これは以下の理由によります:

  1. 一般的な妊娠期間は280日(40週0日)とされています
  2. この280日は最終月経開始日から数えた日数です。
  3. 排卵と受精は通常、最終月経開始日から約14日後に起こると想定されています。
  4. したがって、280日 – 14日 = 266日となります。

terminal selectorとして最終的な分化状態を制御する転写因子が自分自身の遺伝子発現も制御する(autoreglulation)例

Life Unfoldingを読んでいたら、細胞の終末分化(terminal differentiation)状態においては、3つの条件が満たされれる必要があるという説明がありました。すなわち、

1.転写因子が、分化した細胞の機能を発揮するのに必要な一連の遺伝子を制御する

2.その転写因子は、自分自身の遺伝子の発現も促す

3.その転写因子は、遺伝子発現の状態を変えてしまうような別の転写因子の遺伝子発現を促すことはしない

言われてみるとなるほどそれはそうだろうなと思いました。しかし実際に自然界はそのようなロジックで成り立っているのでしょうか。たしかに、いくつかの例では上の条件を満たすようです。ただし生成AIにいろいろ質問を投げてみると、あらゆる分化した細胞でこれが満たされているという証拠があるわけではなく、これ以外のメカニズムも関与していて実際はもっと複雑な様相のようです。autoregulationの概念(仮説)を指示する証拠を纏めてみます。

終末分化をとげた細胞において転写因子が自分自身の遺伝子発現を制御している例

autoregulation(自分自身の遺伝子発現を制御する転写因子)の例

keratinocytes p63

keratinocytesでkeratin遺伝子の発現を促進する転写因子p63は、p63自身の遺伝子発現も促進する。p63はp53ファミリーの一員。p63はいくつかのケラチン遺伝子(K5, K14, K1, K10など)のプロモーターに直接結合して遺伝子発現を促進する。ただしp63のみではなく、AP-1 (Activator Protein 1) Sp1 (Specificity Protein 1) AP-2 (Activator Protein 2)といった転写因子もケラチン遺伝子の発現制御に関与している。(claude.ai)

筋細胞 MyoD

MyoDはマスター遺伝子として筋分化を制御しています。自分自身の遺伝子のプロモーターに結合し発現を促進します。

MyoD is a key regulatory gene involved in the differentiation of muscle cells. The question of whether MyoD is expressed in terminally differentiated muscle cells has been explored in various studies.

  • MyoD and Terminal Differentiation:
    • MyoD is expressed in terminally differentiated muscle cells and is crucial for the activation of muscle-specific genes and the differentiation process.
    • MyoD expression coincides with terminal differentiation in determined muscle cells, indicating its role as an effector in this process.
  • MyoD and Cell Cycle Arrest:
    • MyoD induces terminal cell cycle arrest by increasing the expression of the cyclin-dependent kinase inhibitor p21, which is essential for the differentiation of skeletal muscle cells.
    • MyoD-mediated cell cycle withdrawal is a prerequisite for terminal differentiation, highlighting its role in coordinating muscle-specific gene expression and cell cycle exit.
  • Regulation of MyoD Activity:
    • MyoD activity is regulated by various factors, including chromatin modifiers like G9a, which methylates MyoD and affects its transcriptional activity.
    • The interaction between MyoD and other proteins, such as E-proteins, is crucial for its function in promoting differentiation. In rhabdomyosarcoma cells, forced heterodimerization of MyoD with E-proteins can restore differentiation.
  • MyoD in Different Cell Types:
    • MyoD can activate muscle-specific genes in a variety of differentiated cell types, suggesting its broad capability to induce muscle differentiation.
    • Even in non-muscle cells, MyoD can trigger a muscle differentiation program, indicating its potent role in myogenesis.

MyoD is indeed expressed in terminally differentiated muscle cells and plays a critical role in the differentiation process. It not only activates muscle-specific genes but also induces cell cycle arrest, which is essential for terminal differentiation. The regulation of MyoD activity by various factors ensures its proper function in muscle differentiation. (consensus.app)

下垂体 Pit-1

Pit-1 (POU1F1) 下垂体の発生を制御し、自身の遺伝子発現も亢進させます。

眼 Pax6

Pax6は眼の形成に関与する重要な遺伝子です。自分自身の遺伝子発現を制御(autoregulation)することが知られています。

線虫の化学物質を受容する感覚神経細胞  ASE

線虫のASEはASEニューロンの受容体遺伝子の発現を制御します。自分自身の発現も制御しています。そのためterminal selectorという概念に当てはまります。

線虫AIY介在神経 TTX-3および CEH-10

TTX-3とCEH-10は協同して働き、AIY介在神経に特徴的な遺伝子の発現制御に関与します。

線虫ASE味覚神経  CHE-1

CHE-1はASE特異的遺伝子の発現を制御します。自分自身の発現も制御しています。

線虫のコリン作動性運動神経細胞 UNC-3

UNC-3はコリン作動性運動神経細胞の終末分化に関与しており、自分自身の遺伝子発現も制御しています。

セロトニン作動性ニューロン PET-1

PET-1は脊椎動物においてセロトニン作動性ニューロンに特異的な遺伝子の発現制御を担います。分化した神経細胞において自分自身の遺伝子発現も制御して発現を維持しています。そのためterminal selectorと言えます。

セロトニン作動性ニューロン LMX1BおよびPET-1

LMX1BおよびPET-1は協同して働いてセロトニン作動性ニューロンの発現型の維持に関与します。

発生に関係が深い細胞内情報伝達機構

Signal transduction plays a crucial role in human embryonic development, coordinating various cellular processes that lead to the formation of a complex organism. Here are some key signaling pathways directly relevant to human embryonic development:

Wnt Signaling Pathway

The Wnt pathway is essential for numerous developmental processes:

  • It regulates embryonic axis formation and patterning
  • Wnt signaling from trophoblast-like tissues is predominantly received by neural crest populations, influencing their development
  • It controls the expression of important genes like CCND1 and SNAI2, which are involved in neural crest cell specification and migration

FGF (Fibroblast Growth Factor) Signaling

FGF signaling is involved in various aspects of embryonic development:

  • It utilizes the receptor tyrosine kinase (TRK) pathway to transmit signals
  • FGF plays multiple roles in developing spinal cord formation, including neurogenesis, ventral patterning, and neural crest specification
  • It is crucial for the extension of the caudal part of the embryo, which is coupled to spinal cord formation

Notch Signaling

Notch signaling is important for cell fate decisions and patterning:

  • It is involved in the development of various tissues and organs during embryogenesis
  • Notch signaling helps regulate the balance between stem cells and differentiated cells both prenatally and postnatally

ERK (Extracellular Signal-Regulated Kinase) Signaling

ERK signaling is part of the MAPK (Mitogen-Activated Protein Kinase) cascade:

  • It is involved in transmitting signals from cell surface receptors to the nucleus
  • ERK signaling can lead to different cellular outcomes depending on its dynamics. For example, in PC12 cells, transient ERK activation leads to proliferation, while sustained activation results in differentiation

TGF-β (Transforming Growth Factor Beta) Signaling

TGF-β signaling is crucial for various developmental processes:

  • It utilizes Smad proteins as key intracellular mediators
  • TGF-β signaling is involved in cell proliferation, differentiation, and apoptosis during embryonic development

Hedgehog Signaling

Hedgehog signaling plays a vital role in embryonic patterning:

  • It is particularly important in limb development, controlling tissue pattern and growth
  • Hedgehog signaling has implications for congenital malformations and the generation of limb morphological diversity during evolution

Hippo Signaling

The Hippo pathway is crucial for regulating organ growth:

  • It restricts cellular proliferation and promotes the removal of excess cells through apoptosis
  • Hippo signaling is involved in maintaining the balance between stem cells and differentiated cells both prenatally and postnatally

These signaling pathways work in concert, often interacting and cross-talking, to orchestrate the complex process of human embryonic development. Understanding these pathways is crucial for unraveling the mechanisms of congenital malformations, evolutionary diversity, and potential therapeutic approaches for various diseases.

 

 

キスでうつるウイルスEpstein-Barr virus (EBV)

Epstein-Barrウイルス(EBV)のキスによる感染

エプスタイン・バーウイルス(EBV)は、広く普及しているヒトガンマヘルペスウイルスであり、主にBリンパ球と上皮細胞に感染します。EBVは唾液を介して伝播し、特にキスを通じて感染することが知られています。

主要な研究結果

  • 唾液を介した伝播:
    • EBVは唾液を介して伝播し、特にキスを通じて感染することが確認されています  
    • 深いキスは、特に思春期や若年成人において、EBV感染のリスクを高める主要な要因とされています  
  • 感染のリスク要因:
    • 大学生を対象とした研究では、深いキスがEBVの一次感染の重要なリスク要因であることが示されています 
    • 性交渉もEBV感染のリスクを高めるが、コンドームの使用やオーラルセックスは感染率に大きな影響を与えないとされています
  • 感染のメカニズム:
    • EBVは上皮細胞で増殖し、唾液を通じて他の人に伝播されます 
    • 感染した人は一生の間、断続的に唾液中にウイルスを排出します

結論

エプスタイン・バーウイルス(EBV)は、特に深いキスを通じて唾液を介して伝播することが広く確認されています。思春期や若年成人において、深いキスはEBV感染の主要なリスク要因であり、性交渉も感染リスクを高める要因となります。したがって、キスはEBVの重要な感染経路であると言えます。

  1. Shannon-Lowe, C., & Rowe, M. (2014). Epstein Barr virus entry; kissing and conjugation.. Current opinion in virology, 4, 78-84 . https://doi.org/10.1016/j.coviro.2013.12.001. エプスタイン・バーウイルス(EBV)は唾液を介して未感染の宿主に伝染する可能性があります。
  2. Meier, J. (2021). Epstein-Barr virus and other causes of the infectious mononucleosis syndrome. Schlossberg’s Clinical Infectious Diseasehttps://doi.org/10.1093/med/9780190888367.003.0183. 性行為中にディープキスをすると、EBV 感染のリスクが高まります。
  3. Dunmire, S., Verghese, P., & Balfour, H. (2018). Primary Epstein-Barr virus infection.. Journal of clinical virology : the official publication of the Pan American Society for Clinical Virology, 102, 84-92 . https://doi.org/10.1016/j.jcv.2018.03.001. ディープキス中に口腔分泌物にさらされることが、青少年におけるエプスタイン・バーウイルスの一次感染の主な原因です。
  4. Hirschmann, J. (2004). Epstein-Barr Virus and Genital Ulcers. NEJM Journal Watch, 2004. https://doi.org/10.1056/JD200411240000004. エプスタイン・バーウイルス(EBV)は、唾液、特にキスを介して、特に青年や若い成人に伝染する可能性があります。
  5. Balfour, H., Odumade, O., Schmeling, D., Mullan, B., Ed, J., Knight, J., Vezina, H., Thomas, W., & Hogquist, K. (2013). Behavioral, virologic, and immunologic factors associated with acquisition and severity of primary Epstein-Barr virus infection in university students.. The Journal of infectious diseases, 207 1, 80-8 . https://doi.org/10.1093/infdis/jis646. キスは、エプスタイン・バーウイルス(EBV)の一次感染の重大なリスクでした。
  6. Crawford, D., Macsween, K., Higgins, C., Thomas, R., McAulay, K., Williams, H., Harrison, N., Reid, S., Conacher, M., Douglas, J., & Swerdlow, A. (2006). A cohort study among university students: identification of risk factors for Epstein-Barr virus seroconversion and infectious mononucleosis.. Clinical infectious diseases : an official publication of the Infectious Diseases Society of America, 43 3, 276-82 . https://doi.org/10.1086/505400. エプスタイン・バーウイルス(EBV)の感染は、「ディープキス」などの関連する性行為を通じて起こる可能性があります。
  7. Balfour, H., Holman, C., Hokanson, K., Lelonek, M., Giesbrecht, J., White, D., Schmeling, D., Webb, C., Cavert, W., Wang, D., & Brundage, R. (2005). A prospective clinical study of Epstein-Barr virus and host interactions during acute infectious mononucleosis.. The Journal of infectious diseases, 192 9, 1505-12 . https://doi.org/10.1086/491740. 通常の活動を再開した無症状の人の EBV の経口濃度が高いことは、伝染性単核球症はキスによって感染する可能性が高いという概念を裏付けています。
  8. Jm, S. (1999). [Epstein-Barr virus (EBV)].. La Revue du praticien, 49 20, 2217-21 . エプスタイン・バーウイルス(EBV)の慢性的な排出は、親密なキスによる接触を通じて人から人へと感染を伝染させることに関与しています。
  9. K, M., & Harish, R. (2023). IDENTIFICATION OF PHYTOCOMPOUNDS FROM ARGEMONE MEXICANA AS INHIBITORS OF EPSTEIN-BARR NUCLEAR ANTIGEN TO COMBAT INFECTIOUS MONONUCLEOSIS. Innovare Journal of Medical Scienceshttps://doi.org/10.22159/ijms.2023.v11i1.47141. エプスタイン・バーウイルス(EBV)は唾液によって広がり、単核球症の人とキスをすると健康な人に病気が伝染する可能性があります。

参考

  1. consensus.app

キスでうつるウイルスや病気は他にもあるそうです。

  • herpes simplex virus : HSV-1 and HSV-2.
  • Cytomegalovirus (CMV)
  • human papillomavirus (HPV)
  • Syphilis(細菌)

子宮頸がん予防のための予防ワクチン(HPVワクチン)接種

  • HPVは100種類以上の型があり、少なくともそのうちの13種類に発がん性(高リスク型としても知られている)がある。
  • HPVは主に性器接触で感染し、ほとんどの人は性交渉体験後まもなくHPVに感染する
  • 子宮頸がんは、性行為により感染した特定の種類のHPVによって引き起こされる。
  • 子宮頸がん及び頸部前癌所見の70%は16型または18型のHPVが原因

https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2014/11281518.html

子宮頸がんになる人は日本では毎年1.1万人にものぼり、子宮頸がんで亡くなってしまう女性の数は毎年約3,000人にもなります。また子宮頸がんの治療のために子宮を摘出してしまって子供を産めなくなってしまう人の数も年間1000人になります。

  1. 【お知らせ】はがきが届いた方は子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の無料接種対象者です 奈良市

子宮頸がんの原因は、性交渉を介したヒトパピローマウイルス(HPV)の子宮頸部への持続感染なので、ワクチン接種で予防が可能です。性交渉を持つ年齢よりも早い時期にワクチン接種を行うのが有効です。

⽇本では予防接種法に基づき、2013年4⽉から⼩学校6年⽣〜⾼校1年⽣に相当する⼥性を対象に公費による無料接種(定期接種)がおこなわれています。https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup/hpv_vaccine

ところが日本では「副反応」問題が大きくなった結果、国を挙げての予防接種の推奨が弱まって「努力義務」にとどまっています。

国内では2013年4月に定期接種が始まったが、直後にいわゆる副反応疑いの報道が相次いだことをきっかけに積極的接種勧奨が取り下げられた。2022年4月に勧奨が再開されたものの接種率は停滞

HPVワクチン、副反応論文の誤りを指摘 正しい理解を深めるために 2024年8月29日 16:50 MEDICALTRIBUNE

積極的接種勧奨が取り下げられていた期間に対応する女性は、ワクチン接種の機会が国から提供されてなかったため、それを「キャッチアップ」するための事業が行われています。

1997年4⽉2⽇~2008年4⽉1⽇に⽣まれた⽅を対象に、無料でHPVワクチンを接種できる「キャッチアップ接種」が公費で⾏なわれています(2025年3⽉まで)

【お知らせ】はがきが届いた方は子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)の無料接種対象者です 奈良市

ヒトパピローマウイルス(HPV)自体は非常にありふれたウイルスで、性交渉により感染します。誰もが感染しており、ものですが、多くの種類があり、「高リスク」の種類のHPVが持続的に感染したときに、子宮頸がんが引き起こされます。数ある種類の中でも特にHPV16とHPV18が子宮頸がんの主要な原因です。

adherense junction (AJ)とは?カドヘリン、カテニンを主要な要素とする細胞接着複合体

細胞接着は自分には馴染みがないテーマでした。しかし、受精卵が卵割して最初に2つの細胞タイプに分化するときに、細胞接着が重要らしいということを知り俄然興味がわきました。

アドへレンスジャンクションは細胞間接合部位において形成される、タンパク質複合体からなる機能構造体である。アドへレンスジャンクションは主として物理的に強固な細胞間接着をにない、発生期の器官形成や生体の恒常性に重要な役割を果たす。上皮組織においては、細胞周囲を取り囲むベルト状の構造ゾニューラアドヘレンスおよびスポット状のアドヒージョンプラークがアドへレンスジャンクションとしてくくられる。また線維芽細胞や心筋などでは、より非連続的なスポット状のアドへレンスジャンクション構造が存在する。

https://bsd.neuroinf.jp/wiki/アドへレンスジャンクション

線維芽細胞にもAJが存在するというのは驚きです。ゆるく接着するときにスポット上のAJが使わわれるのでしょうか。

単層上皮細胞には必ず極性があり,上皮の内腔側を頂端側,細胞外マトリックスに接着する側を基底側と呼ぶ.頂端側には特殊な細胞間結合構造が発達しており,閉鎖帯[zonula occludens;密着結合(tight junction)ともいう]と接着帯(zonula adherens)が順に並んでいる(図3A).これらは,“zonula(小帯)”というように,細胞の頂端部をぐるりと取り巻いている.接着帯の直下には,接着斑(macula adherens;デスモソームともいう)があるが,接着帯とは異なり点刻状の構造である.閉鎖帯・接着帯・接着斑をまとめて「細胞結合複合体(junctional complex)」と呼び,カドヘリンが分布するのは接着帯である.閉鎖帯と接着帯の細胞質側にはアクチン束が集まっていて細胞膜と並行に走行しており,円周状アクチン帯(circumferential actin belt)を形成する(図3B).一方,線維芽細胞は極性があいまいで不定形だ.細胞間結合は帯状とはならずカドヘリンは点刻状に集まる25).このカドヘリン結合に対しアクチン束が細胞膜に直交するかたちでつながる(図3C).このように,上皮と線維芽細胞ではカドヘリンとアクチン束の空間的関係がまったく異なるが,カドヘリンによる接着構造を総称して“接着結合(adherens junction:AJ)”と呼ぶことが多い.

総説 細胞間接着装置の仕組みを探る 竹市 雅俊 生化学 発行日:2019年8月25日 https://seikagaku.jbsoc.or.jp/10.14952/SEIKAGAKU.2019.910500/data/index.html

 

AJの構造

  • A principal intercellular structure that links cells together is the adherens junction (AJ).
  • The AJ consists of cadherin adhesion receptors and cytoplasmic proteins that associate with them, including actin filaments.

Figure 1

Takeichi, M. Dynamic contacts: rearranging adherens junctions to drive epithelial remodelling. Nat Rev Mol Cell Biol 15, 397–410 (2014). https://doi.org/10.1038/nrm3802

 

Cadherin Adhesion and Mechanotransduction D.E. Leckband1 and J. de Rooij2

https://www.annualreviews.org/deliver/fulltext/cellbio/30/1/annurev-cellbio-100913-013212.pdf?itemId=/content/journals/10.1146/annurev-cellbio-100913-013212&mimeType=application/pdf

 

https://www.frontiersin.org/journals/cell-and-developmental-biology/articles/10.3389/fcell.2022.998373/full

 

細胞接着の動的制御

細胞接着がどのように動的に制御されているのかは、胚発生を理解するうえでも非常に大事なポイントです。

https://www.cellsignal.jp/pathways/adherens-junction-dynamics-pathway

 

  1. 竹市 科研費研究報告書 平成25年 https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-20002009/20002009seika.pdf

カドヘリンの発生における役割

Adherence junction Animated biology With arpan チャンネル登録者数 27.1万人

参考文献

  1. 総説 細胞間接着装置の仕組みを探る 竹市 雅俊 生化学 発2019年8月25日