心膜とは

質問:心膜と心臓の違い?

Gemini:

一言で言うと、**「心臓」は中身(ポンプ本体)であり、「心膜」はそれを包んでいる外側の袋(ケース)**です。

自動車で例えると、心臓は「エンジン」、**心膜はエンジンを守る「カバーやボディ」**のような関係です。

1. イメージで理解する(水風船の例え)

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心膜の構造を理解するには、**「膨らんだ水風船に、握りこぶしを押し込んだ状態」**を想像するのが一番わかりやすいです。

  • 握りこぶし心臓(本体)

  • 水風船のゴム心膜(袋)

  • ゴムとゴムの間の水心膜液(潤滑油)

心膜はただの1枚の袋ではなく、実は「2重構造」になっていて、その間に少量の液体(心膜液)が入っています。これにより、心臓がドクンドクンと激しく動いても、摩擦が起きずにスルッと動けるようになっています。

2. 役割の違い一覧

心臓 (Heart) 心膜 (Pericardium)
正体 全身に血液を送る筋肉の塊 心臓を包んで守る丈夫な膜
役割

ポンプ機能

 

(収縮と拡張を繰り返す)

保護・潤滑機能

 

(摩擦を防ぐ、位置を固定する)

主な病気 心筋梗塞、心不全、弁膜症など 心膜炎、心タンポナーデなど

3. 少し詳しい構造(ここが重要)

「心臓の壁」と「心膜」は別のもののように聞こえますが、実は境界線でつながっています。

  1. 心臓の壁(内側から)

    • 心内膜:一番内側。

    • 心筋層:分厚い筋肉。これが動く。

    • 心外膜:心臓の表面の膜。(※実はこれが心膜の内側の層と同じものです)

  2. 心膜(外側の袋)

    • 臓側心膜(ぞうそくしんまく):心臓にピッタリくっついている膜(=心外膜)。

    • 心膜腔(しんまくくう):隙間。ここに潤滑液が入っている。

    • 壁側心膜(へきそくしんまく):外側の丈夫な膜。


まとめ

  • 心臓は、血液を送り出す実働部隊(筋肉)

  • 心膜は、心臓がスムーズに動けるように守っている保護袋

もし「胸が痛い」という場合、心臓そのもの(血管が詰まるなど)が原因のこともあれば、この**「袋(心膜)」にウイルスが入って炎症が起きている(心膜炎)**こともあります。

この動画では、テキストだけではイメージしにくい「心膜の2重構造(水風船の例え)」や、心臓壁とのつながりを図解で非常にわかりやすく解説しています。

心臓壁と心膜の構造をわかりやすく説明 ゴローサブチャンネル 33.2K subscribers

 

質問:心膜の発生の由来は、漿膜と同じですか?

Gemini:その通りです。心膜(特に内側の「漿膜性心膜」)は、医学的・発生学的に「漿膜(しょうまく)」に分類されます。発生の由来もご推察の通り、胸膜(肺の膜)や腹膜(お腹の膜)と全く同じ「中胚葉(ちゅうはいよう)」から生まれます。

1. 発生の由来:中胚葉の「隙間」からできる

心膜、胸膜、腹膜の3つは、発生学的には**「三姉妹」**のような関係です。

    • 由来: 中胚葉(のなかの側板中胚葉という部分)

    • プロセス:

      1. 受精卵が成長する過程で、「中胚葉」という層の中に**「裂け目(隙間)」**ができます。

      2. この隙間が**「体腔(たいくう)」**(将来の胸の中やお腹の中の空間)になります。

      3. この**隙間の「壁紙」**として発達したのが、**漿膜(心膜・胸膜・腹膜)**です。

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2. 3つの漿膜(三姉妹)の共通点

これらは名前と場所が違うだけで、「構造」も「由来」も「性質」もほぼ同じです。

名前 場所 守っている臓器 発生由来
心膜 胸の中央 心臓 側板中胚葉
胸膜 胸の左右 側板中胚葉
腹膜 お腹 胃や腸など 側板中胚葉

※これらはすべて、「臓器の表面を覆う膜(臓側)」「壁側の膜(壁側)」の2枚セットになっており、その間に潤滑液(漿液)が入っている点も共通しています。

3. マニアックな補足(臓側と壁側の違い)

もう少し詳しく見ると、中胚葉が2つに分かれて、それぞれ別の膜になります。

  1. 臓側中胚葉(ぞうそくちゅうはいよう)

    • 臓器(心臓)にベッタリ張り付く膜になります。

    • これが**「臓側心膜(=心外膜)」**になります。

  2. 壁側中胚葉(へきそくちゅうはいよう)

    • 外側の壁を作る膜になります。

    • これが**「壁側心膜」**になります。

まとめ

心膜は、胸膜や腹膜と同じく、「中胚葉からできた漿膜」です。ですので、病気の性質も似ており、炎症が起きると「水がたまる(心嚢水、胸水、腹水)」という現象が共通して起こります。この「発生」の視点から見ると、心臓と肺と腸は、みんな同じ「中胚葉の袋」に包まれて守られている兄弟のようなものだと言えますね。

 

参考

  1. 心臓は心膜(しんまく)という漿膜(しょうまく)で覆われています(図3)。https://www.kango-roo.com/learning/7095/ 看護roo
  2. 心膜は漿膜の一種です。漿膜は心膜のほか、腹膜や胸膜など、体腔内臓器の表面をおおう薄い膜の総称です。心膜の構造と役割: 心臓を包む「漿膜性心膜」と、それをさらに包む「線維性心膜」から構成されています。心膜は臓器間の摩擦を減らす潤滑油の役割を果たす漿液を分泌し、心臓の円滑な動きを助けます。漿膜の機能: 心膜だけでなく、腹膜や胸膜なども漿膜であり、内臓の表面をおおい、体腔内での臓器の動きを円滑にするための漿液を分泌します。 (AI Overview)
  3. 心膜〈pericardium〉漿膜性心膜は、心臓表面に密着する心外膜 epicardium(臓側心膜)と大血管基部の一部を包んで翻転し、心臓を被う壁側心膜(心嚢)へと続き、臓側心膜と壁側心膜の間の腔である心膜腔を形成する。 https://med.toaeiyo.co.jp/contents/cardio-terms/anatomy-function/1-3.html