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消化管:胃~小腸(十二指腸、空腸、回腸)~大腸の構造

 

小腸

空腸と回腸とのの間には判然とした解剖学的境界はなくて、口側の2/5が空腸,肛門側の3/5が回腸とされているそうです。

十二指腸の長さ:約30cm

小腸の長さ:約6m(空腸2.5m、回腸3.5m)

参考

  1. http://www.heart-tech.co.jp/kaisetu/2007/04/post_2.html
  2. 十二指腸・小腸の解剖用語 (ガストロ用語集 2023 改訂中) gastro.igaku-shoin.co.jp

五十嵐・志村『改訂 生化学』 正誤表

改訂 生化学 五十嵐脩志村二三夫 編著/山田和彦合田敏尚四童子好廣 共著

  1. 光生館商品ページ https://www.koseikan.co.jp/publish/?id=1282811381-130195

目次

Ⅰ 生体成分の化学と機能―機能を中心に―
序章 生化学と栄養学
第1章 水と生体成分の水素結合
第2章 炭水化物の化学と機能
第3章 脂質の化学と機能
第4章 アミノ酸,タンパク質の構造と機能
第5章 核酸の構造と機能
第6章 細胞
Ⅱ 酵素反応と生体でのエネルギー産生とその利用
第7章 酵素
第8章 生体でのエネルギーの生成と利用
Ⅲ 生体成分の代謝とその調節
第9章 糖質の代謝
第10章 脂肪の代謝
第11章 アミノ酸の代謝
第12章 タンパク質の代謝
第13章 核酸の代謝
第14章 ゲノム生物学
Ⅳ 生体成分の輸送と生体内情報伝達
第15章 生体膜と膜輸送
第16章 血液と尿
第17章 生体と情報

正誤表

ミスプリと思われる点をメモしておきます。

45ページ オキシトシンのアミノ酸配列 Ilu  →   Ile

83ページ 16行目 上の平衡反応ても → 上の平衡反応でも

100ページ 図9-10 NAD →  NAD+

 

可逆反応か不可逆反応かを決めるものは何か

全ての化学反応が可逆反応なのだとしたらなぜ不可逆反応とされる反応があるのか

「全ての化学反応は可逆反応である」という言い方を聞いたことがあります。その一方で、生化学の教科書を読んでいると「この反応は、不可逆反応である」という説明もよく目にします。いったい、どうなっているのでしょうか?

可逆反応とは,どちらの向きにも進む反応のことです。それに対して1つの向きだけに進む反応を不可逆反応といいます。また,平衡とは,物事が一方にかたよることなく、ある安定した状態を保つことですね。化学では,本当は反応が進んでいるのですが,見かけ上反応が止まっている状態を化学平衡とよんでいます。‥ 原理的には,反応物と生成物が存在するとき,すべての反応は可逆反応です。しかし,実際には,平衡状態で生成物の割合が著しく大きい反応系の場合,逆反応は非常に小さく,反応が不可逆的に一方向に進むと考えて差し支えがありません。第111章 化学平衡 osaka-kyoiku.ac.jp/~hiroakio)

上の説明が一番わかりやすくて、混乱を解消してくれるものだと思いました。不可逆の意味は、「平衡状態で生成物の割合が著しく大きい」というわけですね。単純な話です。

水素H2と酸素O2から水H2Oが生成する反応を考えたときに、平衡状態(十分に長い時間がたったとき)の「生成物H2Oの量/反応物水素H2や酸素O2の量」という量比が著しく大きかったとしたら(たとえば水分子1億個:水素(または酸素)1個 など)、一度水分子になったものは1億分の1の確率でしか逆には戻れないということになりそうです。つまり不可逆なんですね。

結局、自分の疑問「可逆反応か不可逆反応かを決めるものは何か」の答えは、平衡定数(=生成物/反応物 という比)だったようです。

すべての化学反応は可逆反応であるともいえるが,化学平衡が著しく一方にかたよっている場合を不可逆反応,そうでない場合を可逆反応として取り扱うのが普通。(可逆反応【かぎゃくはんのう】 百科事典マイペディア コトバンク)

百科事典の説明も、そのまんまでわかりやすいです。

一般に、どんな反応でも十分時間がたてば化学平衡に達し、正反応の速度と逆反応の速度とが等しくなって、見かけ上、反応の進行は止まってしまう。厳密にいえば、すべての反応は可逆反応であり、片方向にしか進まない反応はないわけだが、この平衡が原系もしくは生成系のどちらかに極端にずれている場合は、見かけ上まったく反応が進まなかったり、あるいは全部反応して生成系のみになってしまう。これを不可逆反応という。(可逆反応【かぎゃくはんのう】 日本大百科全書(ニッポニカ) コトバンク)

日本大百科全書(ニッポニカ) の説明が、詳細で具体的でわかりやすいと思いました。同じことを説明した文章でも、自分が一番理解しやすい説明の仕方というものがあるように思います。

マクマリーの化学の教科書を見ていたら、Kが1000を超える場合は、事実上、不可逆反応であり、反応物が全部生成物になるKが10^-3よりも小さい場合は、事実上、反応は起きない。といった説明があり、具体的でわかりやすいものでした。

  1. マクマリー生物有機化学 基礎化学編 第4版(原書7版)211ページ

 

平衡定数は何できまるのか

平衡の偏り(反応物と生成物の比の偏り)で決まるということはわかりましたが、じゃあ、その平衡を決めるものは何なのでしょうか?化学平衡というものは、化学反応ごとに(および実験条件(温度など)ごとに)決まるようです。

平衡状態確率論だけから予測することができる。‥ 平衡状態は “最確分布” そのものである。‥ 反応物と生成物のエネルギー準位を考慮すると、 反応物(A) ⇌ 生成物(B) の化学反応の平衡定数 𝐾=𝑛B 𝑛A は、 *反応物と生成物のそれぞれのエネルギー準位の間隔(∆𝐸A、∆𝐸B) *反応物と生成物の基底状態のエネルギー準位差(∆𝐸AB) によってきまる。(確率できまる化学的平衡状態 cc.iwate-u.ac.jp/~yoshii)

平衡定数は、生成物と反応物のエネルギーの差で決まるとのこと。そういえば物理の統計力学の授業でそんな話があったような気がします。自分の頭の中で結びついていないだけでした。

化学の教科書(マクマリー一般化学(下)第16章 熱力学 エントロピー、自由エネルギーおよび平衡)を見ていたら、書いてありました。

何が平衡定数の値を決めるのであろうか 疑問に答えるために、熱力学について学ぶ 本章の最初に掲げた”何が平衡定数の値を決めるのか”という問題に答えてみよう。その解は、”平衡定数の値を決めるのは、反応の標準自由エネルギー変化(ΔG゜)であり、それは反応物と生成物の標準生成熱と標準モルエントロピーに依存する”ということである。(マクマリー一般化学(下)第16章 384ページ、402ページ)

標準ギブス自由エネルギーから平衡定数を計算

ΔG=ΔG゜’ + RT ln [生成物]/[反応物]

の式で、平衡状態に達したときにはΔGがゼロなので、

ΔG゜’ =- RT ln [生成物]/[反応物]

であり、標準ギブス自由エネルギーΔG゜’がわかれば、平衡定数=生成物]/[反応物] は計算で求まります。五十嵐・志村『改訂 生化学』(光生館)の第8章「生体でのエネルギーの生成と利用」の表8-1には、平衡定数Keqと標準自由エネルギーの関係が表になっていました。R=1.987, T=298(室温25度として)で計算されたものですが、ΔG゜’ =-4.09であれば、Keq=10^3になります。標準自由エネルギーの差が-3である反応は、平衡状態において生成物の方が反応物よりも1000倍多いというわけです。ATPの加水分解の標準自由エネルギー変化は―7.3k cal/molなので、同様に計算すると、平衡時のADP/ATPは10^5になるので、(合計のΔGが負になるように他の反応と共役しないかぎり)不可逆反応だというのも納得です。

生化学の教科書はあまり物理化学的な内容の詳細には踏み込まないものが多いですが、五十嵐・志村『改訂 生化学』はツボを押さえた説明だなあと思いました。他の箇所の説明も、知識の羅列にせずにストーリーを語る意識が強いように感じられるいい本だと思います。図書館で借りた本だとメモを書き込めないので、買うことにしました。

  1. A Primer On Organic Reactions By James Ashenhurst Equilibrium and Energy Relationships ギブスエネルギーΔGと平衡定数との関係を例を挙げて示していてわかりやすい。

反応が進む理由

平衡状態のときの話はそれとして、平衡ではないときは、

ΔG=ΔG゜’ + RT ln [生成物]/[反応物]

の式に従ってΔGが負であれば反応が進むわけです。対数の中身をみると分子の生成物がすぐに次の反応に使われて量が低く抑えられれば、第2項の値は小さくなるのでΔGが負のままでいられます。

 it is almost never necessary to explicitly evaluate ΔG. As we will show in the lesson that follows this one, it is far more convenient to work with the equilibrium constant of a reaction, within which ΔG is “hidden“.

15.4: Free Energy and the Gibbs Function LibreText Chemistry

不可逆性の巷の説明

なぜその化学反応が不可逆なのかをきちんと説明したものが案外少ないように思います。両方向の矢印を引いて、この反応は可逆、一方方向の矢印を描いて、これは不可逆としても全く解説にはなっていませんし。

  1. What makes a chemical reaction reversible or irreversible? https://www.quora.com/What-makes-a-chemical-reaction-reversible-or-irreversible/answer/Aravind-Baby-6 All reactions are reversible in some respect, it is the rate constant of the reaction that determines whether it can be considered irreversible. if A+B —→ C+D is reaction for which forward rate constant is k1 and backward reaction rate constant is k2, then if k1/k2> 10^5, we can say reaction is practically irreversible, and that C and D would be the only components present in system when reaction is completed. Values of k1 and k2 depend upon the activation energy of reaction.

  2. 不可逆反応 ウィキペディア
  3. メタンを完全燃焼させると水と二酸化炭素になりますが、なぜこれは可逆反応をしないのですか? YAHOO!JAPAN知恵袋

尿毒症 uremia とは

 

尿毒症の症状

思考力の低下 怒りっぽい 不眠 頭痛 全身のだるさ 食欲低下 吐き気 口臭 かゆみ 皮膚が黒っぽくなる 血圧が上がる 尿が少なくなる 息苦しい 水がたまる むくむ(5.尿毒症症状とは 国立循環器病センター)

Patients presenting with uremia typically complain of nausea, vomiting, fatigue, anorexia, weight loss, muscle cramps, pruritus, or changes in mental status. The clinical presentation of uremia can be explained by the metabolic disturbances associated with the condition.(Uremia ncbi.nlm.nih.gov)

尿毒症の原因

尿毒症の原因となる毒性物質を、尿毒症性物質と呼ぶ。尿毒性物質は、尿素窒素尿酸クレアチニンなどのタンパク代謝老廃物副甲状腺ホルモン活性酸素などが報告されている。(尿毒症性物質 ヘルスケアプランナー)

Uremia most often occurs due to chronic kidney disease (CKD) that may lead to end-stage renal (kidney) disease (ESKD), but can also occur quickly leading to acute kidney injury and failure (AKI) that is potentially reversible. (uremia Cleveland Clinic)

尿毒症の病態

腎臓病が進行して、腎臓病ステージ4以降になると腎臓の体の老廃物を出すという役割が鈍り体に老廃物が貯まるようになります。尿毒素という老廃物が貯まる状態を尿毒症(にょうどくしょう)と言い、透析が必要になる一歩前の段階で見られる症状です。‥ タンパク質を制限することで、尿毒素の量を減らして尿毒症になる可能性を減らすと考えられています。(タンパク質制限の効果はどれほどあるのか じんぞうの学校)

血中尿素窒素(BUN)

尿素窒素は、タンパク質が利用された後にできる老廃物です。本来は、腎臓の糸球体でろ過され尿中に排泄されますが、腎機能が低下するとろ過しきれず血液中に溜まるため、血液中の尿素窒素の値が高くなります。血中尿素窒素の正常値は20mg/dl以下です。(腎臓病について 全腎協)

尿毒症 uremia に関する参考サイト

  1. uremia  youglish.com

ビタミンB1(チアミン)の機能、働き、役割、欠乏症

ビタミンB1の機能・働き・役割

ビタミンB1は補酵素の機能を持ち、解糖系とクエン酸回路で働いて、エネルギー代謝で重要な役割を担います。

  1. https://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/content/900006498.pdf ビタミン B1はピルビン酸がアセチルCoAへと分解される際に働くピルビン酸脱水素酵素とクエン酸回路において働く2-オキソグルタル酸脱水素酵素の補酵素として機能するため、ビタミン B1が不足した状態ではクエン酸回路からのエネルギー生成不全がおこる。

ビタミンB1欠乏症

脚気

  1. チアミン欠乏症(脚気;ビタミンB1欠乏症)MSDマニュアル プロフェッショナル版
  2. ショック,意識障害をきたした高齢者のビタミン B1欠乏症(脚気)の 1 症例 脚気では,ビタミン B1欠乏により末梢血管が拡張し,さらに乳酸の蓄積による代謝性アシドーシスのため血管抵抗の低下が促進され,血圧低下,ショック状態となる.
  3. 【勘違い】医学者『こ、これは…未知の細菌による伝染病だ』→実は…(前編)

ウェルニッケ脳症

ビタミン B1 の欠乏症には脚気ウェルニッケ脳症乳酸アシドーシスなどがある(表).‥ウェルニッケ脳症は,中枢神経症状が強く出る ビタミン B1 欠乏症で,せん妄,見当識障害,記銘力低下,失調性歩行,眼球運動障害などをきたす.アルコール多飲の人に多いとされ,初診時にすでに発症リスクの高い患者がいる.(JSPEN Vol. 1(2):2019 用語解説 ビタミン B1

  1.  元気の雑学 Vol.6 お酒をよく飲む人はビタミンB1不足にご注意! 2021年12月1日 アリナミン

PyMOLで酵素を描く方法

マクマリー生化学反応機構ではPyMOLを勧めていたので、試してみます。

  1. Protein Data Bank (PDB) https://www.rcsb.org/ に行く。
  2. 興味のある酵素を検索して、どれにするか決め、PDBフォーマットを指定してダウンロード。
  3. https://pymol.org/2/ でPyMOLをダウロード ウインドウズPCの場合は、.exeファイルをダウンロード後に実行する。
  4. PyMOLでさきほどダウンロードしたタンパク質のファイルを開く。すると、美しいリボン表示のタンパク質が現れました。
  5. 上部のメニューでDisplay、Sequenceにチェックをいれると、アミノ酸配列が表示されました。アミノ酸をクリックすると、そのアミノ酸に対応する部位がタンパク質の立体表示の中に示されます。
  6. アミノ酸配列の最後に基質も表示されています。フマラーゼ(4APB)の場合は ….LDVLAMAKAEQ FUM CA 0000000000000000000 といった具合。これは目立たないので、気付きにくいですね。
  7. 3EXFというファイルの酵素の場合は、…IFAIKKTLNI K O のように表示がありました。KとOは何か酵素のアミノ酸ではないものみたいです。それと、最後ではなく途中ですが、 … WIKFKSVS MG TPP OLQVTV… のような表示もありました。MGは何でしょう。TPPはチアミンピロリン酸(TPP)だろうと思います。
  8. あれこれいじっていたら、リボン表示でなく、つぶつぶ(空間充填?)にもできましたが、戻し方とかがわからなくなりました。あてずっぽでマスターするには、やれることが多過ぎます。本の例の通りにフマラーゼで試したほうがよいみたいです。

 

ビタミンB6(ピリドキシン)とは

ビタミンBは1から12までありますが、4,8,10,11が抜けています。つまり、1,2,3,5,6,7,9,12があります。化合物名は「ちりなぱぴびようし」(散りな、パピ美容師)と覚えることに自分はしました。

  1. ビタミン (Vitamin)とは?ビタミンBを語呂合わせで覚える方法ビタミン (Vitamin)とは?

チアミン(VB1)、リボフラビン(VB2)、ナイアシン(VB3)、パントテン酸(VB5)、ピリドキシン(VB6)、ビオチン(VB7)、葉酸(VB9)、シアノコバラミン(VB12)です。

シアノコバラミンは名前が複雑ですが、シアノ+コバルト+アミン からなる造語だと知れば覚えやすいはず。

ビタミンB6は、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンの3つを合わせた総称で、補酵素として機能するピリドキサールリン酸(PLP)の材料になります。

ギンナン(銀杏)の食べ過ぎに注意

ギンナンには、ギンコトキシン(Ginkgotoxin)という物質が含まれており、食べ過ぎるとこれが「毒」になります。子供の場合、意識不明、けいれんをおこし、最悪の場合、死に至る例もあるそう。

食べ過ぎると中毒を起こす。戦後の食糧難の時代に事故が多発したが、最近でも小児が食べ過ぎて痙攣を起こす事故が時々発生している(銀杏の食べ過ぎで小児が痙攣を起こす理由とは 2018/07/30 medical.nikkeibp.co.jp)

IUPCA名は、4′-O-メチルピリドキシンで、その名前が示すようにピリドキシンに非常に構造が良くにており、ビタミンB6の働きを競合的に阻害してしまいます。

ギンナンの食べ過ぎ→ギンコトキシンがビタミンB6と競合→グルタミン酸脱炭酸酵素の活性の低下→GABAの生合成が阻害→抑制性神経細胞の働きが低下→興奮性神経細胞の活動が優勢→てんかんの発作

というメカニズムが想定されています。

銀杏の経口中毒量は、子どもは7~150個、大人は40~300個と言われています。小さい子どもの場合は中毒を起こしやすく、5~6個程度食べただけで中毒を起こしたという報告もあります。(何個までなら大丈夫? docomo.ne.jp)

  1. 健常成人に発症した銀杏中毒の 1例 JJAAM. 2010; 21: 956-60 患 者:41歳,女性 主 訴:嘔気,嘔吐,下痢,めまい,両上肢振戦, 悪寒

 

ビタミンB6の構造

原子の「番号」のつけ方に関してですが、Nが1番で、メチル基がついている炭素が2番、その順番で1,2,3,4,5,6となり、4位の炭素に結合している炭素が4’となります。ギンコトキシンは、4’の炭素に結合している酸素Oにメチル基が結合しているので、4′-O-メチルピリドキシンという名称になっていることがわかります。

  1. ギンコトキシン(ウィキペディア)

6員環のNに関しては、Hが結合してNが正電荷を帯びたもの(マクマリー生化学反応機構)と、Hがないもの(ウィペディア)と両方の説明があるようです。

ここまで、ギンナンを20個ほど食べながら記事を書きましたが、体調は問題なさそうです。

活性型ビタミンB6(ピリドキシンリン酸)の働き

ビタミンB6の働きがどうも覚えられない原因は、そもそもビタミンB6が非常に多くの役割を担うために自分の頭の中の整理が追い付いていからでした。

  1. 多才な補酵素:PLP 2017/3/15 ケムステーション

畠山『生化学』では、PLPの働きとして、α‐ケト酸のアミノ基転移アミノ酸の脱炭酸(セロトニン、ドパミン、GABAの産生)があげられれています。また、ビタミンB6欠乏症として、皮膚炎が挙げられています。

サッカリンとは

サッカリンは耳に馴染みのある物質名ですが、実際のところそれが何であるのかよくわかっていませんでした。名前からしてサッカライド(糖)もしくは誘導体、もしくはなにか糖に関係する物質だろうと思う程度の理解です。

サッカリンは人工甘味料の一種です。ベンゼン環に窒素と硫黄を含む5員環がくっついた形をしています。

  1. サッカリン(ウィキペディア)

サッカリンは水にとけないので、チューインガムの甘味料に使われるそう。サッカリンナトリウム塩は水溶性で他の食品に使われるみたいです。

甘さは砂糖の数百倍。過去に、発がん性が疑われた時期がありましたが、現在では否定されています。

  1. 添加物のサッカリンナトリウムは、安全性に問題ないか?(一般) 食品・健康食品 年月 2015年8月 福岡県薬剤師会 サッカリンナトリウムの1人当たりのADIは、293mg/人/日である。サッカリンナトリウム(サッカリンとして)の1日摂取量は0.387mg/人/日で、サッカリンナトリウムのADIを大きく下回っており、安全性に問題がないことが確認されている。 ADI(Acceptable Daily Intake)。人が生涯その物質を毎日摂取し続けたとしても、健康への悪影響がないと推定される1日当たりの摂取量
  2. 人工甘味料,特にサッカリンの砂糖代替品としての位置付けについて 明治以降の使用変遷を手掛りとして 光武幸 祉会環境学専攻祉会法講座 北海道大学大学院環境科学研究科邦文紀要 2:1~31 (1986).

糖の誘導体

グルコース

グルコースは、炭素5個と酸素1個が6角形の環状構造をつくっており(ピラノース)、グルコピラノース(D-glucopyranose)とも呼ばれます。D-は自然界の存在する異性体D-型という意味。

単糖の水酸基やその他の官能基が別の官能基に置き換わった誘導体が多数存在しています。

グルコサミン

グルコースの2位の炭素についている水酸基がアミノ基に置換したもの。カタカナにするとわかりにくいですが英語で書くと、glucoseにアミノ基がついたのでamineと総称されるものになりますから、glucose+amine= glucosamine という名前になっています。glucoseの語尾のeは、次とのつながりをよくするためにとれています。

グルクロン酸

糖の主鎖の末端のヒドロキシメチル基がカルボキシ基に置換したものがウロン酸(uronic acid)と呼ばれます。グルコースのウロン酸はglucuronic acid(グルクロン酸)となります。日本語名だとわかりにくいですが、英語名で考えるとgluc+uronicと分解できるので覚えやすいです。

ミオイノシトール(myo-inositol)

イノシトールは炭素6個が6角形の環状につながってそれぞれに水酸基がついた化合物です。水酸基と水素の配置の違いで異性体が存在しますが、1,2,3,5位の炭素についた水酸基が同じ側にある異性体がミオイノシトールと呼ばれます。

イノシトールという名前は、「甘い」という言葉に由来するそうです。

Inositol (myo-inositol, see below) was first isolated by Scherer (7), and called “inosite” because of its sweet taste.(A short history of inositol lipids Robin F. Irvine Journal of Lipid Research Volume 57, Issue 11, November 2016, Pages 1987-1994)

別の論文だと筋肉を意味するinosから来ているとも説明されています。またmyo-も筋肉のという意味です。

Inositol (hexahydroxycyclohexane) was first isolated from muscle in 1850 by Scherer. He coined the name “inositol” from the Greek inos (muscel). Nine stereoisomers of inositol are theoretically possible but only seven occur naturally, the exception being epi- and allo-inositol. Because myo-inositol is regarded as the major isomer among the inositols, with regard to both distribution and fuction, particular attention has been devoted to this compound. Although the name myo-inositol is in fact a pleonasm (it is derived from another Greek word for muscle, myo), its use has become generally accepted, and in this paper, myo-inositol will be refeerred to simply as inositol. (Plant inositides and intracellular signaling Plant Physiol (1993).103:705-709. Bjorn K. Drobak)

イノシトールは、1,4,5ーイノシトール3リン酸(IP3)というセカンドメッセンジャーとして重要な働きをします。これは、膜の成分の一つであるフォスファチジルイノシトールが、フォスフォリパーゼC(PLC)によってジアシルグリセロール(DAG)とIP3に分解され、IP3がセカンドメッセンジャーとなり細胞内の小胞体(カルシウム貯蔵庫)の膜上にあるIP3受容体カルシウムチャンネルに結合して開口しカルシウムを動員するという細胞内情報伝達系をなしています。

  1. Turtles All the Way: Reflections on myo-Inositol Bernard W. Agranoff J Biol Chem. 2009 Aug 7; 284(32): 21121–21126. PMCID: PMC2755834

アスコルビン酸(ビタミンC)

ヒトとモルモットはビタミンCを合成できませんが、ほとんどの動物はグルコースからビタミンCを合成することができます。アスコルビン酸はグルコース同様、炭素6個からなる化合物で、酸素を骨格に含む5員環を持っています。

ビタミンCはコラーゲンのプロリンとリシンを水酸化する酵素の補酵素として重要です。ビタミンCは、抗壊血病因子(antiscorbutic factor)として発見された歴史的な経緯から、アスコルビン酸(ascorbic acid)という名称がつきました。scorbicは壊血病の、a-は「非、無」の意味をあらわす接頭語です。例えばasexual といえば「性がない、無性の」と言う意味。

  1. 壊血病(かいけつびょう、英: scurvy、独: Skorbut)ウィキペディア

アスコルビン酸のIUPC名は、(R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((S)-1,2-ジヒドロキシエチル)フラン-2(5H)-オンです。フランは酸素を含む5員環で二重結合を2つもつ化合物。フランの酸素が1番で、酸素が二重結合でついている炭素が2番、そっちまわりで1,2,3,4,5です。3,4位の炭素に水酸基がついています。5番の炭素には、1,2-ジヒドロキシエチル基が結合しています。

環状エステルのことをラクトンと呼びますが、アスコルビン酸はラクトンの骨格を持っているともいえます。

  1. アスコルビン酸(ウィキペディア)
  2. ビタミンC生産 nite.go.jp

リンゴ酸(maleic acid; malate)に関する疑問と答え

TCA回路の中間代謝物8つあるうちの一つがリンゴ酸です。

  1. クエン酸 (citrate)
  2. イソクエン酸 (isocitrate)
  3. α‐ケトグルタル酸 (alpha-ketoglutarate)
  4. スクシニルCoA (succinyl CoA)
  5. コハク酸 (succinate)
  6. フマル酸 (fumarate)
  7. リンゴ酸 (maleic acid; malate)
  8. オキサロ酢酸 (oxaloacetate)

台所でおやつに食べるリンゴを切りながら、そういえばリンゴ酸はリンゴに含まれているんだっけ?と思いました。名前からしてそうなんだろうと思いますが、一応確認しておきます。

リンゴに含まれる酸で一番多いのはリンゴ酸か?

それはそのようです。

In apple, malate is the predominant organic acid, accounting for up to 90% of total organic acid content ().(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8154052/

malic acid accounts for more than 90% of the total acid and largely controls apple fruit acidity (). (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6997694/

リンゴ酸はリンゴに最も多く含まれるのか?

リンゴ酸はリンゴ以外の果物にも含まれるのか?

リンゴ酸は、リンゴ、桃、琵琶(ビワ、loquat)においては、これらの果物に含まれる有機酸のうちの主要な成分になっているそうです。

Three major organic acids that accumulate in most fruits include malic, citric, and tartaric acid, and their final concentration in ripening fruits depends on the balance between the biosynthesis of organic acid, their degradation, and their vacuolar storage [,]. Organic acids are different in various kinds of fruits. For example, citric acid is the major organic acid in citrus [], while malic acid is the predominant organic acid in apple [], pear [], and loquat [].(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6316603/

リンゴのどこにリンゴ酸があるのか?

Most of the malic acid in apple fruit resides in the vacuole of the parenchyma cells () (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6997694/

リンゴのリンゴ酸は何をしているのか?

リンゴ酸は誰が見つけたのか?

リンゴ酸は誰が名付けたのか?

リンゴ酸の作用は?

Malate, which is one of the main organic acids, has various biological activities and pharmacological effects including the promotion of ATP production, antioxidant and anti-inflammatory activity, and the ability to reverse oxidative stress ().(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8154052/