以下は、ChatGPT 4oによるオレキシン受容体拮抗薬の作用をもつ新規睡眠薬の作用機序等のまとめです。
新規睡眠薬である**オレキシン受容体拮抗薬(Orexin Receptor Antagonists, ORAs)**について、主に代表的な2剤 デエビゴ(Dayvigo) と クービビック(Quviviq) を中心に、網羅的に解説します。
🔷 1. 概要:オレキシンとその拮抗薬とは?
▶ オレキシンとは?
- 視床下部から分泌される神経ペプチド(オレキシンA / B)。
- 覚醒の維持、食欲、エネルギー代謝などに関与。
- ナルコレプシー患者ではオレキシンが欠損しており、逆に「オレキシンを抑えれば睡眠を誘導できる」という発想から、睡眠薬のターゲットに。
🔷 2. 代表薬剤
一般名 | 商品名(日本/米国) | 製造企業 | 承認年(FDA / 厚労省) |
---|---|---|---|
レンボレキサント | デエビゴ(Dayvigo) | エーザイ | 2019 (FDA) / 2020 (日本) |
ダリドレキサント | クービビック(Quviviq) | Idorsia(スイス) | 2022 (FDA) / 2023 (日本) |
スボレキサント | ベルソムラ(Belsomra) | MSD(米国) | 2014 (FDA) / 2014 (日本) |
🔷 3. 化学名と作用機序
▪ レンボレキサント(Dayvigo)
- 化学名: [(−)-2-(2-chloro-4-(methylnaphthalen-1-yl)phenyl)-1,3-oxazol-4-yl]-[2-methyl-2H-tetrazol-5-yl]methanone
- 作用機序: **オレキシン1受容体(OX1R)とオレキシン2受容体(OX2R)**の両方を可逆的に阻害し、覚醒シグナルを抑制。
▪ ダリドレキサント(Quviviq)
- 化学名: (2S)-4-(2-chloro-7-methoxyquinolin-4-yl)-4-((1-methyl-1H-imidazol-2-yl)amino)piperidine-1-carboxamide
- 特徴: 半減期が短め(約8時間)で、翌朝の眠気を軽減するように設計。
🔷 4. 睡眠のメカニズムとオレキシンの役割
- 脳には**覚醒を促進する神経系(オレキシン、ヒスタミンなど)**と、**睡眠を促す神経系(GABAなど)**がある。
- オレキシン神経系は、睡眠状態に入らせないように働く。
- 従来の睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)はGABA受容体を増強し、神経の抑制を高める。
- 対してオレキシン拮抗薬は、「覚醒を止める」というアプローチ。
🔷 5. 既存の睡眠薬との違い
比較項目 | 従来薬(ベンゾ系など) | オレキシン受容体拮抗薬 |
---|---|---|
主な作用部位 | GABA受容体 | オレキシン受容体(OX1R/OX2R) |
筋弛緩作用 | あり(転倒リスク) | 少ない |
依存性 | 高い(長期使用で耐性) | 低いとされる |
睡眠構造 | 睡眠が浅くなる | 自然な睡眠に近いとされる |
中止後の不眠(リバウンド) | 起こりやすい | 少ない |
🔷 6. 主な副作用
項目 | 内容 |
---|---|
日中の眠気 | 特に高用量で見られる |
転倒 | 筋弛緩は少ないが、転倒リスクは依然存在 |
異常夢・夢見の増加 | 睡眠構造への影響と関連あり |
頻度は低いが注意すべき副作用 | ナルコレプシー様症状(睡眠麻痺、幻覚)、複雑な睡眠行動(夢遊病様行動)など |
🔷 7. 患者・臨床医の声(国内外レビューより)
- 「起きたときにボーッとしないのがいい」
- 「自然に眠れる感じがする」
- 「効くまでに2〜3日かかったが、効果は穏やか」
- 「ベンゾ系で副作用が強かった高齢者に適している」
- 一方で「高価」「保険適用が限られる」といった声も。
🔷 8. 承認の経緯・開発背景
▶ レンボレキサント(Dayvigo)
- 開発元:エーザイ(日本)
- ナルコレプシー研究を元に創薬。
- 米FDAでは2019年12月に認可、日本では2020年7月に承認。
- 高齢者を含む大規模試験(SUNRISE-2など)で効果と安全性を確認。
▶ ダリドレキサント(Quviviq)
- 開発元:Idorsia(アクテリオン社から分離独立したスイスの製薬会社)
- FDA承認:2022年、日本での承認:2023年。
- 比較的新しい薬であり、「持ち越し眠気が少ない」として注目。
🔷 9. 医療現場での位置づけ
- 特に高齢者や既存薬に耐性が出た患者、依存リスクのある人に対して、ORAsは新たな選択肢。
- ただし、価格・効果発現時間・医師の習熟度などから、現場への普及はゆっくり。
- 使い分けが重要(例:即効性を求めるならゾルピデムなども考慮)。
🔷 10. まとめ
特徴 | 内容 |
---|---|
薬理学的特性 | オレキシン受容体(OX1R, OX2R)を選択的に阻害 |
対象患者 | 慢性的な不眠症・高齢者・ベンゾ依存歴のある人など |
メリット | 自然な睡眠、依存性が低い、筋弛緩作用なし |
デメリット | 高価格、効き始めが緩やか、翌朝の眠気が出ることも |
承認年 | デエビゴ:2020年(日本)、クービビック:2023年(日本) |