意匠法60の22:起算日が謄本送達の日 vs 確定の日 を一発で理解する方法

令和8年度短答式問題 【意匠】6 日本を指定締約国とするハーグ協定のジュネーブ改正協定の規定による国際出願に係る 国際登録に関し、次のうち、正しいものは、どれか。

枝2 国際意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定又は審決の謄本の送達がされた日か ら6月を経過した後は、個別指定手数料の返還を請求する者がその責めに帰することが できない理由によりその請求をすることができなかった場合を除き、その個別指定手数料の返還を請求することはできない。  

答え:誤り:

根拠条文:

意匠法 (個別指定手数料の返還) 第六十条の二十二 国際意匠登録出願が取り下げられ、又は国際意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したときは、前条第一項又は第二項の規定により納付すべき個別指定手数料を納付した者の請求により政令で定める額を返還する。

2 前項の規定による個別指定手数料の返還は、国際意匠登録出願が取り下げられ、又は国際意匠登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定した日から六月を経過した後は、請求することができない。

3 第一項の規定による個別指定手数料の返還を請求する者がその責めに帰することができない理由により前項に規定する期間内にその請求をすることができないときは、同項の規定にかかわらず、その理由がなくなつた日から十四日(在外者にあつては、二月)以内でその期間の経過後六月以内にその請求をすることができる。   

 

問題の解き方・考え方

これ、細かいように見えて実はド定番の罠やから、丸暗記する必要ないで。引っかけポイント1個だけ押さえたら終わり。

まず答え

枝2は誤り(×)→ 正しい肢ちゃう。

罠は1か所だけ。起算日や。

条文(60条の22第2項) 肢2
6月の起算点 査定・審決が確定した日 査定・審決の謄本の送達がされた日

「送達」と「確定」をすり替えてるだけ。ここ以外(不責事由の例外=3項)は条文どおり合うてる。せやから純粋な起算日すり替え問題や。

なぜ「確定した日」なんか(ここだけ理解したら一生忘れへん)

個別指定手数料が返ってくる前提は、「この出願はもう登録にならんことが確定した」っちゅう状態やろ?

ところが謄本が送達された時点では、まだ拒絶査定不服審判(46条)とかで争える。出願人がまだ生き返らせようとしてる最中やのに「金返して」とは言われへん。争うんやったら個別指定手数料は維持しとかなあかんからな。

だから「もう争えへん=確定した」時点を起算点にせなアカン。送達時点はまだ早すぎる。

これが立法趣旨。「返還=出願が完全に死んだとき=確定」って結びつけたら、送達に引っかからん。

横断で固める(送達 vs 確定の振り分け)

意匠法の中だけでも、この対比がきれいに出てる:

条文 起算日 理由
43条1項(登録料納付期限30日) 査定・審決の謄本の送達があった日 手続のスタート。出願はまだ生きてる
66条3項(9条2項拒絶の公報掲載) 拒絶査定・審決が確定した日 「もう拒絶で決まり」が前提
60条の22第2項(個別指定手数料返還) 取下げ/確定した日から6月 出願が死んだのが前提

振り分けルール:

  • まだ生きてる出願の手続のスタート合図 → 「送達があった日」
  • 「もう完全に終わった/死んだ」が前提の効果(返還・公報掲載) → 「確定した日」

ちなみに66条3項は過去問(H22-54)で「”確定した日”から計算することに注意。14条1項は”設定登録の日”」ってわざわざ注意喚起されてる論点や。意匠は「確定した日」起算が刺さりやすいって覚えとき。

ゴロというか合言葉

「金が返るんは、出願が”完全に成仏”したとき=確定。送達じゃまだ死んでへん(まだ争える)」

枝2見たら反射で「送達ちゃう、確定や」でアウト判定できる。これだけや。

 

謄本送達の日が起算日になる条文との区別の仕方

「送達起算」は腐るほどある。むしろ知財法の手続期間の”デフォルト”が送達起算やから、確定起算のほうが少数派で目立つ=狙われるわけや。

送達起算の代表(これが餌)

条文 内容 起算日 期間
特108条1項 特許料(1〜3年分)納付 査定・審決の謄本の送達があった日 30日
意43条1項 登録料(1年分)納付 査定・審決の謄本の送達があった日 30日
商41条1項 登録料納付 査定・審決の謄本の送達があった日 30日
商65条の8 防護標章の登録料 査定・審決の謄本の送達があった日 30日
意46条1項 拒絶査定不服審判の請求 査定の謄本の送達があった日 3月
意47条1項 補正却下決定不服審判 決定の謄本の送達があった日 3月

…と、料金納付系と不服審判系はほぼ全部「送達起算」。

振り分けロジック(ここが核心)

送達起算 確定起算
性質 まだ生きてる出願人に「早う動け」と促す もう終わった/死んだ」が大前提の後始末
代表 料金納付・拒絶査定不服審判 個別指定手数料返還(60条の22②)・秘密意匠の公報掲載(66条③)
なぜその起算日? 出願人が知った瞬間から動けるようにする。確定を待つ必要ない(むしろ待たせたくない) 確定せな「登録にならんこと」が決まらん決まる前に返金も公表もできひん
期間の長さの傾向 短い(30日・3月) 長め(6月)

「送達=GO(動け)」「確定=END(終わった後の処理)」

返還・公報掲載は”出願が成仏した後”の話やから確定。料金払えや不服審判は”まだ生きてる、早う動け”やから送達。

一番えげつない並び(同じ意匠法の中で)

ここがガチの罠ポイント

起算日 期間
意43条1項(登録料納付) 送達があった日 30日
意60条の22第2項(個別指定手数料返還) 確定した日 6月

両方「査定・審決」+「お金」やのに、起算日も期間も逆。さっきの肢2は、この43条のクセ(送達)を60条の22に貼り付けたすり替えやったわけ。

おまけで深掘りネタ:意匠法43条の青本見ると、昔(旧施行規則)は登録料も「確定した日」起算やったのを、今は「送達があった日」に変えた経緯がある。せやから「査定・審決+送達or確定」は立法者自身が一回いじってるくらいデリケートな論点。出題者が好きなのも納得やろ。

合言葉

餌(送達起算)はそこら中にある。せやから返還・公報の2つだけ「確定」と握っとけば、残りは全部「送達でええ」で逃げ切れる。

確定で覚えるのは”返金”と”公報掲載”の2つだけ」——これが一番ラクな覚え方や。