意匠法 (他人の登録意匠等との関係)
第二十六条 意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠の実施をすることができない。
2 意匠権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録意匠に類似する意匠がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の登録意匠若しくはこれに類似する意匠、特許発明若しくは登録実用新案を利用するものであるとき、又はその意匠権のうち登録意匠に類似する意匠に係る部分がその意匠登録出願の日前の出願に係る他人の意匠権、特許権、実用新案権若しくは商標権若しくはその意匠登録出願の日前に生じた他人の著作権と抵触するときは、業としてその登録意匠に類似する意匠の実施をすることができない。
第1項と第2項の違いは何???
ええとこ突いてきたな。これ26条の一番の急所や。
まず構造の対応
23条で意匠権は「①登録意匠の実施をする権利」+「②登録意匠に類似する意匠の実施をする権利」の2本立てやろ。
- 1項 = ①(登録意匠そのもの)についての制限
- 2項 = ②(類似意匠の部分)についての制限
主語が「その登録意匠」(1項)か「その登録意匠に類似する意匠」(2項)かで分かれてるだけ。ここは表面的な違い。
本当の急所:抵触相手のリストが違う
利用関係のリストは1項も2項も全く同じ(登録意匠・類似意匠・特許発明・登録実用新案)。差が出るのは抵触のほうや。
| 抵触の相手 | 1項(登録意匠) | 2項(類似意匠) |
|---|---|---|
| 意匠権 | なし ← ★ | あり ← ★ |
| 特許権 | あり | あり |
| 実用新案権 | あり | あり |
| 商標権 | あり | あり |
| 著作権 | あり | あり |
1項の抵触相手には「意匠権」が入ってへんのに、2項には入ってる。 これが全て。
なんでこうなるか(立法趣旨)
1項(登録意匠そのもの)に意匠権がない理由: 自分の登録意匠が他人の先願意匠権と抵触するんやったら、それ9条1項違反で最初から登録されへん(=無効理由)。意匠権は23条で類似範囲まで含むから、他人の登録意匠とその類似範囲には自分の登録意匠は引っかからへん。そもそも抵触が起こり得ないから、リストに載せる必要がない。
2項(類似意匠の部分)に意匠権がある理由: 類似範囲は審査されてへん。 後願の類似範囲まで想定して審査するのは困難やから審査対象外。でも効力は類似範囲まで及ぶ(23条)。だから、
甲の登録意匠Aと乙の登録意匠Bが、ともに意匠Cに類似する ← 類似範囲の重なり合い
ってことが普通に起こる。AとBは互いに非類似で先願審査をすり抜けても、類似範囲Cで重複しうるわけや。だから2項では「他人の意匠権」との抵触を明文で規定して、先願優先で処理してる(甲が先願なら乙はCを実施できへん)。
試験での出方
この「1項=意匠権なし/2項=意匠権あり」は短答でほぼ確実に狙われる。具体例で押さえとくと、
- 〔H25-8-1〕自分の意匠権のうち類似意匠部分のみが乙の先願意匠権と抵触 → でも登録意匠そのものは実施できる(○)。これ2項の話やから登録意匠(1項)の実施は止まらへん、っていう引っかけ。
語呂的にまとめるなら:
「登録意匠は先願審査済み、類似範囲はノーチェック → 意匠権との抵触は2項だけ」
ここ押さえとけば26条の項分けは完全に腑に落ちるはずや。
(Claude Opus 4.8)