カルニチンは、細胞内で脂肪酸が分解されるとき重要な役割を担います。脂肪酸はエネルギーを取り出すために分解されますが、分解の化学反応が起きる場所は細胞の中にある細胞内小器官ミトコンドリアの内部です。細胞質中において脂肪酸は補酵素Aという物質と結合することでアシルCoA(教科書によっては、脂肪酸アシルCoAと呼ぶ)になりますが、アシルCoAはミトコンドリアの内膜を通過できません。そのため、外膜を通過後、外膜と内膜との間において一度アシルカルニチンに変換されます。内膜上に存在するカルニチンーアシルカルニチンとランスロカーゼの働きによりミトコンドリア内膜を通過してマトリックスへの入ります。マトリックス内で、再びアシルーCoAに変換されます。。マトリックス内で、アシルーCoAは、いわゆるβ酸化という一連の反応を生じます。
カルニチンの存在なくしては、脂肪酸のβ酸化が始まらないわけです。カルニチンは脂肪酸代謝になくてはならない物質なので、逆に、脂肪酸代謝を促すためにカルニチンを摂取するカルニチンサプリの効果が期待出来そうです。
心臓と脂肪酸代謝とカルニチン
1955年、Bingは冠静脈洞内にカテーテルを挿入して冠静脈血と冠動脈血内の代謝物を測定した。その結果、空腹時には心筋のエネルギー源の67%は脂肪酸、18%はグルコース、16%は乳酸、残りはアミノ酸とケトン体であった。しかし、糖質の多い食事摂取時にはグルコースが70%、乳酸が30%と糖質でほぼ全エネルギー源が占められる。また急激な運動時には乳酸がエネルギー源の60%を占める。(虚血心筋と脂肪酸代謝 小林明 浜松医科大学第三内科)
心臓は,長鎖脂肪酸をはじめとしてグルコース・乳酸・ケトン体・アミノ酸など多くのエネルギー基質を利用し,また,基質選択が基質の供給状態と病的・生理的状況によりダイナミックに変化する.心臓の代謝応答は,基質濃度・ホルモン・酸素濃度・仕事量により調整され,主として興奮収縮連関に必要なATP(アデノシン三リン酸)を絶え間なく産生するために使われる.健常な心臓では,ATP産生の₆₀︲₇₀%を長鎖脂肪酸に依存する.(心筋エネルギー基質変換の病態生理的意義)
- http://www.igaku.co.jp/pdf/1302_tonyobyo-2.pdf
カルニチンが足りなくなってなる病気
- カルニチン欠乏症の診断・治療指針 2018
- カルニチン hobab.fc2web.com
- 脂肪分解とカルニチン www3.fctv.ne.jp/~judo
サプリメントとしてのカルニチンの効果
- カルニチンCarnitine 厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』
カルニチンの効果
- 透析患者へのカルニチン補充は必要か?
- 慢性血液透析患者における レボカルニチンの有用性の検討
- 心肥大のある透析患者さんにはLカルニチンは効果が発揮しやすい。 https://www.aaproject.co.jp/alternative/cardiovascular.html
- https://d-smile.or.jp/bay/press/wp-content/uploads/2020/07/2015_jsdt_hirabayashi.pdf
カルニチンに関する文献
- L- カルニチンの脂肪酸に対する心筋ミトコンドリア保護作用 総説 川崎医療福祉学会誌 Vol. 23 No. 1 2013 27-36
- 心筋エネルギー基質変換の病態生理的意義 第53回 河口湖心臓討論会 「主催・提供/日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社」
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