下の動画の説明がわかりやすかったです。またここの弁理士事務所のホームページには特許その他の知的財産権に関するわかりやすい説明がたくさんありました。
特許出願の拒絶理由通知への対応 小山特許事務所 チャンネル登録者数 1030人
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特許の明細書をみると、段落ごとに番号が振ってあったり、項目立てがなされていたり、かなり形式的な印象を与えます。このような書き方になったのは1995年の法改正がきっかけだそうです。
質問:明細書の書き方で、項目だてるようになったのはいつから?それまではだらだら文章を書いていたの?
Gemini 2.5 Pro:これは非常に鋭いご質問です。特許実務の歴史における重要なポイントです。結論から言うと、現在のような項目立てが義務化・様式化されたのは、1994年(平成6年)の特許法改正(1995年1月1日施行)からです。そして、それ以前の明細書についてのあなたの「だらだら文章」という表現は、まさにその通り、と言ってよいでしょう。
1994年(平成6年)の特許法改正が決定的な転換点です。
【発明の名称】
【図面の簡単な説明】
【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【従来の技術】
【発明が解決しようとする課題】
【課題を解決するための手段】
【発明の実施の形態】
【発明の効果】
【特許請求の範囲】
はい、その認識でほぼ間違いありません。
1994年の改正以前(旧特許法)の明細書は、現在の様式とは全く異なっていました。
| 時期 | 明細書の様式 | 特徴 |
| ~1994年 | 旧様式(一体型) |
* 項目立ての義務なし。
* 「だらだら文章」で発明を説明。
文章の最後にクレームが埋め込まれて*いた。 |
| 1995年~ | 現行様式(項目立て) |
* TRIPS協定対応(国際調和)のため改正。
【課題】【解決手段】等の項目立てが義務化*された。
* 【特許請求の範囲】が明細書本体とは別のセクションとして明確化された。(※さらに2002年の改正で、明細書と特許請求の範囲は別個の書類として扱われるようになり、分離が徹底されました) |
したがって、あなたが現在学んでいる項目立ての書き方は、国際基準に合わせるために比較的「最近」(1990年代半ば)導入されたものであり、それ以前は全く異なる書き方だった、というのは事実です。
IPランドスケープとパテントマップの違いを一言で言うと、**「経営判断のための羅針盤(IPランドスケープ)」か、「技術動向の地図(パテントマップ)」**か、という違いがあります。
両者は対立するものではなく、パテントマップ(地図)を使って、IPランドスケープ(航海計画)を描くという包含関係にあります。
以下に詳細、違いの比較表、そしてわかりやすい具体例をまとめました。
「知財(IP)」を「市場情報」や「事業情報」と組み合わせて分析し、経営戦略や事業戦略の立案に生かすことです。
特許情報を整理・加工し、技術の動向や権利関係を可視化した図やグラフのことです。
| 項目 | パテントマップ | IPランドスケープ |
| 主語(誰のため?) | 技術者・知財担当者 | 経営者・事業責任者 |
| 扱うデータ | 特許情報(出願数、分類、発明者など) | 特許情報 + 市場データ、財務情報、ニュース |
| 分析のゴール | 技術トレンドの把握、クリアランス調査 | 将来の市場予測、アライアンス・M&A先の選定 |
| アウトプット | 技術体系図、ランキングマップ、時系列グラフ | 事業戦略提案書、提携シナリオ、リスク分析 |
| 位置づけ | 現状分析のための「ツール」 | 意思決定のための「手法・プロセス」 |
ある自動車メーカーA社が、「空飛ぶクルマ」事業に参入すべきか悩んでいる場面を想像してください。
日本では2021年のコーポレートガバナンス・コード改訂により、上場企業に対して「知財への投資・活用についての開示」が求められるようになり、経営戦略としてIPランドスケープが非常に注目されています。
日本のIPランドスケープを語る上で、富士フイルムと旭化成はまさに「教科書」とも言える対照的な成功事例です。
それぞれ詳しく解説します。
デジタルカメラの普及で主力の商品(写真フィルム)の市場が消滅するという、企業の存亡に関わる危機に直面した際、IPランドスケープが**「起死回生の羅針盤」**となりました。
彼らはパテントマップ的な視点(自社の特許整理)を超えて、「自社の特許技術は、**他のどの業界で競争優位性(勝てる力)**になるか?」という視点で分析を行いました。
写真フィルムの技術を分解すると、以下の3つのコア技術が、全く異なる「化粧品市場」や「医薬品市場」で強力な武器になることが判明しました。
旭化成は、IPランドスケープを**「M&A(合併・買収)のターゲット選定と意思決定」**に徹底的に活用していることで有名です。特に有名なのが「殺菌用深紫外線LED(UVC-LED)」の事例です。
旭化成は「水や空気をきれいにする殺菌LED」の事業化を目指していましたが、自社技術だけではどうしても解決できない「基板(土台)の品質」という課題がありました。
そこで、世界中の特許情報を解析し、以下の条件を満たす企業を探しました。
米国のベンチャー企業「クリスタルIS社」が、非常に高品質な基板製造の特許を独占的に持っていることを突き止めました。
分析の結果、「自社でゼロから開発するよりも、この会社を買収したほうが、特許網ごとその技術を手に入れられ、圧倒的に早く市場を支配できる」という経営判断を下しました。
| 特徴 | 富士フイルム | 旭化成 |
| 戦略の方向 | 多角化(ピボット) | M&A・事業強化 |
| 問い | 「自分たちの持っている宝(特許)は、他にどこで使えるか?」 | 「自分たちに足りない宝(特許)を、誰が持っているか?」 |
| 成果 | フィルム会社からヘルスケア企業へ変貌 | 戦略的な買収による高収益事業の創出 |
どちらの事例も、「特許の数を数える」のではなく、**「特許情報をビジネスの地図に重ね合わせて、進むべき道を決めた」**という点が共通しています。これがIPランドスケープの真髄です。
~創薬ターゲット選定からアライアンス戦略まで~
製薬業界における知財(IP)は、単なる「権利保護」にとどまらず、**「数百億円・十数年を要する開発プロジェクトの羅針盤」**として機能します。
研究開発の川上(ターゲット選定)から川下(アライアンス)まで、どのようにIPランドスケープ(IPL)が活用されているか、専門的な視点で解説します。
~「Red Ocean」を避け、「White Space」を特定する~
基礎研究段階では、ターゲット分子(受容体、酵素など)に対する競合状況を、「ターゲット × モダリティ」の3次元的視点で分析します。
単に「その標的分子の特許が出ているか」だけでなく、**「どのモダリティ(創薬手法)で権利化されているか」**を分解します。
「ターゲットXに対する低分子阻害剤は、メガファーマが特許網を張り巡らせており参入障壁が高い(Red Ocean)。」
「しかし、**核酸医薬(siRNAやASO)**としての特許出願はまだ少なく、技術的な空白地帯(White Space)である。」
同じ標的でも、特許請求項(クレーム)における「作用メカニズム」を分析します。競合が「結合阻害(アンタゴニスト)」を押さえている場合、IPL分析を通じて「アロステリック制御」や「標的タンパク質分解(Degrader)」など、異なるMOAでの権利化の可能性を探ります。
~「死の谷」を越えるための最適なパートナー探し~
バイオベンチャーやアカデミア発のシーズを実用化する際、「誰と組むか」は死活問題です。IPLはここで、技術の価値証明とマッチングに使われます。
自社の技術(シーズ)を医薬品にするために欠けている技術(プラットフォーム)を持つ相手を探します。
メガファーマの特許出願動向と、臨床試験データベース(ClinicalTrials.gov等)を突き合わせます。
ある研究チームが、「アミロイドβ(Aβ)の凝集を阻害する新しい抗体」を発見したとします。しかし、Aβ抗体は先行薬や多数の特許が存在する激戦区です。
IPLによる戦略立案:
このように、IPランドスケープは企業の知財部だけのものではありません。
(Gemini 2.5 Pro)
未知のものが自然の懐に横たわっているか、あるいは誰も読まない価値のない写本のページの中に埋もれているかは、実際には何の違いもありません。なぜなら、科学の血流に入り込んでおらず、その中で種のように循環していないアイデアは、私たちにとっては実際上、存在しないのと同然だからです。https://elicit.com/blog/literature-based-discovery
疑問:特許の要件として、例えば、異国で書籍として出版されたけどすぐに絶版になって、誰も入手できないような場合、それでもそれは既知とみなされる?あとから掘り起こされたときに。
Gemini 2.5 Pro:
ご質問のケースは、特許法上の**「公知」(Known)または「先行技術」(Prior Art)**の判断において非常に重要なポイントになります。
結論から言うと、一般的に、異国で書籍として出版された場合、すぐに絶版になり誰も入手できなくなったとしても、それが「公然と知られた」または「刊行物に記載された」という要件を満たしていれば、原則として既知(先行技術)とみなされます。
特許の要件である**新規性(Novelty)**を判断する際、その発明が出願日より前に「既知」であったかどうかが問われます。既知とされるための主な基準は以下の通りです。
時間が経ってからその絶版本が発見・提出されたとしても、特許審査においては、その書籍が出願日よりも前に発行・公開されていたことを証明できれば、そこに記載された内容は先行技術として扱われます。
したがって、「すぐに絶版になり誰も入手できない」という状況は、特許の新規性判断においては、その書籍が一度公開されたという事実を覆す理由にはなりません。
この原則は、特許制度が発明の重複を避け、知識の開示を促すという目的から導かれています。どこかに一度でも開示された知識は、その後に忘れ去られたとしても、新しい特許を与える対象とはしない、という考え方です。
質問:それが自費出版だった場合は?10冊しか出版されていなかったら?
Gemini 2.5 Pro:
特許の新規性判断において、それが自費出版であったり、**出版部数が極端に少なかったり(例:10冊)**しても、原則として「既知」(先行技術)とみなされる可能性が高いです。
特許法が「刊行物に記載された発明」を先行技術と見なす際に重要となるのは、その情報が公衆に対して利用可能になったかどうかという事実です。
もし、その10冊が秘密保持契約のもと、特定の関係者(例:協力企業の役員のみ)に機密情報として配布されていたに過ぎない場合は、公にされたとは見なされず、先行技術にならない可能性があります。
しかし、自費出版で**「販売」された、または「寄贈」**という形で一般に提供されたのであれば、秘密性は失われ、「公然と知られた」情報として扱われます。
| 要件 | 判断のポイント | 先行技術となる可能性 |
| 自費出版 | 出版の主体は関係ない。 | 高い |
| 10冊 | 部数は関係ない。 | 高い |
| 決定的な要素 | 不特定多数の人が閲覧・入手できる状態に置かれたかどうか。 | 公開されていればYes |
したがって、その10冊の自費出版の書籍が、一度でも一般の流通や図書館の棚に置かれていたという事実が証明できれば、それは「先行技術」として特許の新規性を否定する根拠になり得ます。
質問:刊行されたという記録は必要ってことね。別にその10冊しか現存しない1冊を特許審査官が読むわけじゃないよね。
Gemini 2.5 Pro:その通りです。非常に正確な理解です。
特許審査において重要なのは、「刊行されたという記録(証拠)」であり、現存する書籍そのものを審査官が読む必要はありません。
特許審査官が必要とするのは、以下の事実を証明する証拠です。
その書籍が「いつ(公開日)」、「どこで(発行場所)」、「どのように(一般にアクセス可能であったか)」公開されたかを証明する記録が必要です。
その書籍に、出願された発明と同じ内容が具体的に記載されていることを示す必要があります。
特許審査で先行技術として認められるための要件は、
現存部数が少ないことは、先行技術としての効力を失わせる理由にはなりません。重要なのは、「一度、公の知識となり得る状態にあった」という事実です。
特許申請における「補正」とは、出願人が特許庁に提出した出願書類(明細書、特許請求の範囲、図面など)の内容を修正・訂正する手続のことです。
審査官から拒絶理由が通知された場合、その理由を解消するために行われることが多いですが、出願人が自発的に行うことも可能です。
補正は、出願が特許庁で審査中である限り可能ですが、時期によって許される補正の範囲(内容)が異なります。
主な補正のタイミングは以下の通りです。
補正は自由に行えるわけではなく、守らなければならない厳格なルールがあります。
最も重要なルールは、「新規事項(New Matter)」を追加してはならないという点です(特許法第17条の2第3項)。
[例]
- 許される補正: 当初明細書に「A、B、Cから選ばれる」と記載されていたものを、「A」に限定する補正。
- 許されない補正(新規事項): 当初明細書にAのことしか書かれていなかったのに、拒絶理由を回避するために「Dという新しい要素」を追加する補正。
このルールに違反した補正は、拒絶理由や特許無効の理由となります。
審査が進むにつれて、認められる補正の範囲は狭くなります。
特に、「最後の拒絶理由通知」の後や**「拒絶査定不服審判」の請求時**に行う補正は、その目的が以下のように厳しく限定されます。
(Gemini 2.5 Pro)
疑問:こんなシナリオ、「特許を取った商品を自社が販売しているとする。他者が類似商品を発売した。その類似点を含めた補正を、もとの特許に対して行った。この新たな特許権を用いて、類似商品の販売差し止めを求めた。」ってありえる?ナシ?
Gemini 2.5 Pro:
ご質問のシナリオは、基本的に「ナシ」(不可能)です。
その中核となる理由は、一度成立した特許権の範囲を、後から「補正」や「訂正」によって広げることは法律で固く禁じられているからです。
ご提示のシナリオには、特許実務上の重要な誤解が含まれています。ポイントは「補正」という言葉の使い方です。
第百二十六条6 第一項の明細書、特許請求の範囲又は図面の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであつてはならない。https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121#Mp-Ch_6-At_126
ユーザーのシナリオは「他者の類似商品が出てきた」→「その類似点を含むように特許の内容を広げる」というものです。
これは、まさに法律が禁止している「クレーム(権利範囲)の実質的な拡張」に該当します。したがって、そのような「訂正」は特許庁に絶対に認められません。
もしこれが認められてしまうと、他社は「この特許はここまでだから、この範囲を避けて新商品を開発しよう」と判断したのに、後から特許権者が「やっぱりお前の商品もウチの権利範囲に入れる」と”後出しジャンケン”ができてしまいます。
これでは安心して事業ができなくなるため、権利範囲を後から広げることは厳しく禁止されています。
その類似商品に対しては、「補正」や「訂正」で権利を広げて対抗することはできません。
もし戦うのであれば、元の(補正・訂正する前の)特許権で勝負するしかありません。
その際、主な争点となるのは以下の2つです。
質問:補正 の場合は、拡げるのもアリ?
Gemini 2.5 Pro:
いいえ、ご質問の意図するような「拡張」は、「補正」であってもできません。
ここでも法律の厳格なルールがあります。
「補正」は、おっしゃる通り特許になる前の審査段階で行う手続きです。
しかし、この「補正」で許されるのは、出願当初に提出した明細書、特許請求の範囲、または図面に書かれている事項の範囲内での修正だけです。
これを「新規事項(しんきじこう)の追加の禁止」といい、特許法第17条の2第3項で定められています。
最初のシナリオ(他社の類似商品)に当てはめてみましょう。
この時、もし「C」という特徴が、あなたの出願当初の書類(明細書や図面)のどこにも書かれていなかった場合、それを追加する「補正」は「新規事項の追加」とみなされ、法律違反として絶対に認められません。
ここでルールを整理します。どちらにしても、他社の後発品を見てから権利を広げることはできないようになっています。
結論:
他社の類似品を見てからその特徴(=類似点)を取り込もうとする行為は、特許前なら「新規事項の追加」として、特許後なら「権利範囲の拡張」として、いずれにせよ法律で禁止されています。
質問:明細書に書かれているところまでは、拡げられるよね。
Gemini 2.5 Pro:
はい、その理解は非常に重要です。
ただし、どの段階での話かによって、答えが「はい」と「いいえ」に明確に分かれます。
おっしゃる通り、特許になる前の「補正」の絶対的な限界は、「出願当初の明細書、特許請求の範囲、または図面に書かれていた事項の範囲内」です。
これを「新規事項(しんきじこう)の追加の禁止」(特許法第17条の2第3項)と呼びます。
この場合、クレームの範囲は「A+B」から「A」へと『拡張』していますが、その「A」は元の明細書に書かれていたため、「新規事項の追加」にはあたりません。
⚠️ ただし、実務上の重大な注意点があります
このような「拡張」的な補正が自由にできるのは、原則として「審査官からの最初の拒絶理由通知(きょぜつりゆうつうち)を受け取る前まで」です。
一度、拒絶理由通知を受け取った後は、補正は原則として「特許請求の範囲を狭くする(減縮)」「誤記を訂正する」「分かりにくいのを明確にする」ことなどに制限されます(特許法第17条の2第5項)。
したがって、審査官が「A+B」で審査した後で、クレームを「A」に『拡張』する補正は、この制限に違反するとして認められない可能性が非常に高いです。
これが、前回の回答(シナリオは「ナシ」)の核心です。
一度特許権が成立した後は、「訂正」(訂正審判や訂正請求)という手続きになります。
この「訂正」では、たとえ元の明細書に書いてあったとしても、特許請求の範囲(クレーム)を実質的に拡張することは法律で固く禁止されています。(特許法第126条第6項)
特許になった後の「訂正」で認められるのは、あくまで権利範囲を「狭める(減縮する)」ことだけです。
したがって、最初のシナリオ(他社の類似品が出てきたから、それに合わせて権利を拡げる)は、