カルボン酸とアルコールが脱水縮合するエステル化の反応機構

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カルボン酸R1-C(=O)-OHとアルコールR2-OHが脱水縮合すると、エステルR1-C(=O)-O-R2になりますが、どのような反応機構に基づいてエステル化が起きるのでしょうか。H2SO4などの酸が触媒になる反応です。

  1. カルボン酸のカルボニル基の酸素の非共有電子対が酸触媒のH+イオンにわたされて結合をつくります(プロトン化と呼ぶ)。
  2. カルボニル基の酸素の部分でプロトン化されたカルボン酸は、カルボニル基の二重結合のうちのひとつの電子対が酸素に渡されてカルボニル基の炭素が正電荷を帯びた状態と共鳴して安定化し、カルボカチオンとなります。
  3. アルコールの酸素原子上の非共有電子対がカルボカチオンを攻撃し結合します(求核付加)。
  4. 求核付加したアルコールの水酸基の水素Hと酸素の結合の電子対は酸素に渡され、水素は酸触媒HSO4-から電子をもらいます。
  5. これでカルボニル炭素に水酸基が2つ結合した状態になりましたが、水酸基のうちのどちらかの酸素が非共有電子対を酸の水素イオンに渡して結合をつくります(プロトン化
  6. 他方の水酸基の酸素が非共有電子対を炭素にあたえ(酸素と炭素の間が二重結合になり、酸素にはプロトンが結合している)、プロトン化したほうの水酸基の酸素と炭素の間の共有電子対は酸素にわたされて水として脱離します。
  7. 二重結合をつくっている酸素に結合したプロトンに対して酸触媒のHSO4-が電子を与えることにより、酸素とプロトンの間の結合が切れ(結合に使われていた電子対は酸素に渡され)ます。これによりエステル化が完成します。

なるほど確かにH2SO4は触媒として働いていて、プロトン化でH+が使われてもまた、HSO4-が塩基として働いてプロトンを取り戻すということをしているので、反応前後で酸触媒の変化はプラスマイナスゼロになっています。

R1-C(=O)-OH と  HO-R2との脱水で、H2Oが外れるわけですが、外れる酸素Oは、カルボン酸とアルコールのどちらのOだろうと疑問がありましたが、この反応機構からすると、アルコールの酸素ではなく、カルボン酸の酸素が外れるということがわかります。カルボン酸の2つの酸素のうちどちらの酸素かというと、反応の途中段階でカルボニル基の酸素はプロトン化して水酸基が2つとうい状態になるので、必ずどちらの酸素ともいえないようです。

参考図書:基礎講座有機化学 403~404ページ

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