心臓リモデリングという言葉を初めて聞いたとき、リモデリングというのがどういう意味合いなのかわかりにくいと思いました。悪い意味で使うようです。
心臓リモデリング、心室リモデリング、心筋リモデリングなど言葉が少しずつ違いますが、意味の違いはあまりないように思えます。
心臓リモデリング、心室リモデリング、心筋リモデリングとは
※リモデリング 心臓の壊れてしまった部分の機能を補うために、残った正常な心筋が増殖し心臓が大きくなり、さらに心臓の機能を低下させてしまうこと(心筋梗塞のおくすり)
心室リモデリングとは、心臓が血行力学的負荷に対応して循環動態を一定に保つために構造と形態を変化させることであり、心筋梗塞後や慢性圧・容量負荷後などに認められる。(心室リモデリング〈ventricular remodeling〉toaeiyo.co.jp)
心臓リモデリング 心不全において,病期が進行するとともに左室の拡大,収縮力の低下,心筋の線維化が起こり,この変化を心臓リモデリングとよぶ.(実験医学online)
心筋梗塞発症後,数週間から数カ月のうちに左室拡大,左室駆出率低下が進行する症例がある.これを左室リモデリングという.(左室リモデリングの評価と対策 冠疾患誌2012; 18: 239–244 JSTAGE)
圧負荷により心室肥大,容量負荷,心筋梗塞による心筋喪失により心室拡大・機能低下が生じる.持続する圧負荷は心室の拡大,機能低下へと至るが,このような形態的変化が心筋リモデリングであり,心不全の病態基盤である.(心筋リモデリングと酸化ストレス Cardiac remodeling and oxidative stress 第50回 河口湖心臓討論会)
リモデリングという言葉を聞くと、一般的な国語からは何か変化に適応するための改造といった意味合いかと思います。そのため、悪い意味で使われていることに違和感を覚えます。一体誰が何を意味するつもりで使い始めた言葉なのでしょうか?歴史的な変遷を知ることにより、言葉遣いが理解しやすくなるのかもしれません。レビューアーティクルのイントロに、リモデリングという言葉が使われてきたことに関する歴史的な経緯が解説されていました。
The term “remodeling” was used for the first time in 1982 by Hockman and Buckey, in a myocardial infarction (MI 心筋梗塞) model. This term was aimed to characterize the replacement of infarcted tissue with scar tissue.1 Janice Pfeffer was the first researcher to use the term remodeling in the current context, to describe the progressive increase of the left ventricular cavity in experimental model of MI in rats.2 The term was then used in some scientific articles on morphological changes following acute MI. In 1990, Pfeffer and Braunwald published a review on cardiac remodeling following MI, and the term was adopted to characterize morphological changes after infarction, particularly increase in the left ventricle.3 However, in the following years, the term “remodeling” has also been used to describe different clinical situations and pathophysiological changes. For this reason, in 2000, a consensus from an international forum on cardiac remodeling was published, which defined cardiac remodeling as a group of molecular, cellular and interstitial changes that clinically manifest as changes in size, shape and function of the heart resulting from cardiac injury.4 Although two types of cardiac remodeling were recognized during the forum – physiological (adaptive) remodeling and pathological remodeling – this article focuses on deleterious, pathological cardiac remodeling. (Cardiac Remodeling: Concepts, Clinical Impact, Pathophysiological Mechanisms and Pharmacologic Treatment Arq Bras Cardiol. 2016 Jan; 106(1): 62–69.)
心筋梗塞
心筋梗塞とは心臓(心筋)が酸素不足になり壊死する病気です。心筋を取り巻いている冠動脈は心臓に血液と酸素を送っています。これが動脈硬化で硬くなりコレステロールなどが沈着すると血液の通り道が塞がれ、心筋に血液を送ることができません。そのため心筋は酸素不足となり、心筋細胞が壊死を起こしてしまいます。これが心筋梗塞です。(心筋梗塞とは 大和成和病院)
心筋梗塞(しんきんこうそく、英: myocardial infarction)は、虚血性心疾患の一つ。心臓の筋肉細胞に酸素や栄養を供給している冠動脈に閉塞や狭窄などが起きて血液の流量が下がり、心筋が虚血状態になり壊死してしまった状態。通常は急性に起こる「急性心筋梗塞(AMI)」のことを指す。心臓麻痺・心臓発作(英: heart attack)とも呼ばれる。 心筋が虚血状態に陥っても壊死にまで至らない前段階を狭心症といい、狭心症から急性心筋梗塞までの一連の病態を総称して急性冠症候群(acute coronary syndrome, ACS)という概念が提唱されている。(心筋梗塞 ウィキペディア)
参考
- 分子心臓病学 (東北大学)