歯周病の発生機序、病態

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歯周病とは

  1. 歯周病は歯周ポケット(歯と歯肉との間にある隙間)に細菌が定着することから始まる
  2. 歯周ポケットが深くなると嫌気性環境ができあがり、歯周病の原因菌(歯周病細菌)のすみ家が完成
  3. 歯周ポケットに定着した細菌は菌体外物質(バイオフィルム)を作り増殖し、成熟してプラーク(歯垢)という見える形になる
  4. 歯周ポケット内で増殖した細菌は、多量の代謝産物を産生し、口臭の原因となる。
  5. LPSは細菌の外膜に存在する物質で内毒素として働く(外毒素は最近が分泌する物質)。内毒素は微量であれば細菌進入の手がかりとして生体の免疫細胞を活性化するので有用。多量であれば、炎症を引き起こし、障害性に働く。

(https://www.cc.okayama-u.ac.jp/~perio/clinics/Perio_11.pdf)

歯周病はプラーク中の歯周病原細菌により誘導される慢性炎症性疾患で,歯と歯肉の付着の喪失と歯槽骨の吸収を特徴とする。(http://www.perio.jp/member/award/file/science/2010-1.pdf)

 

英語

歯周病:gum disease; periodontal disease; periodontitis

歯肉炎:gingivitis (gum inflammation)

 

 

サイトカインとは

サイトカインはいろいろな細胞から産生され、比較的産生細胞の周囲の細胞に作用します。…歯周組織局所で産生されるサイトカインには、炎症を起こす方向に作用する(炎症性サイトカイン)としてIL-1、IL-6、IL-8、TNF-αがあります。炎症を抑える方向に作用する(抗炎症性サイトカイン)としてIL-4、IL-10があります。サイトカインは歯周病の発症と進行、そして全身疾患に大きい影響を与えています。(https://www.cc.okayama-u.ac.jp/~perio/clinics/Perio_11.pdf)

 

サイトカインを産生する細胞

内毒素の増加に対してマクロファージが、PGE2、IL-1、IL-6、IL-8、TNF-αを産生し、他の生体防御細胞を活性化します。活性化されたTリンパ球やBリンパ球は増殖し、IL-1、IL-6を産生します。そして、Bリンパ球は抗体を産生します。(https://www.cc.okayama-u.ac.jp/~perio/clinics/Perio_11.pdf)

 

上皮細胞と炎症性サイトカイン

上皮細胞は, 一般的に細菌の侵入に対して最前線に位置し, 物理的なバリアーとして機能している。 上皮細胞は, 細菌の付着 (侵入) に応答して抗菌ペプチド産生などの自然免疫機能を有する一方で, インターロイキン(IL)-1,IL-8,TNF-αなどの炎症性サイトカインを産生し, 炎症の惹起に積極的な役割を果たしている。(https://core.ac.uk/download/pdf/144566417.pdf)

 

上皮間葉転換(Epithelial-mesenchymal transition、EMT)

EMTは上皮-間葉移行、上皮間葉転換ともよばれます。

上皮-間葉移行(Epithelial-mesenchymal transition、EMT)は、上皮細胞が間葉系細胞様に形態変化する現象であり、初期胚発生における原腸陥入、神経提細胞の運動や器官形成過程、特に心臓や腎臓での重要性がよく知られている。EMTは細胞の運動性や細胞外基質の蓄積をもたらすことから、最近EMTが癌の浸潤や転移、また臓器線維化や慢性炎症に重要であることが徐々に明らかとなってきている。(https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-19659198/)

 

上皮間葉転換を引き起こすシグナル

EMTを誘導する主たるサイトカインとしてtransforming growth factor-β (TGF-β)が知られており(http://gakui.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/data/h22/126545/126545a.pdf)

 

 

歯周病の全身への影響

歯周病が増悪してくると、その影響は口腔内にとどまりません。口腔内で増殖した細菌は、気道を通じて直接気管に移動します。また、歯周組織内に進入した細菌は、血行性に全身に移動します。歯周病の増悪によって量産されたサイトカインも、血行性に全身に移動します。これらの細菌やサイトカインは、他の疾患の増悪因子となります。肺炎、糖尿病、心疾患、低体重児出産といろいろなことに影響を及ぼします(https://www.cc.okayama-u.ac.jp/~perio/clinics/Perio_11.pdf)

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