ノーベル委員会が大隅博士の単独受賞の根拠として4編のKey Publicationsを挙げた
(1)酵母のオートファジーの発見に関する論文(J Cell Biol. 1992)
(2)網羅的な酵母のオートファジー遺伝子の分離に関する論文(FEBS Lett. 1993)
(3)翻訳後修飾分子Atg12によるユビキチン様のタンパク質共有結合反応システムを発見した論文(Nature 1998)
(4)翻訳後修飾分子Atg8によるユビキチン様の脂質共有結合反応システムを発見した論文(Nature 2000)論文(1)は、出芽酵母におけるオートファジーの発見を、最初に報じたものであった。‥大隅博士は、この酵母システムを縦横無尽に駆使して、約15個のオートファジー遺伝子の単離に成功したのである(論文2)。‥ 論文(3)と(4)は、世界を震撼させた「オートファジー機構の解明」に関する論文である。大隅博士が単離したオートファジー遺伝子の約半数が、Atg12とAtg8を翻訳後修飾分子とする「ユビキチンと類似の共有結合反応システム(Atg12- and Atg8-Conjugation System)(Nature 1998, 2000)を構成していること」が判明したのである。そして、これらの二つの酵素系(タンパク質修飾系と脂質修飾系)が、オートファゴソーム膜形成に必須であることを突き止めた。
2016-10-27 大隅良典博士の功績と憂愁 田中啓二 (東京都医学総合研究所)
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Charles A. Janeway(チャールズ・ジェインウェイ)
ジェインウェイの名は教科書の名前で知りましたが、自然免疫学の父と称される人だそうです。免疫学の教科書を見ると「病原体関連分子パターン」とか「パターン認識受容体」などという奇妙な言葉に遭遇して、なんだろうこれ?とモヤモヤしていたのですが、この言葉を提唱した人こそがジェインウェイさんでした。1989年の「免疫学における進化と革命、近づく漸近線?」(Approaching the asymptote? Evolution and revolution in immunology)という学会発表の中で提唱したのだそうです。
ジェインウェイさんのパターン認識受容体仮説によれば、人間には「病原体が持つ特有の構造に対する免疫反応があるはず」というものです。この仮説が提唱された時代は、ランダムな組換えによって無数の構造のバリエーションが作り出されて、たまたまそれが認識できるものを認識することで免疫応答が生じるというものでした。利根川進が「多様な抗体を生成する遺伝的原理の解明」によりノーベル生理学・医学賞を受賞したのが1987年ですから、当時はランダムに作られた多様性が微生物を認識するということが常識だったのでしょう。微生物の構造をもともと認識することができるというのは、それに反する考え方でした。しかし結果的に、ジェインウェイさんの仮説を支持するエビデンスが1996年になって初めて報告されたのでした。
参考
- 自然免疫学の父 (熊本大学大学院生命科学研究部大学院医学教育部医学部医学科免疫学講座)
- Of Flies and Men—The Discovery of TLRs Cells 2022, 11(19), 3127;
- Pattern Recognition Receptors and the Host Cell Death Molecular Machinery Front. Immunol., 16 October 2018
- Pattern Recognition Theory and the Launch of Modern Innate Immunity NOVEMBER 01 2013
- Charles A. Janeway, Jr. 1943-2003 Published: 01 June 2003 Nature Immunology チャールズ・A・ジェインウェイ・ジュニア 1943年~2003年 ルスラン・メジトフ 公開:2003 年 6 月 1 日
- Obituary Charles A. Janeway Jr (1943–2003) Nature 15 May 2003
- Lemaitre, B.; Nicolas, E.; Michaut, L.; Reichhart, J.-M.; Hoffmann, J.A. The Dorsoventral Regulatory Gene Cassette spätzle/Toll/cactus Controls the Potent Antifungal Response in Drosophila Adults. Cell 1996, 86, 973–983. Tl-deficient insects were dramatically affected by the fungus.
- Chapter 2: Innate Immunity Stuart E. Turvey, MB BS, DPhil1 and David H. Broide, MB ChB J Allergy Clin Immunol. 2010 Feb; 125(2 Suppl 2): S24–S32. Published online 2009 Nov 24. doi: 10.1016/j.jaci.2009.07.016
- Approaching the asymptote? Evolution and revolution in immunology. JANEWAY C A JR Cold Spring Harbor Symposia on Quantitative Biology (Cold Spring Harbor Symposia on Quantitative Biology) 巻: 54 号: Pt 1 ページ: 1-13 発行年: 1989年
難解でつまらない生化学を面白く教える方法・学ぶ方法とは?
生化学の授業は退屈でつまらないと一般に思われています。生化学の面白さとは何でしょうか?どうすれば生化学を楽しく学ぶ/教えることができるのでしょうか。
翻訳(mRNAからタンパク質へ)
DNAは4つの塩基アデニン、グアニン、シトシン、チミンの並び順によって情報をコードしています。DNAの情報はmRNAへ転写されます。その際、チミンの代わりにウラシルが使われます。そしてmRNAからタンパク質に翻訳されるわけですが、DNAの4つの塩基の順番がどうやって、20種類からなるアミノ酸配列であるタンパク質へと変換されるのでしょうか。
4種類の塩基一つ一つに意味があるとしたら、4つのものしか表せません。
仮に、塩基2つの並び順で何種類をラベルできるかと考えると、4×4=16種類となります。アミノ酸は20種類あるので、まだ足りません。
塩基3つの並び順が何種類あるかというと、4x4x4=64通りになります今度は20よりもずっと大きい数字になりました。とりあえず、64種類のものを20種類に対応させることは可能です。実際、重複するものもあって塩基3つの並び順により、特定のアミノ酸へ対応関係が生じているということが研究により明らかになりました。これは遺伝暗号の解読として極めて意義の大きなものであったのでノーベル賞授賞の対象となりました。下の動画は、ノーベル賞を受賞した3人のうちの一人マーシャル・二ーレンバーグ(Marshall Warren Nirenberg、1927年4月10日 -2010年1月15日 )のインタビュー。
A Conversation with Dr. Marshall Nirenberg
- マーシャル・ニーレンバーグ(ウィキペディア)
- Deciphering the Genetic Code: The Most Beautiful False Theory in Biochemistry – Part 2
- Deciphering the Genetic Code (ACS)
上の動画のインタビューでニーレンバーグが話していますが、遺伝暗号はヒトでもマウスでもカエルでも魚でも植物でも酵母でもバクテリアでも同じものが使われています。これは驚くべき大発見であり、バクテリアと人が同じ遺伝暗号を使ってDNAからタンパク質を作っているという事実は、ヒトとバクテリアは別々にこの世に誕生したのではなく、ヒトもバクテリアもその他の種も全ての生命は共通の祖先を持っていて、進化の過程で種が分かれたという仮説に合うものです。人間とばい菌が同じ祖先をもつなどということはにわかには信じられませんが、DNAからタンパク質をつくる際の遺伝暗号が同一というのは、このトンデモ仮説に対する強力な証拠と言えます。
非古典的 MHC クラス I 分子とは
免疫学の教科書をみると、主要組織適合性抗原MHCにはMHCクラスIとMHCクラスIIの説明が詳細で、非古典的 MHC クラス I 分子に関して言及があっても、あまり詳細ではありません。それはつまり研究の進展が他よりも遅かったということだと思います。
MHCクラスI分子やMHCクラスII分子がペプチドを提示するということを免疫学の教科書で読んだときに、タンパク質以外の物質の認識はどのように行われるのか疑問に思いました。その答えが、まさにこの「非古典的 MHC クラス I 分子」でした。非古典的 MHC クラス I 分子のあるものは脂質を提示し、またあるものは糖鎖を提示するというのです。自然界はなんと巧妙にできているのでしょう。
クラスIファミリー全体を見渡すと、古典的クラスI分子は少数であり、非古典的と称されるクラスI分子の方がはるかに多い。近年、非古典的クラスI分子の機能解析が飛躍的に進展し、その多様な機能が明らかになってきた。非古典的クラスI分子のなかには、特殊な抗原提示機能をもつもの、ナチュラルキラー細胞の活性を制御するもの、Fc レセプタ
ーとして機能するもの、脂質代謝や鉄輸送など免疫とは無関係な機能をもつものなどが知られている。(非古典的 MHC クラス I 分子の多様な機能日本組織適合性学会 平成23年度・認定 HLA 検査技術者講習会)多型性が低く,限られたペプチドおよび非ペプチドを結合する(またはペプチド提示能を持たない)クラス I 分子を非古典的クラス I 分子と呼ぶ。
非古典的クラスI分子の種類:提示する抗原 受容体
- HLA-E:HLA クラス I シグナルペプチド NKG2/CD94 由来のペプチド
- HLA-F:不明 LILR?
- HLA-G:ペプチド LILRB1,LILRB2,LILRA3,KIR2DL4
- CD1a,1b,1c:糖脂質 T 細胞上の TCR
- CD1d:糖脂質 NKT 細胞上の TCR
- CD1e:提示しない 不明
- MICA,MICB:なし NKG2D
(HLA の立体構造と免疫制御受容体の分子認識機構 Major Histocompatibility Complex 2016; 23 (2): 80–95)
CD1は第1染色体に位置する遺伝子で、多型性はない。HLAクラスI様の分子で、ペプチドではなく脂質や糖脂質を抗原として提示する。ヒトCD1分子は、CD1a、1b、1e、1d、1eの5つのアイソフォ ームを持ち
MICA/B(MHC class I chain-related gene A/B)は、第6染色体のHLA領域に存在する遺伝子である。HLA分子ほど多くはないが多型性であり
(HLA以外の抗原提示分子 日本組織適合性学会)
- 特殊なT細胞とクラス1b分子 新しい認識系の存在 RADIOISOTOPES 45, 827 (1996)
- Sieling, P. A., Chatterjee, D. et al. CD1-Restricted T Cell Recognition of Microbial Lipoglycan Antigens. Science 269: 227-230. (1995).
- Beckman, E. M., Porcelli, S. A. et al. Recognition of a lipid antigen by CD1-restricted αβ+ T cells Nature 372: 691-694. (1994).
細胞内情報伝達系によるエネルギー代謝経路の調節
代謝経路が細胞内情報伝達機構によって制御されている(可能性がある)例を示した論文を纏めておきます。細胞内情報伝達機構が代謝酵素の活性を制御しているかもしれませんし、胞内情報伝達機構と相互作用することで、代謝酵素が代謝以外のこれまで知られていなかった役割を持っている可能性もあります。
- A non-canonical role for pyruvate kinase M2 as a functional modulator of Ca2+ signalling through IP3 receptors Biochimica et Biophysica Acta (BBA) Volume 1869, Issue 4, April 2022, 119206
- Phosphoenolpyruvate Is a Metabolic Checkpoint of Anti-tumor T Cell Responses 2015年
- Essential Regulation of Cell Bioenergetics by Constitutive InsP3 Receptor Ca2+ Transfer to Mitochondria 2010年
肝臓の役割、膵臓の役割、胆嚢の役割、脾臓の役割、腎臓の役割、心臓、肺、胃、小腸、大腸、膀胱、リンパ系など
五臓六腑という言い方ありますが、五臓とは、肝臓、心臓、脾臓、肺臓、腎臓で、六腑とは、胃、小腸、大腸、胆、膀胱、三焦(さんしょう)のことだそうです。五臓の中に膵臓が入っておらず、見落とされていたみたいです。三焦というのは実際には存在しませんが、リンパ系を指すという解釈もあるそう。腑は飲食物の通り道ということのようです。
脾臓(spleen)の役割・働き
- 脾臓は、リンパ節や粘膜リンパ組織とともに二次リンパ器官/二次リンパ組織と呼ばれる。は、免疫細胞が病原体などに反応してそれらを排除する場所。末梢最大のリンパ装置。抗体(免疫グロブリン)を産生する形質細胞が多数存在しており、抗体の産生場所になっている。
- 脾臓は、血液ろ過・浄化装置としての役割ももつ。血液の中の病原菌、死んだ赤血球、などが免疫系の細胞(白血球)などの働きにより除かれる。
- 脾臓で、古くなった赤血球を分解する。古くなった赤血球のヘモグロビンから鉄分を取り出し骨髄に送る。また、ヘモグロビンのヘムをビリルビンに変えて、肝臓に送る。
ちなみに、門脈とは、腹部諸臓器(大腸,小腸,膵臓,脾臓など)の静脈から肝臓に流れる血管の総称.
肝臓の役割・働き
肝臓は再生能力が大きい臓器で半分以上を切除しても元の大きさにまで戻るのだそうです。また、肝機能が低下した場合に自覚症状が出ないため「沈黙の臓器」とも呼ばれます。通常、臓器の血管系としては動脈と静脈がありますが、肝臓の場合はそれに加えて「門脈」があります。門脈は、胃や腸、脾臓、膵臓といった腹部の臓器からくる血管が合わさったものです。消化器官の血管には吸収された栄養物が多量に含まれているので、これらの栄養物はまず肝臓に入って代謝されることになります。また有害な物質を吸収した場合にもまず門脈から肝臓に運ばれて、そこで解毒されます。肝臓はグリコーゲンを貯蔵しており、血糖値が低下し場合にはグリコーゲンを分解してグルコースを放出し血糖値を上昇させます。肝臓はまた、胆汁を産生する場所でもあります。
つまり、肝臓の主要な働きは4つあると言われており、それは「代謝」、「解毒」、「胆汁合成」、「エネルギー貯蔵」です。肝臓はビタミンAやビタミン12を貯蔵しているので、「栄養素の貯蔵」という役割も担っていると考えてよいと思います。
関連記事⇒肝臓の役割
- 重要な臓器「肝臓」の役割とは? 協和発酵バイオ
- 肝臓は何をするところ? オルニチン研究会
- 肝臓における脂質生合成とその異常(PDF) 沼正作 京都大学・医化学 〈第10回日本肝臓学会総会 特別講演〉 脂質のうち中性脂肪はエネルギーの貯蔵型として,一方燐脂質は細胞膜その他膜系の主成分として生体に必須の成分である.また脂質代謝異常は成人病として最近特に注目され死因の最高を占めている動脈硬化症やこれと関連した脳卒中,心筋梗塞などの循環器疾患,さらには糖尿病,肥満症,癌などにおいてしばしば観察され,ある場合にはその原因的因子と考えられている.肝臓は他の物質代謝におけるごとく脂質代謝においても中心的な役割を演じている.
- 脂肪酸の合成 http://hobab.fc2web.com/ 脂肪酸合成は、肝臓、腎臓、脳、肺、乳腺、脂肪組織など、多くの組織のミトコンドリア外(細胞質ゾル)で、マロニル-CoA経路で、行われる。
膵臓の役割とは
参考
- 脾臓の概要 MSDマニュアル家庭版
- ひ臓について 中外製薬
- ヒト脾臓の構造と機能 日門亢会誌 2009; 15: 344─ 347
- Spleen problems and spleen removal NHI inform
- 脾臓について 消化器外科医が扱う主な疾患とその治療法 日本消化器外科学会
- リッピンコット免疫学原書2版 92ページ 二次リンパ組織と器官
- 脂肪酸合成を図で分かりやすく解説【薬学の勉強はこれでOK】akugaku-gokaku.com
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Th1/Th2バランスとは?Th17の発見による仮説の修正
Th1/Th2バランスとは
病態の説明などにおいてしばしばTh1/Th2バランスといった言葉が登場します。これはヘルパーT細胞の亜型であるTh1細胞とTh2細胞のそれぞれの働きの拮抗をあらわした概念です。Th1細胞が細胞性免疫を亢進させる働きを持つのに対して、Th2細胞は体液性免疫を亢進させる働きを持ちます。また、Th1細胞はインターフェロンγを分泌してTh2細胞に働きかけその活動を抑制します。逆に、Th2細胞はインターロイキン4やインターロイキン10、TGF-βなどを産生してTh1細胞を抑制するように働きかけます。
- リッピンコット免疫学172~173ページ Th1/Th2パラダイム、253ページ Th1/Th2バランス
- The Th1/Th2 paradigm: still important in pregnancy? 03 May 2007
- Revisiting the Th1/Th2 paradigm Muraille 1998 (PDF)
- The Th1/Th2 paradigm Sergio Romagnani June 1997 Immunology Today
Th1/Th2パラダイムは非常にわかりやすい仮説(パラダイム)なので魅力的ですが、必ずしもこのような単純な図式では説明がつかないこともあるため、免疫学の教科書を見た時に取り扱い方は様々です。リッピンコットの教科書では、「モデル」としてしっかりと紹介されていました。
最近の教科書を見ると、Th1/Th2パラダイムを紹介していないものも多いようです。自分は、科学は事実の羅列ではなく、どう理解するか、概念の確立だと思っているので、かりに訂正が必要であったとしてもこのような明確な概念、パラダイムが研究の進展において果たした役割は説明してほしいと思います。
Th1/Th2パラダイムの趨勢
Th1/Th2細胞のバランスが、生体の免疫応答の性質を決めるというこの仮説はその後数十年間、免疫学の世界を支配するパラダイムになりました。(私的免疫学ことはじめ (2) Th1/Th2パラダイム 2020年7月30日 医局ブログ)
科研費の採択課題をみてみると、Th1/Th2バランスを前面に推した計画は2002年ころがピークだったようです。
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- Th1/Th2バランスをターゲットとしたPDE5阻害薬による流産改善効果の検証 2022-04-01 – 2025-03-31
- 舌下免疫療法におけるセマフォリン4Aを介した Th1/Th2制御の解明 2017-04-01 – 2020-03-31
- 被嚢性腹膜硬化症におけるTヘルパー細胞の役割の解明と新規治療法の開発 2013-04-01 – 2016-03-31
- Thバランスの制御による難治性喘息に対する新規治療法の探索 2011 – 2013
- Th17/Th1/Th2細胞優位発現マウスを用いた免疫複合体腎炎の病態解析 2010 – 2012
- メモリーTh1/Th2細胞の形成と機能維持のエビジェネティック制御に関する研究 2009 – 2011
- Th1 Th2 バランスの制御による魚類のウイルス病に対する細胞性免疫誘導 2009 – 2010
- Th1/Th2バランスの破綻として捉える薬剤性肝障害 2008 – 2010
- Th1/Th2細胞分化におけるケモカインCCL21、CCL19の役割の解析 2007 – 2008
- 乳幼児期の細菌刺激および化学物質曝露による成長後のTh1/Th2バランスへの影響 2007 – 2009
- 抗うつ薬応答性に及ぼすTh1/Th2サイトカイン遺伝子多型の影響 2006
- チロシンキナーゼTxkによるマスト細胞のTh1/Th2応答の制御機構 2006 – 2007
- Tim分子によるTh1/Th2反応制御機構の解明 2006 – 2007
- ナノ粒子(酸化チタンおよび酸化亜鉛)のTh1/Th2/Th3免疫応答に与える影響 2006 – 2007
- 魚類のTh1/Th2バランス制御機構の解明 2006 – 2008
- セマフォリン分子Sema4AのTh1/Th2反応制御機構の解明 2006 – 2007
- Th1/Th2バランス関連サイトカン遺伝子多型とうつ病発症・自殺企図との関連性 2005
- 樹状細胞とNKT細胞によるTh1/Th2サイトカインバランスの調節機構とその応用 2005 – 2006
- 新規ヒト腎炎モデルマウスの病態解析及びTh1/Th2転写制御による治療の試み 2005 – 2006
- Th1/Th2細胞分化・機能維持とクロマチンリモデリングに関する研究 2005 – 2007
- 好塩基球を介したTh1/Th2分化制御および感染に対する免疫監視機構の研究 2005 – 2006
- DNAM-1による樹状細胞の活性化とTh1/Th2バランスの制御機構 2005 – 2006
- Th1/Th2バランス制御を介した抗腫瘍免疫の誘導とそのメカニズムの解析 2005 – 2006
- Th1,Th2サイトカインの皮膚バリア機能に及ぼす影響 2004 – 2006
- 耳鼻咽喉科領域疾患におけるTh1,Th2,Tc1,Tc2細胞の検討 2004 – 2005
- 黄砂のTh1・Th2免疫系および経口免疫寛容に与える影響 2004 – 2006
- 抗原提示細胞を介したTh1/Th2細胞への分化・誘導制御機構と免疫細胞療法 2004 – 2007
- Th1/Th2分化におけるIL-12レセプターβ1遺伝子プロモーター機能の役割 2004 – 2005
- CD8α陽性樹状細胞の活性化とTh1/Th2バランスの制御機構 2004
- Th1/Th2細胞における皮膚ホーミングレセプター発現機序に関する研究 2003 – 2004
- クロマチンリモデリング選択的GATA-3変異体を用いたTh1/Th2バランス制御 2003
- 内分泌攪乱物質の免疫攪乱誘導による免疫毒性作用 2003 – 2004
- Th1/Th2病としての自己免疫疾患の病態解明と予防・治療 2003 – 2005
- サイトカイン抑制制御分子SOCSを利用したTh1・Th2バランスの改変 2003
- 転写因子AML1によるT細胞のTh1/Th2系列への振り分け制御機構の解明 2003
- 表皮におけるセラミド合成に対するTh1、Th2サイトカインの影響 2002 – 2003
- アトピー性皮膚炎の表皮細胞におけるTh1とTh2ケモカイン産生の制御について 2002 – 2003
- Decoy DNAによるTh1/Th2サイトカインの発現調節と免疫応答制御の検討 2002 – 2003
- Th1,Th2への分化に伴うE-セレクチン・リガンドと糖転移酵素の発現 2002 – 2003
- TH1・TH2バランスと自然免疫のクロストークにおける細胞内レドックスの役割 2002 – 2003
- 免疫学的生殖不全におけるNK・NKT細胞,Th1/Th2サイトカインの役割の解明 2002 – 2004
- Th1/Th2分化制御による慢性関節リウマチの分子標的療法開発への基礎的研究 2002 – 2003
- Th1/Th2細胞分化とクロマチンリモデリングに関する研究 2002 – 2004
- 内分泌攪乱物質のTh1/Th2免疫応答への影響と易感染性との関連 2002 – 2003
- サイトカインシグナル抑制分子SOCSを利用したTh1・Th2バランスの改変 2002 – 2003
- 樹状細胞によるTh1/Th2バランスの決定機構 2002
- 食餌制限によるTh1/Th2バランスの制御とその癌ワクチン療法への応用 2002 – 2004
- 炎症性骨吸収におけるヘルパーT細胞(Th1・Th2細胞)の役割 2002 – 2004
- 炎症性骨吸収におけるヘルパーT細胞(Th1・Th2細胞)の役割 2002 – 2004
- 妊娠時におけるTh1/Th2バランスに関する検討 2001
- バセドウ病モデルマウスの病態におけるTh1/Th2細胞・IL-5が果たす役割 2001
- 敗血症におけるTh1/Th2サイトカインの作用と調節機構の解明 2001 – 2002
- Th1/Th2細胞分化機構の制御によるがん免疫の賦活化 2001
- 口腔扁平上皮癌患者の放射線治療によるTh1/Th2バランスの変化について 2000 – 2001
- 侵襲時における末梢血Th1/Th2バランスの変動とサイトカイン動態に関する検討 2000 – 2001
- ヘルパーT細胞Th1/Th2バランスを制御する転写因子の検索 2000 – 2001
- マイクロアレイ法を用いたTh1,Th2型免疫応答の分類化と免疫疾患の病態解析 2000
- 卵巣癌患者末梢血幹細胞移植におけるTh1/Th2解析に関する研究 1999 – 2000
- 癌患者におけるHelper T CellのTh1/Th2バランスに関する研究 1999 – 2000
- 自己免疫疾患発症の分子機構の解明およびその制御:細胞表面分子群のTh1/Th2分化・誘導機構の解明とその制御 1999 – 2000
- 全身性エリテマトーデスにおけるTh1/Th2バランスの解析 1999 – 2002
- Th1/Th2細胞の活性化による微生物に対する感染防御能の増強効果 1999 – 2001
- Th1/Th2バランス制御法の癌免疫療法への応用 1999
- 間質性肺炎に於けるTh1/Th2細胞及びIL-2の役割の研究 1999 – 2000
- Th1/Th2バランス制御因子の遺伝子解析とその免疫疾患との関連性 1998 – 1999
- Th1/Th2細胞誘導を指標としたBRM感受性試験の開発と臨床応用 1998 – 2000
- Th1/Th2バランスからみたHAM発症分子機構の解明と治療法開発の基礎的検討 1998 – 1999
- シェーグレン症候群ににおけるTh1/Th2バランス異常の解析とその制御戦略 1998 – 1999
- 外科侵襲に対する免疫応答におけるTh1/Th2システムの証明 1997
- アトピー性皮膚炎患者のTh1-Th2バランス制御機構の解析 1997 – 1998
- 自己腫瘍特異的CTLのTCRVβレパトアとTh1/Th2サイトカイン産生能の解析 1997 – 2000
- IgA腎症病態発現へのTh1/Th2バランス制御の効果-若年好発症IgA腎症 (HIGA) マウスへのIL-12投与の検討- 1997 – 1998
- C型肝炎ウィルス特異的ヘルパーTクローン樹立と抗原依存性TH1・TH2分化の検討 1996 – 1997
- アトピー性皮膚炎患者におけるTh1-Th2バランス制御機構の解析 1996
- 遅延型過敏症を担うTh1,Th2細胞活性化における抗原提示細胞表面分子の役割 1996
- マウスでの抗原反復投与によるTH1/TH2不均衡の成立機序:マウスのアトピー性皮膚炎モデル作成とその検討 1996
- フローサイトメトリーによるTh1/Th2リンパ球の解析-猫条虫感染マウス系におけるエフェクター細胞の検討- 1996
- 炎症性皮膚疾患におけるTh1 Th2細胞へのdeviationを規定する因子の解析 1996
- AIDS粘膜ワクチン:Th1/Th2型細胞によるHIV特異的粘膜免疫の誘導 1996
- 自己免疫性心筋炎の発症における細胞間分子およびTh1/Th2サイトカンの役割の解明と抗接着分子療法による治療に関する臨床的・実験的検討 1995
- 寄生虫感染におけるTh1,Th2サブセット活性化機構の解明 1995 – 1996
- AIDS粘膜ワクチン:Th1/Th2型細胞によるHIV特異的粘膜免疫の誘導 1995
- 皮膚樹状細胞とアレルギー,Th_1/Th_2サイトカイン群と抗原提供能 1994
- 広東住血線虫感染マウスのTh1/Th2サイトカイン応答 1994 – 1995
- 腎細胞癌内TH1/TH2免疫調節機構、T細胞受容体解析および腎細胞癌免疫療法 1993 – 1994
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Th17の発見とTh1/Th2パラダイムの修正
The classical T helper (Th)1 and Th2 CD4+ T cell effector paradigm has recently been challenged. Studies from various laboratories have shown the existence of a T cell subpopulation, dubbed Th17, not only distinct from Th1 and Th2, but a different pro-inflammatory Th-cell lineage.( Autoimmunity Reviews Review Autoimmune inflammation from the Th17 perspective Autoimmunity Reviews Volume 6, Issue 3, January 2007, Pages 169-175 無料要旨)
Helper T cells are CD4+ T lymphocytes that have an important role in determining the nature of the adaptive immune response. Since the 1980s, helper T cells have been classified in two major types, namely the Th1 or Th2 phenotype. Th1 cells promote cellular immunity, which is associated with anti-viral responses and tumour surveillance, whereas Th2 cells promote humoral responses to extracellular parasites and are involved in allergies. ‥ The two-dimensional Th1/Th2 paradigm has been a very successful foundation of immunology for the past 20 years. However, the recent discovery of Th17 cells confirmed earlier evidence that helper T cells may adopt phenotypes other than Th1 and Th2. (From the two-dimensional Th1 and Th2 phenotypes to high-dimensional models for gene regulation International Immunology, Volume 20, Issue 10, October 2008).
For almost two decades, the Th1/Th2 paradigm has offered a productive conceptual framework for investigating the pathogenesis of periodontitis. However, as with many other inflammatory diseases, the observed role of T-cell-mediated immunity in periodontitis did not readily fit this model. A new subset of CD4+ T-cells was recently discovered that explains many of the discrepancies in the classic Th1/Th2 model, and has been termed “Th17” based on its secretion of the novel pro-inflammatory cytokine IL-17. (A New Inflammatory Cytokine on the Block: Re-thinking Periodontal Disease and the Th1/Th2 Paradigm in the Context of Th17 Cells and IL-17 September 1, 2008 )
Th17細胞は粘膜免疫の維持に不可欠である一方で、それらの調節障害は自己免疫性炎症の病理発生に関与しています。標準的なTh1/Th2モデルとは異なるCD4+ヘルパーT細胞の3番目のサブセットの存在が最初に示唆されたのは、この炎症を引き起こす際のそれらの役割でした。元のモデルでは、Th1細胞は自己免疫の主なメディエーターであると考えられていました。しかし、それらの主要なTh1エフェクターサイトカインであるIFNγまたはそれらの活性化サイトカインであるIL-12が欠如すると、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)などの自己免疫性炎症のモデルが悪化することが明らかにされました。IL-12/IFNγではなくIL-23/IL-17系が、この炎症を媒介する主な経路として特定され、その後の研究では、この系に関連する新規のCD4+ヘルパーTサブセットとしてTh17細胞の特徴が明らかにされました。それ以来、Th17細胞は、関節リウマチ、乾癬、多発性硬化症、および炎症性腸疾患などの他の自己免疫疾患の進行に役割を果たすことが明らかにされています(ヘルパーT17細胞(Th17細胞)とは? ThermoFisher Scientific)
今となってはシンプルにすらみえるTh1/Th2分化の概念図に、Th17細胞という新しいサブセットが登場し、Th17細胞分化が制御性T細胞分化と相互背反的に成立することが示されるに至って、今や各T細胞サブセットの関連を、はるかに複雑な構図のなかで据え直す必要に迫られている(サイトカインネットワークのパラダイムシフト)
これまでぜんそくをはじめとした種々のアレルギー疾患は、Th1細胞とTh2細胞のバランスが崩れることが病態形成の引き金となる(Th1/Th2アンバランスモデル)と考えられてきましたが、本研究グループは、記憶Th細胞中の病原性を持った集団によりアレルギー疾患の病態が慢性化する(病原性記憶Th細胞亜集団疾患モデル)という新たなコンセプトを提唱しています(ぜんそくなどのアレルギー性気道炎症の慢性化機構を解明~難治性アレルギー疾患の新規治療薬開発に期待~ポイント 平成27年2月18日科学技術振興機構(JST)千葉大学)
- Th17 and Treg Cells Innovate the Th1/Th2 Concept and Allergy Research Blaser K (ed): T Cell Regulation in Allergy, Asthma and Atopic Skin Diseases. Chem Immunol Allergy. Basel, Karger, 2008, vol 94, pp 1-7(無料要旨)
- Kelso A, Troutt AB, Maraskovsky E, et al. Heterogeneity in lymphokine profiles of CD4+ and CD8+ T cells and clones activated in vivo and in vitro, Immunol. Rev., 1991, vol. 123 pg. 85
その他の参考
- Salivary gland tissue expression of interleukin-23 and interleukin-17 in Sjögren’s syndrome: Findings in humans and mice Cuong Q. Nguyen, Min H. Hu, Yi Li, Carol Stewart, Ammon B. Peck First published: 29 February 2008
γグロブリンとは?Ig Gとの違いは?
γグロブリンととイムノグロブリンG(Ig G)とは名前が似ているため、違いは何だっけとたまに頭が混乱することがあります。血清蛋白質を電気泳動で分離したときに、
アルブミン、α1グロブリン、α2グロブリン、γグロブリン
の順序で分画が分かれます。このうち、γグロブリンの分画には、 IgA, IgM, IgD, IgE, and IgGが含まれています。つまり、γグロブリンの実体は、IgA, IgM, IgD, IgE, IgGの混合物ということになります。γグロブリンというのは特定のたんぱく質の名称ではなくて、タンパク質を分離したときの分画の名前だったというわけです。IgA, IgM, IgD, IgE, IgGは免疫グロブリンと総称されるので、γグロブリン=免疫グロブリンともいえます。
- 血清蛋白電気泳動法(shinshu-u.ac.jp)
- What is the Difference Between Gamma Globulin and Immunoglobulin
- βグロブリン (Beta globulin) (ウィキペディア):血漿中に存在する球状タンパク質のグループである。βグロブリンには、次のようなものが含まれる。β-2マイクログロブリン、プラスミノーゲン、アンギオスタチン、プロペルジン、性ホルモン結合グロブリン、トランスフェリン。
ガンマグロブリン療法
- ガンマグロブリン療法(tmd.ac.jp)十分な量の免疫グロブリンあるいは抗体を体内で作ることのできない患者には、ガンマグロブリンによる補充治療を行うことができます。‥ ガンマグロブリン製剤はほぼ純粋なIgGであり、基本的にIgAやIgMは含みません。
上司とのコミュニケーションを円滑にして自分の思い通りの結果を得る方法
組織内で仕事をする際に、上司の全面的な支援が必ずしも得られるとは限りません。その場合の対処法としては、上司になんとかして動いてもらうか、少なくとも了承してもらう必要があります。そのためにはどうすればよいのでしょうか。
その解決策を提示する本というものが結構な数出版されていました。
「困った人たち」とのつきあい方 1997/6/1 ロバート・M. ブラムソン Robert M. Bramson
究極の人間関係改善術 職場の「苦手な人」を最強の味方に変える方法 2019/5/17 片桐 あい
上司をマネジメント 2007/9/1 村山 昇
トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている 上司と組織を動かす「フォロワーシップ」2020/2/28 伊庭 正康
その上司、大迷惑です。 困った上司とかしこく付き合う傾向と対策 2007/8/17 松井 健一
職場のクセモノと付き合う技術 2019/3/16 横山 信治
バカ上司の取扱説明書 (SB新書) 出版年: 2018/9/6 著者:古川 裕倫 出版社 : SBクリエイティブ
難しい性格の人との上手なつきあい方 2001/2/1 フランソワ ルロール, クリストフ アンドレ
あなたが上司から求められているシンプルな50のこと 2012/4/17 濱田 秀彦
ソーシャルスタイル理論でわかった! 10万人のデータから導き出した 上司へのすごい伝え方 2021/4/17 斉藤 由美子
職場の嫌いな人の取り扱い方法 2006/7/1 小林 惠智
できる人はやっている上司を使い倒す50の極意 田中和彦 祥伝社 出版年月:2014年06月
上司とうまくいかなくて会社を辞める前に試したい10のコミュニケーション術。 10分で読めるシリーズ 江戸しおり、 MBビジネス研究班 出版社:まんがびと