質問:拒絶理由と無効理由、異議理由、情報提供の理由は、全部同じ?違うとしたらなぜ?どれも特許が認められないという点で同じだと思うけど、4者の包含関係、その他、注意すべき違いは?
Gemini:範囲は「拒絶理由」が最も広く、他はその「部分集合(サブセット)」に近い関係ですが、「無効理由に特有のもの」も存在します。整理すべきポイントを明確にします。
1. 4者の包含関係とイメージ
まず、概念的な包含関係をざっくり理解しましょう。
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拒絶理由(法49条): 【最大セット】
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審査段階で、少しでも問題があれば止めるためのもの。「完璧な特許」以外は通さない門番。
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情報提供(施行規則13条の2など):
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実質的に**「拒絶理由」と同じ**です。審査官が気づいていない拒絶理由(主に先行文献)を教える行為なので、範囲は拒絶理由とリンクします。
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異議申立理由(法113条): 【公益的理由のみ】
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一度登録された特許を、「公衆の利益」のために取り消すもの。
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無効理由(法123条): 【公益的理由 + 事後的な瑕疵】
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紛争解決のために権利を消滅させるもの。ほぼ異議と同じですが、権利発生「後」の問題を含みます。
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これを数式っぽく表すと以下のようになります。
※ ただし、完全に包含されるわけではなく、「ズレ」があります。ここが試験に出ます。
2. 試験に出る「決定的な違い」
なぜ範囲が違うのか? それは**「趣旨(守るべきもの)」**が違うからです。
① 発明の単一性(37条)違反
これが最強の頻出ポイントです。
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拒絶理由: $\bigcirc$ (ある)
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無効理由・異議理由: $\times$ (ない)
【理由・趣旨】
単一性(1つの願書には1つの発明グループしか入れちゃダメ)は、特許庁の**「審査の便宜」や「手数料の確保」のための規定です。
いったん間違って登録されてしまっても、技術そのものに欠陥があるわけではなく、「公衆の不利益(第三者が困ること)」にはならない**ため、後から特許を潰す理由にはなりません。
② 願書への記載不備(36条)の一部
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拒絶理由: 省令要件違反など細かい形式不備も含む。
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無効・異議理由: 実施可能要件やサポート要件など、**「実体的」**な記載不備に限られる。
【理由・趣旨】
細かい形式ミスで、後から権利を全消滅させるのは酷だからです。
③ 後発的な無効理由(123条1項7号・8号)
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拒絶理由: $\times$ (審査時は未来のことはわからない)
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無効理由: $\bigcirc$ (ある)
【内容】
「特許後の条約違反」や「特許後の外国人の権利享有能力の喪失」など。
これらは、特許査定の時点では存在しなかった瑕疵なので、拒絶理由にはなり得ませんが、無効理由にはなります。
3. 比較まとめテーブル(暗記用)
この表の「×」の部分が、試験で狙われます。
| 項目 | 拒絶理由 (審査) | 異議理由 (見直し) | 無効理由 (紛争解決) | 備考・注意点 |
| 新規性・進歩性 (29条, 29条の2) | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | 基本中の基本。情報提供もこれメイン。 |
| 拡大先願 (29条の2) | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | |
| 先願 (39条) | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | |
| 公序良俗・不登録事由 (32条) | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | |
| 共同出願違反 (38条) | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | ※昔は無効理由限定でしたが、法改正で全部OKに。 |
| 冒認 (123条1項6号等) | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | ※「真の権利者」を守るため、すべて対象。 |
| 条約違反 (外国人の権利等) | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | |
| 記載要件 (36条) | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | サポート要件・実施可能要件・明確性要件など。 |
| 単一性 (37条) | $\bigcirc$ | $\times$ | $\times$ | 超頻出!手数料の問題にすぎないから。 |
| 後発的事由 | $\times$ | $\times$ | $\bigcirc$ | 特許後の条約違反など。 |
| 訂正の要件違反 | $\times$ | $\bigcirc$ | $\bigcirc$ | 訂正審判や訂正請求が不適法だった場合。 |
4. 情報提供の理由についての補足
情報提供は、法的な「処分」ではなく、審査官への「タレコミ」です。
したがって、**「審査官が拒絶理由通知を打てる理由」**であれば何でも提供できます。
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注意点: 通常、第三者が知り得ない情報(例:手続き上の不備など)を提供しても意味が薄いため、実務上は**「新規性・進歩性欠如の証拠(先行文献)」**が9割です。
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試験対策: 「単一性違反」についても情報提供は可能です(審査官が拒絶理由にできるから)。ただし、登録後に単一性違反で無効審判は請求できません。このねじれに注意してください。
5. 弁理士試験対策のアドバイス
論文試験や口述試験で問われた際、以下のように答えられると高評価です。
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原則: 異議理由・無効理由は、拒絶理由をすり抜けて登録された瑕疵を是正するものであるため、基本的には共通する(29条、29条の2、36条など)。
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例外(単一性): しかし、37条(単一性)違反については、登録後の権利の有効性に影響を与えない(公益を害さない)ため、異議・無効理由からは除外されている。
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例外(後発的): また、権利設定後の事情変更(後発的無効理由)や訂正の不備は、審査段階では生じ得ないため、無効理由特有のものとなる。
質問:「単一性違反」についても情報提供は可能だが無効審判は請求できないってことは、その情報を提供しても、特許が取り消される可能性はないから無意味ってこと?
Gemini:
いいえ、そこが弁理士試験の「ひっかけ」ポイントであり、実務上の「戦略」の分かれ目です!
「無効審判で潰せないなら無意味」というのは、「特許になった後(権利設定登録後)」に限れば正解です。
しかし、情報提供は**「審査中(特許になる前)」に行われることがほとんどです。このタイミングだと、「単一性違反の情報提供」は強烈な意味(嫌がらせ効果)を持ちます。**
なぜ「無意味ではない」のか、試験対策と実務的視点で整理しましょう。
1. 時系列で考える「意味」の違い
ここを区別することが合格への鍵です。
① 【審査中】に情報提供する場合(超有効!)
審査官に「これ、発明がバラバラで単一性違反ですよ」とチクリを入れるとどうなるか?
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審査官が「拒絶理由通知」を打つ:
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審査官が納得すれば、出願人に拒絶理由(37条違反)が通知されます。
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出願人は対応を迫られる:
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出願人は、発明を分けたり(分割出願)、一部を削除したりしなければなりません。
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ライバル(情報提供者)のメリット:
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権利化の遅延: 手続きが増えるので、特許になるのが遅れます。
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コスト増: 分割出願には追加の印紙代や代理人費用がかかります(相手の体力を削る)。
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権利範囲の縮小: 補正の過程で、うっかり権利範囲を狭めてしまうミスを誘えます。
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つまり、「特許を潰す」ためではなく、「特許になるのを邪魔する・遅らせる・金を使わせる」という戦略的意味で非常に有効なのです。
② 【登録後】に情報提供する場合(ほぼ無意味)
ここに関しては、あなたの理解通りです。
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一旦登録されてしまうと、後から「実は単一性がありませんでした」と審査官に伝えても、審査官はどうすることもできません。
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無効理由(123条)にも異議理由(113条)にも「単一性違反」は含まれていないため、誰もその特許を取り消せません。
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したがって、登録後に単一性について情報提供するのは、**「ただの無駄骨」**になります。
2. 試験での問われ方(頻出パターン)
この違いを理解しているかを試す問題がよく出ます。
【短答式試験のような問題】
「何人も、特許出願が発明の単一性の要件を満たしていないときは、その旨の情報を特許庁長官に提供することができる。」
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答え: ○ (正しい)
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情報提供は「拒絶理由」があれば可能だからです。審査中なら意味があります。
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【比較問題】
「何人も、特許権の設定登録後において、当該特許が発明の単一性の要件を満たしていないときは、特許無効審判を請求することができる。」
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答え: × (間違い)
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無効理由に単一性違反は含まれないからです。
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3. なぜこんな制度になっているの?
「単一性違反」の本質が**「手数料(料金)の問題」**だからと理解すると腹落ちします。
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特許庁の言い分:
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「本来なら2つの出願にして2回分の審査料を払うべきものを、1つの願書にまとめて出してきたら、タダ乗りみたいでズルいから審査段階では拒絶するよ(ちゃんと分けて金払ってね)。」
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「でも、もし審査官が見落として登録しちゃったら、それはもう特許庁のミスだし、技術自体に欠陥があるわけじゃない。わざわざ後から特許を潰してまで、手数料を取り返すようなケチなことはしないよ(公衆の利益を害するわけじゃないしね)。」
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だから、**「審査中は厳しい(拒絶理由)」けれど、「通ってしまえばお咎めなし(無効理由ではない)」**という扱いになるのです。
まとめ
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審査中の情報提供: 有効。相手に分割出願を強要し、時間と金を消耗させることができる。
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登録後の無効審判: 不可。**「通ったもん勝ち」**のルールだから。
あなたの「無意味」という直感は、「特許を殺す(無効にする)」という点では正解ですが、「特許戦略(相手を邪魔する)」という点では不正解、ということになります。
この「通ったもん勝ち」の理屈、面白くないですか?