【意匠】8
甲は、意匠イ及び意匠イを本意匠とする関連意匠ロを同日に出願した。乙は、意匠ハを
意匠イ及び意匠ロの出願と同日に出願した。意匠イと意匠ロは類似し、意匠ロと意匠ハは
類似する。意匠イと意匠ハは類似しない。その後、特許庁長官は、相当の期間を指定して、
意匠ロと意匠ハについて、意匠法第9条第2項の協議をしてその結果を届け出るべき旨を
甲及び乙に命じた。
この場合、次のうち、正しいものは、いくつあるか。
なお、意匠イの出願について拒絶の理由はなく、意匠ロ、意匠ハの出願について意匠法
第9条第2項以外の拒絶の理由はないものとする。
(イ) 甲と乙が協議をして、甲が意匠ハの意匠登録出願人となり、意匠ハを意匠ロの関連意
匠とした場合、意匠イ、意匠ロ及び意匠ハについて意匠登録を受けることができる。
(ロ) 甲が意匠イについて意匠登録を受けたとしても、甲と乙が協議をして、乙が意匠ハに
ついて意匠登録を受けることができる。
(ハ) 甲と乙が協議をして、甲が意匠ロについて意匠登録を受けたとしても、乙が意匠ハに
ついて意匠登録を受けることができる場合がある。
(ニ) 甲と乙の協議の結果にかかわらず、甲は、意匠イについて、意匠登録を受けることが
できる。
(ホ) 甲と乙が指定期間内に協議の結果を届け出ないときは、当該協議が成立しなかったも
のとみなされる。
1 1つ
2 2つ
3 3つ
4 4つ
5 5つ
言葉の意味:
「以後」は、「以」という言葉があるので、「その日」つまり今の場合「同日」も含む。
問題文の読み取り:
問題文の読み方の話やんな。結論から言うと、文法的には一通りにしか読めへん。乙が出願したんは意匠ハだけで、しかも甲のイ・ロと同じ日や。
なんでそう確定するか、分解してみる。
乙は / 意匠ハを / 意匠イ及び意匠ロの出願と同日に / 出願した。
ポイント①:「を」がどこに付いてるか
出願の「対象」を示すんは「を」やけど、この文で「を」が付いてるんは意匠ハだけ。だから乙が出願の対象にしたんはハ一つだけで確定。
ポイント②:「意匠イ及び意匠ロの出願と同日に」の「と」
ここの「と」は並列(AとB)の「と」やのうて、「〜と同じ/〜と違う」の基準を示す「と」や。「同日に」とセットで「イとロの出願と同じ日に」っていう”いつ出したか”を表す副詞句になってる。出願の対象やのうて、タイミングを言うてるだけ。
整理すると:
甲:イ・ロ を同日に出願 (仮にX日)
乙:ハ を、そのX日に出願(甲と同じ日)
→ イ・ロ・ハ 全部同じ日。出願人は 甲=イ,ロ / 乙=ハ
君が心配した「乙がイ・ロ・ハの3つを出した」読みは成立せえへん。理由2つ:
- イとロは1文目で「甲が同日に出願した」って確定済みやから、乙のもんにはなれへん。
- そもそも「を」がハにしか付いてへんから、イ・ロは乙の出願対象になりようがない。
「甲より後の日に出した」読みも無理。「同日に」って書いてある以上、後日はあり得ん。後日やったら「後日」「別の日に」って書く。
もし仮に乙が3つ出す問題やったら、文は
乙は、意匠イ、意匠ロ及び意匠ハを出願した
みたいに3つとも「を」で並べな成立せえへん。今の文はそうなってへんやろ? せやから両ケースが成り立つことはなくて、文法でガチッと一通りに決まる、っていうのが答えや。
要するに「全員同日出願」で、甲のロと乙のハが類似 → だから9条(同日異出願人の協議)が問題になる、っていう土台設定になってる。
問題解説
立法の本筋に関わる枝(特にイ・ホ)やから、条文で裏取りしてから解説するわ。ちょっと意匠法9条・10条の条文確認させて。条文裏取れた。9条2項・3項・5項、10条1項・7項、全部確認したで。結論から言うと正しいのはイ・ロ・ニの3つ、答えは**選択肢3(3つ)**や。順に潰してく。
(イ) ○
甲が協議でハの出願人になって(乙→甲へ名義変更)、ハをロの関連意匠にする、っていう筋。これがハマる。
ポイントは連鎖関連意匠(令和元年改正・10条7項)。
- イ(基礎意匠)→ ロ(イの関連意匠)→ ハ(ロの関連意匠)
- ハ類似ロやから、ロを本意匠とする関連意匠にできる。ハ非類似イなのは問題ない(ハはイと関係づける必要なし)
10条7項が「基礎意匠に係る関連意匠(=関連意匠+連鎖する段階的関連意匠)に該当する2以上の出願には9条1項2項を適用しない」と言うてるから、甲のもとに揃ったロとハの間で先願衝突が起きへん。結果、イ・ロ・ハ全部登録可。○
(ロ) ○
甲がイ登録した上で、協議で乙がハを取る筋。
- イ非類似ハ → イはハの障害にならん
- 協議(ロ vs ハ)で乙が勝つ → 乙ハ登録、甲はロが拒絶される
ここで9条3項の処理が効く。協議が成立して甲が負けてロが拒絶された場合、これは「協議不成立による拒絶」ではないから、9条3項本文が適用されて、ロは「初めからなかったものとみなす」=先願の地位を失う。だからロはハをブロックせえへん。乙はハを登録できる。○
(※ただし書が効くのは協議”不成立”で両方落ちたときだけ。今回は成立して片方が勝ってるから本文。ここ混同しやすいとこ。)
(ハ) ✗
逆パターン。協議で甲がロを取ったのに、乙がハを登録できる「場合がある」か?
ない。甲がロを登録 → ハ類似ロ → ロが先願(+10条の2、13条6項の処理)としてハをブロック。協議で負けた乙のハは拒絶確定。どう転んでも乙はハを取れへん。「場合がある」が偽やから**✗**。
(ニ) ○
協議の結果にかかわらず甲はイを登録できるか。
イは拒絶理由なし・本意匠・ハと非類似。協議はあくまでロとハの話で、イは蚊帳の外。
- 甲勝ち(ロ取得)→ イ+ロ:イ登録可
- 乙勝ち(甲ロ落ち)→ イ残る:イ登録可
- 協議不成立 → ロ・ハ両落ち、でもイは無関係:イ登録可
全パターンでイは安泰。○
(ホ) ✗
これがド定番トラップ。9条5項の条文:
特許庁長官は、…指定した期間内に…届出がないときは、第二項の協議が成立しなかつたものとみなすことができる。
枝は「みなされる」=自動的・義務的に言うてるけど、条文は「みなすことができる」=長官の裁量。語尾の効力が違う。だから**✗**。
まとめ
| 枝 | 正誤 | キモ |
|---|---|---|
| イ | ○ | 連鎖関連意匠(10条7項)で衝突回避 |
| ロ | ○ | 協議成立→負け出願は9条3項本文で先願喪失 |
| ハ | ✗ | 甲がロ取れば乙ハは必ず落ちる |
| ニ | ○ | イは協議と無関係、常に登録可 |
| ホ | ✗ | 「みなされる」✗/「みなすことができる」○ |
正しいのはイ・ロ・ニの3つ → 答えは選択肢3。
ちなみにこの問題、類似関係(イ類似ロ/ロ類似ハ/イ非類似ハ)が〔2023-意匠9〕とまったく同じ骨格でな。連鎖関連意匠と9条3項本文/ただし書の使い分けがセットで問われる頻出パターンや。ロとハの「協議成立で負け(→3項本文)」と「協議不成立で両落ち(→3項ただし書)」で先願の地位がどう変わるか、ここを横断で押さえとくと強いで。
(Claude Opus 4.8)