クラススイッチ(アイソタイプスイッチ)とは

クラススイッチとは

クラススイッチ(Immunoglobulin class switching)とは、免疫グロブリンの定常領域(Fc領域)が変化することです。ナイーブB細胞(刺激を受ける前のB細胞)は、IgMやIgDの膜結合型の分子を細胞膜表面に発現しています。抗原による刺激を受けたナイーブB細胞は、形質細胞へと分化しますが、一部は記憶B細胞(memory B cell)となります。将来、同じ刺激を受けた記憶B細胞は、T細胞からのサイトカインに応じて、クラススイッチを起こします。クラススイッチは、アイソタイプスイッチとも呼ばれます。クラススイッチを起こすのはB細胞であって、T細胞ではこのようなことは起こりません。

クラススイッチという呼称をよく聞きますが、リッピンコットの免疫学の教科書ではアイソタイプスイッチという言葉を使っていました。

クラススイッチを生じる遺伝子再編成

クラススイッチは、遺伝子の再編成が起きることによります。第14染色体にはH鎖の遺伝子群がありますが、200個以上のL/V遺伝子、20個以上のD遺伝子、6個のJH遺伝子、9個のC遺伝子がこの順に並んでいます。クラススイッチを決める部分はC遺伝子で、細かくみるとCμ、Cδ、Cγ3,Cγ1、Cα1,Cγ2,Cγ4,Cε、Cα2の9個の領域がこの順に並んでいます(それぞれ、IgM, IgD, IgG3, IgG1, IgA1, IgG2, IgG4, IgE, IgA2に対応)。DHーJHの次に位置する領域が何かでクラスが決まります。遺伝子が再編成されていないときはC遺伝子の一番左端にあるのはCμなので、クラスはMです。クラスDをつくるためには、遺伝子再編によってCδが一番左にくるように、その間にあるDNAの領域が除去されます。他のクラスをつくるときも同様で、間のDNAが除去されます。例えば、IgA2のクラスをつくりたい場合には、遺伝子再編成によりゲノムはVDJのすぐ隣にCα2の領域が直結するように、間の部分のDNAが除去されます。

クラススイッチの方向性

、Cδ、Cγ3,Cγ1、Cα1,Cγ2,Cγ4,Cε、Cα2という順番からわかるように、最初IgMを産生するB細胞だったものが、遺伝子再編成を経てIgG3産生細胞になり、さらに遺伝子再編成を経てIgG2産生細胞になり、さらにIgA2産生細胞になるという経過をたどることが可能です。

参考

  1. リッピンコット 免疫学 原書2版 邦訳 110ページなど