ビタミンDとは
ビタミンDはビタミンという名前ではありますが実際の働きはホルモンで、カルシウムの恒常性に関与しています。血中カルシウム濃度が低下することにより、ビタミンDが産生され、カルシウムの貯蔵庫である骨の分解を促進してカルシウムを血中に放出させます。
ビタミンDの構造はコレステロールに似ており、ステロイドホルモンと同様に核内受容体に結合してカルシウム代謝に関係する遺伝子発現を誘導します。その結果、小腸上皮細胞ではビタミンDの作用により、カルシウムの取り込みを促進させます。
- ビタミン D と健康 ―カルシウム・骨の恒常性における役割― 特集号 『社会システム研究』 2017年 7 月 図 1 小腸カルシウム吸収機構 カルシウムの摂取量が不足している時や,妊娠・授乳中の様にカルシウム要求量が高い時は,能動的輸送機構が 働いてカルシウムは効率的に吸収される.
ビタミンDの活性型
ビタミンDは肝臓で25位の炭素が水酸化されて25-ヒドロキシビタミンDになり、ついで、腎臓に行って1位の炭素も水酸化されて1,25ージヒドロキシビタミンDとなります。これが活性型で、作用を発揮します。
- 三輪・中『生化学』
ビタミンDの働き
性型ビタミンDは、腸管からのCaの吸収を高め、骨の石灰化を促進して骨密度を増加させる(新陳代謝を高める)働きを有しています。(ビタミンDについて-特に骨粗鬆症薬としての活性型ビタミンD製剤について- 2017.1.6 中国中央病院)
- Vitamin D and the Kidney: Two Players, One Console Int. J. Mol. Sci. 2022, 23(16), 9135; https://doi.org/10.3390/ijms23169135 Figure 1. Systemic effect of vitamin D. Ca, calcium; P, phosphorus; PTH, parathyroid hormone. この図がわかりやすいかも。
- 25-Hydroxyvitamin D(3) suppresses PTH synthesis and secretion by bovine parathyroid cells C S Ritter 1, H J Armbrecht, E Slatopolsky, A J Brown Kidney Int . 2006 Aug;70(4):654-9. doi: 10.1038/sj.ki.5000394.
ビタミンD欠乏症
ビタミンDが欠乏すると、骨軟化症(osteomalacia)になります。成長期の骨軟化症は特に、「くる病(rickets)」と呼ばれます。
骨の構造
骨の構造は、鉄筋コンクリートの建物に例えると理解しやすいです。鉄筋に相当するのがコラーゲンなどの繊維で鉄筋の周りを固めるコンクリートに相当するのがヒドロキシアパタイト(水酸化リン酸カルシウム Ca5PO4 3(OH))です。Ca2+が5個で正電荷が10、PO4はマイナス3なのでー3x3=-9 OHはもちろんー1合わせてプラマイゼロ。電荷の数を考えると示性式が覚えやすくなります。
- 水酸化リン酸カルシウム(ウィキペディア)
- 知っておきたい骨のしくみと骨粗鬆症 ビル に例えると、コラーゲンなどのタンパク質が梁(骨組み)で、カルシウムを主体とするミネラル分がコンクリートにあたります。
骨の形成と吸収(分解)
- 知っておきたい骨のしくみと骨粗鬆症 完成しているように見える大人の骨でも、「作っては壊す」「壊してまた作る」という入れ替え作業が絶えず行われているのです。若い人では約2年で、高齢者でも約5年で全身の骨が新しいものに入れ替わるとされています(*2)。