知財の知識が仕事に役立つのは間違いないのですが、だからといって知財検定や弁理士の資格が必要かというとそこまでのことはありません。しかし今後の自分のキャリアの事を考えると、知財検定や弁理士の資格を持っていることがプラスになるのは間違いありません。だからといって、弁理士の国家資格は簡単に取れるようなものでもありません。限られた年数で、何をどんな順番でどこまで取りにいくのがいいのでしょうか。そもそも弁理士の資格があれば、それよりもずっと簡単にとれる知財検定3級や2級は不要でしょう。
- 弁理士試験合格を目指す場合に知財検定も受験しておくべきか
弁理士の合格に必要なお金、合格後に必要なお金
独学でもかかる最低限の費用をまずざっくりとまとめておきます。以下で示した独学の勉強のための教材を一通り買うと(最初に全部買う必要は全くありません)、73000円かかります。これはどうしてもケチれない金額でしょう。
独学のための教材費用
総額:73000円
使う教材は1つのモデルケースですが内訳は、
- 短答式試験対策 43250円
- 教科書(14130円)
- 弁理士試験 エレメンツ (1) 特許法/実用新案法 6650円
- 弁理士試験 エレメンツ (2) 意匠法/商標法 4180円
- 弁理士試験 エレメンツ (3)条約 / 不正競争防止法 / 著作権法 3300円
- 過去問(9350円)
- 体系別 短答過去問 特許法・実用新案法・意匠法・商標法 5390円
- 体系別 短答過去問 条約・著作権法・不正競争防止法 3960円
- 逐条解説 11550円
- 法文集 8220円
- 弁理士試験 四法横断法文集 TAC弁理士講座 5500円
- 知的財産権基本法文集 PATECH (2,480円+税=2720円)
- 論文対策 14740円
- インプット用
- 弁理士試験 論文マニュアル I 特許法・実用新案法 第5版 3850円
- 弁理士試験 論文マニュアル II 意匠法・商標法 第5版 3740円
- アウトプット用
- 過去問&答案例 弁理士試験 論文式試験過去問題集 2026年度版 7150円
- 口述試験対策 予備校の模試 15000円くらいか
弁理士試験の受験手数料
12,000円(短答式、論文式、口述試験の3つを含む)
合格後にかかる費用
213800円かかります。内訳は、
- 弁理士登録 実務修習費用:118,000円
- 登録免許税 60,000円
- 登録料 35,800円
ここまでの費用総額はちょうど30万円になります。
そして、弁理士の資格を維持する費用としては、
会費
がかかるみたいです(AI概要に拠る)。弁理士の資格を維持するだけで毎年18万円もかかるんですね。弁理士をとったあと仕事をしないと、弁理士の資格の維持すらできません。
スクールなど行かず独学で、必要最小限の教材費用で最短で合格しても30万円かかるし、めだたく合格しても毎年18万円の維持費用がかかるというのは、受験を決意する前に知っておくべきことでしょう。難易度が高いだけでなく、金銭的にも、弁理士ってとるのも大変だしとったあとも大変ですね。
参考
- 弁理士登録申請について 日本弁理士会
- 弁理士登録後の会費問題 Mocco-Shibata 2022年11月13日 10:11
弁理士の試験の概要(試験科目や日程など)
弁理士試験は「短答式」「論文式」「口述式」の3段階で行われ、前の試験に合格した人だけが次に進める「勝ち抜き方式」です。各試験の特徴と、知っておくとさらに理解が深まるポイントを整理しました。
🔍 各試験のポイント
- 短答式試験(一次試験:5月中旬頃)
- 形式: マークシート方式(5肢択一)。
- 内容: 法律の条文知識や判例などの基礎知識が広く問われます。
- 科目: 特許・実用新案、意匠、商標、条約、著作権・不正競争防止法。
- 論文式試験(二次試験:6月下旬〜7月上旬頃)
- 形式: 記述式(論述)。
- 条件: 短答式試験の合格者(または免除者)のみ受験可能。
- 内容: 事例問題に対し、法的な根拠を示しながら論理的に文章を構成する力が問われます。
- 科目
- 必須科目(特許・実用新案、意匠、商標)と選択科目(理工系科目や法律など ※免除制度あり)があります。
- 選択科目(理工系、法律系などから1科目選択)*選択科目の免除対象者:修士または博士の学位(理系・法学系) 大学院で、理工系(生物、化学、医学、薬学、物理など)または法律系の専攻で、修士論文または博士論文を書いて学位を取得している場合。 特定の公的資格 薬剤師、医師、歯科医師、獣医師、一級建築士、技術士 などの資格保有者。
- 口述試験(三次試験:10月中旬頃)
- 形式: 面接方式(試験委員と対面)。
- 条件: 論文式試験の合格者(または免除者)のみ受験可能。
- 内容: 試験委員からの質問に対して即座に口頭で回答します。法的知識に加え、コミュニケーション能力や瞬発力が試されます。
担当式試験、論文式試験、口述試験の3つすべてに合格する必要がありますが、1年ですべて一気に合格しなければならないわけではありません。
- 短答免除: 短答式試験に合格すると、翌年と翌々年の2年間は短答式試験が免除されます(いきなり論文からスタートできます)。
- 論文免除: 論文式試験に合格すると、翌年と翌々年の口述試験を受ける権利が生じますが、もし口述で落ちても、翌年は論文試験から免除される等の規定があります。
そのため、数年計画で合格を目指す受験生も多くいます。
(Gemini 2.5 Pro)
弁理士試験の受験手数料は短答式、論文式、口述試験の3つこみで、12,000円です。この費用は「短答式試験」と「論文式試験」を受験する際に一度だけ支払うもので、口述試験の受験費用は、この12,000円に含まれており、追加の費用はかかりません。つまり、受験手数料: 12,000円(特別印紙にて納付)を一度払えば、短答式試験に合格したあとで論文式試験を受ける際にも、再度支払う必要はありませんし、 短答式試験・論文式試験の両方に合格した人が受ける最終試験すなわち口述試験の際にも受験料として追加の費用はかかりません。つまり、12,000円の受験手数料で、短答式、論文式、そして最終の口述試験の全てを受験できます。
弁理士試験【短答式試験対策】のための教科書・参考書と問題集
質問:独学で進める場合、最初にどのテキストを買えばいいか(定番の組み合わせ)を紹介して
Gemini 2.5 Pro:独学で弁理士試験に挑む場合、予備校のテキストが手に入らないため、市販本の中で「最も多くの受験生が使っている(=情報の網羅性が高い)」ものを選ぶのが鉄則です。マイナーな本を選ぶと「みんなが知っている論点を知らない」という致命的な状況になりかねません。以下は、独学受験生の間で「これを買っておけば間違いない」と言われる定番の組み合わせ(スターターセット)です。まずはこれらを揃えるところから始めてください。
⚠️ 購入時の絶対的な注意点
必ず「最新版」を買ってください。知的財産に関する法律は、ほぼ毎年のように法改正があります。「メルカリやブックオフで去年の安いのを買う」のは絶対にNGです。古い知識で覚えると、試験で不正解になるばかりか、間違った知識を修正するのに倍の時間がかかります。必ず書店で発売日を確認し、最新の法改正に対応しているものを購入してください。
📚 【必須】独学合格のための「教科書・問題集・逐条解説・法文集」(総予算:43250円)
1. 基本テキスト(教科書)(予算:14130円)
注意!ここに示した版は古くなりますので、ご自身の受験年度に対応した最新の改訂版を探してお求めください。
- 弁理士試験 エレメンツ (1) 特許法/実用新案法 基本テキスト 第12版 (早稲田経営出版) 2024/3/23 *2025年試験対象書籍TAC出版オンラインストア TAC弁理士講座 https://www.amazon.co.jp/dp/4847151151/ 税込3118円
- 弁理士試験 エレメンツ (2) 意匠法/商標法 第11版 [弁理士受験生必携の基本書](早稲田経営出版) 2024/4/24 TAC弁理士講座 https://www.amazon.co.jp/dp/484715116X/ 税込み4180円 *2025年試験対象書籍 TAC出版オンラインストア
- 弁理士試験 エレメンツ (3)条約 / 不正競争防止法 / 著作権法 基本テキスト 第11版 [弁理士受験生必携の基本書](早稲田経営出版) 単2024/5/18 TAC弁理士講座 https://www.amazon.co.jp/dp/4847151178/ 税込み3300円
予備校に行かない人にとっての「メイン教科書」です。法律の全体像、趣旨、要件が初心者向けに噛み砕いて解説されています。全3巻(①特許・実用新案、②意匠・商標、③条約・不正競争防止法)ですが、まずは「①特許法・実用新案法」だけ買いましょう。これが理解できなければ先に進めません。
2. 過去問題集(演習)(予算:9350円)
2026年版 弁理士試験 体系別 短答過去問 特許法・実用新案法・意匠法・商標法【過去10年分収録】 (弁理士試験シリーズ) 2025/10/29 東京リーガルマインドLEC総合研究所 弁理士試験部 税込み5390円 https://www.amazon.co.jp/dp/4844995952/
2026年版 弁理士試験 体系別 短答過去問 条約・著作権法・不正競争防止法【過去10年分収録】 (弁理士試験シリーズ) 2025/10/29 東京リーガルマインドLEC総合研究所 弁理士試験部 税込み3960円 https://www.amazon.co.jp/dp/4844995960/
- 役割: インプットした知識を定着させるための問題集です。「年度別」ではなく「体系別(テーマ別)」を選ぶのが独学の最重要ポイントです(勉強した単元の問題をすぐに解けるため)。
- 特徴: 解説が非常に詳しく、問題集でありながら参考書としての機能も果たします。業界最大手のLECが出しているため、受験生のシェアが非常に高いです。
3. 逐条解説書(辞書・聖書)(予算:11550円)
『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説』第22版 2022/9/16 特許庁 (編)(発明推進協会)税込み11550円 https://www.amazon.co.jp/dp/4827113718/
通称: 「青本(あおほん)」で、特許庁が公式に出している解説書です。「なぜこの法律ができたのか(趣旨)」が書かれており、論文試験対策には必須です。注意事項としては、非常に分厚く難解なため、最初から通読しようとすると挫折します。「辞書」として使い、分からない時に調べる用として手元に置いてください。PDF版が特許庁HPで無料公開されていますが、検索性や書き込みのしやすさから、書籍版を買う人が多いです
4. 法文集(ツール)(予算:8220円)
『弁理士試験 法文集』(TACおよびPATECH)
法文集は、法律の条文だけが載っているコンパクトな本です。試験勉強中は常にこれを横に置き、出てきた条文を素早く引く癖をつける必要があります。
質問:法文集って絶対に必要なの?『工業所有権法(産業財産権法)逐条解説』第22版 があれば十分じゃないの?
Gemini 2.5 Pro:結論から言うと、「法文集」は絶対に必要です。 『逐条解説(青本)』だけでは合格できません。「書いてある内容は同じ(条文)なんだから、1冊でいいじゃないか」と思われるのはもっともですが、この2冊は「役割」が全く異なります。研究に例えるなら、以下のような違いがあります。
- 逐条解説(青本) = 「専門書・論文の考察部分」(なぜそうなるのか、深い理由と背景が書いてある=理解用)
- 法文集 = 「実験プロトコル・地図」(余計な情報はゼロ。構造と正確な文言だけが書いてある=検索・暗記・実戦用)
なぜ法文集が別途必要なのか、独学だからこそ陥りやすい罠と合わせて解説します。
1. 試験本番の環境に合わせるため(最重要)
- 論文式試験のルール: 本番では、試験会場で貸与される「貸与法文集(何も書き込みがない条文だけの本)」しか見ることができません。
- 必要なスキル: 「特許法の第29条の2は、このページの右下あたりにある」「審判の条文は121条から始まる」といった、物理的なページをめくる感覚(検索スピード)が必要です。
- 逐条解説の弱点: 逐条解説は分厚すぎて(数千ページ)、条文と条文の間に解説が挟まりすぎているため、「条文の並び順(体系)」が頭に入りません。本番でパニックになります。
2. 「短答」は条文の『てにをは』で殺しに来る
短答試験は、条文の語尾が「~することができる(できる規定)」か「~しなければならない(義務規定)」か、というレベルの引っ掛け問題が出ます。
- 法文集: 条文だけが羅列されているので、文構造(主語、述語、条件)がクリアに見えます。
- 逐条解説: 解説を読むことに集中してしまい、肝心の「条文の生の文章」を素通りしてしまいがちです。
3. 効率(検索性)の問題
勉強が進むと、「特許法とパリ条約を照らし合わせる」といったクロスリファレンス(行ったり来たり)が頻繁に発生します。
- 辞書のように分厚い『逐条解説』をその都度めくるのは、物理的に重く、時間がかかりすぎてストレスになります。
- 薄い『法文集』なら、パラパラとめくって数秒で目的の条文にたどり着けます。
💡 独学者へのおすすめ購入プラン
『逐条解説』は「辞書」として机に置いてください。それとは別に、以下の基準で「法文集」を用意してください。単なる条文だけでなく、「関連条文へのリンク(カッコ書き)」や、短答でよく出るポイントのマークなどが付いている学習用の法文集があるため、独学の効率が跳ね上がります。六法全書(民法や刑法など不要なものが多すぎて重い)、Webやアプリのみ(検索機能に頼りすぎると、本番で紙の法文集が引けなくなります)はNGです。『逐条解説』は「理解」するために使い、『法文集』は「暗記」と「実戦練習」に使います。この「二刀流」が弁理士試験のスタンダードです。まずは薄い法文集を一冊、常にカバンに入れて持ち歩くことから始めてみてください。
また、独学合格には「TACの四法横断」と「PATECH等の標準法文集」という「役割の異なる2種類の法文集」を使い分けるのが最も効率的な戦略です。
📚 弁理士試験「法文集」完全攻略ガイド
独学で合格を目指す場合、以下の3冊体制(逐条解説+法文集2冊)を強く推奨します。
1. 【理解用辞書】工業所有権法(産業財産権法)逐条解説
- 役割: 「なぜその条文があるのか」を深く理解するため。
- 位置づけ: 研究でいう「専門書・総説」です。
- 注意点: これだけでは試験には勝てません。分厚すぎて「条文の構造(てにをは)」が見えにくく、検索性が悪いため、記憶や実戦練習には向きません。
2. 【インプット最強武器】四法横断法文集(TACなど)
- 役割: 「短答試験」を効率的に突破するため。
- 特徴: 特許・実用・意匠・商標の関連条文が「横並び」で書かれています。「特許にはある制度が、意匠にはない」といった違いが一目でわかるため、記憶定着のスピードが段違いです。
- 結論: 今すぐ買ってください。 日々の学習(エレメンツや短答問題集)のお供はこれを使います。
3. 【実戦シミュレーション用】標準法文集(PATECHなど)
第16版 知的財産権基本法文集 令和8年度弁理士試験対応 (第16版) B6判・488頁 [縦組](拡大版) 定価(本体価格2,480円+税) ISBN978-4-908922-30-5 C3032 令和7年9月16日発売 https://www.patech.co.jp/pk16.htm
- 役割: 「論文試験・本番」に対応する検索力をつけるため。
- 特徴: 試験会場で貸与される法文集に近い、シンプルな条文羅列型です。
- 必要性: 「四法横断」は並び順が加工されているため、それしか見ていないと、本番で「条文がどこにあるか分からない」というパニックに陥ります。「物理的にページをめくって条文を探す手触り(検索スピード)」を鍛えるために必須です。
- 結論: 論文対策に入る時期(または直前期)に1冊購入してください。
🗓️ おすすめの運用フロー
今のあなたの学習フェーズに合わせた使い方は以下の通りです。
- 現在〜短答直前(インプット期)
- 机の上:
四法横断法文集(TAC) + エレメンツ/問題集
- 本棚:
逐条解説(わからない時だけ開く辞書として使用)
- 狙い:まずは効率よく知識を頭に入れる。
- 論文対策期・模試(アウトプット期)
- 机の上:
標準法文集(PATECH等) + 論文問題集
- 狙い:何も加工されていない条文集から、必要な条文を素早く引く「指のトレーニング」をする。
まとめ
質問にあった 『TACの四法横断法文集』は、今のあなたにとって「マストバイ(必須)」 です。自信を持って導入してください。その上で、将来的に実戦練習用として標準的なものも必要になる、と覚えておけば完璧です。
質問:弁理士試験の試験会場で貸与される法文集のサイズは?A4?文字の大きさは?老眼でも読める?
Gemini 2.5 Pro:試験会場で貸与される法文集(貸与法文集)の仕様は、老眼の不安がある方にとっては非常に重要なポイントです。結論から言うと、サイズは「B5判」(A4より一回り小さい)で、文字は「かなり小さい」です。詳しく解説します。
1. 貸与法文集のスペック
サイズ: B5判(大学ノートや週刊誌と同じサイズ)。A4ではありません。厚さ: 2cm〜3cm程度。文字の大きさ: 新聞の文字か、それより少し小さいくらい(8ポイント〜9ポイント程度)。行間: 詰まっています。フォント: 明朝体(細身のフォント)。
2. 老眼でも読めるか?(対策)
正直なところ、老眼の方には「厳しい」サイズです。裸眼や合わない眼鏡だと、長時間見続けると文字が滲んでくる可能性があります。しかし、以下の対策をすれば全く問題ありません。老眼鏡(リーディンググラス)は必須で、会場での使用は認められています。試験当日は、普段使いのものとは別に、「細かい文字専用の強めの眼鏡」を用意する方もいます。拡大鏡(ルーペ)は原則禁止です。 特別な事情(障害等)での事前申請がない限り、ルーペの使用は認められないケースが一般的です。「眼鏡」で調整する必要があります。
🚨 3. ここが最大の勘違いポイント!
これが最も重要なことですが、試験の段階によって「法文集が見られるか」が異なります。
短答式試験(一次): 法文集は見られません!貸与されません。条文は**「全て暗記」**して、頭の中の知識だけで解かなければなりません。ですので、短答に関しては老眼で「条文が読めない」心配はありません(問題文を読むための老眼対策は必要ですが)。
論文式試験(二次): 貸与されます。ここで初めてB5判の法文集が配られます。【重要】 しかし、合格レベルの人は「条文を一から読んだりしません」。「特許法29条は…(中略)…である」という内容は頭に入っており、「条番号を確認するため」や「カッコ書きの細かい文言を書き写すため」だけにチラッと見るだけです。つまり、「読む」のではなく「場所を確認する」という使い方になるので、多少文字が小さくても戦えます。
💡 結論とアドバイス
サイズはB5判で、文字は小さいです。対策としては、論文試験の日には、必ず自分に合った「本気用(実戦用)の老眼鏡」を持参してください。心構えとして、「会場で読めばいいや」と思っていると時間が足りなくて落ちます。「条文は頭に入っている状態で、確認用に使う」のが合格者の標準スタイルです。まずは、お手元の『逐条解説』や市販の法文集の文字サイズを見て、「これより一回り小さくても大丈夫か?」とシミュレーションしておくと安心です。
🛒 最初に買うべきリスト(買い物リスト 初期費用目安:約18,000円)
いきなり全て揃えると高額になるため、まずは「特許法」に絞ってスタートすることをおすすめします。
- テキスト:『弁理士試験 エレメンツ (1) 特許法/実用新案法 基本テキスト 第11版』 (早稲田経営出版) 2022/3/16 TAC弁理士講座 https://www.amazon.co.jp/dp/4847149068/ 税込み6650円
- 問題集: 『弁理士試験 体系別短答過去問 特許法・実用新案法』LEC 税込み5390円
- 法文集: TAC 税込み5500円
- 青本: まずは特許庁HPのPDFで様子見でもOK。
📈 独学での進め方のコツ
テキスト(エレメンツなど)を読んだら、すぐに該当箇所の過去問(LECなど)を解いてください。
「読む → 解く → 条文を引く」
このサイクルをひたすら回すのが、独学合格への最短ルートです。
質問:「みんなが知っている論点を知らない」という致命的な状況 って、どういうこと?これって相対評価なの?
Gemini 2.5 Pro:おっしゃる通り、弁理士試験(特に論文試験)は「完全な相対評価」です。これが、独学者が最も陥りやすい罠であり、予備校に通う受験生が有利とされる最大の理由です。なぜ「みんなが知っている論点」を落とすことが致命傷になるのか、そのカラクリを解説します。
1. なぜ「相対評価」なのか?
弁理士試験の合格者数は、毎年だいたい決まっています(近年だと最終合格者は約180〜200人程度)。つまり、「○点取れば全員合格」という絶対基準ではなく、「受験者全体の上位○%に入らなければならない」という競争です。特に、試験の天王山である「論文試験」でこの傾向が顕著になります。
2. 「みんなが書けること」を書かないと、なぜ落ちるのか?
採点官(試験委員)の心理と採点方式を想像すると分かりやすいです。論文試験は、ある事例問題に対して法的な論述を行います。例えば、ある問題に論点(書くべきポイント)がA、B、Cの3つあったとします。
- 論点A: 基本中の基本(受験生の8割が気づく)
- 論点B: 標準レベル(受験生の5割が気づく)
- 論点C: 超難問(受験生の1割しか気づかない)
【合否の分かれ目】
- 合格する人: AとBをきっちり書き、Cは書けない(または少し触れる程度)。
- 落ちる人: C(難問)を詳しく書いているのに、A(基本)を書き漏らす。
【なぜか?】
採点基準は「減点方式」に近い側面があります。多くの受験生が書けている「論点A」をあなたが書いていない場合、採点官はこう判断します。
「この受験生は、実務家として必須の基礎知識(A)が欠落している。危険で合格させられない」
逆に、誰も書けない「論点C」を書けなくても、「これは難しいから仕方ない」と判断され、差がつきません。つまり、「みんなが書ける簡単な問題を落とすこと」は、偏差値を劇的に下げる行為となり、難問でどれだけ挽回しようとしても追いつけなくなるのです。
3. 独学の最大の弱点
予備校に通っていると、「答練(答案練習会)」という模試のようなもので、毎週のように自分の順位が出ます。そこで、
- 「あ、この問題はみんな正解率80%なのに、自分は間違えた。ヤバイ」
- 「この問題は正解率10%だから、解けなくていいや」
という「相場観」が養われます。一方、独学だと「知識の深掘り」に走りがちです。
- 「誰も知らない判例を知っている!」
- 「マニアックな学説を覚えた!」
これらは自己満足にはなりますが、試験では「論点C(誰も書けないこと)」に時間を使っている状態になりがちです。結果、基礎であるAがおろそかになり、本番で「難しいことは知っているのに、基本で足元をすくわれて不合格」というパターンに陥ります。
💡 結論:独学での対策
独学で進める場合は、以下のことを常に意識してください。
- 「穴」を作らない: 100点の知識を1つ作るより、60点の知識を全範囲に広げる方が受かります。
- 過去問が全て: 過去問で何度も出ているテーマこそが「みんなが知っている論点」です。ここを完璧にすることが最優先です。
- 深入りしない: テキストに「発展」「参考」と小さく書いてあるような細かい部分は、最初は勇気を持って飛ばしてください。
「みんなと同じことができる」状態になって初めて、プラスアルファの勝負になります。まずは、先ほど紹介した『エレメンツ』のような基本書の内容を、誰にでも説明できるレベルにすることが合格への近道です。
弁理士試験【論文対策】のための教科書・参考書と問題集
論文試験は、マークシート(短答)とは全く異なる「文章作成能力」と「暗記」が求められるため、専用の参考書が必須です。独学で論文対策をする場合に「これを持っていれば戦える」という定番の参考書・問題集をご紹介します。
📝 論文対策はこの2冊+αで進める(予算:14740円)
論文対策には、「①書き方の型を覚える(インプット)」と「②実際に問題を解く(アウトプット)」の2段階があります。それぞれに対応した書籍が必要です。
1. 【インプット用】「書くべき内容」を暗記する本
弁理士試験 論文マニュアル I 特許法・実用新案法 第5版 2026/1/15 TAC弁理士講座(早稲田経営出版) https://www.amazon.co.jp/dp/4847151585/ 税込3850円
弁理士試験 論文マニュアル II 意匠法・商標法 第5版 2026/1/27 TAC弁理士講座(早稲田経営出版)https://www.amazon.co.jp/dp/4847151593/ 税込3740円
役割: 独学者の強い味方です。論文試験で書くべき「定義」「趣旨」「要件」「効果」が、テーマごとに整理されています。
なぜ必要か?: 論文試験は、ゼロから文章を考えるのではなく、「事前に暗記した文章のブロック(部品)を、問題に合わせて組み立てるパズル」に近いです。この本は、その「部品」が網羅されているため、これを読んで「使えるフレーズ」を暗記します。
使い方: 通読するのではなく、辞書のように引いたり、重要テーマの模範表現を覚えるのに使います。
2. 【アウトプット用】過去問&答案例
弁理士試験 論文式試験過去問題集 2026年度版 2025/11/6 TAC弁理士講座 早稲田経営出版 https://www.amazon.co.jp/dp/4847152875/ 税込み7150円
役割: 過去の出題と、それに対する「模範解答」が載っています。
📅 買うタイミングと勉強の順序
ここが非常に重要です。これらの論文対策本は、勉強開始初日には買わなくて大丈夫です。理由は、基礎知識(エレメンツ等のテキスト)が頭に入っていない状態で論文を見ても、暗号にしか見えず挫折するからです。
推奨する購入・開始のタイミング
- まずは短答(基礎): 『エレメンツ』と『短答過去問』を1周まわす(2〜3ヶ月)。
- 論文対策開始: 基礎用語がわかってきたら、『論文マニュアル』などを買い足す。
⚠️ 独学論文対策のコツ
論文対策本を買うと、あまりの分厚さに絶望するかもしれません。しかし、全ての論点を完璧に覚える必要はありません。前述した「みんなが書ける論点(=重要度Aランクの基本問題)」を、まずは『論文マニュアル』の中から探し出し、その部分のフレーズだけを徹底的に暗記してください。まずは、前回のリストにあった「エレメンツ」等の基礎固めからスタートし、余裕が出てきたらこれらの論文本セットを検討してみてください。
独学での弁理士試験合格のための勉強の道筋
質問:参考書(エレメンツなど)、短答対策問題集、論文対策問題集(インプット用、アウトプット用)、口述試験対策(どうするの、これ?独学可能なの?)の着手する順番とか時期とか、まとめてくれない?
Gemini 2.5 Pro:合格への王道ルートである「短答・論文ハイブリッド学習」のスケジュールを整理しました。まず、「口述」は一旦忘れてください。 論文に受かる実力があれば、口述の知識は9割完成しています。直前(論文試験後)の対策で間に合います。では、現在から来年の本試験(5月短答・7月論文)を目指すと仮定した、着手順序と時期のロードマップです。
🗓️ 合格ロードマップ(教材を使う順番)
第1フェーズ:基礎固め(~年内)
「全体像を知り、細かい知識を入れる」
- メイン教材:
エレメンツ + 短答問題集(体系別)
- やり方:
エレメンツの「特許法」を1単元読む。
- すぐに該当範囲の
短答問題集を解く(解けなくてOK。解説を読むのがメイン)。
- これを繰り返して全科目を1周する。
- ポイント: エレメンツを全部読んでから問題集に行くのではなく、「サンドイッチ」で進めてください。記憶の定着が段違いです。
第2フェーズ:論文の「型」を知る(年明け1月~3月)
「短答知識をどう文章にするか知る」
- メイン教材:
論文対策問題集(インプット用) + 短答問題集
- 追加:
知財検定2級(3月受験)
- やり方:
- 短答の勉強(2周目以降)と並行して、
論文(インプット用)を読み始めます。
- 書かなくていいです。 「こういう問題が出たら、こういう趣旨(理由)を書くのか」という「型(レジュメ)」を暗記します。
- なぜこの時期?: 論文の勉強をすると、「なぜこの法律があるのか」が分かり、短答の点数も爆発的に伸びるからです。
第3フェーズ:短答超直前期(4月~5月中旬)
「マークシートマシーンになる」
- メイン教材:
短答問題集(過去問・年度別)
- やり方:
- 論文の勉強は一旦ストップ。
- ひたすら短答過去問を回す。条文の細かい数字や例外規定を詰め込む。
- ゴール: 5月の短答試験合格。
第4フェーズ:論文アウトプット期(5月下旬~7月上旬)
「実際に書く練習」
- メイン教材:
論文対策問題集(アウトプット用)
- やり方:
- 短答が終わった瞬間からスタート。
- 時間を計って、手書きでフル構成を書く練習。
- ここで初めて「書く体力」と「時間配分」を鍛えます。
👄 気になる「口述試験」対策について
Q. どうやって対策するの?
A. 基本的には「再現問答集」という本(過去の受験生が何を聞かれてどう答えたかの記録)を使います。これを読み込んで、試験官の質問意図を汲み取る練習をします。
Q. 独学可能なの?
A. 知識のインプットは独学で可能ですが、アウトプット(練習)は独学だと危険です。
- 独学部分: 論文の知識があれば、聞かれる中身は答えられます。お風呂や部屋で、声に出して条文を読み上げる練習は一人でできます。
- 独学できない部分: 「即答する瞬発力」と「対人コミュニケーション」です。頭でわかっていても口から出ないのが口述の怖さです。
【結論:口述対策はこうする】
- 論文試験が終わるまで何もしない。(論文合格レベル=口述知識レベル です)
- 論文が終わったら(8月頃)、予備校の「口述模試(練習会)」だけは受ける。または、受験生仲間とZoomなどで問答練習をする。ここだけは「相手」が必要です。
*ネットのブログ記事などを見てみると口述模試の費用は15000円程度のようです。
🚀 まとめ:今のあなたの優先順位
頭の整理のために、今机の上に置いておくべきはこれだけです。
- 最優先:
エレメンツ(理解用)
- セット:
短答問題集(体系別・項目別)(知識定着用)
- チラ見:
論文(インプット用)(「へえ、文章にするとこうなるんだ」と眺める程度)
論文(アウトプット用)と口述対策本は、視界に入ると焦るので、5月までクローゼットにしまっておきましょう!