脂肪の構造
生体内の脂肪の化学構造はというと、グリセロールCH3(-OH)-CH2(-OH)-CH3-(OH)と3つの脂肪酸 C-C-C-… -C-COOHがエステル結合をした中性脂肪トリグリセリド(トリグリセライド、トリアシルグリセロールとも呼ばれる)です。魚の脂肪分や動物の肉の脂肪分の見た目や味がかなり異なるのは、この中性脂肪を構成する脂肪酸の種類(炭素鎖の長さ、不飽和度すなわち二重結合の数)が異なるためです。
動物の脂と植物の油の違い
植物油と動物油脂との違い、匂いの説明に関しては、ほぼ日刊イトイ新聞の説明が非常にわかりやすかったです。
室温で液体のものを「油」 室温で固体のものを「脂」 図体の大きいイモムシは
相手の分子(この場合は脂肪)をひっぱる力も大きくなります。 分子間力が大きい脂肪はどうなるでしょう?寄り集まる力が大きいので融点、つまり固体の溶ける温度が高くなります。 バターは融点の低い、つまり揮発しやすいチビな脂肪酸イモムシが含まれた脂肪です。だから良い香りが私たちの鼻に届くのです~。 二重結合が増えるほど分子は液体になりやすい
例えば植物油の例としてオリーブオイルを考えてみると、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸(一価および二価)などの成分からなりますが、70%が不飽和脂肪酸であるオレイン酸(18:1(n-9))です。炭素数18で1個の二重結合が9位と10位の炭素間にシスの形であります。自然界の不飽和脂肪酸は基本的にシス型です。
- 三大栄養素の一つ!脂質について知って欲しいこと: 動物油脂 九州大学附属図書館
- 牛や豚の油はパルミチン酸(C16:0)やステアリン酸(C18:0)といった飽和脂肪酸が豊富
トランス脂肪酸
- すぐにわかるトランス脂肪酸 農林水産省
血液検査の脂質検査の値
自分の健康診断の結果を見ると、総コレステロール177㎎/dL、HDLコレステロール56㎎/dL、LDLコレステロール104㎎/dL、中性脂肪117㎎/dL、nonHDLコレステロール121㎎/dLとなっていました。
HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)は低いほうが動脈硬化の危険ありだそうで、40mg/dL以上が正常範囲。逆にLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)は高いと危険で、120を超えると要注意だそうです。中性脂肪(TG)(トリグリセリド)は高いと動脈硬化の経験、低くても病気の可能性があり基準値は30~149だそう。Non-HDLコレステロールは、動脈硬化の原因となる全てのコレステロールだそうで基準範囲は90~149だそうです。一応、どれも基準値の範囲内に収まっていました。
以前一人暮らしをしていたときにはやたらと菓子パンを買って食べていた時期がありますが、そうするとてきめんで、中性脂肪の値が要注意な範囲に突入していました。食生活を改善(無駄な菓子パンをやめた)したら、もとにもどりました。パンは炭水化物であって脂肪ではありませんんが、脂肪はそもそも炭素の鎖なので、炭水化物を取りすぎると分解された炭素が脂肪の合成に使われるわけです。
LDLとは
The LDL particle is made of a monolayer of phospholipid, unesterified cholesterol forms the surface membrane, and fatty acid esters of cholesterol make up the hydrophobic core. One copy of the hydrophobic apo-B protein is embedded in the membrane, mediating the binding of LDL particles to specific cell-surface receptors.(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK519561/)
LDL (≈2.5 MDa) are one type of several spherical particles that transport lipids in the blood. The only protein component of LDL is apolipoprotein B-100 (apoB-100), one of the largest known proteins (4,536 aa, ca. 550 kDa). The apoB-100-containing lipoproteins are secreted from the liver as triglyceride-rich, very LDL (VLDL), which are converted in the blood circulation to LDL. LDL, about 220 Å in diameter, are much smaller in size than the originally secreted VLDL, which range from 600 to 800 Å. LDL contain 22% apoB-100, 22% phospholipids, 8% cholesterol, 42% cholesteryl esters, and 6% triglycerides (wt/wt). (https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC17531/)
脂肪の取りすぎがなぜ動脈硬化に繋がるのか
脂質のおおい食物を多量に摂取するとなんだか血管にべっとりとその油がついて動脈硬化になりそうなイメージですが、動脈硬化はそうやってなるものではないようです。ただの間違った空想でした。
内臓まわりに脂肪がたまると、肥大化した内臓の脂肪細胞から血管を傷つける物質が分泌されます。すると、血管に炎症が起こり、動脈硬化が進行してしまいます。(動脈硬化は治る!予防・治療法、薬と食事による改善 更新日2021年9月18日 NHK)
動脈硬化の主役は「アテローム性プラーク」と呼ばれる血管壁の中に溜まった「垢」です。「アテローム」は「粥腫」と和訳され、「粥のようなドロドロした塊」がその語源です。「プラーク」は「垢」という意味です。‥ 酸化LDLコレステロールを吞食した泡沫細胞の死骸が集積 してできたのが壊死中心です。これが核となってプラークは大きくなります。(香里ヶ丘大谷ハートクリニック)
血管内皮細胞と血管壁の間に入りこんだLDLコレステロールが酸化されると毒性を持つ酸化LDLになり、それを免疫細胞のマクロファージが食べて処理しようとしますが、酸化LDLが大量にあるとこの免疫反応によって死んだ免疫細胞がプラーク(細胞の死骸がかゆ状になったもの)を形成し、そのプラークが肥大化していきます。組織修復をしようとして線維化(組織が硬くなる)が起きて動脈の柔軟性が失われてしまうというのが動脈硬化にいたるストーリーでした。動脈を塞いだ部分は、食べた脂肪ではなくて、なんとかしようと頑張った免疫細胞たちの死骸および残された酸化LDLコレステロールだったんですね。
- 動脈硬化になる仕組みと対処法について Kracie
- 動脈硬化の進行 生活習慣病オンライン
- 動脈硬化について うしおだ診療所 副所長 渡部 琢也医師
- 動脈硬化と食品中の脂肪の種類 日本心臓財団 泡沫細胞が死滅すると、中身のコレステロールがまき散らされます。まき散らされたコレステロールが血管の内膜に蓄積し、これが動脈硬化に繋がるのです。
血管壁に脂肪がべったりつくイメージは一体どこから来たんだろうと思いましたが、昔の学説ではそういうものもあったようです。その記憶が自分に残ってしまっていたのでしょうか。
動脈硬化は、以前は知らず知らずのうちに血管に過剰な脂質がたまってできていくものとされていました。しかし最近では (知っておきたい動脈硬化 スマートウェルネス)
ネットの記事をみていると脂肪(コレステロール)が血管壁に蓄積すると説明しているものもたくさんありました。
家族性高コレステロール血症(FH)とは
不飽和脂肪酸の酸化経路
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