免疫複合体(Immune complex)とは?抗原と抗体の集合体

免疫複合体(Immune complex)というと、ちょっと仰々しい響きがするのですが、何かというと抗原と抗体が結合して集まったものです。antigen-antibody complexあるいはantigen-bound antibodyとも呼ばれます。一つの抗原は複数の抗原認識部位を持つので異なる抗原認識部位に対する抗体がそこに結合することで、集合体を形成します。説明の図では簡略化しすぎて、抗原一つと抗体一つが結合した絵に対して免疫複合体という名前を紹介しているものもよく見かけます。

「免疫複合体(immune complex)」とは「いくつかの抗原と抗体が結合したかたまり(抗原抗体複合体)」のことです.

引用元:齋藤紀先『休み時間の免疫学第3版』182ページ

参考

免疫複合体(Immune complex)が関与する疾患

免疫学の教科書で免疫複合体の説明を探すと、アレルギーの章に出てくることが多いのですが、それは免疫複合体がアレルギーの発症に関与するからです。アレルギーはその発症のメカニズムの違いからI型、II型、III型、IV型の4種類に分類されています。免疫複合体が関与するアレルギーのタイプはIII型と呼ばれます。

免疫複合体が体の様々な組織に沈着することにより炎症を引き起こして、様々な自己免疫疾患の病気の原因となります。具体的には関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、糸球体腎炎、間質性肺炎など。また、、抗体依存性免疫増強(Antibody-Dependent Enhancement:ADE)にも関連します。

参考

  • 齋藤紀先『休み時間の免疫学第3版』184ページ
  • ぜんぶわかる血液・免疫の事典(成美堂出版)81ページ
  • 全身性エリテマトーデスに強力な抗体薬登場 ベリムマブに続きアニフロルマブ、治療選択肢広がる 2022年02月14日 05:10 MedicalTribune

糸球体腎炎における免疫複合体の関与に関しては、『免疫ペディア』(羊土社)(209ページ~)の説明が詳しい。