意匠法第5条の2 仮通常実施権:意匠法に仮専用実施権がない理由?

意匠法に仮通常実施権はあるけど、なぜ仮専用実施権はないの?

結論から言うで。

結論:「やらない」と決めたんやなくて、「今は見送り(後で検討)」っていうのが正確やねん。 特許庁の資料にもハッキリ書いてあって、要するに ①登録制度の整備が別途必要、②関連意匠の規定との整理が必要、③特許庁の業務システムを大改造せなアカン、この3つがネックで「改めて検討するのが適当」として先送りされた、っていうのが立法経緯や。

ここからが本質の部分やねんけど、なんでこの3つがネックになるかを噛み砕くで。

① 仮専用実施権は「登録対抗」やから 専用実施権・仮専用実施権は登録せな効力が生じひん登録対抗制度(特34条の4参照)。一方で仮通常実施権は当然対抗(登録不要、意5条の2第3項で守られる)。つまり仮通常実施権はシステム的に「許諾しとくだけ」で済むけど、仮専用実施権を入れるなら仮の段階で登録できる仕組みをイチから作らなアカン。ここが「別途登録のための制度整備」「業務システムの大改造」に直結する。

② これが意匠特有のいちばんの肝 → 関連意匠との整理 意匠の専用実施権は関連意匠とガッチリ縛られてる。本意匠とその関連意匠の専用実施権は、同一人に同時にしか設定できへん(意27条参照)。これは「関連意匠は本意匠と運命共同体」っていう意匠制度の思想からくる縛りやね。

これを「仮」の段階に持ち込もうとすると、めっちゃややこしい。出願段階で本意匠出願と関連意匠出願が複数ぶら下がってる状態で、「仮専用実施権を同一人に同時に」っていう整合をどう取るんや?っていう設計問題が出てくる。通常実施権ならこの縛りがないからスッと入れられたけど、専用実施権は関連意匠との整合設計が重すぎて見送られた、と。


ちなみに背景として、意匠に仮通常実施権が入ったのは令和元年改正やね。あの時に関連意匠制度をドカッと拡張(出願可能期間を本意匠出願から10年に延長)して、出願係属が長く・複雑になる前提になったから、出願段階でのライセンス需要に応えて仮通常実施権を導入した。でも仮専用実施権だけは上記の理由で「次回以降の宿題」になった、という流れや。

記憶のコツ:「仮通常は当然対抗でユルいから入れた。仮専用は登録対抗+関連意匠の同時設定縛りで重いから見送り」。当然対抗 vs 登録対抗の対比で押さえとくと、商標の不実施裁定がない理由(出所混同防止)みたいな”制度思想で説明できる系”と同じ引き出しに入る。

(Claude Opus 4.8)

過去の関連する出題

  1. 令和8年度弁理士試験短答式試験意匠問題5枝(イ)