2026年度ノーベル生理学・医学賞候補 GLP-1とは?

GLP-1は、食事をすると小腸から血液中に出るホルモンで、体に「ごはんが来たよ」と知らせる合図です。

何をするホルモンか

合図を受け取った体は、次の4つの反応をします。

  • 膵臓がインスリンを出して、血糖値を下げる。
  • 血糖値を上げるホルモン(グルカゴン)を抑える。
  • 胃の動きがゆっくりになり、食べ物が腸に少しずつ送られる。
  • 脳が「もうお腹いっぱい」と感じる。

大事なのは、インスリンを出させる作用が血糖値の高いときだけ働くことです。従来の糖尿病薬と違って血糖値を下げすぎにくく、これが薬として優れている理由です。

発見の物語

発端は1960年代の謎でした。同じ量のブドウ糖でも、注射するより口から飲んだほうがインスリンがたくさん出ます。腸が膵臓に何か合図を送っているはずだと考えられ、その正体探しが始まりました。

  • ハーベナー:グルカゴンの遺伝子を調べたところ、同じ遺伝子の中にグルカゴンによく似た別のペプチドの設計図が隠れているのを見つけました。「グルカゴン様ペプチド(GLP)」という名前はここから来ています。
  • モイソフ:設計図どおりの長いペプチドでは働かず、端が切り落とされた短い形が本物だと見抜きました。それを自分で化学合成し、膵臓からインスリンを強く出させることを示しました。
  • ドラッカー:GLP-1が膵臓のβ細胞に直接働いてインスリンを出させることを、細胞の実験で示しました。その後も、体のどこでどう働くかを体系的に調べ上げました。
  • ホルスト:同じ時期に独立して、腸から実際に出ている活性型GLP-1を突き止め、ヒトでの作用を確かめました。さらに、GLP-1が血液中の酵素(DPP-4)によって1〜2分で分解されることも明らかにしました。

薬になるまで

1〜2分で消えるものは、そのままでは薬になりません。そこで製薬企業のクヌーセンらが、GLP-1に脂肪酸の「しっぽ」を付けました。血液中のタンパク質(アルブミン)にくっついて分解されにくくなり、1日1回、やがて週1回の注射で済むようになりました。これがオゼンピックやウゴービ(セマグルチド)です。

糖尿病の薬として使ううちに、体重が大きく減ることがわかりました。肥満治療薬としては体重が平均で15%前後減り、心筋梗塞や脳卒中も減ることが示されています。

(執筆:Claude Opus 5.5)